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池上 香 院長の独自取材記事

中野島小児科クリニック

(川崎市多摩区/中野島駅)

最終更新日:2023/07/06

池上香院長 中野島小児科クリニック main

JR南武線中野島駅北口から徒歩3分、商店や集合住宅が建ち並ぶ一角にたたずむ「中野島小児科クリニック」。バリアフリーの院内に足を踏み入れると、大きな窓から外光を採り入れた温かな雰囲気で、待合室の壁を飾るスタッフ手作りのかわいい動物たちの貼り絵に、子どもの心も和みそうだ。同院は、池上香院長はじめ、スタッフ全員が育児経験のある女性ばかり。「子どもも家族も安心して頼れるクリニックでありたい」と、2015年の開業以来、風邪などの感染症からアレルギー疾患、夜尿症や便秘まで、幅広く小児科医療に取り組んできた。インタビューでは、開業から現在を振り返ってもらいつつ、患者や医療への思いや今後の展望まで、池上院長が笑顔で答えてくれた。

(取材日2023年3月13日)

幅広く小児疾患や育児の悩みに対応

医師としての歩みをお聞かせください。

池上香院長 中野島小児科クリニック1

父が当院の近くに整形外科のクリニックを開業していました。子どもの頃から医師が夢だったわけではないですが、進路を決めるにあたり、就職氷河期で特に女性に厳しい時代だから資格を身につけようと考えた時、医学の道に進んだのは、やはり父の影響です。大学は日本医科大学に進みました。小児科を専門に選んだのは、医療が専門化し、細分化する中で、ジェネラリストでありたいと思ったからです。大学卒業後は、国立成育医療研究センター周産期診療部新生児科で研鑽を積んだ後、日本医科大学小児科学教室の助教を経て、留学する夫とともにアメリカのマサチューセッツ州、ボストンに渡りました。帰国後は総合相模更生病院小児科を経て、開業に至りました。この場所に開業したのは、父の意向もありますが、市営住宅も近いのでファミリー層が多く、小児科のニーズがあると思ったのも大きいですね。

診療内容と、どのようなお悩みでの受診が多いかを教えてください。

風邪、水痘、風疹、おたふく風邪などの感染症や胃腸の不調、喘息、アレルギー疾患、結膜炎、夜尿症や便秘など、子どもに多いお悩みや疾患、健診、予防接種、育児相談や離乳食・栄養相談など、多岐にわたります。多い主訴は風邪症状ですが、アレルギーを心配して受診する方も多いので、アレルギー疾患の診療にも注力しています。アトピーは体質によるところが大きいですが、小さいうちから肌を丁寧にケアしておけば、後天的な作用による発症はある程度抑えることが期待でき、乳児湿疹や乾燥による肌荒れの悪化がアトピーの引き金になる場合もあるため、体の洗い方やスキンケア指導も行います。また、5歳以上を対象にスギ花粉症やダニアレルギー性鼻炎の患者さんには治療薬を舌の下に投与する「舌下免疫療法」にも対応。そして小児科ではありますが、例えば発熱してご家族で受診した場合など、可能な症状ならば成人の患者さんにも柔軟に対応します。

医師もスタッフも全員が育児経験があるそうですね。

池上香院長 中野島小児科クリニック2

お子さんの急なご病気のときはもちろん、事前に予定している予防接種でも、クリニックを受診するのは大変なことで、不安なはずです。インターネットに情報があふれているからこそ、正しい情報がどれかわからなかったり、かえって心配になる方もおられると思います。そんなとき、専門家として適切な対応をすることに加え、スタッフが実際の育児経験に基づいてアドバイスしたり母親目線で寄り添うことが、患者さんにとっては安心感につながると思います。私も同じ子を持つ親として、当院を受診するお子さんやご家族の気持ちに寄り添い、少しでも不安な気持ちを和らげたいと思い、日々、診療にあたっています。

患者の思いに応え、安心して受診してもらうために

診療の際に、どのようなことを心がけていますか。

池上香院長 中野島小児科クリニック3

相手が思っていることを最大限にくみ取り、とにかく親切丁寧に、できる限り求めていることにお応えすることを心がけて診察しています。そして、受診の発端となった症状だけでなく、症状を引き起こしている背景を含めて幅広く対応していきたいと考えています。医療には、診断や治療はもちろん、患者さんやご家族のお話を伺うことで根本的な原因の解消を図ったり、悩みをお聞きすることで心を軽くする行為も含まれると思うんです。それから、受診したお子さんの不安を取り除くことも大切にしています。例えば、子どもにとって特に注射は怖いものなので、予防接種のときは少しでも威圧感を与えないようにするなど、気配りを忘れません。

