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倉田 さつき 院長の独自取材記事

くらたこどもクリニック

(松江市/松江駅)

最終更新日:2023/05/02

倉田さつき院長 くらたこどもクリニック main

松江市中心部の東朝日町にある「くらたこどもクリニック」。2008年の開院以来、院長の倉田さつき先生が、小児科・心療科・アレルギー科の治療にあたってきた。小児科は年齢にこだわらず、「ご本人さえ良ければ、何歳になられても受診いただけます」と倉田先生。また「近所のおせっかいなおばさん」を自称し、心療科では常勤の臨床心理士とともに専用の面談室で相談に乗るなど、子どもの心のケアにも注力する。そんな倉田先生に、子どもに対する思いや診療でのこだわり、今後について語ってもらった。

(取材日2023年3月15日)

健やかな成長を願い、地域の見守り役になれたら

印象的なロゴですね。どんな思いが込められていますか?

倉田さつき院長 くらたこどもクリニック1

こちらは島根大学の美術の先生が作ってくださったものです。小児科といえばピンクやイエローなど、パステル調の色が使われがちですが、あえて赤茶色の落ち着いたカラーになっています。デザインは線路をイメージしているのですが、輪っかの端が外側を向いているでしょう。そこがポイントで、これは閉じたサークルではなく、広い未来に向かって進んでいくという理念を表しています。島根県は四季の移ろいが暦どおりで、すてきな土地なのですが、若い人にとっては都会に比べて選択肢も限られ、少し物足りないかもしれません。ですがいいところもたくさんあるので、子どもたちには将来に向けて、島根の地で多くのことを経験してもらいたいというのが私の希望です。開業医として、そうしたこともお手伝いできればいいなと思っています。

小児科ですが、年齢にはとらわれていないそうですね。

小児科は一般的に、15歳までを対象としている施設が多いと思いますが、当クリニックは本人さえ良ければ何歳になってもご受診いただけます。予防接種だけでもいいですし、親と子の2世代が一緒に受診してくださっても構いません。世話焼きおばさんの立場からしたら、そんな風に気軽に相談に来ていただけるととてもうれしいですね。

女性医師の診療で、患者さんが安心することも多いのではないでしょうか。

倉田さつき院長 くらたこどもクリニック2

そうですね。ですがやはり人と人ですので、そこはやっぱり相性があると思います。特に私の物言いはストレートで、例えばお子さんの顔色が悪ければ悪いとはっきりいいますから。中には、それが気に入らないという保護者の方もいらっしゃるかもしれません。ですが、言うべきことはあまりオブラートに包まず、できるだけ正直な言葉でお伝えしていきたいと思っています。

子どもの心身に寄り添う、世話焼きおばさん的な存在に

子どもの心のケアと向き合うようになったきっかけを教えてください。

倉田さつき院長 くらたこどもクリニック3

小児科病棟で指導をしていた時に、3人きょうだいの末っ子さんが搬送されたことがありました。個室に入院し、ご両親が泊まり込みで面倒を見られていたのですが、しばらくして思ったんです。上の子どもたちはどうしているんだろうと。その後いろいろあって、そのきょうだいさんは一時不登校になってしまったそうです。そんなこともあって、次第に子どもの心のケアへと目が向くようになりました。また子どもたちと接していると、その様子から心配になることもあって。この子は学校でいじめられていないかなとか、先生に叱られていないかとか。だから、ちょっとおせっかいを焼きたくなったんですね。それでここを開院する時に臨床心理士を常勤で雇い、プロの手を借りて子どもたちの心にもちゃんと寄り添っていこうと決めたんです。

