全国のドクター9,336人の想いを取材
クリニック・病院 158,521件の情報を掲載(2024年5月18日現在)

  1. TOP
  2. 愛知県
  3. 名古屋市港区
  4. 築地口駅
  5. 港みみ・はな・のどクリニック
  6. 荒木 幸絵 院長

荒木 幸絵 院長の独自取材記事

港みみ・はな・のどクリニック

(名古屋市港区/築地口駅)

最終更新日:2021/10/12

荒木幸絵院長 港みみ・はな・のどクリニック main

地下鉄名港線の築地口駅からエレベーターで地上に上がれば「港みみ・はな・のどクリニック」はもうすぐそこ。院長の荒木幸絵先生は築地生まれの築地育ち。名古屋港からの海風が心地良い大好きなこの場所で2013年、耳鼻咽喉科クリニックを開いた。そして2017年には地域の声に応え小児科を併設。ところが荒木先生は「この先、患者さまのニーズに合わせて、さらに幅を広げていきたい」と屈託のない笑顔を見せてくれた。その目線の先にあるのは、女性医師が活躍する場の充実と地域医療への貢献を並行して進めていきたいという大きなビジョンだ。内に秘めたそのパワーの源は何なのか、笑顔が絶えない明るい雰囲気の中で荒木先生の想いを聞いてきた。

(取材日2019年9月5日)

医療を身近に感じた日常と、医師への憧れ

生まれ育った地元で開院されたのですね。

荒木幸絵院長 港みみ・はな・のどクリニック1

はい。まさにこの地で育ち、顔なじみの方が多いですね。周辺は話題のスポットが増え、人の流れも変わりましたが、下町の雰囲気は残り、住んでいるのは昔も今も人情味あふれる方たちばかり。大好きなこの街で皆さんのお役に立とうと開院を決めました。子どもが2人いるので、多忙なときは実家に預かってもらえるという理由もありますが(笑)。今、近所の小・中学校8校の校医も務めています。学校行事などで多くの親御さんと知り合いになれて、何でも気軽に相談してもらえる関係が構築できているのは非常にありがたいことですね。

医師をめざしたきっかけを教えてください。

いくつかあるのですが、まず妹がはしかから脳炎を患ってしまったこと。その時の小児科の先生が非常に尽力してくださって回復し、医師への憧れを持ったのが最初です。その後、今度は同居していた祖父が脳梗塞で倒れ、病院への送迎やリハビリに家族総出で関わったこと。介護に直面し、おのずと医療を身近に感じる機会が増えていきました。そして、進学した中学・高校での教えでしょうか。ミッション系の学校で、人に奉仕する喜びを教えられたのだと思います。医学部進学後は耳鼻咽喉科を選びましたが、これは私自身の病の経験からなんです。もともとアレルギー体質で鼻詰まりもひどく、高校2年生の時に副鼻腔炎の手術をしました。子どもの頃からなじみのあった科。そして手を動かすことが好きで、患者さまと向き合って自分の力で治療を完結できるところにも魅力を感じました。

耳鼻咽喉科の患者層や主訴はいかがですか?

荒木幸絵院長 港みみ・はな・のどクリニック2

年齢は小さなお子さんからお年寄りまで幅広いですね。私自身も子どもがいますので、同年代の子を持つ親御さんに多く来院いただくほか、この地域も高齢化が進み、お年寄りの患者さまが非常に増えているように感じます。お年寄りに多いのは耳の聞こえの問題で、ご本人に合った補聴器をご提案しています。医療費控除の書類作成も行っています。季節的な要因では、やはり春は花粉症が多く、秋からは風邪などの感染症が増えてきます。治療の際に気をつけているのは、患者さまそれぞれの背景を考慮するということ。例えば忙しくお仕事をされている方に毎日通院を求めるのは難しいでしょう。患者さま一人ひとりに合った最適な治療法や薬の選択をご相談・ご提案しながら進めるようにしています。

患者、スタッフ、家族のすべてが幸せになれるよう

2017年からは小児科を併設されましたね。

荒木幸絵院長 港みみ・はな・のどクリニック3

耳鼻科で私のようなママさんドクターは少ないようで、子どもが保育園の時、同級生のママたちがよく来院してくれました。その際、耳鼻科の診療とともに子育て相談も受けるようになり、その時間がどんどん増えていったんですね。「これはもう小児科の先生が必要だ」と思ったんです。小児科の先生は病気の治療だけでなく、子どもが医学的に健全に成長するためにどうすればいいかということを学んでいて、その点は他の科にはない技術を持っています。子育てのことだけでなく、食物アレルギーの問題や親御さんが抱える心因性の問題などを解決してあげることで、子どもの不調が改善される可能性があることもわかっています。こうして私では追いつかない専門的な部分を診てもらおうと小児科を開設。大学の後輩の先生をはじめ、女性医師3人が診察にあたってくれています。

