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河口 哲 院長の独自取材記事

大通エールレディースクリニック

(札幌市中央区/大通駅)

最終更新日:2023/10/31

河口哲院長 大通エールレディースクリニック main

市電外回りの西四丁目駅と札幌市営地下鉄東西線・大通駅からそれぞれ徒歩3分の好立地に、「大通エールレディースクリニック」はある。エール(ailes)はフランス語で「翼」を意味していて、クリニックの名前には、「すべての女性が翼を大きく広げ、高く舞い上がるためにエールを送り続けたい」という思いが込められている。院長を務めるのは、道内外のさまざまな基幹病院での豊富な診療経験を持つ、河口哲先生。「すべての患者さまに寄り添い、ともに考え、ともに歩み、笑顔で元気になっていただく」というモットーを掲げ、一人ひとりの患者と真摯に向き合っている。明るく気さくな人柄が印象的な河口院長に、診療に対する思いをたっぷりと聞いた。

(取材日2023年1月24日)

自分が理想とする医療を実現するため開業を決意

まず、先生が医師を志したきっかけを教えてください。

河口哲院長 大通エールレディースクリニック1

人の役に立つ仕事に就きたいと思っており、医師をめざすことを決めました。医学部進学後は、小児科か産婦人科かで迷っていましたが、不妊治療にも興味がありましたし、産婦人科は幅広い治療ができるという点にも魅力を感じて決めました。産婦人科は大変な診療科だといわれていましたが、当時の学生というのは、大変かどうかというよりも「やりがいがあるかどうか」で選んでいる人が多かったと思います。

開業をしようと思ったのはなぜですか?

秋田大学医学部卒業後は、秋田大学病院をはじめ北海道内外の基幹病院で勤務医として働いていたのですが、自分が理想とするような診療をするのが難しかったんです。私は患者さん一人ひとりにしっかりと時間をかけて診療をしたいという思いがあったのですが、大きな病院では思うようにそれができない。長い時間待たせたのに、診療時間が短いことにも心苦しさを感じていました。患者さんに寄り添う診療を実現するには、開業するのが良いと思ったんです。それに、私は普通の大学を卒業してから医学部に入り直しているので、医師になるのに時間がかかっているんです。その分、普通の人よりも長く働いていきたいと思っていました。開業医であれば定年もありませんし、それがかなうのかなと思いました(笑)。

開業に際して、この場所を選んだ理由を教えてください。

河口哲院長 大通エールレディースクリニック2

私はもともと滋賀県の出身なのですが、学生時代に自転車で北海道をキャンプしながら回って以来、北海道が大好きになったんです。道東に行くと人が誰もいないし、人工物もほとんどなく、日本中探してもこういう場所はなかなかないですよね。大自然もアウトドアも好きで、それなら北海道で働きたいと思いました。北海道ならどこでも良かったんですが、小児科の医師をしている妻の仕事のことも考慮して札幌に落ち着いたという感じです。当院の場所にはもともと「札幌マタニティ・ウィメンズ南1条クリニック」といって、開業前に私が働いていた「札幌マタニティ・ウィメンズホスピタル」の分院がありました。そこを継承しないかというお話をいただいたので、地域の患者さんのためにも同じ場所で開業をさせていただきました。札幌マタニティ・ウィメンズホスピタルとは、夜間の急患などは対応していただけるよう今も連携しています。

患者にともに寄り添い、支えとなりたい

開業するにあたって、どのようなクリニックにしたいと思っていましたか?

河口哲院長 大通エールレディースクリニック3

自分が専門としてきた出生前検査にも力を入れつつ、この地域は若い世代も多く住んでいるので生理痛などの月経困難症やピルの処方をはじめ、更年期障害など幅広い診療を提供できるクリニックにしたいと思っていました。また、不妊専門クリニックで不妊治療についてもしばらく勉強をさせていただいたので、その経験を生かして不妊相談もしたいと考えていました。体外受精など難しい治療については不妊専門クリニックを紹介しますが、その前の段階については当院で対応できます。赤ちゃんが欲しいと望み避妊しない性生活があるのに、1年たっても妊娠しない場合には不妊の可能性がありますので、原因を探ってみても良いかもしれません。もちろん、1年たっていなくても、「妊娠しにくいのかな」と思った方は、早めに相談していただきたいですね。

先生が専門とされている出生前検査について、教えてください。

出生前検査というのは、赤ちゃんの健康状態を調べる検査などのことです。妊娠中に何かあれば、生まれてからの治療やサポートを事前に準備することもできますし、妊娠中の治療が可能であれば治療を開始することもできるため、当院でも力を入れています。

赤ちゃんに病気の可能性があるとわかった場合、親御さんに対してどのように接していらっしゃいますか。

河口哲院長 大通エールレディースクリニック4

おなかの赤ちゃんに病気の可能性があるとわかると、親御さんはやはりとても悩まれます。苦しんだ結果、中には「先生、どうしたらいいですか?」と判断を求める方もいますが、私の立場ではそれに回答することはできません。それでも、親御さんと一緒に悩むということはできます。最終的に決断をするのは親御さんだけれど、その過程を一緒に悩んで寄り添うことが大切だと思うのです。そのために、当院ではカウンセリングの時間も設けています。

患者の思いに傾聴・共感し、不安を安心に変えていく

これまでに印象に残っている患者さんとのエピソードはありますか?

河口哲院長 大通エールレディースクリニック5

産婦人科の医師になって2年目に、妊娠38週くらいでおなかの赤ちゃんが突然亡くなってしまったことがありました。これは決して珍しいことではなく、誰の責任でもなかったのですが、お母さんはやはりとてもショックを受けて、最初はやり場のない怒りを私たちにぶつけている状態でした。亡くなった赤ちゃんをおなかから出す処置をするために入院をしなくてはいけなかったのですが、その時にじっくりと時間をかけて話を聞きました。当時の私はまだ新米の医師でできることは限られていましたが、その方の思いをひたすら聞き、お母さん自身が現実をしっかりと受け止められるよう向き合いました。この経験で、共感や寄り添いということがとても大切なことだと気づくことができたんです。今も医師としての土台にある大切な経験です。

その経験が、現在の「話をしっかり聞く」という診療姿勢につながっているんですね。

患者さんは皆さん、いろいろな悩みを抱えてここに来るんです。その思いをきちんと患者さんが吐き出すことができるように、話しやすい雰囲気づくりはいつも心がけています。心配事をうまく言葉で表現できない方は、話をしている中で引き出すことができるように。産婦人科の医師だけに限らず、患者さんの不安が安心に変わるということが大切だと思うんです。

最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

河口哲院長 大通エールレディースクリニック6

まだ開院したばかりですが、これからたくさんの患者さんに来ていただけたらと思います。そして、患者さんが増えたとしても、これまでと変わらず患者さん一人ひとりと丁寧に向き合って、皆さんが元気になって帰っていけるようにお手伝いできたらうれしいですね。医師になりたての頃から、「先生と話したら元気になりました」と言っていただける医師になりたいと思って、後輩にも「患者さんから1日ひと笑いを取ろう」と伝えています(笑)。これは、ネタで笑わせるという意味ではなく、患者さんの心をふわっと軽くできるように。どんな些細なことでも、不安なことがあるのなら、気軽に相談にいらしていただきたいと思います。

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