心療科を受診する際の流れを教えてください。

通常の診療は予約なしでいつでもご受診いただけますが、心の相談に関しては、十分にお話を伺いたいので完全予約とさせていただいています。初めての患者さんには、まずはホームページにある問診票に入力してお送りいただいています。その後、臨床心理士が折り返しお電話して確認をし、受診日の予約を入れていただくというかたちを取っています。こうした流れは、確かに面倒ではあるのですが、実は悪いことばかりでもないのです。例えば、初対面でうまくお話ができない方や、こんなことを相談しても大丈夫なのかなと迷っている人などにとっては、ワンクッション置くことで受診へのハードルが少し下がることもあるかと思います。ですので、気になることがあればまずは問診フォームからご相談ください。あと実際にお話を聞いてみると、お子さんより親御さんのほうが困っているケースもあります。そんなときは、親御さんのお悩みを伺うことが大切ですね。

ボランティア活動をされているとお聞きしました。

倉田さつき院長 くらたこどもクリニック4

はい。障がい児をきょうだいにもつ子どもたちのため、バス旅行など定期的にイベントを行っています。映画館やデパートに行ったことがない子や、ゆっくり買い物したことがない子などもいて、じゃああなたたちが主役になる日をつくろうということで始めました。保護者の方も障がい児がいると、どうしてもかかりきりになってしまいます。それは仕方がないことですが、そこで他の子どもが引け目を感じたり自分が悪いんだと思ったり、逆に自分だけは健康でいなきゃとか勉強を頑張らなきゃとか。そう思い込んでしまうことがないよう、「自分らしくしていて大丈夫だよ」とサポートをしたくて。私は、近所の世話焼きおばさん的な存在に徹しています。

ここは困った時の相談の場。遠慮せずに頼ってほしい

診察の際に心がけていることはありますか?

倉田さつき院長 くらたこどもクリニック5

なるべくお子さん自身にお話ししてもらうようにしています。「今日はどうしたの?」と子ども目線で聞き、お父さんお母さんが先に答えてしまうこともありますが、そんな時も「今のお話で合ってる?」と本人に聞き直すようにしています。保護者の方にとっては、「親の私が言っているのに……」と不服と感じられるかもしれません。ですが、ここでの診療に慣れている子どもは、きちんと自分の言葉で話をしてくれますし、たまにしか来ない子は保護者が答える傾向にあります。問診は大切な情報源です。もちろん親御さんのお話も重要ですが、熱があるとか頭が痛いとか、子どももちゃんと訴えてくれるので、やっぱり私はその発信力を大事にしたいと思っています。

他にアドバイスなどがあればお願いします。

とはいえ、ご自宅で頼りになるのは、やっぱり親御さんの洞察力や勘なんですよね。ですから、いつもと比べて様子が変だなと感じたら、すぐに受診してくださいねと私も日頃からお伝えしています。そうやって連れてこられた場合、お子さんも自分がどんな具合なのかうまく言葉にできないことがありますが、そんな時こそ私たちの出番です。今は情報過多で、それだけ選択肢もあふれているものの、やみくもにインターネットで検索したり、誰かに話を聞いたりして自己判断をするのは、なるべく控えていただきたいです。そして不安なことやわからないことがあれば、取り越し苦労かもしれないからと遠慮なさらず頼ってください。ここは、困った時の相談の場でもあるんですよ。

今後の展望や読者へメッセージをお願いします。

倉田さつき院長 くらたこどもクリニック6

私自身、何歳まで続けられるかという点がそろそろ気になるところです。体力的な問題もありますからね。そんなこともあり、今後クリニックをどうしていこうかという思いよりも、私ができる範囲で子どもたちに寄り添い、保護者の方々と一緒に地域の見守りおばさんみたいな存在になれたらいいかなと思っています。子どもは生まれてから入園や入学、卒業を繰り返し、節目ごとに変わっていくものなので、ここがその健やかな成長のための定点観測の場となれば本望ですね。ですから気軽に足をお運びください。お子さんが元気になるお手伝いをさせていただきます。そして最後に、性格的に私はどうしてもはっきりした口調となってしまいがちなので、ご容赦いただけたら幸いです。

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