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柳澤 治彦 院長の独自取材記事

亀有内科・呼吸器クリニック

(葛飾区/亀有駅)

最終更新日:2023/02/13

柳澤治彦院長 亀有内科・呼吸器クリニック main

亀有駅から徒歩7分、環七通り沿いのビルの2階に位置する「亀有内科・呼吸器クリニック」。大きな窓から日が差し込む明るい院内は、白とグレーで統一されたやわらかな雰囲気で、受診前の患者の緊張をそっと和らげてくれるようだ。診療にあたるのは、日本内科学会総合内科専門医・日本呼吸器学会呼吸器専門医の資格を有する柳澤治彦院長。開業以前は東京慈恵会医科大学葛飾医療センターで外来や呼吸器系のがん治療に携わっていたほか、新型コロナウイルス感染症の流行初期から診療の最前線で陣頭指揮を執ってきた経験豊富なドクターだ。自身の専門性を生かし、長引く咳をはじめ内科全般の診療を幅広く手がける柳澤院長に、開業の経緯や診療時に心がけていること、大学病院での経験など、じっくりと話を聞いた。

(取材日2023年1月10日)

地域に根差し、呼吸器の専門性を生かした診療の提供を

開業から1年が過ぎました。このエリアには先生ご自身何か縁があったのですか?

柳澤治彦院長 亀有内科・呼吸器クリニック1

もとは縁もゆかりもなかったのですが、私は当クリニックにほど近い慈恵会医科大学葛飾医療センターに2017年から勤務していました。私が勤務していた当時から、このエリアには呼吸器を専門的に診る病院もクリニックも少なかったため、葛飾医療センターに呼吸器疾患の軽症の方から重症の方まで相当な数の患者さんが来られていたんです。本来ならば、症状が改善してきた患者さんは地域のクリニックにお返しするべきなのですが、専門的なアフターフォローをお願いできるようなクリニックがなかなかない状態が続いていました。私自身、もともと開業が念頭にありましたから、このエリアでそうした患者さんの受け皿となり得るようなクリニックが必要だと思い、ここで開業することを決めました。勤務医時代からなじみのあるエリアですし、大型商業施設の真向かいという、地域の皆さんにとってわかりやすい立地に開業できたことはとても幸運でした。

どういったお悩みの患者さんが多く来院されていますか?

近隣にお住まいの方や亀有周辺にお勤めの方を中心に、長引く咳にお困りの患者さんが多く来院されています。今であれば咳や発熱で新型コロナウイルス感染症の感染を疑って受診される方のほか、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や喘息、睡眠時無呼吸症候群の方も。そして内科全般に対応していますから、高血圧、高脂血症、糖尿病といった生活習慣病のフォローで来院される患者さんもいます。新型コロナウイルス感染症は初期の頃に心配された肺炎に代わって、上気道での炎症が強くなったために、ひどい咳が長引いた結果、喘息を発症してしまったというようなケースもここ最近急増しています。

診療にあたって心がけていることはありますか?

柳澤治彦院長 亀有内科・呼吸器クリニック2

医学的に「これは風邪ですね」「喘息です」「軽い肺炎を起こしています」とたやすく診断がついたとしても、どんなことに困っていて、何を解決したくて受診したのかは、患者さん一人ひとり違います。ですから、患者さんが今困っていること、何を解決したいと思って来院されたのか、対話を交わす中で注意してくみ取るように意識しています。病態を診て、必要な検査・診断をし、治療方針を決めるという一連の流れに加えて、それらを踏まえてあらためて患者さんに心配事や質問があるかを確認するなど、患者さんが来院した目的に対して「漏れのない診療」を提供したいと考えています。

呼吸器のがん治療のほか、感染症の診療の最前線で奔走

ところで、先生が医師を志したきっかけは?

