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濱田 直之 院長の独自取材記事

小倉めんたるクリニック

(北九州市小倉北区/平和通駅)

最終更新日:2023/06/13

濱田直之院長 小倉めんたるクリニック main

パニック障害、ADHD、うつ病、発達障害、社交不安症などは誰もがかかり得る疾患だ。JR鹿児島本線小倉駅から徒歩5分ほどの場所にある「小倉めんたるクリニック」は、さまざまな悩みを抱える患者に寄り添うクリニックだ。「通勤時に急に足がすくんで会社に行けなくなり、その足で当院にいらっしゃる方も多いです」と語るのは院長の濱田直之先生だ。気さくで飾らない雰囲気で、「気になる症状があれば積極的に来てください。一緒に、思いを共有しながら治療を進めていきましょう」と話す院長に、近年多く聞かれる相談内容や普段の診察で心がけていることなどを詳しく聞いた。

(取材日2023年4月12日)

通勤時などに急に現れる症状に対応する「駆け込み寺」

一番多い患者さんはうつ病と伺っていますが、どのような症状で来院されますか?

濱田直之院長 小倉めんたるクリニック1

つい先日も「会社に行こうとしたら涙が止まらなくなり、その足で来ました」という方がおられましたが、珍しいケースではありません。体調が悪くて出社できない日数が増えると会社側としてはなぜ休んでいるのかを知りたいわけです。しかし、こういう精神科の症状は内科の先生などでは対応できませんし、内科の先生から「精神科に行ってしっかり治療したほうがいい」などと言われた方もおられるようです。必要に応じて診断書も書きますし、それによってしっかりと休養を取れる環境になることは非常に重要なことですから。当院は予約制ではないので待ち時間はやはり生じますが、それでもお断りすることはありません。当院はまさに「困った時の駆け込み寺」をめざしています。

非常に心強いですね。どのように診察を行うのでしょうか?

初診の場合はまず最初に、臨床心理士、精神保健福祉士、看護師による予診を行います。患者さんの待ち時間を減らすためにもこの体制を取っています。予診は必ず精神医学に見識のあるスタッフが行うので安心してください。その後、私の診察になるのですが、その際にも最初に対応したスタッフにも同席してもらいます。というのも、時間をかけてスタッフと打ち解けているところに急に医師にバトンタッチしても、患者さんはまた身構えてしまう可能性もあるわけです。打ち解けた空気は診察においてもとても大事なこと。雰囲気づくりも大切にしながら診察を進めています。

どんな相談が多いのでしょうか?

濱田直之院長 小倉めんたるクリニック2

一番多いのはうつ病、ついで社交不安症、パニック障害、大人のADHDの相談と続きます。うつ病の原因や症状もさまざまですが、うつ病の間は体のエネルギーが不足しているので、思考のスピードも通常よりも落ちています。なので初診時には特に、こちらがお伝えしていることが患者さんに伝わっているのかを丁寧に確認しながら進めていくよう、かなり心を配っています。もう一つ大切なのが、今の治療の段階を患者さん、医師側とで共有することです。患者さんには自覚がなくても変化しているという部分は多々あります。それを診察の際にこちらからお伝えする。お薬だけで治療するのではなく、状況を共有し、次第に自己肯定感を上げながら、一緒に治療する意識が大事なのだと思います。

疾患が原因であることを自覚し自己肯定感を上げていく

社交不安症について詳しくお聞かせください。

濱田直之院長 小倉めんたるクリニック3

社交不安症は、最近ではコミュニケーション障害と言われている症状で、人前などの注目が集まるような状況に置かれると恐怖、緊張を感じて、「失敗して恥をかくのでは」などといった強い不安などが生じるものです。以前はよく「あがり症」「緊張症」などという言葉で片づけられており、「治療できるもの」という意識がまだまだ浸透していないのが現状です。しかし適切にお薬などを用いれば治療ができます。「できない性格の人間」だと思い込んでいた方も、そうではなく「治療できる病気」だったとわかれば、患者さんにも前向きになっていただけると思います。

