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新里 法子 院長の独自取材記事

あかしあ小児歯科

(広島市安佐南区/緑井駅)

最終更新日:2023/03/24

新里法子院長 あかしあ小児歯科 main

緑井五丁目のバス停から歩くこと5分。黄色い屋根と看板が目印の「あかしあ小児歯科」が見えてくる。院長の新里法子先生は日本小児歯科学会小児歯科専門医。地域に小児歯科専門医による治療を根づかせるため、そして小児歯科専門医をめざす歯科医師を一人でも増やすために尽力している最中だ。大学病院で多くの患者と接し、研鑽を積んできた新里院長。「泣かせない治療」ではなく「泣いても笑顔で帰ってもらえる治療」をめざしている。治療を頑張った子どもたちにはカプセルトイのご褒美も用意。「虫歯のリスクが高い口内環境でも、虫歯にしなければいいんです。最終目標は健康な永久歯です」と語る新里院長の笑顔は優しい。インタビューに答える姿からは、小児歯科専門医であることの誇りと熱意が伝わってきた。

(取材日2022年12月13日)

地域に小児歯科専門医のクリニックを絶やさないために

先生が歯科医師をめざしたきっかけは何だったのでしょう。

新里法子院長 あかしあ小児歯科1

私は中学受験をして広島大学附属の中・高一貫校に進んだんですが、中学受験した理由も、仲のいい友達が受験のために塾に通い始めたからなんです。一緒に遊ぶ時間が減るのなら私も塾に行って中学受験しようと思って。転機となったのは、受験に受かり4月にクラスで行われた自己紹介です。みんな将来は医師や薬剤師になりたいと言っていて、将来の夢なんてまったく考えていなかった私にとって衝撃でした。「受験も終わって、ようやく遊べる!」としか考えていませんでしたから。母に相談したところ「あなたは手先が器用なんだから歯科医師になれば?」と言われて、そこから歯科医師という道を意識し始めました。でも歯科医師に求められる手先の器用さは、母の言うものとは全然レベルが違っていてかなり苦労しましたね(笑)。

先生は小児歯科専門医だそうですが、小児歯科に進んだのには何かきっかけがあったのですか?

最初は歯学部を卒業したら、へき地の歯科医師になりたいと考えていました。へき地には高齢の患者さんが多いので、必然的に歯周病の治療や入れ歯の調整がメインになります。漠然とそんな思いを持ちながら授業を聞いていたのですが、小児歯科の授業で「人間は歯がゼロの状態で生まれ、乳歯が生えて永久歯に生え替わり、親知らずも含めると全部で32本の歯がそろう」と聞いて、成長とともに歯の状態も本数も変わっていくなんて面白いと思い、そこから小児歯科に進もうと決めました。

こちらへ開業されるに至った経緯を教えてください。

新里法子院長 あかしあ小児歯科2

近隣にお住まいの方はご存じかもしれませんが、もともとこの場所には、いちのせ小児歯科という、一瀬智生先生が開業されていたクリニックがありました。一瀬先生は私の大先輩で尊敬する方でした。私が大学病院で働いていた頃、一瀬先生からの紹介の患者さんがよくいらっしゃっていたのですが、先生が大学病院に紹介される患者さんはかなり難しい症例であることが多く、裏を返せば、多少の難しい症例は先生のクリニックで治療していたということです。そんな一瀬先生が急逝され、悲しみとともに、広島から優れた小児歯科医院が一つなくなってしまったという焦りを感じました。小児歯科専門の歯科医院は少ないので、その分患者さんは困るでしょうし、大学病院の負担も増えてしまいます。地域の小児歯科専門クリニックを絶やすわけにはいかないと思いました。とても大きな決断でしたが、夫が背中を押してくれてこの場所で開業することに決めました。

勤務医の経験、母親の経験から、一緒に予防を考える

大学病院で長く勤務されていたとのことですが、どのような患者さんを診療されていましたか?

新里法子院長 あかしあ小児歯科3

大学病院なので、症状の重い患者さんが多かったですね。それから障害のあるお子さんや、遺伝性の病気などのお子さんもいらっしゃいます。同じ大学病院に血液疾患などで入院されているお子さんが歯科治療に来られることもよくありました。中でも、小児がんのお子さんは、抗がん治療を受ける前に歯を全部きれいにするんです。抗がん治療中は体の免疫機能が下がるので、虫歯が1本でもあるとそこから菌が全身に広がってしまいますから。がん治療という時間が限られる中での応急処置なので、通常なら治療して残せる歯であっても、すぐに治療が終わらないものは抜いていました。虫歯を抜くことで生命予後が変わってくるので、命を守るための抜歯ですね。そんな患者さんも多く診療してきました。

こちらのクリニックで診療する上で、特に気をつけていることは何ですか?

