おりもの量や色の異常、匂い、かゆみ
放置しないで婦人科受診を
川崎駅ふみレディースクリニック
(川崎市川崎区/川崎駅)
最終更新日:2022/04/22
- 保険診療
おりものの量やにおい、色の異常や、それに伴う外陰部のかゆみやただれなどプライベートゾーンに悩みのある女性は多いようだ。そもそもおりものは、膣内部のうるおいを保って粘膜を守ったり、汚れを排出したり、細菌などが子宮内に侵入するのを防ぐ役割があり、女性の体を守るために大切なもの。さらに排卵期にはゼリー状に変わり、精子を受け入れやすい状態にする役目も果たす。それだけに、おりものになんらかの変化があった場合は注意が必要だ。そこで「川崎駅ふみレディースクリニック」村上文祥院長に、おりものの変化や悩みについて取材した。「子宮がんなどの病気の可能性もあるので、おりものの悩みなど些細なことでも、気軽に婦人科を受診して、悩みや不安を解決してほしい」という村上院長の話を参考にしてほしい。
(取材日2022年4月5日)
目次
感染症や子宮がんのこともある、おりもの量や色の異常、におい、かゆみ。放置しないで婦人科受診を
- Qおりもの異常や、外陰部のかゆみの原因は何でしょうか?
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A
おりものは、子宮や膣からの分泌物や古い細胞、皮脂腺や汗腺からの分泌物などが混ざった粘性のある液体です。においや下着の汚れなどマイナスイメージを持つ人も多いようですが、女性の体を守るために必要なものです。おりものは、ホルモンの影響で状態や量が変わり、汗と同じように個人差があります。排卵期や月経前の一時的な増加はごく正常な状態ですが、なんらかの感染があったときや膣内に異物があるときなどは、それを排除しようとする働きでおりものが増えます。自然に正常な状態に戻ることもありますが、おりものの量や色が変化して、外陰部の痛みやかゆみを伴うときには感染症などが考えられます。
- Q正常なおりものというのは、どんな状態なのですか?
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A
正常なおりものは、半透明から白く濁った感じで下着についた時は黄色っぽく見えることもあります。排卵日前には卵の白身のようにとろっとした少し粘り気のあるおりものが出ます。また生理と生理の間に出る茶褐色のおりものは、排卵出血がおりものに混ざったものです。一方、白いモロモロとしたクリーム状で量が多く、かゆみを伴うのはカンジダ膣炎(カンジダ症)、水っぽく流れ出るくらい量が多いのはクラジミア感染症、黄緑や濃い黄色の鼻水のようなものは細菌性膣炎や淋菌感染症などが疑われます。血液が混じったようなピンク、茶褐色などの場合は性感染症をはじめ、子宮頸がんや子宮体がん、子宮頸管ポリープが潜んでいる可能性もあります。
- Qおりもののにおいが気になります。
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A
おりものはもともと酸性なので、無臭ではなく、少し甘酸っぱいにおいがするのは異常ではありません。ただし人によって感じ方が異なり、正常でもにおいが気になるという人もいます。臭うのではないかと自己判断で膣洗浄をした場合、自浄作用を乱すことになり、炎症を引き起こす可能性もありますので過剰な洗浄は必要ありません。ただし、いつもと明らかに違う場合や、悪臭がするという場合は注意が必要です。嫌な臭いがして、かゆみがあり、おりものに細かい泡や血が混じるのはトリコモナス感染症が疑われます。においはするがかゆくなく、濃い黄色や緑っぽいおりものが出る場合は、前述の細菌性膣炎や、子宮頸がん、子宮体がんも考えられます。
- Q検査や治療についても教えてください。
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A
膣内のおりものを採取して培養検査を行い、どんな菌が中にいるかを調べます。特殊な病原微生物が原因と想定される場合は、確定するための検査を行います。またカンジダ菌やトリコモナスは顕微鏡で見ても確認できます。治療は、原因に合わせた薬物療法となり、膣錠や内服薬が中心です。クラミジア感染症や淋菌感染については抗生剤の投与後に再び検査を行い、経過を必ず確認する必要がありますので、症状が和らいでも自己判断で治療を中断しないことが重要です。完治しないまま放置しておくと、子宮以外に卵管やおなかの中へ炎症が進み不妊症の原因にもなります。
- Qこちらでの治療の特徴を教えてください。
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A
培養検査や病原微生物の確定検査は結果がわかるまでに約1週間かかります。当院では、不快な症状を早く解消し、また重大な病気があった場合に速やかに精密検査を行うために、結果がわかる前から症状に対する治療を始めます。また、おりものに変化の出る最も怖い病気はがんと考えていますから、血液の混じるおりものについては排卵出血であるかどうかを慎重に見極めています。そして子宮頸がんや子宮体がんの検査を組み合わせて、出血があった人はがんの見逃しがないように、特に気をつけています。