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松井 広登 院長の独自取材記事

まつい血管内科・静脈瘤クリニック

(高槻市/高槻駅)

最終更新日:2021/10/12

松井広登院長 まつい血管内科・静脈瘤クリニック main

JR京都線高槻駅北口から伸びている商店街の一角に「まつい血管内科・静脈瘤クリニック」はある。2017年4月に開業したばかりの下肢静脈瘤の専門医院だ。院長の松井広登(ひろと)医師は、2003年大阪市立大学医学部を卒業後、同大学医学部附属病院や大阪南医療センター、大東中央病院で研鑽。放射線科に所属し、エックス線画像や超音波画像、CT画像を見ながらカテーテルや針を用いて体に負担の少ない治療を行うIVRを専門とし、2014年には肝臓のIVR治療に関する論文で博士号を取得。その後、下肢静脈瘤の「血管内焼灼術」を中心に、手術を含めたさまざまな治療を行う専門クリニックを開設するに至った。開業までの経緯や、下肢静脈瘤の治療方法について詳しく話を聞いた。

(取材日2017年12月18日)

下肢静脈瘤専門クリニックとして、症状の改善に尽力

下肢静脈瘤の治療を専門に行っているそうですが、どんな病気なのですか?

松井広登院長 まつい血管内科・静脈瘤クリニック1

脚の静脈に血液の逆流が起こることにより、本来は心臓へと戻るべき血液が重力で脚に溜まってしまうことが原因で起こる病気です。症状としては脚の重だるさや、むくみ、痛み、かゆみ、こむら返りなどを伴うことが多く、ひどくなると色素沈着や難治性潰瘍などを起こすこともあります。見た目には脚の静脈がボコボコとしたこぶのようになることも多いのですが、外見からはわかりづらくても逆流を起こし足の重だるさなどの症状で悩まされている患者さんもいらっしゃいます。女性に多く、立ち仕事されている方や出産された方によく見られるのも特色で、遺伝性もあると言われています。

先生が下肢静脈瘤を専門になさるようになったきっかけは?

2011年、下肢静脈瘤の血管内治療が保険適用となったのがきっかけです。それまでは入院して手術で切って治療することが一般的だったのですが、レーザーを用いた「血管内焼灼術」という体に負担の少ない治療が可能となり、外来での治療も行いやすくなりました。患者さんの体への負担が少ない治療ができるならと思い、保険適用を機にこの治療に専門的に取り組んでいくことにしたのです。

ご専門だった肝臓の治療から静脈瘤の治療に方向転換され、開業につながったのですね。

松井広登院長 まつい血管内科・静脈瘤クリニック2

もともと僕は放射線科の所属で、IVR治療と言われる体への負担の少ない治療を主に行っていました。対象となるのは肝臓がんの方が多かったのですが、肝臓は「沈黙の臓器」といわれるとおり、患者さん自身には苦しいとか痛いとか自覚症状が乏しいんです。そのため、治療を行っても患者さんには実感が薄く、「良くなったんですか?」という反応のことも多かった。それに対し静脈瘤は、患者さん自身が症状で困っておられたり、不安を抱いて来院されたりします。静脈瘤を治療することで、患者さん自身が症状や見た目の改善を実感し喜んでもらえるということが、僕にとっては新鮮でした。それで専門でやってみようかと思い、2017年4月に開業しました。

患者と相談し適切な治療方法を決めていく

診療において先生が大切にされているのはどんなことですか?

松井広登院長 まつい血管内科・静脈瘤クリニック3

ご自身の状態を理解して納得して治療を受けてもらうことです。そのために当院では、エコー検査や治療の説明などをすべて僕が行います。エコーは15分程度の時間がかかるので、その分、次の患者さんの待ち時間が増えてしまうのですが、僕自身が検査結果から治療計画もきちんと立てて診ていきたいと思っています。大きい病院はもちろん、こういったクリニックの中でも患者さんと話をする時間はかなり長いほうだと思います。下肢静脈瘤は再発する率も結構高いのですが、そういったことはもちろん、確率はごくごく低くても手術の合併症などのリスクがあることも必ずお伝えするようにしています。それから治療に関して言えば、患者さんの痛みや体の負担をできるだけ少なくし、かつ、効果的な治療を行うように心がけています。治療方法もいくつかあるので、できるだけわかりやすく現状をお伝えして、患者さんに手術をするかどうかを決めていただくようにしています。

