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中村 公彦 院長の独自取材記事

医療法人天の川レディースクリニック

(交野市/交野市駅)

最終更新日:2023/04/14

中村公彦院長 医療法人天の川レディースクリニック main

「医療法人天の川レディースクリニック」は、不妊症治療を中心に女性の各ライフステージを支えるクリニックとして2005年に開業。2015年に京阪交野線の交野市駅徒歩約3分の地に移転リニューアルし、現在に至る。不妊症に対してはタイミング療法など一般的な治療から生殖補助医療、手術治療はもちろん、専属のカウンセラーによるカウンセリングなど女性の精神的なサポートも行う。中村公彦院長は男性原因の不妊にも着目し、受診には男性の精液検査を必須としているという。近隣の産科・婦人科などとも連携しながら、結婚前の婦人科検診、妊娠・出産・育児、更年期障害治療まで、トータルの医療提供をめざす中村院長に話を聞いた。

(取材日2019年11月15日)

治療期間を明確化、一貫性を大切にした医療を提供

まずは開業までの経緯を教えてください。

中村公彦院長 医療法人天の川レディースクリニック1

2005年に枚方市内で開業し、手狭になったため2015年に現在の地に移転しました。2020年には、北河内地区の不妊診療の充実のため、医療法人天の川レディースクリニックひらかた院も設立しました。もともと私は総合病院で婦人科の内視鏡手術、体外受精をはじめとする生殖医療、そして分娩の当直までやっており非常に多忙でした。そのため採卵が完了したと思ったら他の業務で呼ばれるなど、生殖医療に一貫して取り組むことができない場面も。「すべてが中途半端になってしまっている……」と感じ、開業を決意したのです。開業後は、すべての知識が生殖医療のために必要不可欠なものであると心から実感しています。例えば超音波での子宮・卵巣の検査は、内診・子宮卵管造影・MRI検査などが結びつき、骨盤の中の解剖学的な構造を立体的にとらえる診断につながるんです。生殖医療に携わるには、産科・婦人科領域のすべての経験が必要だと考えています。

クリニックの特色、治療方針について教えてください。

現在はドクター3人体制で診療を行っておりますが、生殖医療を専門としているのは私1人です。その理由は、生殖医療は検査・診断、治療方針の決定、そして妊娠という結果を出すまで、一貫性を持って同じドクターが診ることが重要で、患者さんのメリットにつながると考えているからです。不妊診療は「出口の見えないトンネル」とも言われ、「どこまで、何をやるのか」と、皆さん不安を感じていらっしゃいます。ですから、当院ではまずきちんと検査を行い、現状をしっかりと理解してもらえるように説明し、その上で治療方針を立てているんです。最も重要なのがその期間。治療方針が定まれば、まず6ヵ月から8ヵ月は継続するのですが、その期間を明確にお伝えすることで目標を持って取り組めるでしょう。

特に力を入れていることは何でしょうか?

中村公彦院長 医療法人天の川レディースクリニック2

患者さんそれぞれに合わせた妊活のための体作りを、栄養学の視点を取り入れながらサポートすることに注力しています。健康診断で問題がなくても、生化学データを詳細に解析すると何らかの問題点が見つかることが多いんですよ。当院では見つかった問題点を調べて、栄養面からアプローチしています。また、生殖医療に特化しているからといって、妊娠したらすぐに産科へ誘導したり、妊娠・出産が原因でうつ病になったらとりあえず精神科や心療内科の受診を勧めたりはしないようにしています。出産して育児を始めるまでサポートするのが私たちの役目だと思っているからです。妊娠前から貧血気味の方は妊娠後も重い貧血で悩むことが多いので、妊活中から体調のベースを少しでも高められるように栄養学的なアドバイスを。産後のノイローゼは、ビタミンDや鉄分など、人間にとって大切な栄養素の欠落も関係していると考え、当院ではその面から改善を図っています。

「笑顔で卒業」をめざし、患者が納得できる不妊診療を

2022年4月から、一部の不妊診療が新たに保険適用になりましたね。

中村公彦院長 医療法人天の川レディースクリニック3

2022年4月に、人工授精などの一般不妊診療、体外受精・顕微鏡受精などの生殖補助医療、不育症についての保険適用が拡大されました。経済的な理由で諦めていた方も、不妊診療に挑戦しやすくなったのではないでしょうか。ただ、年齢や治療回数などに制限があるので、少し不便に感じることがあるかもしれません。当院では保険適用後も変わらず、患者さんが本当に納得できる治療の提供をめざしています。その実現のために、厚生労働省が認める、保険診療と併用可能な自費診療である先進医療は、すべて実施できるような体制づくりに努めています。今まで以上に患者さん一人ひとりに寄り添った、きめ細かな治療計画を提案させていただいています。

