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金 孝一 院長の独自取材記事

えんぴつ公園こどもクリニック

(市川市/南行徳駅)

最終更新日:2023/09/01

金孝一院長 えんぴつ公園こどもクリニック main

東京メトロ東西線の南行徳駅から歩いて1~2分ほど、通りに面したガラス張りのエントランスの建物が「えんぴつ公園こどもクリニック」だ。一見すると保育園や幼稚園のような印象で、プレイルームには木のぬくもりが漂う。院長の金孝一(キム・ヒョイル)先生は、クリニックの雰囲気同様、優しく穏やかな口調が印象的。近隣エリアの子を持つ親のよりどころになっているそう。控えめでありながら小児科の医師としてあるべき姿をしっかりと体現する姿勢が感じられる。院長自身がカバに似ているということから、クリニックのキャラクターにカバを採用し、子どもたちからも「カバ先生」「えんぴつ先生」と呼ばれて親しまれている。取材では、金院長が診療する上で大事にしていることや、力を入れているという乳児健診の内容などについて聞いた。

(取材日2023年7月21日)

一人ひとり時間をかけて丁寧な診察を

小児科の医師をめざしたきっかけをお伺いできますか?

金孝一院長 えんぴつ公園こどもクリニック1

大層なエピソードはないのですが、子どもが持つ「絶対に生きる」という意識に応えたいと思ったからです。生まれたばかりの赤ちゃんがオギャーと泣くのは、生きようとしているから。赤ちゃんが「自分なんか生きていないほうがいい」なんてことは、絶対に言いませんよね。実際に小児医療の現場では彼らの持つ強い生命力を常に感じられますし、人としても診療上でもそれに救われます。また、生きていく上ではさまざまな診療科の医師にかかることになりますが、人によってはまったく関わらないまま終える診療科もあるでしょう。小児科医は生まれた時から大人になるまでの子どもたち全員が対象ですので、すべての人に必要とされる仕事であるとも考えました。

開業の地に南行徳を選ばれた理由を教えてください。

金孝一院長 えんぴつ公園こどもクリニック2

私は順天堂大学出身なのですが、大学卒業後に順天堂浦安病院で勤務しその後も浦安・市川市民病院と、浦安・行徳地域でずっと新生児・小児科の医師を務めてきました。本来医師はあらゆる地域で勤務する事が通常なので、私のように一つの地域に留まっているのは珍しいです。おかげで生まれた時から拝見させてもらっている患者さんとも長くお付き合いがあったり、地域の特性もある程度理解できていますので患者さんとの接点も持ちやすかったりします。勤務医時代には「開業するなら近所にしてくださいね」と多くの患者さんから声をかけてもらったこともあって、この地域を選びました。

スタッフが主役となり乳児健診にも注力

こちらのクリニックでは乳児健診に力を入れていると伺っております。

金孝一院長 えんぴつ公園こどもクリニック3

育児は授乳から始まり離乳食やトイレトレーニングなどめまぐるしく、その分悩みも尽きません。当院ではまずじっくり親御さんからお困りのことや不安に思うことをお伺いし、それをスタッフから私に伝えてもらって私の診察が始まります。診察中はスタッフにお子さんと遊んでもらうのですが、この遊びはその子の月齢に合わせたものを行います。これによりスタッフと私が健診中にお子さんの発達の進み具合を把握でき、親御さんにもご確認いただけるようにしています。健診後のインタビューでは、スタッフがお子さんと関わる中でできていたことを一緒に確認していき、お子さんの成長ぶりを実感していただきます。さらには医師と話してみて伝えきれなったことなどがあれば伺い、不安を残したままお帰りいただくことがないよう努めています。全体で1時間に及ぶ健診なので同じスタッフが付き添うことでコミュニケーションをスムーズに行えるように配慮しています。

