健康診断などのきっかけを大切に
自覚症状なしでも定期的な診察を
みよしかめいクリニック
(みよし市/三好ヶ丘駅)
最終更新日:2023/09/04
- 保険診療
肝臓が「沈黙の臓器」と呼ばれるのを耳にしたことがある人は多いだろう。肝臓の機能が低下すると、自覚症状がほぼないままに症状が進行し、肝硬変、肝臓がんへとつながっていく。「初期の時点であれば生活習慣の見直し、ウイルス性の疾患であれば服薬で改善がめざせる場合もあります。しかし症状が重度になり肝硬変にまで進行してしまうと、がんを併発し、肝臓移植しか打つ手がない、という方も本当に多いのです。健康診断などの結果にふたをしてしまうのではなく、何らかの異常があるならばぜひ、肝臓専門の医師の診断を受けてください」と切実な色をにじませるのは「みよしかめいクリニック」の亀井秀弥院長だ。今回は日本肝臓学会肝臓専門医で、肝臓移植にも数多く携わってきた亀井院長に、肝臓疾患の症状や定期検診の重要性について詳しく聞いた。
(取材日2022年1月5日)
目次
機能が低下すると肝硬変、肝臓がんへと進行。健診の結果を軽視せず、専門の医師のもとでしっかりと治療を
- Q肝臓疾患にはどのようなものがありますか?
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A
まずウイルスが原因となるA型・B型・C型肝炎の他、自己免疫疾患としての原発性胆汁性胆管炎があります。やはり多いのは脂肪肝ですね。食事内容や運動不足が大きな原因です。またアルコール性の肝障害も最近は多いです。ウイルス性の肝炎は服薬治療、脂肪肝は体重の減量や食事内容で改善を図っていきます。最近増えてきているのが、糖尿病とも関係している非アルコール性脂肪肝炎(NASH)です。肝臓疾患はこのようにさまざまな原因がありますが、肝臓の機能が落ち、肝硬変、そして肝臓がんへと進行することもあり、最終的には「肝臓移植ではないと治療法がない」ということにもなります。自覚症状がない分、注意が必要なのが肝臓なのです。
- Q健康診断で肝臓の数値に異常があったらどうすればいいでしょう?
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A
健康診断でわかるのはあくまで「異常があるかどうか」で、どんな原因で数値が悪くなっているかまでは判断できません。だからこそ数値に異常があれば、肝臓を専門とする医師の診断を受けてほしいのです。「最近の食べすぎや飲みすぎのせいだろう」「運動不足だから仕方ない」などと自己判断し、治療への道を閉ざすのではなく、まずは専門の医師のもとで数値が異常になった原因と疾患の重症度合いをしっかり見極め、どういう治療を行うべきなのかを考えていく必要があります。でなければ肝硬変、そして肝臓がんへと進行していくリスクを放置してしまうことになってしまいます。異常を指摘されたら面倒がらず、ぜひ行動を起こしてほしいと思います。
- Q肝臓疾患に関わる検査や治療について教えてください。
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A
当院のようなクリニックで行うのはまず採血です。健康診断でわかるのは異常の有無ですが、ここでは肝臓に関わる項目をさらに詳しく検査し、原因を突き止めていきます。また超音波検査(エコー)を行い、実際に画像で見ながら肝臓の様子を確認します。超音波検査は脂肪肝や肝硬変、肝臓がんの有無までも確認できる非常に有用な検査です。採血の検査結果がわかるのは1週間後ですが、超音波検査はその場ですぐ結果がわかります。検査自体はいずれも簡単で短時間で終わり、患者さんの体への負担もほとんどありません。何より臓器の様子がしっかりと判断できるのが大きなメリットですね。
- Qこちらのクリニックで行う検査や治療についてお聞かせください。
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A
肝臓の検査方法は、先ほど説明したように採血と超音波検査で、検査の結果、原因がわかれば治療を開始します。ウイルス性のものであれば抗ウイルス薬を処方し、脂肪肝であれば食事や運動指導、また必要に応じてお薬を処方します。非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の場合は糖尿病を併発していることも多いため、糖尿病の治療にしっかりと取り組むことが進行を遅らせることにもつながるといわれています。当院では糖尿病の治療も行っているので、肝臓、糖尿病いずれからもアプローチできます。また胃カメラと大腸カメラも行っているので、肝臓の検査のついでに内視鏡検査を受けることも可能です。
- Q肝臓の検査はどんなタイミングで受けるべきなのでしょうか?
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A
最初の入り口とも言える定期検診は、機会があれば先延ばしにせずしっかりと受けてください。肝臓が悪くなって出てくる症状には倦怠感、黄疸や皮膚のかゆみ、食欲の低下などが挙げられます。日常的な疲労や風邪とも似た症状なので多くは見過ごされてしまいがちですが、そこで「いつもより倦怠感がひどい」など、通常にはないものを感じれば、ぜひ肝臓を専門とする医師のもとを訪ねてほしいと思います。肝臓の機能が低下し重度の肝硬変まで進行すると、最終的な治療法は今のところまだ肝臓移植しかありません。そうならないためにも定期的な検診・診察で変化がないかを確認し、早期発見による早期介入、定期的なフォローを行うことが大切です。