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菅原 圭悟 院長の独自取材記事

菅原クリニック

(京都市下京区/京都駅)

最終更新日:2024/03/12

菅原圭悟院長 菅原クリニック main

京都駅から徒歩3分。医療施設が集まるビルの8階にある「菅原クリニック」は、豊富な経験を持つ菅原圭悟院長を中心に、訪れる患者の心の問題に向き合うクリニックだ。「精神科・心療内科と聞くとなんだかものすごい場所に行くような気がするかもしれませんが、決してそんなことはありません。私たちが診ているのはその人の心。決して怖い場所ではないんですよ」と話す。インスタントに薬を処方する診療ではなく、患者の心の声を聞くことに徹底的にこだわり、絡まった糸をほぐすように丁寧な診療を心がける菅原院長。まだまだ受診に抵抗を感じる人も多い精神科・心療内科のクリニックとはどんなところなのか?クリニックの特徴や診療内容と合わせて詳しく話を聞いた。

(取材日2024年2月7日)

実体はなくてもそこにある「心」を診る

まずはクリニックについて教えてください。

菅原圭悟院長 菅原クリニック1

当院は心の不調そのものや、心の不調を原因として起きる体の不調に対して治療を行う精神科・心療内科です。これまでの人生でなじみがない人は多いかもしれませんが、うつ病やひきこもり、不登校、不眠症、認知症などに悩んでいる人は多いと思います。多くの人がこれらの症状を「甘えている」「気合が足りない」などと誤解しますが、実はこれらは立派な病気・症状です。われわれのようなクリニックに相談すれば、治療して改善を図ることもできます。また、最近話題になることが多い発達障害や認知症に関する悩みも、精神科・心療内科の得意分野です。

開業までの経緯を聞かせてください。

京都大学医学部を卒業後、大学病院や地域の医療機関に勤務して研鑽を積んできました。子どもから大人までたくさんの人の診療に関わってきましたが、多くの人が自分を責め、頑張りすぎることで病気になっているように感じました。そういった人々に薬を処方することはもちろんですが、その人の人生の話を聞き、心の問題を解決できるように寄り添いたいという気持ちが大きくなり開業を決意しました。京都駅の近くに開業したのは、医療ビルをつくろうとしていたオーナーさんとご縁があったことももちろんですが、交通の便が良く、いろいろな地域から通いやすいと思ったからです。心の病気はプライバシーの保持が大切でもありますので、通院する人のプライバシーを守るといった意味でも、医療ビルの最上階という良い場所に開業できたのではないかと思います。

先生が精神医学の道に進もうと思ったのはなぜですか?

菅原圭悟院長 菅原クリニック2

いろいろな診療科での研修を通して、どの診療科も魅力的だと思いましたが、私にとって一番惹かれたのは精神医学でした。なぜなら心の問題には一つとして同じものがなく、心を診療をすることはその人の人生を追体験することだと感じたからです。精神科や心療内科は手術をすることはありませんし、エックス線やエコー検査で病気を目で見て確認することもできません。心という実体のない、しかし確実にそこに「ある」ものを見つめ、患者さんとともに癒やすことにつなげる。それはまるで、結末が隠された本を読み進めるような時間です。私にとってこれほどロマンチックでやりがいのある仕事はないと思い、今日に至っています。

予約なしで受診できる体制にこだわる

予約なしで受診できるそうですね。

菅原圭悟院長 菅原クリニック3

予約なしで受診できる体制は、私のこだわりです。もちろん予約制のほうが効率が良いのでしょうが、心の問題を抱えている時には予約が重圧になることもあるからです。例えばうつがひどい時期には、予約をしていてもその時間に元気に通院できるとは限りません。心身がつらくて予約をキャンセルしてしまうことになれば、それがまた患者さんの自己否定へとつながることもあります。当院は「気軽に受診できるクリニック」を理念としていますので、できるだけ予約なしでの診療を続けていきたいと考えています。ただし、当院の初診は、私たちにとっても患者さんにとっても一日仕事です。最近は受診される方が増えて、待ち時間がかなり長くなることも増えてしまったので心苦しいのですが、初診の方が多い場合は人数を制限させていただいています。

初診ではどのようなことをするのですか?

