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小木曽 泰成 院長の独自取材記事

さくらの丘クリニック

(名古屋市千種区/星ヶ丘駅)

最終更新日:2021/10/12

小木曽泰成院長 さくらの丘クリニック main

2016年4月に開院した「さくらの丘クリニック」は、一般外来と訪問診療に取り組むクリニックだ。母体である医療法人桂名会が運営するサービス付き高齢者住宅の1階に位置し、同フロアには通所リハビリテーション施設を併設。多くの患者の健康を支えている。院長の小木曽泰成先生は専門である糖尿病内科をはじめ広く一般内科の診療に対応し、とりわけ訪問診療に情熱を注ぐドクター。治療が長期に及ぶケースも多い在宅医療において、患者本人はもちろん家族とのコミュニケーションを大事にすることで、信頼関係を築いているという。そんな小木曽先生に、医師になった経緯からクリニックの特色、訪問診療への思いについて詳しく聞いた。

(取材日2017年9月29日)

患者に直接貢献したいと、医師をめざす

最初に、医師になったきっかけについて教えてください。

小木曽泰成院長 さくらの丘クリニック1

患者さんの健康に、ダイレクトに関わっていきたいという思いから医師の道を選びました。実は、もともとは基礎研究のほうに興味があったんです。小さい頃から生物学が好きで、将来は研究に携わっていきたいと思っていました。自分の携わった研究がいつか誰かのために役立ったら、と思って。その想いから一度は研究者をめざし、がん治療に関する研究に携わっていたのですが、思い描いていた“誰か”が、とても遠い存在であると実感してしまって。直接恩恵が出るまでには長い歳月がかかりますし、取り組んでいることが正しいかどうかもわからない。そう思った時、患者さんと直に接することができる医師の道を歩もうと決めたのです。医師になった当初はがんの治療に携わることも考えましたが、長く患者さんと付き合っていきたいという思いから、糖尿病などの生活習慣病を専門とすることにしました。

クリニックの院長就任の経緯をお聞かせください。

以前は病院勤務をしていました。病院の外来ですとどうしても時間に制約があり、患者さんが話をしたそうであっても、それをさえぎってまで診療をしないといけない場面もありましたね。申し訳ない気持ちでしたし、だんだんと「もう少し余裕があるといいな」と思うことが増えてきて。そんなとき、名古屋市で在宅医療を重点的に取り組む診療所をつくるという話を耳にしたんです。それが当院の前身にもあたる「桂名会クリニック」です。私の地元は岐阜で名古屋にもなじみがありましたし、縁あって2010年から院長として勤めることに。そして2016年4月に開院した「さくらの丘クリニック」と同年の12月から統合する形となり、それに伴い私もこちらに専任することになりました。これからニーズも高まってくるであろう在宅医療により力を入れ、この地域で生活する人たちを支えるためのクリニックとして、2院が合流したというわけです。

クリニックはどのような診療体制になっていますか?

小木曽泰成院長 さくらの丘クリニック2

基本は月火金の午前中が外来診療で、あとはすべて訪問診療に充てています。外来では地域の方はもちろん、桂名会クリニック時代から診ている方、階上の施設で生活している来院可能な方を診ています。外来は原則予約制のため、外来での新しい患者さんには不自由をおかけするかもしれませんが、その分在宅医療を受けている患者さんの急変時など、すぐに対応できる体制になっています。医師は私の他に非常勤が2人、看護師1人と事務員2人です。法人内には、デイケア・訪問介護事業所や訪問看護ステーションなどがありますので、それらすべてを合わせるとかなりのスタッフが関わっていますね。これらの事業所と連携・協力して、情報交換を密に行っています。

訪問診療に力を入れ、長く患者に寄り添う

日々どのような患者さんを診ておられますか?

小木曽泰成院長 さくらの丘クリニック3

外来ですと、標榜科目にもあるため糖尿病の患者さんが多いですね。とはいっても実際は内科全般を幅広く対応、といったところでしょうか。患者さんの抱える悩みはさまざまですから。特に訪問診療の場合、当たり前ですが患者さんのところへ医師が訪問するのですから、何であってもそこで対応するのが大切だと考えます。内科疾患だけでなく認知症や足腰の痛み、精神的なことが原因で不調を起こしている場合も多いです。もちろん自分ができる範囲は限られますが、まずはかかりつけ医としてプライマリケア、つまり専門の医療機関に行く前段階として幅広く対応し、必要に応じで専門の先生をご紹介するなどの対応を取っています。勤務医時代には入院患者さんのケアだけでなく夜間救急なども経験しました。外科的処置などのさまざまな経験は、今も大いに生きていると感じますね。

診療時に大切にしていることは何ですか?