不妊診療は大変な分、やりがいや喜びも大きいのではないでしょうか。

そうですね。不妊診療は結果を出さなければならない医療なので大変です。しかも、同じ医療を同じやり方で提供し続けていては、その結果を高いところでキープすることは不可能だと思っています。ですから、勉強会などへの参加などで日々アップツーデートして、先進の知識・技術・器具を取り入れていかなければならない大変さもありますね。ただその苦労の分、にこやかな顔で当院を「卒業」していく姿を見られる喜びはとても大きいです。逆に言えば、そこにしか私たちのゴールはありません。

妊娠・出産は本当に奇跡の連続なんですね。

中村公彦院長 医療法人天の川レディースクリニック4

妊娠されても、残念ながら全員が無事出産できているかというとそうではなく、悲しい出来事もあります。卒業した患者さんから泣きながら電話が来たり、メールで報告いただいたりすることもあるんです。だからこそ一貫性をもってやらなくてはいけない仕事なんだ、と強く実感しています。しかし私どもは不妊診療クリニックですから、夜間診療や入院施設などがありません。ですから、緊急事態に対応できるように、周囲の産科との密な連携が非常に大切になってきます。このような体制で患者さんに寄り添い、地域医療を担うクリニックとして安心感を提供できるシステムの構築が必要でしょう。これからの課題だと考えています。

男性こそ自覚を。「リプロダクティブヘルス」を推進

メンタルの部分も、妊娠・出産に影響を及ぼすのでしょうか。

中村公彦院長 医療法人天の川レディースクリニック5

とても重要な部分です。そこで当院では開業時から、不妊症について専門的に研鑽を積んだカウンセラーを配置しています。3階に設けたカウンセリングルームで、現在まで多数のカウンセリングを行ってきました。実施した治療で残念ながら授からなかったとしても、カウンセリングで前向きになってくだされば次の治療へと進むことができるので、私たち医師もとても頼りにしています。近年「不妊看護」というものが非常に注目され、その意識を保ち患者さんとどう接するかをカンファレンス形式で常にアップツーデートしています。また、体外受精を検討、もしくは実際に取り組んでいらっしゃる方のご希望があれば、培養士によるカウンセリングでより専門的な話をさせていただく機会も設けてあるんですよ。

男性不妊の外来について教えてください。

私が生殖医療に専門的に携わり始めた時は、男性不妊がここまで増えると思っていませんでしたが、現在不妊原因の半分以上が男性側と言われています。生殖能力に問題があるという事実は周囲が思う以上に傷つくものですが、男性にこそこのことを知っておいていただきたい、そして男性こそ「まずは自分が」という意識を持っていただきたいです。当院の不妊診療は男性の精液検査を必須としており。これを拒否される方は診療をお断りする場合もあります。精液検査結果が出た後は、ご希望に応じてご本人あるいはご夫婦にしっかりと時間を取ってご説明。現在は月1回、関西医科大学の男性不妊を専門とする医師にも外来を担当してもらっています。

不妊診療を考えている方に、メッセージをお願いします。

中村公彦院長 医療法人天の川レディースクリニック6

結婚前から性と生殖に関する健康「リプロダクティブヘルス」への意識を男女ともに持ってもらいたいです。当院には婦人科の女性医師も在籍しており、妊娠・出産するために、自分の体の状況を早めに把握し理解を深められるよう、その啓発活動も含めて大事にしております。また、いきなり不妊診療を始めるのではなく、あらかじめ「婦人科検診」を受けていただければ、不妊クリニックを受診するハードルも低くなるのではないでしょうか。また、更年期障害などを専門とする医師もいるので、女性のライフステージをトータル的に診ることが可能です。妊娠前から健康を保ち、良い状態で産科にバトンタッチできたら良いですね。「ブライダルチェック」も実施しているので、ご希望であればお声がけください。

自由診療費用の目安

自由診療とは

体外受精/19万円~、ブライダルチェック/男性:1万6000円~ 女性:2万8000円~、婦人科検診(子宮頸がん検診)/5000円~、精液検査/2500円

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