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田邉 智之 院長の独自取材記事

たなべ春日野クリニック

(広島市安佐南区/下祇園駅)

最終更新日:2022/06/28

田邉智之院長 たなべ春日野クリニック main

広島市西部の新興住宅地春日野エリアにある「たなべ春日野クリニック」。2019年に開業し、地元の子育て世代をはじめ、高齢の患者も多く訪れる。田邉智之院長は脳外科が専門。大学卒業後、広島市立広島市民病院にて長く救急の現場に携わり、脳卒中などの脳血管の手術に数多く関わってきた。救える命を増やすためには予防の段階から携わりたいという思いのもと開業を決意。同院ではMRIやCTを備え、脳疾患の早期発見をめざし脳ドックも行っている。そのほかに、在宅医療も行っていて、老々介護でクリニックに来られない患者や、終末期の患者の自宅に昼休みなどわずかな時間を見つけ往診を行っているという。そんなバイタリティーにあふれる田邉院長に、診療のことや今後の展望について話を聞いた。

(取材日2022年4月19日)

救急現場から開業へ。地域に寄り添う

開業にあたりこの地を選ばれた理由と、土地柄について教えてください。

田邉智之院長 たなべ春日野クリニック1

当院の入るこのビルのオーナーと、もともと僕が知り合いでした。ここ春日野地域には当時、まだ医師が少なく、オーナーのほうにも医療従事者に入ってほしいという思いがあったようです。そういうニーズがあって、僕もちょうど開業のための場所を探していた時だったので、こちらに入ることになりました。春日野にはニュータウンがあり、若い世代が多いですね。クリニックにも子育て世代の患者さんが多いため、院内にキッズスペースを設けています。お子さん連れの患者さんが頭痛の症状で来られても、検査をするには30分ほどかかるので、その間お子さんにはDVDを見たりしながらキッズスペースで過ごしてもらいます。スタッフが見守っていますのでご安心ください。

開業前は、救急の現場にいらっしゃったそうですね。

はい。救急車やドクターヘリで運ばれてきた患者さんを治療するという仕事です。一般的な疾患であれば、だいたい診ていました。勤めていたのは広島市立広島市民病院の救命救急センターですが、そこでは、センター長に「迷ったら苦しいほうを選びなさい」という教えを受けました。自分が楽をするんじゃなくて苦しいと思うほうを選んで、患者さんの立場になるということです。自分が眠かろうがきつかろうが、やるべきことはやるという教えですよね。そのことは僕の中で一つの柱になっています。

こちらでは発熱症状のある患者さんのための外来を設けていると伺いました。

田邉智之院長 たなべ春日野クリニック2

当院の専門は脳外科で、それをメインに診療を行っていますが、この地域にも発熱者が多くいらっしゃるので、地域の方々が困っているのなら、助けたいと思い、その患者さんたちを診る外来を設けました。外来を開設するにあたっては感染症対策も徹底し、一般の患者さんと発熱の患者さんの動線は完全に分けています。脳外科の患者さんや慢性疾患の患者さんは従来どおり受付を通ってもらって、発熱者、感染症疑いの方はいったん車内で待機していただき、スタッフが誘導します。車の中だけで診察する場合もあります。

脳外科の医師として救急の現場で経験を積む

医師をめざしたきっかけを教えてください。

田邉智之院長 たなべ春日野クリニック3

父と祖父が開業医で、祖父は皮膚科と泌尿器科、父は泌尿器科の医師でした。実家は十日市町だったんですけど、そこで祖父が開業していて、帰宅する時は毎日祖父のクリニックを通って家に上がるといった環境でした。まさに祖父の背中をずっと見てきた感じで。医師になるというのは、うまくレールに乗せられたような気もします(笑)。

脳外科を選ばれたのは、どういうきっかけだったのでしょうか。

外科医になりたいと思い、外科に進むことを考えた時、カテーテルに興味があったので、カテーテルの治療ができて、なおかつメスを握って手術もできる脳外科に進みました。今は違いますが、僕らの医師になったばかりの頃はまだ、がんは発見が遅いと手術しても治すのが難しい時代だったんです。しかし頭の血管障害は、がんより助けられる可能性がありました。脳卒中の手術など、命に関わるような手術は救急医療の現場では多く見られますが、そういう手術ができたら医師として大きなやりがいになるに違いないと思うようになり、次第に脳外科の中でも救急寄りに傾いていきました。

これまで診療されてきた中で、印象に残っていることはありますか?

