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小坂 愉賢 院長の独自取材記事

相模原ブレストクリニック

(相模原市中央区/相模原駅)

最終更新日:2023/12/18

小坂愉賢院長 相模原ブレストクリニック main

相模原駅南口からすぐのビル3階には、駅前のにぎわいを忘れる落ち着いた空間が広がっている。2023年4月にオープンした「相模原ブレストクリニック」。長く大学病院などで乳がんの診療に携わってきた小坂愉賢院長が、地域での乳腺専門の診療へのニーズに応えるべく開業した。開業のきっかけについて小坂院長は、「大学病院では手術や抗がん剤などの薬物療法を行いますが、そうした治療へ早期につなげる検査・診断や術後のフォローまでは手が回らないのが現状。通いやすい地域のクリニックで、これらの役割を分担する必要があるのです」と話す。「乳腺のかかりつけ医」として、これまで見過ごされてきた地域の医療ニーズを丁寧に拾いあげたいと抱負を語る小坂院長に、クリニックの特徴やめざす医療などについて聞いた。

(取材日2023年8月18日)

初期の乳がんを早期に診断、術後のフォローも担う

貴院は乳腺専門のクリニックなのですね。

小坂愉賢院長 相模原ブレストクリニック1

はい。私は北里大学病院、埼玉医科大学国際医療センター、相模原赤十字病院などで、乳がんの診断・治療を中心に、術後管理、再発治療、遺伝性乳がんに関する遺伝カウンセリングなどを手がけてきました。日本の女性がかかるがんの中で罹患率トップとなっている乳がんは、さらに増加の一途をたどっています。大きな病院では外科手術や薬物療法を多く手がけていますが、治療後のフォローまでは担えていないのが現状です。乳がんと診断され、治療を乗り越えた人々の多くが、不安を抱えながら適切な相談先を見つけられないまま地域へ戻ることを迫られているのです。そうした方々の受け皿として、また早期診断により適切な治療へとつなげる拠点として、地域に密着したクリニックでの乳腺の専門的な診療が求められていると感じたことから、当院を開設しました。

相模原駅前という立地を選ばれたのはなぜですか?

私は多摩ニュータウンの出身で、当初は地元での開業を考えていました。しかし、乳腺診療を行うために必要なスペースを要する物件がなかなか見つからない中、駅の目の前という利便性の高いこのテナントと出合い、北里大学病院の仲間たちからも「ぜひここで開業を」と請われたことから、この場所での開業を決めました。相模原市はもちろん、町田市や八王子市からもアクセスしやすいことがポイントです。また、これまで私が勤めてきた病院にも近いので、紹介しやすいのもメリットといえるでしょう。

クリニックの特徴を教えてください。

小坂愉賢院長 相模原ブレストクリニック2

乳房専用のエックス線撮影であるマンモグラフィ検査機器や超音波診断装置など、新鋭の検査機器を備えて、初期の乳がんを逃さず診断できる体制です。また、ホルモン療法を受けている方に発症しがちな骨粗しょう症にも対応すべく、骨密度測定装置もあります。これらの検査機器を活用しての、乳がんをはじめとする乳腺疾患の早期発見・早期診断と、乳がん術後の経過観察が当院の二本柱です。術後のリンパ浮腫や乳腺炎への対応では、あん摩マッサージ指圧師や助産師らとも連携しています。さらに、遺伝性乳がんに関する遺伝カウンセリングも行っているのも特徴です。

再発や遺伝への不安に丁寧に寄り添い、早期に解消を

乳がん再発の不安についてはよく耳にします。

小坂愉賢院長 相模原ブレストクリニック3

乳がんは治療すればそれで終わりというわけではありません。手術後も長期にわたり、定期的な検査による経過観察が求められます。術後10年たってから再発するケースや、切除した側と反対の乳房に新たにがんが発生するようなケースもあるので注意が必要です。術後5年は3〜6ヵ月おき、その後は半年から1年に1度の受診をお勧めします。治療を担当した主治医がその後の経過観察も担うのが理想であり、患者さんの求めるところでもあるでしょう。しかし、先にもお話ししたとおり、それは難しい現状があります。病気の早期発見から治療、治療後の見守りまで、長く責任を持って診続けていきたいと考えています。

