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兵頭 麻希 院長の独自取材記事

母と子のまきクリニック Mother and fetus Maki Clinic

(広島市南区/広島駅)

最終更新日:2022/11/10

兵頭麻希院長 母と子のまきクリニック Mother and fetus Maki Clinic main

広島駅南口から徒歩7分。「母と子のまきクリニック」は、全国でも数少ない、遺伝カウンセリングなどの遺伝医療を専門とする産婦人科のクリニックだ。院長の兵頭麻希先生は、産婦人科医療に携わるうちに、胎児の病気などでつらい思いをしている妊婦をサポートしたいという思いを強くし、遺伝医療についても研鑽を積んだ。そして、20年以上にわたり培った経験を生かし、2019年に開院。「出産してからがスタートではなく、妊娠したときがスタート。赤ちゃんに病気があっても、お母さんが毎日笑顔で過ごしていただけるような医療を提供できれば」と、日々診療に励む。母親と胎児に愛情深く、かつ強く寄り添おうとする兵頭先生に、遺伝医療の話を中心に聞いた。

(取材日2022年7月8日)

出生前検査を専門に20年以上にわたり診療

こちらのクリニックでは、どのような診療をされているのでしょうか。

兵頭麻希院長 母と子のまきクリニック Mother and fetus Maki Clinic1

出生前検査、産科の診療、婦人科の診療、妊娠葛藤相談です。また、遺伝カウンセリングを行うことで、さまざまな病気やご心配のご相談に乗っています。産科の診療では、妊婦健診や胎児健診を行ったり、胎児・母体の病気を診たりしています。婦人科の診療では、内分泌に関する病気などを診ています。妊娠葛藤相談では、妊娠中の診断や検査を行ったり、妊娠に迷っている方のご相談を受けたりしています。このうち当院で最も力を注いでいるのが、出生前検査です。

出生前検査について、詳しく教えてください。

妊娠初期の超音波検査では、赤ちゃんの首の後ろにあるむくみ(NT)をチェックします。一般に、むくみが見られると染色体異常の可能性があるといわれますが、問題のないケースもあります。ただし、何かしらの病気と関連することもありますので、その可能性も考慮することが大切だと考えています。

遺伝カウンセリングについて、詳しく教えてください。

兵頭麻希院長 母と子のまきクリニック Mother and fetus Maki Clinic2

遺伝カウンセリングは、遺伝に関する不安や疑問をお持ちの方に、正確な医療的情報をお伝えし、理解していただいた上で、どうしたらいいのか一緒に考えていただくものです。出生前検査をお考えの方、不妊・不育にお悩みの方、胎児に病気が見つかった方、家系における体質や病気を心配されている方など、どうぞお気軽にご相談ください。ご負担の面でも、お一人お一人に適切な方法を選んで、時間やコストの無駄が少なくなるようサポートします。

妊婦を取り巻く厳しい環境を目にし、遺伝医療の道へ

医師をめざしたきっかけと産婦人科を選んだ理由をお聞かせいただけますか。

兵頭麻希院長 母と子のまきクリニック Mother and fetus Maki Clinic3

進路を決める段階になって、どのように社会に貢献したいかを考えた時、直接人のためになれる仕事として、医療系の道が思い浮かびました。さらに、私が幼少期に受診していた小児科の先生がとてもすてきで、その姿を見て自分も医師になろうと決意したのです。診療科については、子どもの頃から細かい手作業をするのが好きだったので、初めは手術をしたくて外科系で考えていました。しかし、外科系には女性の先輩がまだほとんどいらっしゃらず、これは難しいと断念しました。逆に、自分が患者の立場になったとして、女性の先生がどこにいたらいいかなと考えたところ、産婦人科だったらうれしいな、もっと女性の先生が増えるといいなと思って、産婦人科に決めたのです。