やはり信頼関係を築くことは欠かせません。意識していることといえば、こちらから積極的に話しかけるということでしょうか。特別なことではないですが、話していれば患者さんもだんだん打ち解けてきてくれると思いますので。特に訪問診療の場合は、病気はもちろん患者さんを取り巻く環境や時間を、トータルで診ることを求められます。だからこそ患者さんそれぞれの考えを聞くことは重要です。一緒に生活するご家族の意見も欠かせません。例えば食事ができなくなったときに検討する「胃ろう」も、絶対に嫌という方もいれば、やってほしいという方もいます。ご本人だけでなくご家族の話も聞いて、可能な限り良い提案ができるよう心がけています。訪問診療というのは、患者さんの家の中、いわば深いところまで入り込んでいきます。だからこそコミュニケーションは本当に大切ですね。

訪問診療では、長い付き合いになる患者さんも多いのでしょうね。

小木曽泰成院長 さくらの丘クリニック4

そうですね。基本的には長い付き合いができることが理想だと考えています。継続的に診療を行い、最後まで看取るというのが当院の方針ですから。1ヵ月で3~5人くらい看取ることもあれば、ゼロの月もあります。訪問診療の患者さんには大きく2つのケースがあります。1つはだんだんと通院が困難になり、自然に最期を迎えるケース。10年近くにわたるなど、長いお付き合いとなることが多いです。もう1つは、終末期医療を自宅で受けることを選ばれたケース。患者さんはご自身で病院に行けない方々ですし、必ずしも明るい展望というわけにはいかないことも多いでしょう。その上で、在宅医療は少しでも状態が下がっていかないようにケアし、できる限り最後まで楽しく、つらくないように、良い人生、良い生活を送れるよう支えていくための医療だと思うのです。

ニーズが増え続ける在宅医療に、今後も尽力

医師として、どんなときにやりがいを感じますか?

小木曽泰成院長 さくらの丘クリニック5

やはり、感謝されるときですね。ご夫婦ともにご自宅で私が看取ったことがあります。先に看取ったご主人から振り返ると本当に長い間、お付き合いが続いたご家族だったので、その分思いが入っていましたね。私も体一つですから、出張や休日などでどうしても遠方に行くときなどは代診をお願いすることもあります。ただ以前、ある患者さんから「どうしても先生に看取ってほしい」と言われたことがあって。ある日その患者さんのご家族から電話がかかってきたのですが、それがたまたま家族旅行で東京にいた時で、私だけとんぼ返りしたんです。家族には申し訳ない気持ちもありましたが、うれしい気持ちもありましたね。患者さんやご家族にそこまで言ってもらえるわけですから、やっていて良かったと思いますよ。

年々ニーズが高まってきている在宅医療ですが、利用するにあたって何かアドバイスはありますか?

確かに在宅医療のニーズが高くなってきていることを感じています。当院の場合は、基本的に引き続き私が患者さんのご自宅へ行くという話になりますが、それが難しい場合でも訪問診療をしている他の医師を紹介する。これもかかりつけ医の役割の一つだと思います。どこへ話をしたらいいかわからない、といった場合は地域のケアマネジャーに相談する方法もありますね。いずれにしても、自分から積極的に希望を言ってみることが大切と言えるでしょう。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

小木曽泰成院長 さくらの丘クリニック6

在宅医療はこれから一層求められてくる医療だと思いますし、私もそれに応えていきたいと考えています。先ほどの話とつながるのですが、まずは相談をしてもらいたいですね。受け身にならず、積極的に希望をお伝えください。必ずしも希望に沿えないこともあるかもしれませんが、その際には理由をお伝えした上で、少しでも要望がかなうような提案を考えていきますので。また費用がどのくらいかかるかなどといった点にも不安を感じることもあると思いますので、気軽にご相談ください。

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