本来の表情を取り戻すため
形成外科で受ける眼瞼下垂症の手術
ソワカ乳腺・形成外科クリニック大阪
(大阪市中央区/谷町四丁目駅)
最終更新日:2023/08/10
- 保険診療
加齢につれて、誰でもなる可能性のある眼瞼下垂症(がんけんかすいしょう)。まぶたが重くて目が開きにくい、周囲から眠たそうな目と言われるなど、体調を含めてなんとなくすっきりしないのはこの病気が原因かもしれない。そんな眼瞼下垂症の手術を、これまで数多くこなしてきた一人が「ソワカ乳腺・形成外科クリニック大阪」の田中義人院長。今回は日本形成外科学会形成外科専門医である田中院長の解説で、知っておきたい眼瞼下垂症手術の基本知識や手術の手順、同院ならではのポイントなどを詳しくリポートした。
(取材日2023年7月29日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q眼瞼下垂症とは、どのような病気でしょうか?
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A
眼瞼下垂症とはその名のとおり、まぶたが垂れ下がって十分に上がらず、目が開きにくくなる病気です。先天性と後天性があり、まぶたを上げる眼瞼挙筋という筋肉が生まれつき弱いお子さんは、程度によっては早い段階で手術を受ける必要があります。後天性のものはハードコンタクトレンズの長期装用やアトピー性皮膚炎などが原因のケースもありますが、加齢による衰えによって眼瞼挙筋がゆるんだり、付着部位から外れたりすることで徐々に発症するのが一般的です。眼瞼下垂症になると視界が狭くなる、頭痛や肩凝りにつながるといったデメリットが生じます。
- Q治療には、どのような手術が必要となりますか?
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A
眼瞼下垂症の治療は日帰り手術が基本で、患者さんの眼瞼挙筋の状態によって術式がそれぞれ異なります。眼瞼挙筋の機能がしっかり残っている方に対しては、筋肉を奥から引き出して固定しなおす挙筋前転術が一般的です。もし加齢などによって眼瞼挙筋が衰え、まぶたを上げるパワーが不足している場合は、眉毛を上げる前頭筋とまぶたを固定するための前頭筋つり上げ術を行います。あと高齢者に多いのが、筋肉はしっかり機能しているのに、まぶたの皮膚がたるんで余って目が開きにくいというケース。この場合は余った皮膚を取り除くための手術を行います。いずれの場合も局所麻酔を行い、腫れや痛みに配慮した手術を行うので安心してください。
- Q手術には保険が適用されるのでしょうか?
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A
ただ単に目を大きくしたいという整容的なご要望に関しては自費診療となりますが、黒目がまぶたで隠れているような場合は眼瞼下垂症と診断され、基本的には保険が適用されます。頭痛や肩凝りがひどかったり、いつも額にしわを寄せているような方は、眼瞼下垂症の可能性があるかもしれません。あと、眼瞼下垂症の相談に美容外科を受診し、まぶたを上げる力が弱いのに二重の手術を勧められ、症状が改善しないと相談に来られるケースもあります。このケースでの保険適用に関しては微妙な部分ですが、明らかな眼瞼下垂症がある場合は患者さんが順番を間違えただけで保険診療とするのが妥当、と私は考えています。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1問診と診察
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問診票では自覚する症状のほか、いつ頃から症状があるのか、アトピー性皮膚炎などの既往歴がないか、ハードコンタクトレンズの装用はないかなどを細かく記入。診察室ではまぶたの開き具合やまぶたの幅、他の病気の疑いがないかなどを詳しく調べ、眼瞼下垂症の診断と手術の適応が判定される。受診患者の中には単純に二重まぶたの幅を変えたいだけという人も含まれるというが、同院では信頼できる美容外科を紹介しているそう。
- 2まぶたを上げる筋肉の機能を測定
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眼瞼下垂のある人は、まぶたを上げる眼瞼挙筋だけでなく、眉を上げる前頭筋も本能的に使ってしてしまうもの。そのため前頭筋が動かないように眉を押さえた状態で目を上下させ、まぶたの位置の差によって眼瞼挙筋の機能を測定する。眼瞼挙筋の機能が大幅に衰えている場合は一般的な挙筋前転術での治療が難しいため、前頭筋つり上げ術に変更することもあるという。術式が決まれば、同意書に署名をして手術日の予約を行う。
- 3局所麻酔を行い手術がスタート
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手術当日は体調を整え、食事はいつもどおりで構わない。同院ではクレンジングを用意しているため、女性のアイゾーンのメイクは院内で落とすことも可能。手術はまぶたの二重ラインを切開して術後に縫合するのが基本で、手術前に皮膚側から局所麻酔を行う。術中もできるだけ痛みを感じないよう随時麻酔を追加するという。手術の所要時間は、左右両側で約1時間が目安となる。
- 4手術後は安静に過ごし、1週間後に抜糸
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手術直後や当日はあまり腫れることはないが、多くの場合、腫れのピークは翌日にやってくる。術後2〜3日間はなるべく安静にして傷口をしっかり冷やし、腫れが治まるのを焦らずに待つことが大切だ。完全に腫れが引くまでには数ヵ月を要するが、特に問題がなければ1週間後の抜糸まで特に通院する必要はない。糸は極細なので、抜糸後の傷跡も目立ちにくいそう。
- 5定期的な経過観察
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手術後の腫れは3ヵ月くらいで引くのが一般的で、長くても半年程度で落ち着くという。その間、1ヵ月ごとに医師の診察を受け、腫れの具合などをチェックしてもらう。もし気になることがあれば、遠慮なく申し出ること。まぶたの位置や皮膚の余り具合が左右で違うなど、気づいた段階で相談すれば修正手術が可能な場合も。修正にも保険が適用できるケースが多いため、最後までしっかりと経過観察を受けることが何より大切だ。