設備面でのこだわりを教えてください。

お子さん連れで受診するのは大変で、兄弟姉妹も連れて来院することも多いですから、入り口で靴を脱がずにスロープからベビーカーのまま入室できるよう、バリアフリーにこだわりました。診察室もトイレもベビーカーで出入りでき、トイレにはおむつ台を設置しています。また、小児科は感染症の患者さんが多いので、スロープの先にある本来の入り口以外に、クリニック正面右手に第2玄関として発熱症状など、感染症の疑いがある方のための入り口を作りました。そこから入ると隔離室に直結しています。院内全体で消毒や換気を徹底していますが、隔離室は換気も別経路になっています。最初からそのような設計だったので、感染症流行下でもスムーズに対応できています。内装に関しては、診察室は顔映りを考慮して白を基調とした壁紙を、待合室は病院のキャラクターとして描いてもらったキリンをイメージして黄色ベースの壁紙を選びました。

ホームページに英語表記のページを設けるなど、設備面以外でもバリアフリーを進めているようですね。

池上香院長 中野島小児科クリニック4

アメリカで出産を経験し、現地の小児科も受診しましたが、違う文化圏で医療機関を受診するのは、言葉や制度も考え方も違うので大変でした。帰国後に勤めた病院は外国人の患者さんが多く、在米時の私と同じように戸惑う姿を目にしました。だから、開業の際には、自分が苦労した経験や感じたことを生かし、外国人の患者さんを広く受け入れていきたいと考え、英語表記のホームページを設け、そこから予約も受けつけています。外国人が日本で医療機関を受診したくてネットで情報収拾しても、日本語のホームページだと読めなかったり、受診しても言葉が通じるか不安で二の足を踏むことがあると思うんです。新型コロナウイルスワクチン接種のお知らせも、行政から届いた日本語の封書が読めなくて接種が遅れた方もいたそうです。当院では、ホームページから必要な情報にアクセスし、安心して受診できるようにと考えています。

地域のかかりつけ医として患者の成長を見守りたい

改めて開業から現在までを振り返ってみて、いかがですか。

池上香院長 中野島小児科クリニック5

開業して良かったと思っています。勤務医時代は1、2年で異動になるので、1人の患者さんと長く関わることがありませんでした。でも、開業してからは患者さんと長く接することができ、乳幼児期から成長する姿を見ることができたり、より親しみを感じられます。開業して長くなるほど、患者さんの弟や妹が生まれたら来てくれたり、患者さんとの関わりも深まります。引っ越すことになった子がメッセージをくれることもあります。お別れは寂しいですけど、メッセージを頂くのはうれしいもの。ありがたく壁に飾らせてもらっています。

現在、取り組んでいることや今後の展望をお聞かせください。

日々の診療を充実させたいと考えています。なかなか難しいですが、一人ひとりの患者さんに時間をかけて診療できるようにしたいです。それから、患者さんが受診しやすい環境づくりにも力を入れています。例えば、なるべく待ち時間を減らすために、自動予約システムを導入しています。携帯電話・スマートフォン・パソコンから初診の方でもオンラインで予約でき、一般診療は朝7時から順番に受けつけています。予防接種や健診もオンラインで予約可能です。慢性疾患で2ヵ月以内に受診履歴があり、症状が落ち着いている方は、電話診療も実施しています。オンライン診療も導入を検討しています。

最後に、読者の皆さんへのメッセージをお願いします。

池上香院長 中野島小児科クリニック6

地域のかかりつけ医として、どなたにとっても気軽に頼れるクリニックでありたいと思っています。「こんなことで受診していいのかな」と思わずに、少しでも心配なことがあったら、気軽にいらしてください。平日は18時半まで、土曜日も午前中は診療しているので、フルタイムで働いている方も受診しやすいと思います。また、体調だけでなく、育児で疑問に思うこと・不安なこともあるかと思います。私自身も子育てには苦労しているので、偉そうなことは言えないですが、できる限りお聞きし、医師として、育児経験者として、お答えさせていただきます。

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