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尾形 直則 院長の独自取材記事

整形外科 尾形クリニック

(松山市/北久米駅)

最終更新日:2021/10/12

尾形直則院長 整形外科 尾形クリニック main

脊椎を専門とするクリニックとして、2018年5月に開院した「整形外科 尾形クリニック」。院長の尾形直則先生は、愛媛大学医学部附属病院だけでも20年以上にわたって研鑽を積んできた脊椎外科のスペシャリストだ。今回、「これまで培ってきた知識と経験を強みに、理学療法士と連携して『手術以外の方法で治す』ことをめざしリハビリテーションに力を注いでいます」と語る尾形院長に、開業までの経緯や診療で心がけていること、患者層、今後の展望などをたっぷりと語ってもらった。

(取材日2019年12月26日)

多くの手術を行ってきたからこそ、手術以外の選択肢を

脊椎疾患を専門に、大学病院で20年以上も経験を積まれてきたそうですね。

尾形直則院長 整形外科 尾形クリニック1

はい。脊椎疾患とは首や腰などの背骨の病気ですが、大学病院では他の病院で治療しても良くならない脊椎疾患の診療に携わってきました。患者さんは診断に問題がある場合や、治療方法が十分でない場合が多く、手術しないとならないような病気はむしろ一部でした。適切な診断の重要性はもちろん、患者さんに現状をしっかり理解してもらうこと、そして手術以外の保存治療の必要性を強く実感しましたね。数多くの難症例を手がけてきたことこそが、僕の大きな財産です。また、医師が10人以上も在籍する大学病院では、カンファレンスで治療方針の問題点や検査不足が指摘されたりすると、手術はできません。厳しい環境にいたからこそ、豊富な知識と経験を得ることができたと自負しています。

開業を決意された理由は何でしょう?

長年、脊椎疾患の手術を手がけてきましたので、今後は手術以外の方法で治すことをめざしたいと思いました。大学病院では教育にも携わっていたのですが、よく教え子たちに「手術をする人間は手術以外の方法を、手術をしない人間は手術のことを勉強しなさい」と話していたんです。手術を十分に知り尽くした自信があるからこそ、手術が必要かどうかなどの診断、そして手術以外のアプローチが図れると考えています。同じ医師でも訓練を受けた環境や年数によって、得意・不得意な分野ができるのは当たり前です。当院は脊椎疾患をしっかりと診断・治療できるクリニックとして、患者さんに向き合っていきたいですね。

立位でも撮影できるMRIを導入されていると伺いました。

尾形直則院長 整形外科 尾形クリニック2

そうなんです。立位や座位でも撮影できる立位撮像機能搭載MRIを導入しています。例えば、「立った時に腰が痛い」という患者さんの寝た状態でのMRIを撮っても、痛くないときの画像しか撮れませんよね。医師は立ったときの変形や神経の圧迫などを想像して、診断を行うしかありません。しかし、立位撮像機能搭載MRIを活用すると、これまで想像で診断していたようなものまでを、画像で確認できます。これまで「異常なし」と診断されていた方でも、隠れヘルニアや隠れ狭窄症(きょうさくしょう)などが見つかることもあります。

実際に、どのような患者さんが多いですか?

かつて僕が治療を行った患者さんが県内全域にいらっしゃいますので、開業当初はその知り合いの方などが多く来てくれました。最近は近隣の方も増えましたが、今でも東予や南予など、遠方から通院される方もいます。今まで物理療法を行ってきたが改善がみられないなど、長引く痛みに悩んでいる方も多いようです。遠方であっても、一度お越しいただけるとうれしいですね。

意欲的な理学療法士と連携し、効率的なリハビリを

原因不明の痛みに悩む患者に、どう対処していくのでしょう?

