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所 隆昌 院長の独自取材記事

藤クリニック

(一宮市/新木曽川駅)

最終更新日:2024/01/23

所隆昌院長 藤クリニック main

診察室にかかる藤色のカーテンが、白を基調とした院内に映える「藤クリニック」。2階にある広々としたリハビリ室からは、トレーニングに励むシニア層の元気な声が聞こえてくる。院長を務めるのは、外科医として数々の病院で経験を積んだ所隆昌先生。2016年に開業後は、「患者のためになる医療」を第一に考え、専門にこだわることなく、リハビリや訪問診療も診療内容に加えた。また、外科出身の経験を生かし、肛門疾患の治療も積極的に行う他、患者の多様なニーズに応えるべく、呼吸器内科と腎臓内科の外来を開設。時代のニーズを捉え、オンライン診療やウェブ問診・診療、高血圧治療補助アプリの導入と、医療のICT化にも積極的に取り組む所院長に、診療方針や患者への思いなどをたっぷり聞いた。

(取材日2023年8月9日/情報更新日2024年1月15日)

20年以上にわたる外科の経験を地域医療で生かしたい

初めに、先生のご経歴や専門などをお聞かせください。

所隆昌院長 藤クリニック1

僕が名古屋大学医学部を卒業した当時、がんの治療は外科手術だけが唯一根治がめざせる治療だったんです。そうした外科の特殊性に憧れ、外科の道に進みました。外科の医師として江南厚生病院や公立陶生病院などに勤務し経験を積んだ後、名古屋大学に戻ってからは肝移植・肝臓外科を専門とし、藤田保健衛生大学病院では肝・脾外科講師を務めました。その後、50歳を前にして開業を決意。開業場所は、愛知県での勤務が長かったので、病診連携しやすいこの地を選びました。

外科を専門としていた先生が、50歳で開業を決意されたのはなぜですか?

スポーツ選手に引退があるように、外科の医師にも定年があると僕は考えています。やはり、年齢とともにパフォーマンスは確実に落ちるんです。特に藤田保健衛生大学では肝臓手術の定型化に取り組み、肝臓の腹腔鏡手術など新しい手術にも挑戦してきました。やりがいを感じていましたが、手術で失敗は許されません。術後の経過も重要で、急変時にすぐ対応できるようにいつも病院のそばで生活していました。そして45歳を過ぎた頃、体力の低下で限界が迫っている気配を感じたのです。外科医として前線にいられるのは、せいぜいあと数年。管理職として働く選択肢もありましたが、臨床医として現場で働き続けたかったので、それには開業しかないと決意したんです。

開業されて8年が経過しましたが、この間、診療体制などに変化はありましたか?

所隆昌院長 藤クリニック2

この8年の間にICT化を進めました。オンライン診療、ウェブ予約、ウェブ問診、自動電話対応システム、自動釣銭機を導入し、患者さんの待ち時間軽減につなげています。この他、高血圧の血圧コントロールに、お薬以外の新たなアプローチ方法として、スマホでお使いいただける「高血圧治療補助アプリ」を採用しました。これは毎日の血圧を記録し、そのデータをもとに生活習慣改善に役立つ情報を提供し、アドバイスを行うというもので、診療ではアプリの記録をもとにした指導も行っています。今後も皆さんに快適に受診していただけるよう、利便性や診療の精度、患者さんのモチベーションのアップにつながるようなツールを積極的に導入していこうと考えています。

呼吸器内科と腎臓内科の外来で多様なニーズに対応

リハビリを診療に取り入れたのはなぜですか?

所隆昌院長 藤クリニック3

大学病院時代、術後のリハビリを積極的に行うか否かで、術後の経過がまったく違ってくることを知りました。ご高齢の方は、手術後に安静な状態で長い時間を過ごすと、そのまま寝たきりになってしまうことが多いんです。そこで運動機能の衰えを防ぐためにリハビリを行うわけですが、開業して高齢の方も診療していくのであれば、リハビリテーション科は絶対に必要だと思いました。リハビリを行っていると整形外科の患者さんも自然と増えますので、週1回整形外科の先生に来ていただいています。また夜には中高生のためのスポーツ外傷をメインとしたリハビリも行っています。最近はスポーツ外傷に限らず、スマートフォンの見すぎなどで頸部の不調を訴える若年層が増えているので、どんどん利用してほしいです。