当院は「最後は笑顔で帰る」を診療方針にしています。お子さんが泣き過ぎて吐いてしまっても、必要な処置は行います。泣かせない治療を目的にすると、すべき処置ができません。泣かない治療ではなく、治療後に笑顔で帰れるような診療を心がけています。それから、親御さんに無理のない虫歯予防法をご提案しています。以前には「子どもが寝ていても起こして仕上げ磨きしてください」と無茶なことを言っていたこともあるのですが、実際に自分が母親になってみて、それがいかに難しいことかがわかりました。3人のお子さんを育てているお母さんに、全員に毎日しっかり仕上げ磨きをしてくださいなんて言えないので「時間がなければ仕上げ磨きはしなくてもいいので、せめてこの場所だけはフロスしてください」など、親御さんの負担を考慮した予防方法を一緒に考えるようになりました。

初診にはかなり時間をかけていると伺いました。

新里法子院長 あかしあ小児歯科4

そうですね。歯科衛生士さんには毎回「この検査をするなら時間が足りません」と言われます(笑)。当院では予防を第一に考えているので、まずはお子さんの口の環境を調べます。ある程度歯が生えているお子さんであれば、口の中の虫歯菌がどのくらいの強さで、どのくらい虫歯になりやすいのかを調べることができるんです。虫歯の原因は歯の質と菌の強さ、唾液の量、砂糖の量や摂取回数などで変わってきます。唾液の量が少ないと虫歯になりやすいし、同じ量の砂糖を食べるとしても、一度に食べるか何度かに分けて食べるかで虫歯のリスクは変わります。後者の方が虫歯になりやすいんですよ。それから口をよくぽかんと開けているお子さんも、お口が乾くので虫歯や歯肉炎のリスクが高まります。虫歯や歯の生え替わりを気にする親御さんは多いですが、口の開き方や噛み方を気にする親御さんは少ないです。そこから一緒に予防方法を考えるので、何でもご相談ください。

健康な永久歯のため、小児歯科専門医ができることを

マイナス1歳からの虫歯予防について教えてください。

新里法子院長 あかしあ小児歯科5

妊婦歯科検診のことですね。当院では、安定期に入った妊婦さんに歯科受診をお勧めしています。妊婦さんの虫歯はお子さんにも影響しますし、妊婦さんが歯周病だと早産のリスクが高まると言われています。妊娠後期や出産した後は、なかなか歯の治療にも通えなくなると思います。リスクや負担を緩和しつつ、治療できるものは一緒に相談しながら早めの治療を行っていきましょう。

先生の今後の目標はありますか?

私の目標としては、成長した患者さんが自分のお子さんを連れて来てくれることですね。親子2代で来てもらえるような歯科医院にしていきたいです。そうでなくても、通ってくれたお子さんには健康な歯を保ち続けるモチベーションのある大人になってほしいです。あとは、小児歯科専門医をめざす歯科医師を増やして、地域に小児歯科専門医がいることが当たり前になってほしいです。そのために今私も頑張っています。頑張る姿を後輩に見てもらい、小児歯科の治療って楽しそうだな、面白そうだな、やってみたいな、と思ってもらえたらうれしいです。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

新里法子院長 あかしあ小児歯科6

虫歯は生活習慣病なので防ぐことができます。虫歯のリスクが高い人でも、歯磨きや食生活に気をつけて、虫歯にさせなければいいんです。最終目標である健康な永久歯のため、一緒に頑張っていきましょう。頼っていただけるのなら全力で応えたいと思っています。ご相談は歯以外のことでも構いません。大学病院に勤めていた頃、児童相談所の一時保護施設で歯科検診をした経験があります。そこにはいろんなお子さんがいて、バックグラウンドもさまざまでした。お子さんへの虐待って、どんな親御さんにも起きてしまう可能性はあるんです。一見は問題なくとも、子育てのストレスやプレッシャーにギリギリで耐えて、かろうじて虐待に至っていない親御さんは大勢いらっしゃいます。歯科診療だけでなく、子育ての大変さやつらさも吐き出せる場所でありたいと思っています。お一人で抱え込む前に、お気軽にいらしてください。

自由診療費用の目安

自由診療とは

小児矯正/43万円~、フッ素塗布/300円~

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