クリニックとしては医師の数が多いですね。

そうですね。耳鼻科は私を含めて4人、小児科を合わせると7人です。耳鼻科の1人は重症の患者さまの橋渡しとなるよう、基幹病院から男性の先生に来ていただいていますが、残りの6人は全員女性です。実は、ずっと考えていることがあって、女性医師が活躍できる場をもっと増やしていきたいんです。医師という仕事は子育てとの両立が非常に難しい。医師不足が叫ばれていますが、働きたいにもかかわらず家庭にいる有能な女性医師は多いんです。その活躍の場を提供するために必要だと感じたのが「マルチタスク」という考え方。「なかなか休めないから勤められない」ではなく、「お互い休みたいときにフォローできるよう、多くの人で同じ仕事をできるようにしておく」方法です。今、7人の医師がうまく機能し、患者さまに対して医療サービスが提供できていると思っています。

マルチタスクの発想はどこから生まれたのですか?

荒木幸絵院長 港みみ・はな・のどクリニック4

子どもの頃の体験に基づいていると思います。実家が自営業を営んでおり、一人に任せきりだと、その人がいなくなったときに仕事が機能しなくなる。祖父母も両親も、信念を持ってあらゆる仕事をこなしていました。そんな経営者としての姿を見本としているのかもしれません。当院では看護師が事務の仕事を手伝うことも、事務スタッフが医師や看護師のサポートを行うこともあります。子育て中や介護中など、働くお母さんたちは時間的な制約があると私自身も理解しています。今いる医師を含めスタッフたち全員、少しだけでも他のスタッフのために時間をつくったり、臨機応変に対応していただける方が多く、ありがたいです。今後もチームでクリニックを運営していきたいですね。働きやすさを追求することでスタッフだけでなく、その家族も幸せになることができ、それは巡り巡って患者さまへのサービスに還元されると思うんです。

地域医療の情報拠点の役割を果たしたい

チームワークを高めるために行っていることはありますか?

荒木幸絵院長 港みみ・はな・のどクリニック5

まず毎月行う全体ミーティングで、決定事項の連絡やクリニックのあるべき姿について話す場を設けています。もう少し気楽に外部ミーティングと称し、喫茶店でお茶を飲みながら仕事以外の話も交えてコミュニケーションを図ることも。患者さまに直接関わることとしては、マルチタスクの発想から、医師同士の情報共有は欠かせません。患者さまはそれぞれ相性の合う先生が勤務する曜日に来院されることが多いのですが、万が一他の先生になったとしても、状況を把握した上で診察にあたるのは大原則ですね。他にも、患者さまを気持ち良く迎えて仕事をするために5Sとして整理・整頓・清潔・清掃・しつけの徹底や、この地域は地震による津波災害が懸念されるので、安全の勉強会も行っています。

これまでの経験から、医師として特に気を配っていることはありますか?

予防接種の必要性ですね。これは患者さまにしっかり伝え、啓発していかねばならないと感じています。勤務医時代の話ですが、片方の耳が先天性難聴のお子さんがいて、おたふく風邪にかかり、正常な耳も聴こえなくなってしまいました。この経験からワクチン接種にも力を入れていますし、ホームページや院内掲示等で予防接種の種類や受け方について、詳細に伝えるようにしています。もちろん予防接種だけでなく、患者さまが知っていたら有益なことはどんな情報でも伝えるよう心がけていますね。知ることで病気の予防につなげていただくことも、私たちの大きな役割ですから。

最後に今後の展望を教えてください。

荒木幸絵院長 港みみ・はな・のどクリニック6

仕事がしづらい状況にある女性医師が活躍できる場を今以上に提供していきたいです。さらに言えば、このクリニックが地域医療の情報拠点であると同時に、女性医師だけでなく、子育て中の女性が気軽に働ける場であることも理想です。働くことで医療知識を深められ、予防という視点で子どもたちが健全に育つ役割を果たすことにもなるからです。地域にそんな輪が広がっていけばいいなと思います。もし患者さまからのニーズがあれば、地域の医師としてできることは、より幅広くお応えしていきたいと思っています。それから、私たちが提供する医療が、子どもたちの考え方や将来の職業選択に良い影響を与えるきっかけになればうれしいですね。

Access