田邉智之院長 たなべ春日野クリニック4

予後が悪かった患者さんのほうが覚えていますね。救命で壮絶な現場を患者さんと一緒に戦って、それでも命が尽きる場合もあります。例えば、救急で運ばれてきた患者さん100人のうち、90人が助かっても残り10人の人を助けられなかったら、助けられなかった症例のほうが心に刻まれます。だから、助けられなくなる前に、未然に防ぐ方法を探りたいと思うようになったんです。それで、前線から一歩引いて、開業することを考えました。動脈硬化が血管障害の大きな原因となることや、血圧管理の重要性をお話しするのはもちろん、脳ドックなどで未然に原因疾患を発見していくことも大事な仕事だと思います。

MRIやCTも導入されているのですね。

頭蓋骨があるので、頭の中は可視化できません。心臓の先生が聴診器の代わりにエコーで心臓を診ていくように、僕らには、CTやMRIがなければ診断が難しいんです。画像で血管の形態が全部わかるので、動脈硬化や脳卒中のリスク、脳出血のリスクにつながる血管の奇形もわかります。頭痛、めまいの症状で来られる方が多いのですが、そういった脳卒中を疑う症状がある方は、基本的にMRIを撮って確認しています。MRIを撮ると、軽い脳梗塞や脳出血、脳腫瘍、脳動脈瘤が見つかることがあります。脳動脈瘤はこぶが破裂するとくも膜下出血になるので、未然の段階で見つけることが重要なんです。脳の検査は、症状があれば保険診療となりますが、症状はないけど頭のことが心配という場合には自費診療となります。

クリニックを地域の医療拠点に

先生が大事になさっていることは何ですか?

田邉智之院長 たなべ春日野クリニック5

堅苦しい感じじゃなくて、アットホームな雰囲気のクリニックにしたいですね。先日も、おばあちゃんが診療後も帰らずにしゃべっていました(笑)。スタッフみんなで和気あいあいとした、家族のような空気をつくりたいと思っています。救急の現場でもそうだったんですけど、チーム内でぎくしゃくするとうまく治療ができないんです。クリニック全体が一つのチームで動いているという感じだといいなと思います。

在宅医療もなさっているのですね。

もともと在宅医療を考えていまして、開業後半年たってから始めました。クリニックを受診できる人は氷山の一角であって、今のご時世、老々介護の人がたくさんいらっしゃるんです。病院へ連れて来られずに急変して、救急車を呼んでも助からないケースもあります。だからそういう方々を一人でも多く救えたらと思っています。伺う先は基本的にはお年寄りが多いです。そのほか、がんの末期の患者さんも診ていますし、在宅での看取りにも対応しています。

認知症の患者さんも診ていらっしゃるのですか?

田邉智之院長 たなべ春日野クリニック6

在宅で診ている患者さんには、脳卒中後の方やがんの末期の患者さんのほか、認知症の方々もいらっしゃいますよ。僕は認知症サポート医でもあるので、クリニックでも物忘れ相談というかたちで認知症に関する相談や診療を行っています。認知症にはいろいろ種類がありますが、一般に脳が萎縮すると認知機能が落ちるんですね。アルツハイマー型認知症においては、異常なたんぱく質の蓄積と神経原線維変化が起こって、脳の海馬という部分などが集中的に萎縮するといわれています。それらは、脳の画像を撮ればわかります。認知症は、まずは症状ありきなので、認知症テストを行い、MRI検査を行った上で診断します。

今後の展望について、お聞かせください。

地域に根を下ろし、今来ているお子さんらが大人になって子どもを育てて次の世代が来てくれるまで、見守っていければと思っています。お年寄りからお子さんまで、ここに来られた皆さんに診療の方向性を見いだしていきたいです。僕が全部治療できるとは思っていないですが「専門じゃないから」とはねのけるのではなくて、「いいですよ、とりあえず来てください」と言える医師になりたい。そして最後、お看取りするまで患者さんに生涯寄り添える診療をするのが僕の理想ですね。

自由診療費用の目安

自由診療とは

脳ドック/2万3000円~

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