知っておきたい訪問診療のメリット
24時間対応で安心の自宅療養
フジモト新宿クリニック
(新宿区/新宿御苑前駅)
最終更新日:2021/10/12
- 保険診療
病気や障害のために通院できなくなった本人や家族の強い味方が訪問診療。年々、利用者が増えている一方で、必要としている人々の全員に行き渡っていないことも現実だ。「訪問診療の紹介をしたときに、こういうシステムがあることを知らなかったという人は、まだまだ少なくありません」と語るのは、フジモト新宿クリニックの藤本進院長だ。在宅で診療が受けられることや、主治医と24時間連絡が取れるなど、自宅で療養をしている人にはメリットが多い訪問診療の利用方法や疑問について、認知症サポート医であり、訪問診療を始めて16年のキャリアを持つ藤本先生に教えてもらった。
(取材日2017年2月2日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q訪問診療は、どのような人が利用できるのですか?
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A
その都度、依頼を受けて自宅で診察をする往診とは違い、定期的に在宅で療養している患者さんの自宅や介護保険施設などに訪問して診療するのが、訪問診療です。体が不自由で寝たきりであったり、家の中なら動けるけど長距離は移動できない、外来で待つことが困難などの理由で通院ができない方が対象です。具体的には、高齢で認知症の方、脳梗塞の後遺症や事故などによる麻痺や神経難病などによる重度障害の方、がん末期で自宅での療養を希望する方、慢性の呼吸器疾患で在宅酸素療養等を受けている方などがいます。訪問診療が適応になるかは、主治医が総合的に判断しますが、日常生活において介助が必要な方は、基本的に適応になります。
- Q訪問診療のメリットは何でしょうか?
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A
まず、医師が定期的に訪問して診療をしますので、住み慣れた自宅で安心して療養ができることです。そして、主治医と24時間、365日、連絡が取れる安心感があるというのも大きなメリットです。自宅で療養している方が、もし夜中に体調を崩したら、救急車を呼んだほうが良いのか、翌朝まで待って外来に行ったら良いのか、判断に迷うかもしれません。しかし訪問診療を利用していれば、普段の病状を知っている主治医と電話でいつでも連絡が取れますので、明日まで待って大丈夫だとか、自宅にある薬を飲みましょうといった指示が受けられますし、必要であれば主治医がすぐに往診に行ったり、救急車を呼ぶなどの適切な対処ができます。
- Q訪問診療では、どのようなことをしてもらえるのですか?
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A
医師の専門や設備によって若干違ってきますが、医師による定期的な診察やお薬の処方、褥瘡(じょくそう)などの外科的な処置に加えて、点滴、血液検査のための採血、レントゲン検査、超音波検査、心電図検査、胃ろうの交換、在宅酸素療法や人工呼吸器管理、末期がんの疼痛管理など、輸血や抗がん剤の投与、人工透析以外は、基本的にクリニックの外来と同じ診療を受けることができます。訪問診療で対処しきれない場合は、病院を手配します。1回の診療時間は、特別な処置がなければ30分程度、訪問間隔は病状や本人、ご家族の希望にもよりますが、特に問題がなければ2〜4週間に1回程度になります。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1訪問診療を申し込む
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病気や障害などで一人での通院が難しい場合や介助者がいないと日常生活を送るのが困難な状態になると、訪問診療を利用できる。本人か家族が直接、訪問診療をしているクリニックと連絡を取るか、かかりつけ医やケアマネージャー、訪問看護ステーション、地域包括支援センターなどに訪問診療を利用したいことを相談すると、対応するクリニックを紹介してもらえる。同院では、医療ソーシャルワーカーによる無料相談を受け付けている。
- 2訪問診療がスタート
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利用の打ち合わせと契約が済むと、訪問診療を利用できるようになる。約束した時間に医師と看護師が自宅に来て診療をしてもらえる。初診では、視診や聴診、触診、血液検査などで、すでにわかっている病気についてチェックをするほか、全身を一通り診察して、ほかに病気や問題が隠れていないかも確認する。日常の生活の様子も大切な情報なので、訪問診療があるからと特別に部屋の掃除などはせず、普段どおりにしておこう。
- 3定期的に診察を受ける
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最初のうちは週に1回、病状が安定してきたら2〜4週間に1回程度のペースで定期的に自宅で診療を受ける。1回の診察は30分程度と外来診療よりもゆったりとしている。問診や聴診、血圧測定、薬の処方などの一般的な診察に加えて、褥瘡の治療、胃ろうの交換、人工呼吸器管理、末期がんの疼痛管理なども自宅で可能だ。主治医とは夜間や休日も、いつでも連絡が取れるので、急に体調が悪くなったときでも慌てずに対処できる。
- 4必要に応じて検査を受ける
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病状などに応じて必要な検査も自宅で受けることができる。同院の場合、血液検査、肺炎や骨折を診るレントゲン検査、胆石や腹水を診る超音波検査、心電図検査、胃の内視鏡検査などを在宅で受けることができる。特に寝たきりの患者の場合、検査を受けるために病院へ搬送するのは、本人や家族にも大きな負担となるため、在宅で必要な検査を受けることができるのは、訪問診療を利用する大きなメリットだ。
- 5できるだけ活動的な生活を送ろう
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訪問診療を利用している場合でも、できるだけ寝たきりにならず、家族やヘルパーの介助を得ながら外出したり、デイサービスを利用して体を動かしたり会話をすることで、生活機能を少しでも低下させないことが大切だ。また、脳梗塞の後遺症などで通院が困難になり訪問診療を利用するようになった比較的年齢が若い人などは、リハビリを続けたことで訪問診療から外来診療に移行し、その後、社会復帰ができる人も少なくないそう。