顎の正しい成長をサポート
顎顔面矯正で子どもの正常な発育を
松本歯科医院
(堺市西区/鳳駅)
最終更新日:2021/10/12
- 自由診療
少子化といわれる時代、大切な子どもの将来は親にとって何よりの関心事。健康な体や美しい歯並びをイメージして、早いうちから歯科にアプローチしようと考えている保護者も多いに違いない。そこで思い浮かぶのが矯正だが、ここで紹介する「顎顔面矯正」は、単に悪くなった歯並びを治すのではなく、まず歯が生えそろう「土台」を整えて本来あるべき場所にきれいな歯並びをつくることを目的とする矯正方法。顎の正しい成長をサポートすることで、呼吸の仕方や姿勢にも良い影響を及ぼすと近年注目を集めている。今回は、これまで多くの子どもに顎顔面矯正を提供してきた「松本歯科医院」松本航(まつもと・わたる)院長に、顎顔面矯正の基本コンセプトやメリット、留意すべき点などを詳しく解説してもらった。
(取材日2020年8月18日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Qお子さんの顎顔面矯正が、なぜ必要なのかを教えてください。
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A
現代の日本人は上顎の発達が悪く、歯並びが悪いお子さんが増えています。上顎が狭く歯並びが悪いために鼻呼吸がしづらく口呼吸になることが、身長の伸びや姿勢だけでなく、アレルギーや睡眠時無呼吸症候群など、さまざまな弊害につながる可能性もあります。そこで矯正治療を行うわけですが、抜歯して歯列を整えるだけでは根本的な解決にはなりません。原因は上顎の骨が小さいことですから、解決していくためには上顎を広げてあげる必要があります。それが顎顔面矯正の目的です。成人してしまうと難しくなってしまいますが、10歳頃までであれば、顎の骨にアプローチしていく顎顔面矯正の選択肢が可能となります。
- Q具体的には、どのようなことを行うのですか?
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A
床矯正の場合は、歯は動かせますが骨を動かすことはできません。そこで顎顔面矯正では急速拡大装置と呼ばれる器具を口の中に装着。装置のねじを毎日巻き上げて力をかけることで顎の骨全体を広げ、骨の成長をサポートしていきます。上顎の中心には正中口蓋縫合という継ぎ目があり、多くの場合10歳前後ぐらいまでにうまく力をかけていくと顎自体を広げることができます。広がった継ぎ目にまた左右から骨が寄ってきて、次第に骨が大きくなるという仕組みです。下顎に関しては、上顎によって絞られているせいで歯が内側を向きがちです。原因は上顎にありますから、下顎の矯正はそれに追従するようにして行っていきます。
- Qお子さんが痛がらないか、顔つきが変わらないか心配です。
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A
矯正は決して楽しいものではなく、しゃべりにくく、食べにくくもなります。最初の2、3日は少し痛みがあるかもしれませんが、お子さんたちには素晴らしい順応力や適応力がありますから、それを信じてあげることが大切です。期間の目安は2~3年程度。装置は歯科医院でしか外せませんが、万一、壊れて修理が必要でも、当院では新たな費用はかかりません。顔貌に関しては、歯は骨に従って動くため、正中口蓋縫合が開けば前歯の間に隙間が現れます。また、鼻のつけ根がごくわずかに広がることがありますが、最終的にはバランス良く戻っていきますので心配は要りません。こうした一過性のリスクに関しては、事前に必ずしっかりご説明しています。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1歯科受診の機会に問診や視診で鼻呼吸などをチェック
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まずは問診で、歯並びなど子どもの口腔周りの気になる部分をしっかり伝えることからスタート。小児歯科に関して保護者が覚えておきたいポイントは、たいていの場合10歳を過ぎると顎の骨の成長が止まってしまうこと。顎顔面矯正の好機を逃すことのないよう、同院ではそれを保護者に理解してもらい、口の中のチェックにとどまらず、ちゃんと鼻呼吸ができているか、いびきやアレルギーはないかなども確認しているのだそう。
- 2顎顔面矯正の意義、プランなどの説明を受ける
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顎顔面矯正をしたほうがいいと判断された場合は、より詳しい話を聞くためにカウンセリングルームへ。矯正で使用する装置を見せてもらいながら、治療の期間やプロセス、費用などについて歯科医師から説明を受ける。成人の床矯正とはコンセプトやアプローチが異なるため、最初はピンとこない保護者も多いというが、大切な子どもの将来に関わることなので、その必要性が理解できるまでしっかりと話を聞き、よく納得することが大切だ。
- 3矯正がスタート
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矯正が決まれば顔の写真撮影や型採り、前処理などを数回の通院で行い、それから約1週間後に矯正装置ができあがってくる。装置は接着剤で固定されるので、装着後は自分で取り外すことはできない。装着して2~3日後に必ず受診し、全体のチェック後に口の中のクリーニングを受ける。下顎の装置はその2週間後ぐらいから製作に入り、上顎と同様のプロセスをたどる。
- 4家庭での日課を欠かさずに行う
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家庭で欠かせないのが矯正装置のねじ巻き。作業自体は簡単なので、毎日の就寝前に欠かさず保護者が巻いてあげること。子ども自身は、うがい時に水を口にためて鼻で息をする練習、ガムを噛んで舌を上顎に押しつけるといった鼻呼吸トレーニングが大切だ。また、寝ている間に上顎全体を前に引っ張るフェイスマスクの装着を並行するケースも多いという。子どもに負担がかかるぶん、家族で温かく応援してあげることが何より大切だ。
- 5歯科では状態チェックやフッ素塗布を定期的に
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装置が入ると虫歯のリスクも高まるのでトラブルチェックや進捗確認のため、月に1回は必ず受診する。3ヵ月に1回のフッ素塗布を挟みながら、そのサイクルを矯正終了まで定期的に繰り返す。子どもの通院モチベーションを保つため、診療後にはカプセルトイを回すことができるようにしている。矯正期間はケースにもよるが、およそ2~3年が目安。上下の装置が外れて晴れて完了となるまで、親子で協力して頑張っていくことが大切だ。
自由診療費用の目安
自由診療とは小児の顎顔面矯正/49万円
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。