きれいな歯並びと笑顔のために
口周りのトレーニング「MFT」

検診・治療前の素朴な疑問を聞きました！

Qお口のトレーニング（MFT）で歯並びは良くなりますか？

A

永久歯に生え替わるとき、歯は頬と舌の圧力のバランスに合わせた位置へと誘導されます。本来、しっかりお口を閉じて咀嚼運動を行うことで、頬と唇がきれいな丸い形に広がり、歯の土台となる顎骨の形も適切に成長拡大していきます。しかし現代人の食生活環境では、咀嚼運動の回数も減少傾向にあり、アレルギー性鼻炎などで口呼吸が癖になっていると、本来期待される成長変化が得られません。また、成長期はお顔全体が大きくなりながら歯も動くので、指しゃぶりや唇を噛むことが習癖になっていると、歯の位置は簡単に悪い方向に変化してしまいます。MFTは「良くするため」というよりは、こうした「悪くなる原因を減らすためのもの」なのです。

Q大人にMFTは必要ありませんか？

A

矯正治療の説明でよく用いられる「機能と形態」という観点から見ると、お口の閉じ具合や習癖などの「機能」とバランスを取るために、凸凹の歯並びや出っ歯の噛み合わせという「形態」がつくられることになります。ですから、矯正で歯を動かす力よりも習癖の力が強い場合、「形態」の改善がうまく進みません。そのため、大人の方でもMFTで習癖の改善を図ってから、装置による治療に移行したほうが効率が良い場合があります。また、矯正後にMFTで適切な咀嚼・呼吸・発音の仕方などを体に学習させ「形態」に合わせた「機能」が獲得できれば、口唇の形や表情の動きなどの改善が見込まれるので、大人の方にもお勧めしています。

QMFTにデメリットはありますか？

A

MFTは、本来であれば通常の社会生活で獲得されるはずだったお口の機能を回復するためのもの。学校での音読、ピアニカやリコーダーを吹くことだってMFTに似たお口のトレーニングです。ですから強い飲み薬のような「副作用」はありませんが、「万能薬」でもありません。また、MFTで歯列の成長拡大を促しても、お顔全体が巨大化することはありませんので、個々の歯が大きい場合は永久歯を抜き、歯を並べ直す本格的な矯正治療が必要となる方も。お子さんがMFTに取り組む場合、ご家族の方のサポートが重要ですが、「きちんとやれば、矯正しなくて済む」というのは誤解ですので、過剰な期待をお持ちにならないように注意してください。

検診・治療START！ステップで紹介します

1カルテ作成と初診相談

まず、カルテ作成のための来院が必要。電話予約し、当日の持ち物や感染症対策への協力などについて説明を受ける。カルテ作成は保護者のみでもできるため、状況に応じて必要最小人数で来院を。カルテ作成後に初診相談の予約を取る。初診相談では顔貌と口腔内を撮影し、プリントアウトした写真を参考にカウンセリング。同院ではカルテ作成時に習慣状況を把握するためのアンケートを渡すので、記入の上、忘れずに持参しよう。

2精密検査で状況確認

初診相談では早めの矯正治療やMFTが必要なのか、成長観察を行ってタイミングを待つのが良いのかといった内容が説明される。説明で使用した口腔内などの写真を持ち帰り、家族とも相談して、矯正治療を希望する場合は精密検査を電話予約。相談時にはわからなかった歯や顎骨の異常、著しい気道狭窄などが判明することも。同院では検査資料を診断説明書と一緒に貸し出しているので、準備のため結果説明は1ヵ月後が目安となる。

3診断説明・治療開始

「いつ・どこで・どのように」治療を進めると効率が良いのかを、学校や仕事などの生活状況を含めて話を聞き、治療方針を確定する。本人や家族が納得したらいよいよ治療開始。大人でも子どもでも、歯並びに問題があれば多少の悪習癖が伴うが、習癖が大きな問題の場合は装置で歯を動かしても、癖で戻ってしまうことが繰り返され、治療が進まないことも。そのような場合はMFTの役割がたいへん重要となる。

4MFTは治療進度や個性に応じて

一つ一つのトレーニングは簡単で、集中力が持つように数分で終わるが毎日繰り返すことがとても重要だ。できるようになってきたら回数を増やしたり、他のトレーニングも追加して新しい口の使い方を学び、結果として悪習癖が排除されていく。癖はわざとではないので「やめようね」と声かけだけでは改善しないことも。そういった場合に用いるシリコン樹脂マウスピースなどは、本人の負担が少なく習癖除去にも役立つそうだ。

5普段からの意識やトレーニングで自然な笑顔に

普段から姿勢が悪いと歯並びにも影響するので、同院では膝立ちでの呼吸トレーニングなどでも姿勢改善を図るという。半年～1年と続けていくことで普段の様子も変化してくる。一人ひとりの骨格に合わせ「機能と形態」が両立するバランスの取れた歯並びをめざすと、笑顔が自然に整っていくという。治療後も姿勢やトレーニングのことを時々思い出して実践してほしいとのこと。