全国のドクター9,343人の想いを取材
クリニック・病院 158,554件の情報を掲載(2024年6月17日現在)

  1. TOP
  2. 愛知県
  3. 丹羽郡大口町
  4. 布袋駅
  5. さのクリニック
  6. 佐野 幹 院長

佐野 幹 院長の独自取材記事

さのクリニック

(丹羽郡大口町/布袋駅)

最終更新日:2021/10/12

佐野幹院長 さのクリニック main

大口町の昔ながらの住宅地にある「さのクリニック」。佐野幹先生が7代目院長に就任した2016年にリニューアルされた。白を基調とした院内は清潔感にあふれ、広々として明るい。地域医療に熱い思いがあり、日々研鑽を続ける患者思いの佐野院長は、診療では自身も患者から学ぶことが多くあると語る。そんな謙虚で勉強熱心な姿が、地域住民より厚い信頼を寄せられている理由の一つなのだろう。佐野院長に同院に至るまでの経緯や患者にかける思いなど、たっぷりと話を聞いた。

(取材日2018年11月28日)

先祖代々地域に根づいて診療を行う7代目院長

医師をめざしたきっかけは何でしたか?

佐野幹院長 さのクリニック1

私は代々医師の家系に生まれ、私で7代目となり、その起源をたどるとおよそ1600年頃まで遡ります。もとは一宮市浅井町に本家があり、そこからこの地域に医師がいないということで分家してきたと聞いています。父はこれまで私の進路に一切口出しすることはなかったのですが、祖父からは物心ついた時から「この家に生まれてきたということは家業を継ぐことだ」と言い聞かされてきました。小学校2年生の時にはすでに、将来の夢として文集に医師になることを書いていましたね。けれど実際、受験勉強が大変で、医師とはなりたいと思って簡単になれるものではないと思い知り、そこで初めて壁にぶつかりました。そんな僕ですが、堅実ながら子どもの頃の夢を現実できたことを思うと、感慨深い気持ちになりますね。

専門はどのように選ばれましたか?

研修医としてさまざまな診療科を回る中で、循環器疾患に対するカテーテル治療など、患者さんの病状を大きく改善することにつながる点に魅力を感じ、循環器内科を専攻しました。循環器の病気は治る可能性が高いものもあり、患者さんが元気に帰る様子を見るとやりがいを感じますね。また、研修医時代に苦手意識を持っていた分野でもあったのでそれを克服したいという思いもありました。苦手だったことが今の自分の専門になっていることは、私にとって自信であり、医師を続ける上でのモチベーションになっていますね。

勤務医を経て、こちらで診療を始めようと思ったきっかけはありましたか?

佐野幹院長 さのクリニック2

心筋梗塞で一家の大黒柱であるお父さんを失ったご家族を病院で見てきて、「もっと早く手を打っていれば大事に至らずに済んだのではないか」「いくら手術をするテクニックがあっても、元を正さなければ意味がない」と思うようになったのです。そのためには血圧や糖尿病などのコントロールが必要になるのですが、そうした予防管理を行えるのは外来の場となります。そこで、実家での診療を考えるようになりました。またちょうどその頃、父から院長を継いでほしいと打診がありました。これまで僕の進路について一切何も言わなかった父だっただけに、その言葉に父の大きな思いを感じましたね。また僕もその時40歳を迎える人生の節目でもあったので、これを機に院長を継ぐ決心をしました。以前のクリニックは老朽化し、車が通ると危険な細い路地にあったこともあり、私が引き継いだ2年前に現在の場所に移転しました。

めざすは何でも気軽に相談できるクリニック

新しくクリニックをつくる上でこだわったところはありますか?

佐野幹院長 さのクリニック3

カテーテル治療は病院に行かなければ受けられませんが、当院でもある程度検査結果が出て診断をつけられるクリニックをつくりたいと思い、町のクリニックでも病院と同レベルの検査を提供できるような設備を整えました。それから、当院は小児科の診療の要望も多いため、キッズルームを設けました。お子さんの立てる音が気にならないように、個室になっています。キッズルームは、そこに駆け寄る足音を聞いて、その子の体の状態を判断できる一つの指標の場でもあるので、診療の傍ら、何げなくそちらにも意識を向けるようにしていますね。

検査を行える環境を整えた理由は何ですか?

