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小岩屋 宏 院長の独自取材記事

こいわや循環器内科クリニック

(宮崎市/宮崎神宮駅)

最終更新日:2023/02/27

小岩屋宏院長 こいわや循環器内科クリニック main

国道10号から東へ、東大宮小学校向かいに2022年10月に開院した「こいわや循環器内科クリニック」。リゾートホテルのような外観と明るく開放感のあるシックな院内は、訪れた人に居心地の良さを感じさせる。各種検査機器を導入しているなか、循環器内科としては珍しいリハビリテーション設備を備えている。循環器を専門とする医師として20年近く診療を続けてきた小岩屋宏院長にとってこのリハビリテーション室は病診連携を図りながら質の高い医療を提供するための大切な要素だという。長年タブーとされてきた心臓疾患と運動の関係を見直し、チーム医療で患者の予後とQOLの向上をめざしている同院の取り組みについて小岩屋院長に詳しく話を聞くことができた。

(取材日2022年12月21日)

心臓や血管の治療と心臓リハビリテーション

クリニックの特徴をご紹介ください。

小岩屋宏院長 こいわや循環器内科クリニック1

当院は循環器内科と内科を標榜し、2022年10月に開業しました。患者さんの症状としては高血圧症、高コレステロール血症などの生活習慣病、不整脈による動悸、息切れや胸の痛みなどが多いです。患者さんは60代以上の方が多いのですが30~40代の比較的若い方もご相談に来られます。診療面の特徴としては僕自身が生活習慣病の中でも高血圧を専門としているので、該当する患者さんの治療や管理を安心してお任せいただけることでしょうか。日本人の3人に1人が高血圧といわれるほど多い一方で専門とする医師は少なく、宮崎県でも数えるほどしかおりません。高血圧は心筋梗塞、狭心症、心不全など多くの心臓疾患を引き起こしますので心当たりのある方は早めにご相談ください。

院長の専門について教えてください。

僕は日本循環器学会の循環器専門医でもあり、久留米大学病院に勤務していた当時からカテーテル治療を数多く行ってきました。父も循環器の医師で、今から約35年ほど前、日本にカテーテル治療が入ってきた後、宮崎でもカテーテル治療を行っていました。当時、カテーテルを自宅に持ち帰って練習する姿を見ていたので、この道に進んだのは父の影響もあるでしょうね。僕自身も技術を磨くべく、カテーテル治療や循環器診療において全国的に見ても多くの実績を持つ宮崎市郡医師会病院に入職し、そこでは医師としての技術のみならず、人として生涯の師と呼べる先生に出会い、多くの経験を積むことができました。カテーテル治療は急性期の局所治療ですから、多くの患者さんは治療後も病気を背負って治療を継続しなければなりません。そんな患者さんを支えていくには、身近で継続的に患者さんに寄り添いつつ、専門性を備えた医療機関が必要と考えるようになりました。

病院だけでなく地域のクリニックも専門性の高い治療を行うことが大事だと考えたのですね。

小岩屋宏院長 こいわや循環器内科クリニック2

例えば心不全はさまざまな心臓の病気から引き起こされるため、患者さんそれぞれに合った多面的なアプローチが必要となります。具体的にはお薬治療、看護師の指導、運動療法、食事療法などです。心不全だけでなく、手術やカテーテル治療のような急性期治療後も、こうした多面的な管理をしていく必要があります。しかし手術を行う基幹病院は状態の悪い患者さんを引き受けていることもあり、治療後の管理にまで手が回りません。そうした部分を地域連携として引き受けていきたいと思うようになったことも開業を決意した理由の一つで、それには院内に心臓リハビリテーションのための設備が必要だと考えたのです。クリニックとしては珍しい設備なのですが、今後は宮崎市内にもこうした設備が増えていくようその先駆けになれればとも考えました。

チーム医療で心疾患患者のQOL向上をめざす

「心臓リハビリテーション」とは、あまり聞かない言葉ですね。

小岩屋宏院長 こいわや循環器内科クリニック3

リハビリテーションと聞くと、ケガから復帰するためのトレーニングや、病気やケガで不自由になった手足を動かす訓練をイメージする方が多いと思います。心臓リハビリテーションでは心臓や血管の機能回復のための運動療法だけではなく、学習活動、生活指導、カウンセリングなど包括的に行います。そのため、医師・看護師・理学療法士・検査技師・薬剤師など多くの専門の人たちがチームを組んで患者さん一人ひとりの状態に応じた効果的なリハビリプログラムをつくり、実施していくんです。心臓リハビリテーションは、心臓の機能の維持・向上をめざすだけでなく、心不全の死亡率や再入院率の減少にも大きく寄与するといわれています。

