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吉原 正宣 院長の独自取材記事

足と歩行の診療所

(大田区/蒲田駅)

最終更新日:2023/07/13

吉原正宣院長 足と歩行の診療所 main

JR・東急の蒲田駅から徒歩約1分。「足と歩行の診療所」は、日本ではまだ少ない足のトラブル(足病)を専門とした診療所として、さまざまな足の症状の診療を行っている。扁平(へんぺい)足や外反母趾、水虫、糖尿病やリウマチによる変形から、歩き方の悩みまで幅広く対応。健康寿命を延ばし、生涯にわたって元気に歩き続けるための治療とサポートを行っている。「足の悩みを抱えた時に、どの診療科に行けばいいのか悩む患者さんは多いです。人にはなかなか伝わりづらい痛みやしびれ、疲れやすさですが、どのようなことでも気軽に相談してほしいですね」と語るのは、気さくな人柄が印象的な吉原正宣院長。「歩けない人を一人でも減らしたい」という信念を持ち、一人ひとりの患者と真摯に向き合う吉原院長に、診療に対する思いを語ってもらった。

(取材日2021年9月24日/情報更新日2023年7月6日)

体の不調につながる、足の痛みや病気を専門的に診療

前回の取材から5年ほどたちますが、患者層などに変化はありましたか?

吉原正宣院長 足と歩行の診療所1

当院にはご高齢の方を中心に、中学生や高校生、生後数ヵ月の赤ちゃんまで幅広い年齢層の方が診療に来られます。ご高齢の方は歩きにくさや足のしびれ、疲れやすさなどの症状が多く、若い方では外反母趾や扁平足の痛みに悩まれているケースが多いですね。患者さんの紹介やクチコミを聞いて来院する方も多いんですよ。また、最近特に気になっているのが、長引く新型コロナウイルス感染症の流行の影響で痛みが出てしまっているケースです。もともと体をしっかり動かしていた人たちがコロナ禍で運動不足になり、体重の増加や筋力の低下によって痛みが出てしまっている方が圧倒的に増えていると思います。

「足を専門に診る医師」とはどういうものか教えてください。

吉原正宣院長 足と歩行の診療所2

足部や足関節など、下肢を専門に診療する医師のことです。世界的にはかなり古くから存在していて、紀元前といった資料もあるくらいです。アメリカでは足の専門家たちが組織としてできあがり、すでに150年近いということです。例えば、糖尿病の患者さんは足の傷が繰り返し発生しがちで、最悪の場合切断しなければならないケースがあります。また、関節が痛いという患者さんの中には、"巻き爪”や"うおのめ”があって、それをかばいながら歩行を続けていることが原因で痛みが出ているケースもあります。その場合、関節だけを治療しても、根本の原因である巻き爪やうおのめを治さなければ痛みを繰り返してしまうことになります。足を診る医師というのは、足のさまざまな症状が体の不調につながることを防ぎ、生涯にわたって元気に歩き続けるための治療とこれからのサポートを行う必要があると考えています。

納得して治療を受けられるように、複数の選択肢を提示

具体的にどのような治療を行っていますか?

吉原正宣院長 足と歩行の診療所3

足に関する悩みはなんでも対応しています。具体的には、扁平足や外反母趾、甲高、指や爪の変形、うおのめ、たこ、水虫、糖尿病やリウマチなどの症状ですね。難治性の足底腱膜炎の症状には、先進の体外衝撃波疼痛治療装置を用いて治療しています。また、来院いただいた患者さんには必ず歩行に必要な骨格や筋肉量、関節可動域、歩行時の衝撃の度合いを検査し、歩行を視覚的に分析する「歩容解析(ほようかいせき)」を行って歩き方をチェックし、痛みの改善につなげるための適切な歩き方を指導します。なお、適切な歩き方は足の大きさや左右の長さによって千差万別なので、一人ひとりに合った歩き方を提案しています。

先生が、診療の際に大切にしていることはなんでしょう?