乳がんに罹患した家族を持ち、遺伝が気になる方もいらっしゃるそうですね。

乳がんを発症された方の中には、遺伝子的に乳がんになりやすい体質を持っている方がいるとされており、家族や血縁関係の近い親族に乳がんにかかった人がいる場合、乳がんになるリスクが高くなることが知られています。とはいえ、血縁者に乳がん罹患者がいるからといって、必ず乳がんになるというものではありません。乳がんに罹患した方が娘や孫への遺伝を気にされることはよくありますし、見逃されがちですが男性でも遺伝子を次世代へ引き継いでいることもあります。当院ではこうした乳がんの遺伝に関わるご相談を、遺伝カウンセリングという形でお受けしています。

診療の際に心がけていらっしゃることはありますか?

小坂愉賢院長 相模原ブレストクリニック4

受診される患者さんの多くは不安を抱えていらっしゃいます。そうした不安を少しでも解消できるよう、可能な限り受診されたその日に検査をして結果をご提示し、わかりやすくご説明するようにしています。特に乳房は女性にとって特別であり、乳がんを含む乳腺疾患は仕事に家事に育児にと忙しい若い世代での発症も少なくありません。万が一病気が見つかった際にも、それぞれの事情を鑑みながら治療の選択を支え、治療後の社会復帰まで見据えてサポートするように心がけています。

地域の「乳腺のかかりつけ医」として気軽に相談を

貴院のスタッフさんについても教えてください。

小坂愉賢院長 相模原ブレストクリニック5

大学病院で外科から内科まで幅広く経験した看護師をはじめ、紹介によりご縁をいただいた医療事務スタッフやマンモグラフィ技師などのスタッフが集まっています。マンモグラフィ撮影など、乳腺診療では特殊なスキルが必要となる場面も多く、経験豊富なスタッフがそろっていることを心強く感じています。各々が細かくお声がけを行うことで、チームとして連携を強めています。また、看護師である妻もクリニック運営に携わっており、私とスタッフとのコミュニケーションハブとして大きな役割を果たしてくれているのもありがたく感じています。

院長が医師を志望し、乳腺を専門に選ばれたのはなぜですか?

実家が漢方・調剤薬局を経営しており、医療が身近にあったことから医師の道を志しました。自身の手で治療を行う外科医になりたいと思い、北里大学の外科に入りました。外科でさまざまな手術を経験するうちに気づいたのですが、乳がんの治療では外科手術に加えて薬物療法が大きな意味を持っています。乳がんに罹患する女性が増加している現代において、それを診療する医師の体制は十分とは言えず、ここで役割を果たしたいと、この道を選びました。数あるがんの中でも、乳がんは若い方の罹患が多いがんです。その分、罹患による社会的損失も大きいと感じます。早期に発見して手術・薬物療法で完治へと導くことができれば大きなやりがいを感じますし、治療後の社会復帰までサポートできることで社会貢献の意味もあります。診療を通して、改めて命や家族の大切さを実感する日々です。

読者へのメッセージをお願いします。

小坂愉賢院長 相模原ブレストクリニック6

乳がんが見つかると多くの方は「まさか自分が」とショックを受けることでしょう。ただし、早期に見つけて適切な治療を受ければ、乳がんは完治をめざせるがんです。病気になってしまったことも自分自身だけの唯一の経験と大切にし、前向きに進めるようお手伝いしていきたいと考えています。若くして罹患するケースも多い乳がんでは、子育てや親の介護、子どもの受験などで自分自身の体を顧みることが難しい状況にある方も少なくありません。治療に際しては、パートナーも含めて治療のことのみならず家庭運営や必要な役割分担などをしっかりと話し合う機会を持ち、家族間の絆を深めながら力を合わせて取り組む必要があります。私自身、学齢期の子どもを4人育てており、経験したからこそ理解できる部分も大きいと感じます。まずは乳がん検診を受けていただき、不安があればぜひご相談ください。地域の「乳腺のかかりつけ医」として、お役に立てればと存じます。

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