心臓病に運動療法を取り入れるというのも、意外です。

ちょっと前まで、心臓の悪い人には運動をさせないというのが常識でしたからね。しかし、患者さんが自分で自分のことができないくらい身体機能が落ちてしまうと、QOL(生活の質)が極端に損なわれてしまいます。当院のリハビリでは生体モニターをつけ、血圧や心拍数、酸素濃度などを確認して、徐々に負荷を高めていきます。そうすることで、リスクを管理しながら、少しずつ筋量や自己心肺機能の改善を図っていくのです。心臓病の患者さんには特に難しいとされていた筋力アップのためのトレーニングも、専門の理学療法士の指導のもとで行い、リハビリの前後には僕が状態を確認するために診察し、必要に応じてお薬を調整しています。今後は心臓リハビリテーションの勉強会を開いて、地域の皆さんに心臓リハビリテーションを身近に感じていただけたらと考えています。

診察の際に心がけていることを教えてください。

小岩屋宏院長 こいわや循環器内科クリニック4

僕もスタッフも患者さんの声にできるだけ耳を傾けて、どんな小さなことでも患者さんが話しやすいような雰囲気づくりを心がけています。受付スタッフにや看護師には話せるけれど、僕には直接言えないこともあるでしょうから、そういう時は診察の際に看護師が「こういうこと聞きたかったんですよね」って患者さんに助け舟を出してくれることもあり、本当に助かっています。ちなみに、高血圧の患者さんからは「できればお薬を飲みたくないのですが……」と言われることがあります。高血圧症はサイレント・キラーとも呼ばれていて、症状が出た時には病気が相当進んでいることもあるので、無症状でもお薬による治療が必要であることを納得してもらえるようお話しすることを心がけています。

治療するだけでなく安心を伝えられる場所でありたい

医師の仕事を志した理由を教えてください。

小岩屋宏院長 こいわや循環器内科クリニック5

父と父方の祖父、母方の祖父が医師でした。母方の祖父が産婦人科医だったので僕は祖父に取り上げてもらいました。幼少時はこの祖父の家が遊び場で、ケガをすると祖父が処置をしてくれたのがうれしくて、白衣や医療器具も大好きでした。父方の祖父は宮崎市内で開業していたのですが、40年ほど前に亡くなり、父も大学病院で要職に就いていたため後継ぎがおらず閉院しました。その後、僕がクリニックを開業することになったのですが、開業日の10月1日は奇しくも祖父の命日。感慨深く感じています。時折、祖父の医院に通院したことがある患者さんから祖父のことを覚えていると声をかけられることがあります。40年以上たっても覚えている患者さんがいることはまさに地域に根づいた医療だったと思いますし、そのような医療をめざしたいです。

今後の展望をお聞かせください。

循環器内科と一般内科を扱うかかりつけ医として、地域の皆さんの健康な暮らしを支えていきたいと考えています。特に、専門性の高い循環器科では、前述したようにまだあまり知られていない心臓リハビリテーションについての理解を広げるため、啓発活動にも積極的に取り組んでいきたいです。心臓リハビリテーションは運動することで汗をかき、ふさぎ込んだ気持ちや不安から解放され、筋力や運動能力も増加しQOLが高まっていく、そんなメリットを伝え、少しでも多くの患者さんに健やかで穏やかな毎日を過ごしていただけたら、と思っています。

読者や地域の皆さんにメッセージをお願いします。

小岩屋宏院長 こいわや循環器内科クリニック6

医療機関にかかる時、悪いところを見つけることはもちろん大事ですが、異常がないとわかるのも大事なことです。病気かもしれないと不安になって過ごすよりは気軽に受診していただき、検査で何もなければ「大丈夫ですよ」と安心してもらえる場所をめざしており、当院が気軽に相談できる存在になりたいと思います。重い気持ちで病院に行くというよりは、カフェや図書館に行くような、気軽に通える身近で親しみやすいクリニックでありたいのです。ご自身やご家族の健康のことでお悩みや気になることがあれば、どんな些細なことでも大丈夫ですから、遠慮なくご相談ください。

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