呼吸器内科と腎臓内科の外来を開設されていると伺いました。

開業以来、おかげさまで年を追うごとに来院者数が増え、それに伴って患者さんの主訴も多様化してきました。そこで、できるだけ多くの方々のニーズにお応えしたいと、呼吸器内科の先生を週2~3回、腎臓内科の先生を週1回お招きし、それぞれを専門とする外来を開設することにしたのです。呼吸器内科の外来では咳・喘息はもちろん、アレルギーについてもご相談いただけます。一方、腎臓内科の外来では、たんぱく尿や血尿、慢性腎不全などの腎疾患に対応しています。腎不全が進行した際に行う血液透析、腹膜透析、腎臓移植などの腎代替療法についても新しい情報をお伝えしていますし、必要に応じて専門施設をご紹介しています。

痔の治療にも対応されているそうですね。

所隆昌院長 藤クリニック4

僕が痔の治療に関わるようになったのは2000年頃からです。きっかけは、肛門外科に力を入れているクリニックに、大学病院から派遣されて週1回アルバイトに行ったことでした。痔にはイボ痔、切痔、穴痔(痔ろう)がありますが、当時、イボ痔の治療は切除手術が主流で、手術となると約1週間の入院が必要でした。ところが2005年に痔核硬化療法の薬が承認されてからは、注射による日帰り治療が可能に。とはいえ、今も切除が必要なイボ痔もあります。当院では切除する場合も局所麻酔を用いて日帰り手術を行っています。

痔の日帰り手術について教えてください。

イボ痔の治療は、今お話しした内痔核を対象とした注射による痔核硬化療法の登場により大きく変わりましたが、同じイボ痔でも外側にできる外痔核には注射ができないため、外痔核切除術を行います。こちらも日帰り手術が可能です。手術の場合、術後出血など合併症のリスクもありますので、術前に既往歴や服用しているお薬についてよく聞いておくことが大切です。術後の痛みはほとんどないため、通院が面倒になりがちですが、遅れて出てくる合併症があるので医師の指示に従って通院してください。この他、肛門皮垂の手術にも対応しています。肛門皮垂とはイボ痔の炎症が治まった後の皮膚がたるんだ状態で、痛みはないもののかゆみの原因となることから、切除を希望される人が多いです。

地域に根差し、最期まで患者を診ていきたい

診療の際に心がけていることはありますか?

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地域のかかりつけ医として、診療科や専門にとらわれず、幅広い症状に対応するよう心がけています。もともとの専門は外科ですが、大学病院に勤務していた時代から一般的な病気の管理や応急対応は行ってきました。というのも、手術を行う患者さんの中には、高血圧症や糖尿病などの合併症をお持ちの方も多かったので、術前に自分のできる範囲で合併症の管理を行ったり、必要に応じて専門の診療科に相談したりしていたんです。クリニックに来院される患者さんは近所に住んでいる方が多く、移動も徒歩や自転車の人がほとんどです。何科を受診したらいいかと相談にみえる方もいます。これもかかりつけ医の大切な使命だと思っています。

訪問診療も始められたそうですね。

現在いらしている患者さんが、年齢を重ねて通院困難になったときや、調子が悪いときにも対応できるように訪問診療を始めました。歩くのが大変なのに頑張って通われている方も多くて。定期的に来院している方が急に来なくなると心配ですしね。末永く最期の時まで患者さんを診ていきたいと思っています。ただ、訪問診療は、患者さんお一人あたり原則月2回なんです。それだと様子がよくわからないので、リハビリ専門の先生や看護師の訪問などを組み合わせた在宅医療の分野を拡大したいです。そして、将来的に看護ステーションもつくりたいと思っています。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

所隆昌院長 藤クリニック6

当院では、来てくださった皆さんがはつらつとした毎日を過ごせるよう、少しでも力になりたいと日々努めています。診療でリハビリに取り組んでいる理由もそこにあります。リハビリの考え方は時代とともに変わってきており、今は高齢者だけでなく、若い世代の中にもスマートフォンの使いすぎで頸部を悪くして、リハビリを必要とする方が多くなりました。開業以来、地域のかかりつけ医として、たくさんの患者さんに支えられてきた当院ですが、今後も幅広い年代の方たちに向けて健康づくりのサポートができるよう、どんどん進化していこうと思っています。どうぞよろしくお願いします。

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