検査を行う理由の一つに、患者さんを安心させてあげることも町のクリニックの役割としてあると考えているのです。私が問題ないと判断した場合でも、患者さんに不安が残るようであれば、それを解消してさしあげるために検査をご提案することもありますね。現在、おかげさまで多くの患者さんに来院いただいており、検査は時間を要するため、当院で検査を行うのが難しい場合もあります。それを課題とし、改善に取り組んでいるとともに、他院で検査を行っていただく場合、医療機関と病診連携し、かかりつけ医として最後までその後も診させていただきますのでご安心ください。

こちらにはどのような主訴での来院が多いですか?

佐野幹院長 さのクリニック4

循環器内科を専門としていますが、長年地域に根付いて診療を行ってきたクリニックですので、風邪など内科の診療で来院される方が多いです。また、どの診療科にかかっていいかわからず来院される患者さんも少なくないのですが、それが当院で診療できない病気であったとしても、どこにかかればいいか道しるべをつくってあげることも町のクリニックにできることだと思っています。今後も、循環器内科の医師としての経験を生かすとともに、祖父や父のように患者さんに何でも相談いただけるようなクリニックをめざしたいですね。現在も一緒に診療している父は内科医師として40年以上の経験がありますので、頼りになりますし、尊敬しています。

健康診断とは健康の貯金を増やすこと

診療する際に心がけていることはありますか?

佐野幹院長 さのクリニック5

父に教えられた言葉に「克己復礼」があります。私は相手に礼を尽くす気持ちが「仁」であり、それが相手への「思いやり」であると解釈しています。その言葉を胸に、診療では患者さんが何に困って来院されているのか引き出せるように努めています。例えば「お変わりありませんか?」とお聞きした際に返ってくる「変わりません」という答え一つとっても、前と変わりなく元気なのか、それとも痛いまま変わりがないのか、伺ってみないとわかりません。また、何げない会話の中に診断につながるヒントが転がっているものなので、思いの丈をお話しいただけるよう、時間をかけて診療を行っています。そして、患者さんとの会話を私の中で落とし込み、互いが求めるゴールを見つけていきます。診療の際に言いたいことを忘れてしまう方には、思いついたら紙に書いて冷蔵庫に貼っておくようにアドバイスしていますね。

実際にこちらで診療を始めてみていかがですか?

知り合いの来院に、地元に戻ってきたことを感じますね。患者さんとしていらっしゃる友人のお母さんは、私を「先生」と呼んでくださるのですが、昔のように「かんくん」って呼んでもらえたらと思っています(笑)。それから祖父の代から来院されている患者さんの存在に、これまで地域に根付いて診療を行ってきたことを感じます。ご高齢の患者さんとお話ししていると学ぶことが多くあり、診療を通して私自身、人としての幅を広げていきたいな、と啓発されますね。それから、当院のスタッフは父の代から勤めているので、患者さんの症状だけでなく家族関係など熟知しており、丁寧に声かけをしてくれています。顔なじみのスタッフが出迎え、医師が変われど知らない医師でなく、息子である私が診療することは患者さんにとって安心でしょうし、私がこのクリニックを継承するメリットはそこにあると思っていますね。

最後に読者にメッセージをお願いします。

佐野幹院長 さのクリニック6

これまで救急疾患の患者さんを診てきて、健康診断を受けていれば、あるいは、健康診断を受けて指摘されたことを放置せず、病院へ受診していれば最悪の事態を免れたと思う場面に幾度と直面してきました。健康診断は強制されて行うものではなく、そこには自分の今後の人生があるということを知っていただきたいですね。結果に問題がなければそれに越したことはありませんし、問題があっても改善できれば健康の貯金を増やすことができます。健康を守る必要性は、自分ひとりのためだけでなく家族のためでもあるのです。私も家族を持つようになって、初めて健康を維持する大切さを感じました。今からでも遅いことはありませんので、健診を疎かにせず、ぜひ行っていただきたいですね。

Access