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澤田 享 院長の独自取材記事

さっぽろ山鼻内科・糖尿病クリニック

(札幌市中央区/西線16条駅)

最終更新日:2021/10/12

澤田享院長 さっぽろ山鼻内科・糖尿病クリニック main

「さっぽろ山鼻内科・糖尿病クリニック」は、札幌市中央区の閑静な住宅街に2018年11月に開業した。澤田享院長は、道内の大学病院や基幹病院で数多くの症例を手がけ、日本糖尿病学会糖尿病専門医の資格を持つ糖尿病治療のエキスパート。「治療薬の進歩などによって、糖尿病は適切な治療を行えば良好な状態を保てる病気になっている。専門性を生かして、医療を通して患者さんの人生に寄り添いたい」と、自身の経験や視点を生かした診療を提供している。わかりやすい説明を心がけ、気軽に受診できるよう早朝診療や夜間診療を行うなど、患者へのきめ細かい配慮と優しいまなざしが印象的な澤田院長に、糖尿病治療の話を中心にじっくりと聞いた。

(取材日2020年10月31日)

患者の人生に寄り添う糖尿病治療にやりがい

開業の地として、この場所を選んだのはなぜですか。

澤田享院長 さっぽろ山鼻内科・糖尿病クリニック1

この辺りは私が生まれ育った地域なんです。幼少期から小中高、それに大学の途中まで過ごしましたけれども、子どもの頃は畑が広がるのんびりとした場所でしたね。最近はスーパーやマンションが増えてきましたが、今でも路面電車が走り、自然に恵まれ、特に藻岩山は四季を通して多彩な表情を見せてくれます。私はこの地域の皆さんに支えて育てていただいたという思いが強く、開業するならこの辺りでと昔から考えていたんです。当院の場所には10年ほど前まで内科のクリニックがあったのですが、当時の院長の息子さんとご縁があり、建物を新たに建てて開業に至りました。

医師をめざしたきっかけと糖尿病を専門に選んだ理由をお聞かせいただけますか。

家族に医療関係者はいないのですが、私は小さい頃から困っている人がいたらなんとか助けたいという性格で、将来は世のため人のためになるような仕事をしたいと思っていました。学校の先生に相談したらいくつか選択肢を挙げてくださり、その中に医師もあったんです。最終的には、高校生の時に自分の得意分野や適性なども含めて判断して決めました。糖尿病を選んだのには2つ理由があります。1つは、北海道大学での研修医時代にお世話になった恩師の書かれた糖尿病内科の著書を読んで、糖尿病という領域にやりがいと面白さを感じたからです。もう1つは、糖尿病は仕事や家庭など人生を抱えながら治療を続けなければならず、私はそんな方の人生を支えていくような診療をしたいと思ったからです。

開業された理由と、実際に開業されてどのように感じられたか教えてください。

澤田享院長 さっぽろ山鼻内科・糖尿病クリニック2

今お話ししたように、糖尿病は患者さんの人生に寄り添った治療が必要です。そういった治療を続けていくには、開業して患者さんとしっかりと向き合いながら診療するほうがいいと思ったのが一番の理由ですね。開業して2年ほどたちますが、糖尿病の方を中心に多くの患者さんにお越しいただいています。ただ、ご本人が放置して受診していなかったり、合併症を抱えていたり、糖尿病自体が見逃されていたり、潜在的な患者さんはまだまだおられると思いますので、今後はそうした方にも治療をしていければと考えています。

早朝・夜間診療で多忙な人にも対応

糖尿病の治療において大切なのはどのような点でしょうか。

澤田享院長 さっぽろ山鼻内科・糖尿病クリニック3

糖尿病には1型糖尿病と2型糖尿病がありますが、2型糖尿病についてはほとんど初期症状がありません。そのため、「症状がないから治療を受けなくてもいい」「血糖値が下がったからもう大丈夫」と、きちんと治療を受けなかったり中断してしまう方がいるのが実情です。でも、糖尿病は無症状でも進行しますし、発症すると医学的には治りませんので、症状がなくても年に1回は健康診断などで定期的に体の状態をチェックすることが大切です。特に40歳を超えると糖尿病の有病率が明らかに上がってきます。お仕事などでお忙しくてなかなか受診できない方もいらっしゃると思いますが、当院は水曜・金曜は7時30分から早朝診療、月曜・木曜は19時30分まで夜間診療をしていますので、時間をつくってお越しいただければと思います。