初診時には診療に先立って、1時間ほどのお悩みについての聞き取りと身体疾患を鑑別するための検査を行います。今現在のつらさをお伺いすることはもちろんですが、家庭環境や仕事、学校のことも含めて、これまでの人生についてのお話を詳しくお聞きします。ここで伺ったお話は個人情報ですから、適切かつ安全に取り扱うことを大切にしていますし、診療以外に使用することはありませんので安心してお話しください。当院はこの時間を大切にしていて、とにかくじっくりと時間をかけています。数時間かかることがほとんどですので、初診時には予定を空けて早めに来院していただけたらと思います。その後、私が診察をして治療方針を決定します。「お薬だけもらえればいい」と言われることもありますが、薬だけでは根本解決に至らないことが多いと考えています。

患者さんはどんな悩みで来院されるのでしょうか?

菅原圭悟院長 菅原クリニック4

統合失調症など重篤な患者さんは減少傾向にありますが、代わりに10〜30代の方のうつ病やひきこもり、不登校などの相談が増えています。また、大人、子ども問わず発達障害の相談も多いです。発達障害は生まれつきある脳の特性のようなもので、例えば、コミュニケーションが苦手、忘れっぽい、落ち着きがない、こだわりが強いなどの特性が強く発現することで日常生活に支障を来している状態を指します。症状には幅があるため、幼少期に気がつくこともあれば、大人になって初めて受診に至ることもあります。いろいろなパターンがありますので、一人で抱え込みすぎずに相談いただければと思います。

心の痛みを感じたら気軽に受診を

初めての受診には、ちょっと勇気が必要かもしれませんね。

菅原圭悟院長 菅原クリニック5

真面目で忍耐強い気質がある人ほど、心の痛みを我慢してしまうものなんですよね。私はよく患者さんにお話しするのですが、仕事や学校に行けない、何かに依存してしまう、悲しくて苦しくて仕方がない時に「おおげさ」「自分が弱いせいだ」と感じるのであれば、それはもう病気の症状が出ていると思うんですよ。病気なのだから、治療することで回復をめざすことができます。熱が出たら解熱剤を飲む、骨が折れたらギプスをしますよね。心の病気もそれと同じことです。心だって傷ができれば、見えないだけで痛いんです。その手当てをするところが心療内科であり精神科です。難しく考えず、皆さんがもっと気軽に受診できるクリニックでありたいなと思います。

診療の際、先生が大切にしていることはなんですか?

まずは国際基準の精神科医療を実践することをめざしています。エビデンスがしっかりした標準治療を軸にしています。また治療は患者さんの意思を尊重し、よく話し合ってお互いに理解した上で進めること。そして薬はなるべく少なく。特に依存性の高い薬は出さないようにしています。今はインターネットなどで薬についても調べることができるので、特定の薬の処方を患者さんから希望されることもありますが、もしそれが依存性の高い薬の場合には処方をお断りしています。またお薬を処方する場合には、定期的に検査を行って副作用についてもしっかりチェックしています。

それでは最後に、今後の展望や皆さんへのメッセージをお願いします。

菅原圭悟院長 菅原クリニック6

今後は精神医療をより身近に感じていただくために、講演会やセミナーといった活動もできたらなと思っています。また、SNSを通して健康な心の保ち方や不調になった時の回復のコツなどを『今日のヒント』として毎日発信しています。現代にはストレスが多く、心のトラブルはいつ起きても不思議ではないと思うのです。もし、一人で苦しくなった時には、気軽に私たちのもとへお越しいただければと思います。今感じている痛みを一緒にひもときながら、解決へと進んでいきましょう。

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