1型糖尿病患者の生活が一新
インスリンポンプ療法等の新鋭治療
D Medical Clinic Osaka
(大阪市北区/梅田駅)
最終更新日:2021/10/12
- 保険診療
糖尿病は大きく分けて、1型糖尿病と2型糖尿病の2種類ある。インスリンが影響している点は同じだが、発症する原因や治療のアプローチは大きく異なり、運動療法や食事療法、内服治療で改善を図る2型糖尿病に対し、1型糖尿病はインスリン療法による専門治療が必要だ。 大阪・梅田の「D Medical Clinic Osaka」は、糖尿病治療に特化したクリニック。院長を務める広瀬正和先生は、大阪市立大学附属病院時代、1型糖尿病の診療と研究で知られる川村智行先生に師事し、その経験からインスリンポンプ療法など次世代の1型糖尿病治療を実践している。広瀬先生がめざす、普通の日常生活、学校生活を送りながらできる治療とはどのようなものか。先進の糖尿病治療について聞いた。
(取材日2017年12月14日)
目次
管理に振り回されない、自分らしい生活が送れる1型糖尿病の治療とは
- Q1型糖尿病と2型糖尿病の違いを教えてください。
-
A
世間で一般的に糖尿病と認知されているのは2型糖尿病で、日本の糖尿病患者の90%以上を占めます。主な原因は肥満や普段の食事など生活習慣が関係し、遺伝の影響による場合もあります。一方で、1型糖尿病は糖尿病患者のうち数%、非常に珍しいんです。2型糖尿病のような生活習慣や肥満との関係性はなく、インスリンを作る膵臓の細胞がなんらかの原因で壊されてしまい、突然に発症してしまうんです。免疫の病気ですので自分では防ぎようがなく、発症すると生涯にわたってインスリン注射を続ける必要があります。当院は2型糖尿病だけでなく、1型糖尿病の専門治療が受けられることが大きな特徴です。
- Q1型糖尿病に対し、どのようなアプローチをされているのですか?
-
A
1型糖尿病の患者さんにも、2型糖尿病と同じように食事の量や内容を制限して、インスリンの必要量を指示するやり方は多くみられますが、当院では1型糖尿病の患者さんでも、肥満でなければ今までと同じ食事をして、患者さんが自分でインスリンの量を調整していく治療方針をとっています。正しいアプローチでコントロールしていけば、食事制限をしなくても日常生活に支障はないという考え方は、大阪市立大学附属病院で勤務していた時に、1型糖尿病の診療と研究で知られる川村智行先生から教えを受けたものです。生きていく上で、食べることは楽しみの一つです。できるだけ制限のない普通の生活を送ってもらうことを目標にしています。
- Qどのようにしてインスリンの量を調整するのですか?
-
A
1型糖尿病の治療では、綿密なインスリンの管理が必須となり、特に体が小さな子どもはより細かな調整が必要です。当院ではスマ―トフォンを触るような簡単なボタン操作で、0.1単位ごとのインスリン調整ができる「インスリンポンプ」という治療ができます。ポンプ治療では、毎回おなかや腕を出して注射を打つ手間がなく、生活に自由度が増すことが最大のメリットです。この治療を行うには入院が必要になるケースが多いですが、大阪市立大学附属病院で積み重ねてきた経験を生かし、当院では日帰りでインスリンポンプの導入を行っています。
- Q1型糖尿病を発症しながら、活躍している野球選手もいますね。
-
A
管理とコントロールさえしっかりすれば、普通の生活が送れます。普通の生活どころか、高校生の頃に1型糖尿病を発症したにもかかわらず、プロ野球選手や、サッカー選手として活躍している人もいます。病気に対して偏見の目があることは否めませんが、インスリン注射をするほかには、生活する上での制限は基本的にはなくて、1型糖尿病の子どもも適切なインスリン治療を行えば、健常児と変わらない学校生活が送れるのです。僕の希望は、患者さんたちが普通の生活をして、毎日を楽しく過ごすためのお手伝いをすること。将来、自立した成人に成長してもらうことが、1型糖尿病の診療に携わっている医療者の目標です。
- Q糖尿病の啓発活動もされていますね。
-
A
全国に糖尿病の患者会があり、同じ病気を持つ人たちが集まるキャンプが各地で開催されています。1型糖尿病は数少ない病気ですので、病気の悩みを分かち合える人が周りにいないことがほとんどです。キャンプで親交を深め、仲間ができればお互い励みになるので、僕も毎年キャンプに参加して積極的に活動に取り組んでいます。インスリンポンプ療法は全国でもまだ珍しく、大阪であれば大阪市立大学附属病院に行けば治療を受けられますが、受けられない地域も多いです。僕は全国各地から講演に呼んでいただくことも多いので、そこで師匠の川村先生方がやってきたことを伝えていき、日本全国でこの治療が受けられるようにしていきたいですね。