小浜麻衣院長の独自取材記事

マイ形成外科スキンクリニック

(習志野市／津田沼駅)

最終更新日：2023/07/18

津田沼駅から徒歩9分、新興住宅街に立つガラス張りの小さな医療ビルの1階が「マイ形成外科スキンクリニック」だ。院長の小浜麻衣先生は保険診療を中心に、やけどやケガ、ニキビ、イボなどに幅広く対応している。東京女子医科大学を卒業後、同大学形成外科に入局し、やけどや先天性疾患の手術や局部麻酔によるしこりの切除術などさまざまな手術を経験。これまで研鑽を積んできた手技を生かし、院内でも局所麻酔手術を行っている。手術室の壁一面には希望の光を導く植物とされるモンステラの絵があしらわれており、廊下の一部が透明になっていて季節ごとの小物が飾られているなど患者を緊張させない工夫が凝らされている。新たに訪問診療を開始するとともに、二診体制を強化させていきたいという小浜院長に地域医療にかける思いなどを詳しく聞いた。

（取材日2023年6月12日）

子どもから高齢者まで、保険診療を中心に幅広く対応
病院での手術経験を生かして、院内で局部麻酔手術も
訪問診療や二診体制も開始。より充実した診療をめざす

子どもから高齢者まで、保険診療を中心に幅広く対応

こちらのクリニックの診療内容について教えてください。

形成外科、皮膚科、美容皮膚科、小児皮膚科を標榜し、一般的なやけどやケガには随時対応しています。そのほかニキビや皮膚のかゆみ、たこ、うおのめの処置などの保険診療を中心に、手足のイボや水イボ、あせもなどお子さんの皮膚のトラブルなども幅広く診療します。ほくろやしこりの切除術、巻き爪の処置や眼瞼下垂の治療は局部麻酔手術となりますが、月曜から土曜まで状況に応じて手術が可能です。また、当院にはレーザーや美容機器もありますので自由診療となりますが、肌やしみのケア、女性の脱毛、男性のひげ脱毛などができます。脱毛は若い方だけでなく、介護に備えてデリケート部分を整え衛生面にも配慮しておく重要性も高まっていますので、女性のVIO脱毛にも対応しているのでご相談ください。

どのような患者さんが多いのでしょうか？

赤ちゃんからご高齢の方まで、さまざまなお悩みでいらっしゃいます。お子さんはケガ、イボ、かゆみ、大人はしみやほくろのケアを希望される方が多いですね。院内の雰囲気から若い女性中心と思われますが、ご高齢の方や男性の方も受診されています。特に家族そろってもしくはご友人と来院される方も多いです。当院では保険適用の手術を受ける方が多く、2022年は1月から12月までで1000件以上執刀し、私自身、想像以上の手術の需要の高さに驚いています。当院で手術を受けられた方が、他の気になる部分も手術の相談をされることも増え、とてもやりがいを感じますね。また、思春期のニキビの相談もあるのですが、塗り薬と飲み薬での治療を提案しています。ニキビは周りが考えている以上に本人が思い悩んでいる場合も珍しくありません。診療中に泣いてしまう子もいますが、そんなときも薬を出して終わりではなく、しっかりと心に寄り添い診療しています。

診療にあたって、患者さんの心に寄り添うことを大事にされているのですね。

もともと医師になったきっかけも、母が歯科医師だったというのも影響していますが、それよりも心理学や精神医学に強い興味を持っていたからなんです。思春期の悩みはもちろん、すべての患者さんの心に向き合っていきたいと思っています。そのために、話しやすく相談しやすい雰囲気で接するように常に気をつけています。もう一つ診療にあたって大事にしているのが、手際の良さです。お子さんは処置に時間がかかると飽きてしまいますし、大人でも長時間の手術は苦痛ですよね。ただ、どんなにスピードを改善しても、どうしても痛い処置もあります。そんな時でも、通院が嫌にならないように、何か少しでも心躍ることがあるよう、優しい雰囲気の院内づくりにも注力しています。

