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梅岡 比俊 理事長の独自取材記事

梅岡耳鼻咽喉科クリニック

(西宮市/苦楽園口駅)

最終更新日:2021/10/12

梅岡比俊理事長 梅岡耳鼻咽喉科クリニック main

苦楽園にある「梅岡耳鼻咽喉科クリニック」は、阪神エリアに5院の耳鼻科と小児科を運営する「梅華会グループ」の1つ。理事長兼院長を務める梅岡比俊先生は、スタッフの主体性を引き出し、一人ひとりが積極的に取り組む医療サービスを実践している。組織の価値を高め、さらには同じ思いをもった医師が協力し合うことで、日本の医療を変えることも不可能ではないと話す。取材では、医療理念やクリニック経営に対する梅岡先生の考えを語ってもらった。

(取材日2017年10月23日)

医療に欠かせないのは、思いやりの気持ち

梅華会グループについてご説明ください。

梅岡比俊理事長 梅岡耳鼻咽喉科クリニック1

私が理事長を務める「梅華会グループ」は阪神エリアを拠点に、西宮(苦楽園、武庫之荘、阪神西宮駅前)、芦屋、神戸市東灘区で、耳鼻科と小児科の5つのクリニックを運営する医療法人です。2008年に初めて「梅岡耳鼻咽喉科クリニック」を開業する際、最初は人が集まるエリアを中心に物件を探していました。実は難波で開院することが決まっていたのですが、「何かが違う」と感じたのです。患者さんが来るか来ないかを基準で選んだ場所で診療して、自分は気持ち良く働けるだろうか? 地域に貢献したいと思える場所を選ぶべきではないか? 自分が本当にやりたいことは何かを考え直し、幼少期を過ごしたなじみのある西宮で開業することにしました。

グループの医療理念はどのようなものですか?

患者さんのニーズを察知して、期待に応える価値ある医療サービスを提供することが私たちの目標です。患者さんの満足度を満たすには、同じサービスを繰り返していてはだめで、期待を超えるものでなければなりません。最近は、患者さんもインターネットで検索していろんな治療方法をご存知で、中には「こういった治療を受けたい」と希望を言われることもありますが、対応できることはもちろん、他にも新しい治療方法があれば提示して、数ある選択肢の中から患者さんに合った治療を提供できるよう、常に新しい技術の習得や医療機器の導入は欠かさないようにしています。ですが、良質の医療を提供するためには、技術更新よりももっと大切なことがあります。

良質な医療に欠かせないものとは?

梅岡比俊理事長 梅岡耳鼻咽喉科クリニック2

医師、看護師、受付スタッフほか、医療に従事する者になくてはならないのは、病気で悩まれている患者さんの心情に共感する“思いやり”です。とくに耳鼻科は五感のうち、聴覚、味覚、嗅覚の3つを扱います。聞こえない、味がしない、臭いがしないといったつらさは、本人にしかわからないものですが、患者さんの気持ちになってそのつらさを理解しようとする思いやりを持って、私たちは医療に従事しています。また、病気に苦しむ患者さんを「元気にしたい」という思考が自然に沸いてこなければ、クリニックで仕事をしても楽しくないはずです。気持ちは表に出さないと相手に伝わりませんから、スタッフ全員が元気なあいさつ、笑顔、礼儀を忘れずに接することで、ポジティブなエネルギーを患者さんに届けるようにしています。

患者に、スタッフに、地域に。みんなを幸せにする医療

医療にとって「人」が大切なんですね。

梅岡比俊理事長 梅岡耳鼻咽喉科クリニック3

当グループの特徴は、スタッフが主体となって診療が動いていることです。何か問題が発生した際、以前ならすべて私からの指示で動いていましたが、今はスタッフが個々に解決策を考え、相談し合って行動しています。ただ、最初からそうだったわけではありません。はじめは「自分で考えてみて」と言っても、「わからない」「自信がない」と返ってくるだけ。相手を信じて仕事を任すことは、簡単そうに見えて難しいことだと実感しました。焦らず時間をかけてマネジメントしていき、スタッフ全員がビジョンを共有することで、現在62名のスタッフが働いていますが、一人ひとりが「どうすればもっとクリニックが良くなるか」を考え、いろんなアイデアを提案するまでに成長しました。スタッフに主体性があり仕事に前向きだと、院内が活気づくだけでなく、私も院長にしかできない仕事に集中でき助かっています。