その治療法について詳しく教えてください。

逆流の大もとがどこにあるかが、治療法を決める一番の要素になります。下肢静脈瘤の治療方法は大きく分けると、静脈瘤そのものではなく静脈瘤の原因になっている逆流した血管を治療する本幹治療と言われるものと、体表に見えている静脈瘤そのものを治療する方法とに分かれます。本幹治療には、当院で行っている「血管内焼灼術」と、以前から行われている外科的な手法による「ストリッピング手術」があります。そのほか、直接静脈瘤を取ってしまう「静脈瘤切除術」という治療法や、注射で血管を固めてしまう「硬化療法」という治療法などもあります。どの治療方法にも一長一短があるため、静脈瘤の大きさや形をよく検査した上で、それぞれの治療法のメリットやデメリットなど詳しい情報をお伝えして最適な治療方法ができるように患者さんに提案していきます。

手術に対して恐怖感や不安を持たれる患者さんは多くないですか?

松井広登院長 まつい血管内科・静脈瘤クリニック4

やはり手術というと怖がられる患者さんも多いですが、このクリニックでは日帰りで治療することが可能ですし、今は治療方法が成熟してきたことで、以前に比べて合併症が減り傷も小さくて済むようになりました。痛みが強く出たり大きな傷が残ったりする治療法だとある程度の症状が出るまでは患者さんに勧めにくかったのですが、今はデメリットがかなり減ってきたので比較的軽症の方にでも勧めやすくなりました。局所麻酔で行うので治療の時には多少痛みはありますが、詳しく説明することでほとんどの患者さんが納得されます。ただ、それほど可能性は高くないですが重篤な合併症も起こりうるということは説明はしておくべきなので、そこは時間をかけて丁寧にお伝えするよう心がけていますね。

常に新しいチャレンジを続ける

休日はどんなふうに過ごされていますか? リフレッシュ方法などあれば教えてください。

松井広登院長 まつい血管内科・静脈瘤クリニック5

子どもがまだ小さくて3人いるので、休みの日は一緒に遊んでいたらあっという間に一日が終わってしまいます。レジャーとしてはキャンプに行くことが多いです。仕事のことばかりずっと考えているよりも、休みの日は子どもと一緒にいて「お父さん」でいることで、自分自身もリフレッシュできていると思います。

今後、目標とされていることはどんなことですか?

治療効果をしっかり実感していただけるよう努力することは当然として、できるだけ患者さんに安全かつ苦痛が少ないように努力をしていきたいと思います。静脈瘤専門クリニックではありますが、静脈瘤以外の部分でも患者さんにメリットがあることなら挑戦したい。医学は日進月歩していますし、僕自身も新しいことに興味があります。患者さんのお困りの症状が改善されて、「楽になった!」と喜んでもらえることが一番やりがいを感じますし、クリニック開院のきっかけでもありますので、多くの方に喜んでもらえるようにしたいですね。

具体的に、今後取り入れていこうと思っておられることはありますか?

「クモの巣静脈瘤」といわれる細い血管が目立つタイプの患者さんがいらっしゃいます。治療を行わないことも多い軽症なタイプの静脈瘤なのですが、外見上は目立つので温泉やプールに入るときに恥ずかしいとか、スカートをはきにくいという声も聞きます。治療をしてもきれいにするのはなかなか大変なのですが、ご希望される患者さんには硬化療法やレーザー照射なども駆使してできるだけ協力してあげられたらと考えています。他に気になっていることは、本幹治療としてアメリカでは治療する血管の中に接着剤を入れるNTNTと呼ばれる新しい治療方法も行われていますので興味を持って見ています。いずれ国内でも行われるようになる可能性はありますが、まだ安全性や長期成績などはっきりしない部分もあるので、状況を見定めて患者さんにメリットが大きいようならばいずれは検討したいと思います。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

松井広登院長 まつい血管内科・静脈瘤クリニック6

最近は健康寿命という言葉がよく使われるようになりましたが、健康寿命にとって足はすごく大事な要素の一つです。足にとって良い状態を維持してあげるためにも、治療して良くできる部分に関しては積極的に治療をしてメンテナンスしてあげることが大事だと思います。見た目は静脈瘤のようなボコボコが見えなくても、血液の逆流が原因となって脚の重だるさやこむら返りという症状を起こしている場合もあるので、そのような症状でお困りの方は一度検査されてみることをお勧めします。

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