中野 史郎 院長の独自取材記事
角中クリニック
(相模原市中央区/相模原駅)
最終更新日:2024/04/03
相模原駅からバスに乗り、陽光台六丁目の停留所から徒歩3分のところにある「角中クリニック」。内科、消化器内科、循環器内科、糖尿病内科など、幅広く対応する地域に根差したクリニックだ。日本内科学会総合内科専門医や日本消化器病学会消化器病専門医の資格を有する中野史郎院長は、何か気になる症状があった際に患者がまず受診する地域の開業医として、さまざまな検査メニューを取りそろえ、病気の早期発見に努めている。地元医師会の休日診療や学校医・園医なども務め、院内だけではなく、地域を支える医師として奮闘する角中院長に、診療方針や地域医療に対する思いなどについて話を聞いた。
(取材日2024年3月18日)
地域を支える開業医として、幅広い疾患に対応
医師の道に進もうと決めたきっかけはありますか?
私が医師になりたいと思ったのは、小学校の中学年くらいの時だったと思います。もともと私自身、体があまり丈夫ではなく、家族も病気がちだったため、人々を健康にするため、時には命を救うための診療に携われる医師になりたいと考えたことがきっかけです。親戚にも医療従事者がいたため、医師という仕事が身近だったことも関係していたかもしれません。小さな頃から手先が器用で、細かい作業が好きだったことから、医師になってからは内視鏡診療など専門的な手技が必要な消化器内科、それから、生活習慣病の分野で主に経験を積んできました。
ご自身でクリニックを開業しようと考えたのは、どのような理由からですか?
開業前は、地域の中核的な病院に勤務し、専門の消化器疾患の治療だけではなく、さまざまな症状の患者さんを診る救急医療などにも長年携わってきました。そして、いろいろな患者さんと接する中で、できるだけ多くの疾患、幅広い年齢層の患者さんに対応できる場所をつくりたいと考えるようになったんです。そうした思いをもとに、地域に根差したいわゆる「なんでも相談できるかかりつけ医」をめざし、2006年に、母校である北里大学のキャンパスがあり、なじみ深い土地である相模原市に開業しました。
クリニックの診療内容や主な患者層について教えてください。
現在多い患者さんは、高血圧症や糖尿病など、生活習慣病の治療でいらっしゃるご高齢の方ですね。そのほか、頭やおなか、胸の痛みから、皮膚の疾患、健康診断で何らかの異常を指摘された方まで、幅広いお悩みの方がいらっしゃいます。当院は、地域の皆さんの健康問題に幅広く対応するクリニックです。特定の分野に限定せず、周囲の医療機関と連携しながら何かあったらいつでも来てください、というスタンスで診療しています。
気になる症状があったら、我慢せずにまず受診を
クリニックの特色としては、どのような点が挙げられるでしょうか?
私は総合内科専門医や消化器病専門医の資格を持っていて、開業の目的でもある幅広い対応をしています。意識しているのは、病状がひどくなる前に、早期に病気を発見することです。当院では、胃の内視鏡やいろいろな臓器に対応できるエコー検査装置など、多岐にわたる検査ができる装置を取りそろえ、精密な診断に努めています。それから、最近の重要な課題となっているのが、高齢化に伴う認知症への対応です。私は、さまざまな形で認知症の患者さんをサポートする認知症サポート医として、患者さんや患者さんのご家族への対応だけではなく、地域の医療従事者などへのアドバイスも行っています。例えば、整形外科などのクリニックはご高齢の患者さんが比較的多いのですが、診療科として認知症は専門とは異なるため、対応が難しいんです。他の医療機関などと連携して、地域の高齢者を支えていけたらと思っています。
クリニックとしての診療方針はありますか。
心がけているのは、患者さんの話によく耳を傾けるという基本を常に大切にすることです。医療機関では、先生方皆さん同じようにお考えだと思うのですが、やはり日々患者さんと接していると、しっかりコミュニケーションが取れると患者さんも安心してくださるのを実感するんです。顔と名前、お話ししたことをしっかり覚えて、次にいらっしゃったときに「この前おっしゃっていたあれはどうなりましたか?」などと声をかけると、患者さんの表情が和らいで、その後の診療もスムーズに行いやすくなるものなんです。患者さんご本人のことはもちろん、ご家族のことについてもしっかりと伺って、長いお付き合いをさせていただけるような人間関係を築いていきたいと思っています。
開業医とは、地域でどのような役割を担う存在であるとお考えですか?
地域の皆さんが、健康に関して何かちょっと心配だなと思ったら、いつでもすぐに行けて、なんでも相談できる場所ですね。気になる症状があれば放置せず、まず医療機関を受診することが大切です。しかし、今はいきなり大きな病院に行って診てもらうのは難しい時代です。やはり、私たちのような小回りの利くクリニックが、大きな病気かどうかわからない段階で相談に乗って、必要に応じて検査などをするのが大事だと考えています。疾患によっては、治っていなくても自覚症状が一時的になくなるものもあります。もう大丈夫と放置している間に悪くなってしまう危険もあるので、何かあったら我慢せずに、すぐに受診していただくよう、長く通っていただいている患者さんにもお伝えしています。
健康寿命を延ばせるような医療の提供をめざす
休日はどのように過ごしていますか?
何かスポーツなどをやりたいなと思いながらも、クリニックの休診日も気がついたら毎日働いていて、完全に「仕事人間」になっています(笑)。医師会で担当する地域の休日診療や小学校や保育園の子どもたちを診る学校医・園医、それから非常勤の医師として他の医療機関での診療などで、休みがほとんど埋まってしまうんです。少しでも地域のお役に立てればと思っているのですが、あまりに休みを取らないので、最近はクリニックのスタッフや患者さんにまで、「先生が病気になってしまいますよ」なんて心配されるようになってしまいました。健康のことも考えて、今後は少し時間をつくって、軽いランニングやゴルフなどを楽しもうかなと思っています。
医師としてやりがいを感じるのはどのようなときですか?
やはり、患者さんに喜んでいただけたときですね。診療後表情が明るくなった患者さんのお顔を見ることができたら、こちらまで元気になるような気がします。それから、見つけにくい病気の早期発見につなげられたときも、やりがいを感じますね。以前、胸に痛みがあるという患者さんが来院した際、大きな病院を紹介したんですが、結果としてやはり病気が見つかったということがありました。ちょっと気になるという段階で最初に対応する、地域の開業医の大切さを改めて感じました。
最後にクリニックとしての今後の展望と、地域の皆さん、患者さんへのメッセージをお願いいたします。
今後に向けて今考えているのは、初診の患者さんの待ち時間短縮などに役立つ、オンライン診療やネット予約の導入です。例えば、空気感染するものなど、病気によってはオンライン診療は大きなメリットがあります。医師会の診療ではオンライン診療をしていたのですが、当院ではまだ導入していないので、検討していきたいと思っています。新しい患者さん、通ってくださっている患者さん、少しでも多くの方々に健康寿命を延ばせるような医療を提供していければと思っていますので、気になることがあれば我慢せずに気軽に相談していただき、地域のかかりつけ医としてご利用いただけたらと思います。