病院での手術経験を生かして、院内で局部麻酔手術も

先生の開業に至るまでのご経歴を教えてください。

東京女子医科大学を卒業後、同大学の形成外科に入局し、東京や埼玉の大規模病院へ出向することもありました。開業まで大学や大学の関連施設に勤め、大きいやけどの手術や、欠損や変形のある部位の再建手術なども経験しています。例えば、生まれつきの口唇裂や合指症、耳の前などにイボ状の突起がある副耳といった子どもの先天性疾患の手術にも携わりました。大きな手術の合間にできものやしこりなどを除去する局部麻酔手術の経験を積み、開業を考えてからは皮膚科や美容皮膚科のクリニックに勉強に行き、クリニックでの診療を幅広く学びました。今でも大学時代の先生たちとは交流があり、クリニックで対応できないものは、すぐに大学病院へ紹介できる体制も整っています。

開業のきっかけについても教えてください

子どもが生まれることが、まず開業のきっかけの一つでした。子育てと病院勤務の両立となると、ほかの先生方が当直している中で自分が当直に入ることができず、自分はこれから何ができるのか、何が好きなのかを考えるようになりました。改めて自分を見つめ直した時「患者さんとじっくりお話するのが好きだ」と思い至り、患者さん一人ひとりとしっかり向き合える開業を考えるようになりました。とはいえ、形成外科は手術がメインですから大きい病院に残るか、美容系に行かない限り、知識や技術を生かすことは難しいです。そんな中で院内で局部麻酔手術を実施できるこのようなクリニックを開業できたのは幸運でした。形成外科の女性医師も増えてきていますので、後輩たちにこういう道もあるというモデルケースになれていたらうれしいですね。

なぜこの地を選ばれて開業したのでしょうか？

私は20年以上にわたって津田沼で暮らしていたので、お世話になった地域の方々の役に立ちたいと思ったんです。患者さんから「昔、ご近所さんでした」「中学高校が同じです」「子どもが同じ中学に通ってます」などと言われることもあり、盛り上がれるのも楽しいですね。最近では犬の散歩をしながらや、娘の習い事のつながりで患者さんとお話することもあり、声をかけてくださることがうれしく思います。時々「どうしたら医学部に合格できますか」と、進路相談が始まることもあり、「困った時にすぐ相談できるクリニック」をめざして開業したので、いつでも気軽に足を運んでいただけるクリニックにどんどん近づいていきたいと思っています。また、どうしても足腰が弱って受診できなくなってしまう人もいるので、新しく訪問診療も2023年6月より開始しました。

訪問診療や二診体制も開始。より充実した診療をめざす

形成外科の訪問診療があれば助かる人もいますね。

車いすで頑張って受診してくださる方などもいて、ずっと往診をしたいと思っていました。爪や褥瘡の処置のほか、ケガの縫合、できものの除去などの簡単な手術をするための道具も持っていきます。形成外科はもちろん、かゆみなどの皮膚科の領域にも対応可能です。診察室と限りなく同じ診療を、ご自宅でも提供していきたいですね。16km圏内を目安にしていますが、かかりつけではない人も対象です。往診したりもっと手術したりできるように、二診体制の時間も増やしました。形成外科と皮膚科と合わせて5人の医師が在籍しているので、ゆくゆくはすべての時間を二診体制にしていきたいと考えています。また、学校帰りのお子さんも通いやすくしたかったので、終業時間も平日は毎日17時までにしました。

お忙しい毎日の中、休日はどうお過ごしですか？

小学生の娘と過ごしています。習い事の送り迎えをしたり、河原でフリスビーをしたり、ミュージカルを観に行ったり、娘が友達と遊べる時間をつくったり。平日はあまり一緒に過ごせないので、せめて休日は楽しい時間をつくってあげたいと思っています。学校で作った母の日のメッセージカードをプレゼントしてくれたのですが、とてもうれしかったので診療室のデスクの上に張ってあります（笑）。毎日眺めて、元気をもらっていますね。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

皮膚の悩みに対して「これはどこに相談すればいいのだろう？」と迷っている方もいるかもしれません。例えば、やけど、ケガ、できものは傷痕をきれいに治すことに長けている形成外科に相談してください。もし、皮膚科の領域の問題だったとしても、当院には皮膚科医もいるので安心してください。ほくろが悪性腫瘍だったり、ニキビが婦人科系疾患のサインだったりすることもあります。たかがほくろ、たかがニキビと軽く考えずに、できるだけ早く来ていただければと思います。この頃、家族や友達の紹介で来てくれる患者さんが増えているのですが、これからも「大切な人に紹介したいクリニック」をめざして、初心を忘れずにやっていきます。