「歩くことができない人をなくしたい」という思いで日々の診療にあたっています。大切なのは患者さんがきちんと納得した上で、こちらが提示する複数の治療法の中から、患者さん自身が選択をするということ。例えば、いきなり手術は怖いという方には、症状を和らげるための薬やトレーニング、インソール、靴の履き方の指導などを通して症状の改善をめざすこともあります。また、扁平足や外反母趾は人によって痛みや症状の出方が異なります。足が痛いと悩んでいても人に伝わりづらく、相談できないというケースも多いため、患者さんから出てくる細かなひと言が解決に導くための重要なヒントになることもあるんです。ですから、たとえ診療時間が長くなってしまったとしても、患者さんがどのようなことで一番悩んでいるのか、時間をかけて丁寧に話を聞くことを心がけています。

さまざまな方法を通して、幅広い症状に対応されているのですね。

吉原正宣院長 足と歩行の診療所4

はい。しかし、当院の患者さんには足が痛くて思うように動けないという方が多いのですが、そもそもそういう方たちの歩き方はどうかと考えた時に、通常の診療で歩き方まで詳しく診るということはなかなかできません。ではリハビリテーションで対応すればいいかというと、保険の範囲ではできることが限られてきます。そうした制約を取り払って、なおかつ有用なトレーニングを提供したいと思い、新しく開院した荻窪院では、そのための環境や体制を整えるよう尽力しました。例えば、内科の先生に「肥満だから運動したほうがいいですよ」と言われても、足や膝が悪ければいきなり運動することはできませんよね。そのような方たちに対して、適切なサポートを提供していきたいと思っています。

生涯健康に歩き続けられるよう、サポートしていく

手術以外の選択肢として、「医療用インソール」というものがあるそうですね。

吉原正宣院長 足と歩行の診療所5

足の病気にはいろいろなものがありますが、足の構造をどうにかしなくてはいけないことが多いです。例えば、外反母趾や足底腱膜炎もその一つで、手術が必要なケースも少なくありません。ところが、不安を抱えて来院したのに、「はい、手術です」といきなり言われてしまったら怖いですよね。そこで当院では、装具として医療用インソールを選択肢の一つとして提供しています。もちろん、市販のインソールで済む方もいますが、医療用インソールは、患者さん一人ひとりの足に合わせて調整が可能で、構造や骨格の機能をきちんと診た上で判断できるのが特徴です。

こちらでは、訪問診療にも対応しているそうですね。

件数としては少しずつ増えてきているという感じです。ご高齢の方というのは、痛みが強くなってくるとそれだけで寝たきりになってしまうので、早めの対応が必要です。巻き爪が深く食い込んでいて家族では処置できなかったというケースや、関節の痛み、水虫、むくみなどを訴える方が多く、できる範囲で対応しています。足が痛くて動かないと筋力が落ちてしまい、筋力が落ちると転倒しやすくなり、転倒がきっかけで寝たきりになってしまうというケースも数多く診てまいりました。特に認知症の患者さんの場合には、意思疎通ができないこともあるため早期に気づくことが大切だと思います。

今後の展望をお聞かせください。

吉原正宣院長 足と歩行の診療所6

内科や整形外科の先生というのは何人もいますが、足を専門に診る医師というのは日本にはあまりいないように思います。足を専門にしたクリニックとなるとさらにその数は少なくて、首都圏に集中しがちです。そのため、足が悪い時にどこの診療科に行けばいいかわからないというケースも多いと思います。ですが、実際に足の痛みで困っている方というのは、全国どこにでもいらっしゃいますから、全国どこでも受診できるようになることが理想です。そのために、今後は少しずつ診療所を増やしながら後進の育成にも力を入れ、自分が教えられることは教えていきたいですね。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

これからも、生涯にわたって皆さんが健康に歩き続けられるよう、治療や歩行のサポートを行っていきたいですね。健康な人は1万5000歩くらいなら平気で歩けるのですが、2000~3000歩程度ですぐに疲れてしまうという人は、足に何らかの問題を抱えている可能性があります。靴が合っていなかったり、扁平足やその他の病気が見つかったりするかもしれません。足が痛い、疲れやすいなどの悩みはあるけれど、何科に行けばいいのかわからないという方も多いと思いますが、小さな悩みでもいいので、足に関して不安のある方は一度お気軽にご相談ください。

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