遺伝医療に携わるようになったのはなぜなのでしょうか。

私は大学卒業後、総合周産期母子医療センターや新生児集中治療室(NICU)へ研修に行き、低出生体重児や高リスクの妊婦さんの診療に関わりました。妊婦さんの中には、赤ちゃんを亡くしてつらい思いをされている方や、出生後に赤ちゃんの病気がわかってショックで受け入れられない方などもおられたんです。しかし、今から20年ほど前ですから、赤ちゃんに病気が見つかったら、妊婦さんは中絶するかしないかの選択を迫られて、大部分の方が中絶せざるを得ませんでした。医療的な介入ができる体制も整っておらず、そのような状況を目の当たりにして、私に何かできることはないだろうかと考え始めたのです。そして、5年間の研鑽を終える頃、広島大学病院で胎児の診断に関する研究チームを立ち上げることが決まり、ぜひやってみたいと手を挙げて遺伝医療に関わるようになったのです。

遺伝医療は、この20年ほどで徐々に変化してきたそうですね。

兵頭麻希院長 母と子のまきクリニック Mother and fetus Maki Clinic4

医療の進歩によって、出生前に病気がわかったら出生後の治療などの準備ができるようになってきました。妊婦さんを支える環境も、福祉の領域に加えて当事者の領域でもサポートの輪が広がってきました。同じような病気のお子さんを育てている親御さんたちの患者会などとつながることで、情報交換がしやすくなってきたんです。だんだん環境が良い方向に進んで、「病気があってもこの子を産みたい」と産む選択をするご夫婦が増えてきたんです。実際に、病気があっても適切な治療を受けて、幸せに暮らしている方はたくさんいらっしゃいます。今の妊娠が不安で迷うときは、まず、当院にご相談いただけたらうれしいです。

妊娠の悩みや不安は1人で抱えず、夫婦で相談・協力を

赤ちゃんに病気が見つかった場合、お母さんに対してどのように接していらっしゃいますか。

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病気があってもなくても、大切な命であることは変わりません。ご両親と同じように、私もその命を大切に思っていますので、育てていける状況であれば「一生懸命診させていただく」とお伝えします。夫婦での話し合いのために十分な情報を差し上げて、いつでもご相談いただける体制を整えています。病気が重篤な場合、病気についてゆっくり理解することで、育てる勇気が湧いてくるご夫婦もいます。一方で、どうしても無理というときは、ご夫婦の決断を尊重し、お気持ちに寄り添っていきたいと思っているのです。

不安を抱えている妊婦さんに、伝えたいことはありますか。

決して1人で抱え込まないでほしい、とお伝えしたいですね。出産するのはお母さんですが、子育ては夫婦が協力してするもの。妊娠したときから、お父さんもお母さんと同じスタートラインに立ち、同じように勉強して赤ちゃんの存在を実感して、一緒に親になっていっていただきたいと、私は思っています。そのために、当院では、まだ胎動もわからないような時期でも、超音波を使って3D画像や4D映像で、おなかの中の赤ちゃんをご夫婦で見ていただく機会をつくっています。動きや表情、しぐさなどを鮮明に観察できますので、皆さん、感動されると思いますよ。これが赤ちゃんとの出会いの場、愛情形成の第一歩になり、ご夫婦で子育てを考えるきっかけになればと思っています。

最後に、読者へのメッセージと今後の展望をお願いします。

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当院には、初めての妊娠でご不安な方、高齢妊娠の方、流産を繰り返し経験された方、赤ちゃんを亡くされた方など、さまざまな妊婦さんが来られます。妊娠すると環境はがらりと変わりますし、おなかの赤ちゃんのことだけでなく、将来に漠然と不安を感じる方も少なくありません。せっかくの大切な期間を元気に安心して過ごしていただくために、当院は全力で妊婦さんを支えています。お1人で悩まずに、どうぞご相談ください。どのような選択をするにしても、真っ暗闇では前に進むことはできません。赤ちゃんとお母さんが歩いていく道を照らして差し上げるのが、私たちの役割だと思っています。皆さんが笑顔になれるよう、スタッフ一同、心を込めて診療してまいります。

自由診療費用の目安

自由診療とは

遺伝カウンセリング/20分 4400円~

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