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佐藤 秀一 副院長の独自取材記事

二田哲博クリニック天神

(福岡市中央区/天神駅)

最終更新日:2021/10/12

佐藤秀一副院長 二田哲博クリニック天神 main

海外から取り寄せた椅子や、大きな本棚が待合室に並ぶカフェのような雰囲気の「二田哲博(ふたたてつひろ)クリニック天神」。天神地下街から直結したビルの7階に位置する糖尿病と甲状腺疾患が専門のクリニックで、姪浜にある本院「二田哲博クリニック姪浜」の分院にあたる。早ければ約40分で検査結果が出る一面ガラス張りの検査室もさることながら、日本糖尿病学会糖尿病専門医、日本内分泌学会内分泌代謝科専門医、日本内科学会総合内科専門医と一人の医師が多くの資格を持ち、多角的な視点で病気を見つけられることがクリニックの強みだ。そんな佐藤秀一副院長に、これまでの道のりやクリニックの診療の特徴について話を聞いた。穏やかな人柄と患者への思いがあふれたインタビューとなった。

(取材日2020年5月25日)

異なる領域ながら関連性のある糖尿病と甲状腺疾患

まずは医師を志したきっかけからお聞きしたいのですが、子どもの頃は病院が苦手だったそうですね。

佐藤秀一副院長 二田哲博クリニック天神1

ええ、耳と鼻が悪かったので、よく耳鼻科に通っていたのですが、痛い思いをすることが多くて病院はむしろ大嫌いでした。こんな痛い思いをしたくないし、させたくないと思ったものです。医師であった祖父の背中を見ながら、痛みのわかる優しい医師になりたいという思いが幼い頃に少し芽生えたのが最初です。私は、その当時から植物に囲まれた生活をして、今も週末はガーデニングを楽しんでいます。丁寧に世話するほどきれいな花を咲かせ結実する植物を見ていて、人間も同じでは?と思ったものです。それがきっかけで大学は医学部に進みました。

では、糖尿病と甲状腺の専門知識は大学で学ばれたのでしょうか。またその関連性についても教えてください。

大学で学んだのですが、糖尿病というのは代謝、甲状腺はホルモンをつくる内分泌の領域なので、大学の中では別々のグループで学びます。ですので、両方を極める医師は少ないのが実情です。しかし、まったく異なった領域であっても、2つの領域を勉強するということは診療を行う上で役に立つことが非常に多いんですよ。甲状腺疾患というと、どうしてもホルモンやがんの病気ということになります。しかし、甲状腺ホルモンは代謝をコントロールするホルモンですので、実は糖尿病と密接に関係しています。糖尿病と甲状腺の双方を診療していると、糖尿病の患者さんが甲状腺の疾患を持っていることもありますし、またその逆もあることが多いため、常に双方の視野から患者さんを診ることが非常に重要と思います。

糖尿病はどのような症状があるのですか?

佐藤秀一副院長 二田哲博クリニック天神2

実は重症にならないと症状は出ないんですね。糖尿病はそういうやっかいな病気なので、早期で見つけられるのはやはり健診になります。アジア人は欧米人と比べると血糖値を下げる働きをするホルモンのインスリンを出す力が弱いので、同じ糖尿病でも欧米のように太っている人は少なく、痩せている人が多くなります。しかし、痩せている人はまさか自分が糖尿病とは思わないので、どうしても気づくのが遅くなります。ですので、どうやって症状のない人たちをすくい上げ、治療につなげられるかということが重要になってきます。年代でいうと、多いのは男女ともに30代から60代の方。症状が出てからでは遅いので、働き盛りの方も健診に来ていただければと思います。

「甲状腺機能低下症」が不妊症の原因になることも

最近は子どもの糖尿病も多くなっているとか。

佐藤秀一副院長 二田哲博クリニック天神3

糖尿病には、体内にあるリンパ球が間違って自分自身の膵臓を破壊してしまうことで発病する1型糖尿病と、いわゆる生活習慣が原因の2型糖尿病があります。1型はお子さんや若い方の発症が多いのですが、実は最近、2型のお子さんも増えているんです。その原因は運動不足と食習慣です。清涼飲料水をたくさん飲んだり、栄養が偏った食生活をしていたり、そうした影響で肥満のお子さんが多く見られます。ですので、成人や高齢者だけがかかる病気では決してないということですね。ただ1型の場合は膵臓が破壊されてインスリンがまったく出ない症例が多く、著しい血糖値の上昇による脱水や頻尿といった顕著な症状が出るため異変に気づいて来られますが、2型は初期のうちは目立つ症状がないため、小さなお子さんに対しても、大人と同様積極的に予防を呼びかけたり、受診を勧めたりして医療者が介入していく時代になってきていると思いますね。