パニック障害についてもお願いします。

パニック障害は突然動悸や呼吸困難、吐き気などの発作が起こり、その後何度も繰り返します。特に「また発作が起きたらどうしよう」「外出先で発作が起きたらどうしよう」と予期不安が強くなり、日常生活がスムーズに送れなくなってしまうことがあります。これは気のせいではなく、脳内の神経伝達のバランスの乱れによって起きるのです。つまり「治療できる病気」です。積極的に治療に取り組むことが、治癒をめざす近道となります。

発達障害、特にADHDの相談も多いとか。

濱田直之院長 小倉めんたるクリニック4

最近はいわゆる「大人のADHD」の相談が多いですね。仕事の手順がわからない、順序立てが苦手、ケアレスミスが多い、やることを先送りしてしまうという症状です。こういうことは学生時代では、なんとかなるものなんです。例えばテストでも60点取れば赤点ではなく単位が取れますよね。しかし仕事ではそうはいきません。社会人になると、できないことが目立ち「自分はできない人間なんだ」と烙印を押されたような気分になってしまう。そうすると自己肯定感が下がり、段々と仕事に行きたくなくなり、うつ症状が出て……となるわけです。いずれの疾患も積極的に治療へと踏み出す勇気が必要ですが、踏み出した分、得られるものは大きいはずです。具体的な治療として、詳しい心理検査を行い、診断を付けた上で、必要があればADHD専用の薬を使うこともあります。

漢方薬も取り入れていらっしゃいますね。

治療には漢方薬も取り入れています。漢方薬は数ヵ月飲む必要があるイメージがあるようですが、1週間ほどで作用することが望めるケースも。特に効果が期待できるのがPMS(月経前症候群)でのどうしようもないイライラ、不安感です。月経を「生理」とも言いますが、まさに「生理現象」でご本人にはどうしようもないこと。それを依存性の少ない漢方薬で改善が図れるのは患者さんにとっても良いことですよね。風邪を引いたら予約なしに内科に行くように、不調があったら精神科を頼るのは普通のことです。

生活全般をサポートし、症状改善をめざしていく

患者さんとの向き合い方で意識されていることを教えて下さい。

濱田直之院長 小倉めんたるクリニック5

困っている人の役に立ちたい、という思いは常に持っています。患者さんもさまざまな悩みを抱えていらっしゃるので、まずはしっかりと話を聞き、患者さんの不安に寄り添い、自分が培った経験から役に立てる方法を探して、治療法を提案していきます。私の独りよがりの治療にならないように、患者さんの置かれた状況や環境などの背景も伺い、無理なく治療に向き合える状態を作ることを意識していますね。

患者さんの生活全般をサポートすることを、先生はとても大切にされているのですね。

もちろんです。精神科の治療は、つまるところ生活支援なのです。体調不良はお仕事に直結しますし、治療には時間がかかる。そして不安があると精神疾患の改善は図れません。「お給料がないと駄目だから休めません」と言われることもありますが、治療中の生活を支えるのが自立支援や傷病手当金。もしくは障害年金も申請できるかもしれない。だから休んでも大丈夫ですよと、活用できる制度をしっかりとお伝えしながらしっかりと治療に向き合えるようにサポートするのが、精神科の役割なのだと思います。

先生からお悩みの方にメッセージをお願いします。

濱田直之院長 小倉めんたるクリニック6

自分は駄目だ、できないんだと自己肯定感が下がってしまってから、来院されれる方が多いと感じています。でもそのできない原因には、医学的な疾患が隠れている。その点を明らかにし、治療していく。それで得られる変化こそが自己肯定感なんだと思います。患者さんお一人お一人で症状や治療法は違いますが、医学的な根拠があること、そしてそれを医師が客観的な目で変化を追って自己肯定感を高められるよう導くことが大事なのだと思います。薬を活用するのか、カウンセリングメインがいいのかなど、患者さんお一人お一人に応じた治療内容を考え、一緒に治療していきます。人生、生活のお手伝いをするのが私たちの役目。一人で抱え込まず、一緒により良いやり方を考えていきましょう。

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