柳澤治彦院長 亀有内科・呼吸器クリニック3

私の祖父2人と父が医師なので、親から直接医師になるようにと言われたことはなかったものの、幼い頃から漠然と「自分も将来は医師になるのかな」というイメージを持ちながら育ちました。そして中学生くらいで具体的に進路を考え始めたときに、一番興味のある分野がやはり医療関係なんだと実感できたので、迷うこともありませんでした。内科の中でも呼吸器を専門にしたのは、全身管理やがん治療をやってみたいと思ったのがきっかけです。呼吸器内科ではアレルギーもあれば、感染症、自己免疫疾患、がんまで幅広い疾患を手がけるというところにも興味をひかれました。

慈恵会医科大学葛飾医療センターでは、新型コロナウイルス感染症の診療で陣頭指揮を執られていたとか。

実ははもともと2020年10月に開業する予定で、その1年ほど前から準備を進めていたんです。ですが、2020年4月頃から都内でも新型コロナウイルスの感染拡大が始まったため、開業時期を遅らせて葛飾医療センターに残り診療にあたることにしました。葛飾医療センターでも新型コロナウイルスの感染患者を受け入れることが決まってすぐに院内の専門チームを立ち上げて、検査体制の構築や患者・スタッフの動線をどうするか、どの医師が診療にあたるか、院内感染予防などを検討し、看護部や検査科、放射線科などとの連携体制を整えるところから始めました。初めはPCR検査機器もなく、検査結果が判明するまで2、3日かかっていましたが、院内で24時間PCR検査ができる体制を整えて対応しました。これほどの緊急事態ですから、呼吸器内科の医師だけでは対応しきれない中、院内全体の協力のおかげで、スムーズに診療体制を整えることができました。

感染拡大で世界中が混乱している最中、まさに前線で奔走されていたのですね。

柳澤治彦院長 亀有内科・呼吸器クリニック4

葛飾医療センター内の診療体制が整い、新型コロナウイルスの診断・治療・予防の道筋がある程度見えてきたタイミングで病院を離れ、当クリニックを1年遅れで開業しました。ワクチン接種がある程度進んだ今、日本も「withコロナ」に移行してさまざまな制限が緩和されつつありますが、入院患者にとっては新型コロナウイルスの感染は引き続き命に関わるため、病院の「ゼロコロナ」の方針に終わりはありません。そうした病院の負担を軽減する意味でも、地域のクリニックとして患者さんの受け皿の役割をしっかり果たしていきたいと思っています。

患者に安心感を与えられるクリニックをめざして

院内のこだわりがあれば教えてください。

柳澤治彦院長 亀有内科・呼吸器クリニック5

新型コロナウイルス感染症の感染拡大を契機に、地域のクリニックにおいても以前のように発熱の患者さんやら、咳の患者さんやら病態にかかわらず、一つの待合室に集まって順番を待つような状態に対しては抵抗感が強まっています。当院は通常の外来診療室とは別に、感染症が疑われる患者さんを隔離できる専用診療室を用意しました。また院内にPCR検査機器とともに、精密な抗原検査を行うための機器を導入するなど、新型コロナウイルス感染症の即時診断ができるよう設備を整えています。他の呼吸器疾患が疑われる場合、検査にあたってマスクを外して大きく深呼吸していただく必要がありますから、前もって新型コロナウイルス感染症の感染の有無をチェックし、必要な検査を行うことができるようにも整えています。

お忙しい毎日だと思いますが、休日はどのように過ごされていますか?

わが家には娘が2人いますが、勤務医時代は激務でなかなか家族との時間が取れずにいました。ですから、「もう少し家族との時間を大切にしたい」という思いもまた、開業を決めた理由の一つだったんです。娘たちも中学生になり、部活などそれぞれに忙しいのですが、開業して以降は、休日になるとできるだけ家族で過ごして、一緒に買い物に出かけたりするようになりました。もう少し新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いたら家族旅行にでも行けたらいいなと思っているところです。親と一緒に喜んで出かけてくれるのも今のうちですからね。

最後になりますが、今後の展望と読者に向けたメッセージをお願いします。

柳澤治彦院長 亀有内科・呼吸器クリニック6

現在は発熱と咳の患者さんの対応でフル回転の状態が続いていますが、今後は内科全般の体調管理であるとか、将来的には訪問診療も手がけられたらと考えています。喘息は一般的に知られている病気で、一般内科の先生でも熱心に診てくださる方が多いのですが、咳や呼吸器症状が長く続いている場合、専門的な知識を持って診たほうがいいケースも多くあります。当クリニックは呼吸器内科の専門性を生かしつつ、スタッフ一同親身に患者さんと接し、気軽に相談できる雰囲気づくりを大切にしています。地域の患者さんに「このクリニックに来て良かった」と感じていただけるような、安心感を与えられる存在のクリニックをめざしていきたいです。

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