診療だけでなく、クリニック経営もまた院長にしかできない仕事ですね。

当グループでは、スタッフ全員が朝礼で理念を唱和し、自分たちの考えを発表する場を設けています。会社みたいですが、スタッフの育成、組織づくり、経理などに関し、私は成功されている企業の事例をクリニック経営に取り入れています。このようなお話をすると、お金儲けの話と思われがちですが、開業医は医師であるのと同時に経営者でもあります。院長に高度な技術と熱意があっても経営状態が悪く、優秀なスタッフがいなければクリニック診療は成り立ちません。「経営」の語源は、「関わる人すべてを幸せにすること」とも言われています。そして、私がめざす経営の目的もまた、患者さんに価値ある医療を提供し、スタッフが夢をもって楽しく働け、みんなを幸せにすることです。私は、経営に医療も企業も関係ないと考えていて、むしろ経営学を学ばずにクリニックを開業する方が無謀だと思っています。

そこで開業医に向けた院内見学ツアーを始められたのですね。

梅岡比俊理事長 梅岡耳鼻咽喉科クリニック4

今でこそグループ全体で、年間10万人以上の患者さんが来院されますが、開業当初は山あり谷ありの連続でした。患者さんが少ない、スタッフが育たない、経営上の問題など、たくさんの壁にぶち当たりましたが、周りの人たちに助けられながら1つ1つ乗り越えていきました。院内見学ツアーを始めたのは、自分の経験や取り組みを伝えることで、開業をめざす医師たちの力になれるのではないかと考えたからです。当グループでは、各分院のドクターが診療に専念できるよう、採用やマーケティングは開発部門に所属する専門のスタッフが行っています。見学ツアーではクリニックで働く現場の様子を見学できるだけでなく、当院の経営モデルや開業に必要なノウハウも学ぶことができます。院内見学と言えば、中学生の職業体験も、社会貢献の一環として毎年受け入れています。白衣を着て医療現場を体験してみたことで、医師をめざす子がいたらうれしいですね。

一人では限界があるが、組織で挑めば可能性は広がる

チャレンジ精神旺盛な性格は昔からですか? 

梅岡比俊理事長 梅岡耳鼻咽喉科クリニック5

小さい頃からいろんなことに興味があり、本気でプロ野球選手や警察官になりたいと思いましたし、進路を決める際は医学部と工学部ですごく悩みました。学生時代はバックパック1つ背負っていろいろな国を回り、マラソンやトライアスロンのトレーニングは継続中です。今は、経営学が学べば学ぶほどおもしろいですね。医師の多くは診療だけに集中したいと思いますが、私は医学も経済学もどちらも好きで、医師としても、法人としても、個人としてもチャレンジしたいと思っています。そう言えば、中学生の頃は、作家になりたくて小説を書いていた時期もありましたが、母親に読まれてしまったのが恥ずかしくて諦めました。ですが、クリニック経営に関する著書を4冊出版し、子どもの頃の夢が実現したのと同時に、自分の考えに共感してくれる仲間にも出会うことができました。

系列医院を運営する構想は当初からあったのですか?

苦楽園に開業した当初は、地域に貢献できる医療をめざしたいという、漠然とした理想しかありませんでした。耳鼻科でグループ医院を運営するのは無理だろうと決めつけていましたが、よく考えたら歯科では1つの医院に複数の歯科医師が勤務していて、系列医院を運営している法人がたくさんあります。いろんな方からアドバイスをもらううちに、同じことが耳鼻科にできないはずはないと思うようになったのです。系列医院の利点は、同じ科の医師同士が情報交換でき、研鑽につながることです。またカルテが共有できるため、患者さんはいつものクリニックが休診の時は、他分院で診療を受けることができます。クリニックが増えればその分雇用が増え、地域貢献にもつながります。系列医院を運営することで、医師、患者、地域それぞれにメリットがあるのです。

今後の展望をお聞かせください。

梅岡比俊理事長 梅岡耳鼻咽喉科クリニック6

日本には開業クリニックが16万院あると言われています。今はまだ5院の小さなグループですが、当グループがモデル医院となって、日本の医療を変えたいと真剣に考えています。1人では限界があっても、同じ志しを持った開業医が力を合わせて組織で動けば、日本の医療はもっと良くなり、それが患者さんの幸せにつながるはずです。これからも日々の診療で信用と信頼を積み重ねていきながら、医師同士のコミュニティを築き、日本の医療を明るくしていきたいです。

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