全国のドクター9,317人の想いを取材
クリニック・病院 158,544件の情報を掲載(2024年6月14日現在)

  1. TOP
  2. 大阪府
  3. 寝屋川市
  4. 寝屋川市駅
  5. 医療法人天命会 木俣肇クリニック
  6. 自宅での適切なケアが改善には欠かせないアトピー性皮膚炎の治療

自宅での適切なケアが改善には欠かせない
アトピー性皮膚炎の治療

木俣肇クリニック

(寝屋川市/寝屋川市駅)

最終更新日:2023/02/28

木俣肇クリニック 自宅での適切なケアが改善には欠かせない アトピー性皮膚炎の治療 木俣肇クリニック 自宅での適切なケアが改善には欠かせない アトピー性皮膚炎の治療
  • 保険診療

皮膚に赤みやさまざまな皮膚症状、強いかゆみが起きて、日常生活にも大きな支障を来すアトピー性皮膚炎。乳幼児期から症状や治療に翻弄(ほんろう)される患者も多く、世間から注目されることが多い病気でもある。「木俣肇クリニック」ではアレルギー、細菌感染、ストレスという複数の要因に注目し、根本からアトピー性皮膚炎の改善をめざす。投薬は内服薬が中心で、ステロイドや免疫抑制剤、また保湿薬などの外用剤も使用しない。このため同院で治療を始めた当初はリバウンド症状が顕著になりやすく、適切なケアが不可欠に。また食事や睡眠など日常生活の見直しも重要だ。「医師が行う治療とご自宅でのケア、本質的な改善をめざすためにはどちらも必要です」という木俣肇理事長に、同院の患者が自宅で行うアトピー性皮膚炎のケアについて話を聞いた。

(取材日2023年1月28日)

適切なスキンケア、食事の見直し、生活習慣の改善が重要。現代ならではのストレスにも注意して

Qアトピー性皮膚炎では、どのような症状が見られますか。
A
木俣肇クリニック 根本からアトピー性皮膚炎の改善をめざす

▲根本からアトピー性皮膚炎の改善をめざす

皮膚にかさつきや炎症性の赤み、発疹、強いかゆみなどが生じ、じくじくと化膿(かのう)したり、とびひのような状態が続くことも。最近では重症例も多く、その多くでは細菌感染が合併しています。またアトピー性皮膚炎にヘルペスを合併するケースも増えていて、これはアトピー性皮膚炎の典型的な見た目ではないこともあり、適切な診断と治療にたどり着けていない患者さんもいます。当院でステロイドや免疫抑制剤、保湿剤などを使わない方法での治療を始めると、症状が一時的に悪化するリバウンドが起こります。個人差はありますが治療には数週間から数ヵ月間かかることが多く、この間は特に慎重な治療やご自宅での適切なケアが必要になります。

Qアトピー性皮膚炎で行う検査について教えてください。
A
木俣肇クリニック アレルゲンを特定できるプリックテストは15分ほどで結果がでる

▲アレルゲンを特定できるプリックテストは15分ほどで結果がでる

アレルギー疾患に対して、当院ではアレルゲンを特定できるプリックテストを行います。皮膚にごくわずかなアレルゲンエキスをつけて反応を調べる検査で、15分ほどで結果が出ます。赤ちゃんでも実施できますし、採血のような痛みもない、シンプルで精密な検査です。ただ、抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬の影響を受けますので、これらを服用していない状態で検査をします。また、アトピー性皮膚炎では細菌感染の合併も多いので、細菌の種類を調べる細菌培養同定検査や、治療に適した抗生物質を探す薬剤感受性検査もほとんどの患者さんで行います。患部を綿棒でそっとこするだけですので、この検査も痛みや不快感はほぼありません。

Q自宅では、スキンケアをどのように行うのですか?
A
木俣肇クリニック 竹製の医療用不織布を巻いて患部を保護し、回復をめざす

▲竹製の医療用不織布を巻いて患部を保護し、回復をめざす

最初に申し上げたいのは、お話しするご自宅でのケアは、当院での治療とともに行うものだということです。患者さんが今受けている治療を自己判断で中止・変更すべきではないことに、注意してほしいと思います。当院では、肌のバリア機能を守るために、医師から許可が出るまで入浴はせず、3日に1回程度さっとシャワーを浴びるだけにとどめてもらいます。また、石鹸やボディーソープなどの洗浄剤は、たとえ安全だと言われるものでも使わない。それから外用薬は使いません。外部からの刺激や感染を防ぐためと、浸出液をしっかり吸収して適切な湿潤状態を保つために、患部には竹を原料とする医療用不織布で覆って保護します。

Q食事の見直しについて教えてください。
A
木俣肇クリニック 安全で適切なケアができるようチームでサポートしている

▲安全で適切なケアができるようチームでサポートしている

プリックテストなどからアレルゲンが推測できれば、原因となる食べ物や環境を見直します。加工食品やサプリメントにも多種多様な成分や添加物が含まれているので摂取をやめて、和食中心の食生活に。パンは減らし肉より魚を選び、お味噌などの発酵食品を多く食べ、無添加で製造工程が明らかな調味料を使う。揚げ物を蒸し物に変えれば、油や糖の摂取量を大きく減らせます。こうして腸内環境を整えていきます。急に食事を制限するのはつらいという患者さんもいますが、「まず3日間だけ変えてみませんか」と。お薬の働きもありますが、食事を数日見直すだけでもかゆみが変化することは多く、それをご自身で体感されるとそのまま頑張れるようです。

Qその他、日常生活で気をつけるべきことは?
A
木俣肇クリニック アトピー性皮膚炎の改善には規則正しい生活も大切

▲アトピー性皮膚炎の改善には規則正しい生活も大切

一つはシンプルに早寝早起きです。できれば12時前には寝て、朝は6時ぐらいに起きて朝日を浴びる。患者さんには昼夜逆転に近い状態の方も多いですし、睡眠不足になると症状が悪化してくるので、診察室でもすぐにわかります。ただ、この妨げになりがちなのがスマホやパソコンです。多くの情報が得られるので刺激や面白さがあり、つい手に取ってしまうことも多いでしょう。ですが、思っている以上に時間を費やしがちですし、ご自身にとって何が本当に楽しいことなのか、わからなくなってしまう。アトピー性皮膚炎では、ストレスを減らし楽しく過ごす時間をつくることも大切です。IT機器によるストレスや生活の乱れには注意してほしいですね。

ドクターからのメッセージ

木俣 肇理事長

治療を始めてリバウンドの渦中にいる患者さんやご家族は、「これで良かったんだろうか」という不安と先が見えない絶望に苛まれています。当院では多くの経験を持つスタッフが待合室で、また時にはお電話でもご相談に応じて、安全で適切なケアができるようチームとなり全力でサポートします。また、予想される少し先の経過をお伝えして希望を持ってもらうなど、お気持ちの面からも支えられるよう努めます。楽しくはない治療ですが、患者さんご自身が症状の改善を感じられると、肌が本来持っている力や回復力を信じられ、患者さんに笑顔と明るさが戻ってきます。時間がかかる治療ではありますので、ぜひ周囲も一緒に頑張ってほしいと思います。

Access