スタッフさんが幅広く活躍されているクリニックなのですね。

当院の主役はスタッフです。医療行為で資格を要するものはその者が行いますが、それ以外のことは全員で共有しています。乳児健診は子どもの育ち具合を診る健診ですので、子どもの発達についての医学的な知識が必要です。医学書や保育の専門書を読んだり、体が大きくなっているかどうかをグラフに乗せて把握しなくてはなりません。また、親御さんから漫然とお話を聴くのではお悩みや不安に思うことをお聞きすることはできません。そこには傾聴などのインタビュースキルが必要とされます。そこでインタビュースキルの専門書や講師の方をお呼びして直接アドバイスをいただき多くのことを学びました。はじめは医学書を開くのもぎごちなく、一対一でお話を聞くのも難しかったのですが、努力を重ねるにつれ少しづつ自信もつき、さらには小児医療の勉強会で、クリニックみんなで行っている乳児健診のことを他のクリニックの皆さんの前で発表するにまで至りました。

そのほかにも、乳児健診の特色としてどういったものがありますか。

金孝一院長 えんぴつ公園こどもクリニック4

子どもが6ヵ月になると離乳食のことが大きな話題になります。離乳食はちまたでも膨大な情報量があり、初めての親御さんには悩みの種です。何を、どれだけ、どんな形で、といっただけでも悩ましく、さらにはお子さんが食べてくれるのかどうか、ましてや最近では誤飲の事故も聞かれ、食物アレルギーのことも不安になります。医師として私がお話しできることに限界がありますし、ほかの乳児健診と同様にスタッフがお話を聞いているだけではなかなか離乳食の悩みは解消しません。そこで、みんなで勉強会を重ね、試食会などを開き知識や経験を共有しました。それにより当院では「子どもが食に興味を持って楽しく食べる」をテーマに離乳食のアドバイスを行っています。具体的には食べる時の環境やつかみ食べなどのお話もします。自宅でお子さんが食事をする姿を動画で撮ってきてもらい、一緒に拝見することでその子に合ったよりこまやかなアドバイスも行いますよ。

これからもホッとして家路につける診療をめざして

診療する上で大事にしていることがあれば教えてください。

金孝一院長 えんぴつ公園こどもクリニック5

診療方針にも掲げていますが、大事なのは「ホッとして家路につける診療」でしょうか。診察や薬の処方に終始せず、ホームドクターとして患者さんや親御さんの不安や疑問にもきちんと寄り添うことを大切にしています。新型コロナウイルス感染症の流行を経て、オンライン診療も増えてきましたし、この2~3年で診療形態もだいぶ変わってきました。ちまたでは子どもにまつわる多くの病気が取りざたされ、どのタイミングで、どんな検査をして、どんな薬を飲んだらいいのか不安に感じられることも多いでしょう。ただその中でも当院が大事にしていることは、やはり人と人だと思っています。いっぱいの検査やお薬などの「数を持って制する医療」よりも適切な診察と丁寧にお話しすることが患者さんの安心につながればと思っています。「よくわかりました」とか「安心しました」と言っていただけるように努めています。

地域医療に貢献するために重要なことは何でしょうか。

今は大規模病院と地域の診療所は明確に区分されていると思います。昔のように風邪でもなんでも病院という時代ではありません。地域の診療所は皆さんの日常に寄り添いご相談に乗るのが務めだと思っています。子どもの場合は病気にかかわらず衣・食・住に至るまで親御さんのお悩みは多岐にわたり、インターネットなどからの膨大な情報量から適切なものを取捨選択するのは容易ではありません。「どんな時に来院したらいいですか?」というご質問をよく受けます。「親御さんが不安や疑問に思ったらいつでも」とお答えしています。当院を受診するのに軽症であることや専門外といったことは問題ではありません。身近にあって、それが不要不急に思えても「ちょっと聞いてみよう」と思ってもらえることが大事だと思っています。そうした中で時にさらなる専門性を持った医療を要すると思われた際には迅速に病院へとつなぐのも地域医療の重要な役割ではないでしょうか。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

金孝一院長 えんぴつ公園こどもクリニック6

子どもを授かると誰もが理想とする育児を思い描き、それを成し遂げようと努力するのだと思います。でも、実際は思いもかけないことばかりで、時に、うまくいかずに落ち込むことも少なくありません。そんなときは決して一人で抱え込まず、誰かと分かち合えたらと思います。それは家族であったり、友人であったりもするでしょう。そして、そこに私たちも仲間に入れてもらえたら、うれしいですね。私たちは皆さんの傍らでお話を聞き、皆さんの育児に寄り添えればと願っています。お悩みや困ったことがありましたら、ぜひ当院までご相談ください。

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