親が子どもの食や生活習慣を見直す必要があるということになりますね。

それが重要です。家庭の中で形成されている典型的な疾患ですから、やはり親自身が食に対する知識と理解というのを見直していかなければなりません。もちろん大人の糖尿病患者の方も同じで、ご自身で見直す必要があります。なぜなら、生活習慣病は患者さんの生活が8割以上関係しているからです。当院には運動を指導するスタッフもいますし、管理栄養士も3人いるので、患者さんにとって必要な情報をいかに提供できるか、そして検査結果をもとにどうやって次のステップにつなげられるかということを常に考えながら、患者さんの気持ちに寄り添って治療することを大事にしています。

甲状腺についてもお聞きします。女性の患者さんが多い印象がありますが、実際はどうですか?

佐藤秀一副院長 二田哲博クリニック天神4

女性が多いですね。それは甲状腺疾患が原因で不妊症になられる方が多いことが一つの理由です。甲状腺機能低下症が妊娠しにくい状況を招いていることが考えられるので、まず婦人科や不妊治療の専門病院で検査をされてから来られる場合が多いですね。検査で甲状腺が引っかかった場合は、治療ですぐにコントロールする必要があるので、治療ができる病院を紹介されて、当院に来られる場合が多いです。甲状腺の専門施設は少ないですから、この辺りのほとんどの不妊治療専門のクリニックと連携しています。そして妊娠をめざして、婦人科の医師とうまく連携を取りながら治療を進めていきます。また、甲状腺ホルモンというのは赤ちゃんの成長のためにも不可欠なホルモンなんですね。妊娠してからもコントロールが非常に重要になってくるので、出産まで産婦人科とは密に連携していきます。

患者との関係性を大事にした診療スタンス

本院と分院がありますが、使い分けに違いはありますか?

佐藤秀一副院長 二田哲博クリニック天神5

現在、医師5人で姪浜と天神を行き来して、うまく体制を組んでいますので、どちらでも同じ医療の質を確保しています。患者さんのご都合に合わせて本院の姪浜と、分院の天神を選んで通院していただけるので、この特徴を利用して、患者さんのご負担を軽減できるようにしています。それから、患者さんにとって待ち時間というのは非常に長く感じるものだと思うんですよね。当院の検査結果は最速40分で出ますし、当日検査結果をお伝えし、その先のお話ができることも患者さんのストレスを軽減できる大きなポイントだと思います。検査室がガラス張りとなっているのも特徴的で、待ち時間を短く感じさせてくれるかもしれませんね。

患者さんを診る上で大事にされていることを教えてください。

患者さんが「はい」か「いいえ」で答えられる質問はしないことです。例えば、「今月のあなたの生活は自己採点で何点ですか?」という質問。これは、患者さんそれぞれで物差しが違うんですね。すごく簡単な質問かもしれないし、すごく難しい質問かもしれない。その上で何点をつけるか。こんなことしかやっていないのに高い点数をつけている、あるいはこんなにやっているのに低い点数をつけているというふうに、患者さんの価値観を短時間で把握することができますのでね。そこで患者さん自身が反省することもありますし、結果が良ければ一緒に喜ぶことができますから。私の診療スタンスとしては「一緒に考えて、一緒に悩んで、一緒に喜んで」という、患者さんとの関係性を大事にしています。

では最後に、読者へのメッセージをお願いします。

佐藤秀一副院長 二田哲博クリニック天神6

ご自身やご家族の体調や症状で何かしら気になることがあればすぐにいらしてください。当院には糖尿病や甲状腺の専門分野だけではなく、総合内科をはじめ多くの専門知識を持った医師が集結しています。体というのはいろんな疾患を抱えますので、さまざまな観点から全身を診ることができるのは強みです。残念ながら糖尿病患者さんの死因1位はがんなんですね。糖尿病とがん発症の関係性も大きな問題となっています。ですので、われわれがどれだけ早くがんを見つけられるか、予防できるかが大事なんです。どの疾患も1回の診療で解決策をご提案できるように努力していますので、安心していらしてください。

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