一番大事なのは、やはり診断です。問診や触診をしっかりと行い、原因を見つけ出します。痛みには必ず原因があります。治療失敗例ではその原因究明が十分ではなかったケースも多いと思われます。画像なども重要ですが、痛みの原因として仕事や生活動作に問題があることも多く、患者さんとしっかり話し合い、治療を開始する前に今の体の状態を十分に理解していただくことが最も重要です。

リハビリテーションにもこだわっておられます。

尾形直則院長 整形外科 尾形クリニック3

当院の運動器リハビリテーションのこだわりの一つが、徒手理学療法です。電気治療や牽引、ウォーターベッドなどのいわゆる物療は一切行わず、理学療法士が直接手で患者さんに施術しております。当院の理学療法士は最初に時間をかけて患者さんの状態を評価し、症状を起こす原因となる部位や動作の問題点を探りながら、適切なリハビリ計画につなげています。例えば腰痛であれば単に腹筋背筋を鍛えるのではなく、太ももの筋肉やふくらはぎ、股関節といった関連部位を動かすことで腰から下半身を本来の状態に戻していくのが特徴ですね。リハビリ室の設備も整えていますが、やはり当院の強みはやる気のあるスタッフだと自負しています。向上心の高い理学療法士たちを採用していますので、お任せいただけたらと思います。

意欲のある理学療法士がそろっているのですね。

尾形直則院長 整形外科 尾形クリニック4

はい。リハビリの決め手になるのは、医師やスタッフの能力だと思います。だからこそ理学療法士たちには、積極的に外部の講習会などに参加し、難しい症例にもチャレンジしてもらっています。成果を求められるのでプレッシャーの大きい仕事だと思いますが、それだけに、どんどん知識や技術力も上がっているのを実感していますよ。現在は女性の理学療法士がリーダーを務めており、今後も意欲のある理学療法士を採用して優秀な人材に育てていきたいと思っています。

リハビリはどのように取り組んでいくのでしょうか?

当院の典型的なリハビリコースは週に1回40分で、残りの6日間は患者さんに自宅でストレッチや運動をしてもらうというものです。一度治ってから再発させないよう、自分の体や生活習慣の悪い部分を患者さんご自身が理解し、自ら補っていけるような内容にしています。また、人は痛い部分があるとそこをかばうために他の部分を使ってしまいます。その結果、本来動かすべきところが十分に動かず、一部を過剰に動かして病気を悪化させることもあるのです。そういう場合には、サスペンション型のコード器具を用いて、患者さんの体の一部をつり上げる形で動きを制御しながら、本来の治療目的となる筋肉や関節の運動を的確に行っていくようなリハビリを提供しています。

知識と技術を研ぎ澄まし、患者に還元していく

ところで、お忙しい毎日だと思いますが、休日はどのようにお過ごしですか?

趣味はあまりないです。正確に言うと、今までは趣味を持つ時間はありませんでした。しかし医師は知識と技術を提供する職人だと思っていましたので、わりと休日も仕事や研究、教育に関わっていました。今の働き方改革とは無縁の世界でやってきましたよ(笑)。日々患者さんに接しているからこそ、うまくいかなかったり、わからなかったりしたら悔しいですし、技術や知識を吸収するのは職人としての喜びでした。できれば自分に厳しい負けず嫌いであり続けたいと考えています。

医師としてやりがいを感じるのは、どういうときでしょう?

尾形直則院長 整形外科 尾形クリニック5

患者さんが僕を頼って診察室に入って来てくれる、それだけで十分です。僕らはできることを一生懸命やります。例えば、非常に難しい手術が無事に終わっても、大きな喜びを感じることはなく、安堵感しかありません。結果的にうまくいったとしても、もっと改善すべきことなどを考えます。喜びのある世界ではありませんし、職人はやめるまでそういうメンタルを持つべきだと思っています。常に反省と後悔の繰り返しです。とはいえ、患者さんが自分の知り合いや友達なんかを連れてきてくれたり、その患者さんが意欲的にリハビリに取り組んでくれたりするとうれしいですね。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

尾形直則院長 整形外科 尾形クリニック6

診断や治療に納得、つまり満足ができず、複数の医療機関を訪ね歩く行動をドクターショッピングと呼ぶことがあります。通常悪い意味に使われることが多いようですが、それはいかがでしょうか? 同じ患者を診てもすべての医師が同じ診断、同じ治療を行うわけではありません。同じ医師でもその人が訓練を受けた環境により、得意分野と不得意な分野ができるのは普通です。自分や大切な家族の健康に関わる医療であるからこそ、納得のいくまでさまざまな意見を聞いてみるのは当然なことだと思います。「整形外科なんてみんなこんなものだろう」と決めつけられてしまうのは職人として寂しいことです。納得できる診断・治療に出会えるまでいくつかのお医者さんを訪ねてみましょう。

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