糖尿病は合併症も大きな問題になるそうですね。

糖尿病には、糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害という三大合併症があり、重症化した場合、足を切断したり、失明したり、透析治療が必要になることがあります。最近でも、「糖尿病は食べ過ぎで太っていて怠けているからなる病気だから恥ずかしい」と治療を受けず、その結果、どんどん悪化し、やがて合併症が現れるというケースが少なくありません。2型糖尿病は生活習慣が原因になることもありますが、1型糖尿病は生活習慣とは関係なく発症します。このような受診の遅れは今後解消していきたいところですね。糖尿病は決して恥ずかしい病気ではありません。治療薬が進歩し、発症前と変わらない日常生活を送っていただきながら治療を続けていくことも可能です。当院ではスタッフ一丸となってサポートしますので、糖尿病が少しでも気になったらお気軽にご相談ください。

こちらで多い主訴と患者層について教えてください。

澤田享院長 さっぽろ山鼻内科・糖尿病クリニック4

主訴として最も多いのは糖尿病で、それ以外だと高脂血症、高血圧、痛風ですね。新型コロナウイルス感染拡大の影響でしょうか、適量を超えて飲酒し、結果として、尿酸値が高くなって痛風になったり、肝機能障害を発症する方が増えているように感じます。患者さんの年齢層は、糖尿病だけだと平均58歳ぐらい。一般的に糖尿病患者の半分が70歳以上といわれていますが、当院では働き盛りの世代が中心です。痛風や肝機能障害はかつては中年以上の男性が多いといわれていましたが、近年はアルコール度数が高いお酒が広まったことなどによって20代、30代の若い方にも見られます。アルコール依存症を発症することもあり、広い世代で注意が必要だと思いますね。

糖尿病は自覚症状がなくても治療継続を

診療の際に心がけているのはどのようなことですか。

澤田享院長 さっぽろ山鼻内科・糖尿病クリニック5

まず、わかりやすく丁寧に説明することですね。当院では、血糖値、コレステロール値、尿酸など糖尿病や脂質異常症、高血圧、痛風に関する検査は一通り行っていますので、今の状態をその日のうちにきちんとお伝えするようにしています。お薬を変えたり増やさなければいけない患者さんの場合には、理由を含めてしっかりとご説明します。また、当院は患者さんの心に寄り添うことを基本理念として掲げており、患者さんお一人お一人の生き方や思いを尊重して、安心して診療を受けていただけるよう努めています。例えば、定期通院されている方には、前回からの体調の変化だけでなく、この1~2ヵ月どう過ごされていたのか、それに対してどうされていたかといったこともお聞きして、何をして差し上げたらいいのか、スタッフみんなでよく考えて対応するよう心がけています。

患者さんとの印象深いエピソードをお聞かせいただけますか。

医師になって3年目の勤務医時代、体の調子がどんどん悪くなるけれども診断がつかないという患者さんが受診され、検査の結果、1型糖尿病でした。すぐに入院していただき、治療を始めたのですが、胃潰瘍を併発して緊急手術を行ったりもして、結局、1ヵ月ほどかかって退院されました。自分のキャリアの中で初めての1型糖尿病の患者さんだったことに加えて、私が退職する時、「入院中お世話になりました。1型糖尿病としっかり向き合って治療を続けていきます」というお手紙を頂き、とても印象に残っていますね。

読者へのメッセージをお願いします。

澤田享院長 さっぽろ山鼻内科・糖尿病クリニック6

糖尿病は高齢化とともに年々増えていて、今後さらに増加すると考えられます。ほかの病気と同じように、早期に発見し、早期から適切な治療を行っていけば、症状の進行や合併症の発症を防いでいくことも可能です。自覚症状がないからといって放置せずに、きちんと治療を受けて継続していただきたいですね。また、当院では、糖尿病をはじめとした内科診療に加えて健康診断にも力を入れています。病気の予防のためには、自分自身の体と向き合うことが第一歩です。健康診断や検査についても遠慮なくご相談いただければと思います。

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