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新薬の登場で治療の選択肢が増加
生活スタイルに応じた糖尿病治療

内科小久保医院

(世田谷区/松陰神社前駅)

最終更新日:2024/03/15

内科小久保医院 新薬の登場で治療の選択肢が増加 生活スタイルに応じた糖尿病治療 内科小久保医院 新薬の登場で治療の選択肢が増加 生活スタイルに応じた糖尿病治療
  • 保険診療

三大生活習慣病の一つとして知られ、日本人の5~6人に1人が罹患しているといわれる糖尿病。脳梗塞や心筋梗塞などの合併症を引き起こす疾患でありながら、緩やかに進行して初期にはほとんど自覚症状がないことなどから、そうしたリスクに対する実感を持てない人も多いのではないだろうか。「糖尿病によって全身の血管が痛んでいる状態が長く続くと、心臓や腎臓の状態を確実に悪化させます」と話すのは、長年糖尿病治療を専門に手がけてきた「内科小久保医院」副院長の小久保麻子先生。糖尿病がもたらすリスクと、近年著しい治療法の進展、栄養指導の在り方などについて、インタビューで詳しく解説してもらった。

(取材日2024年2月14日)

糖尿病の治療はいわば「長距離走」。今の頑張りが将来の心筋梗塞や脳梗塞の予防につながると意識してほしい

Q糖尿病とはどんな疾患なのでしょうか?
A
内科小久保医院 初診時には血圧などの数値を計る

▲初診時には血圧などの数値を計る

一般には糖尿病は「血糖値が高い」というイメージが先行していますが、その血糖値が高い状態が続くことによって全身の血管を痛めてしまう疾患です。血管が痛むと動脈硬化が進行して、脳梗塞や心筋梗塞、狭心症といった命にも関わるような疾患を引き起こします。また、血管の炎症により特徴的な三大合併症を来す可能性も。三大合併症とは、足のしびれや胃腸障害などの糖尿病神経障害、視力低下や失明を来す糖尿病網膜症、進行すると透析に至る糖尿病腎症の3つです。他にも認知症との関連もありますし、歯周病やがんになりやすいことも。このようなことから糖尿病は決して軽視してはいけない病気なのだと理解していただけると思います。

Q糖尿病の治療法の進歩が近年著しいと伺いました。
A
内科小久保医院 糖尿病の治療に注力する内科小久保医院

▲糖尿病の治療に注力する内科小久保医院

そうですね。ここ10年ほどの間に、治療薬の進歩がめざましく、食欲の抑制を図り体重減少をめざすのに有用な週1回の注射薬や内服薬も登場しています。なかなか食欲を抑えられず、罪悪感にさいなまれながら治療を続けてきた方も、こうした注射薬を使用することによって楽に食事制限ができるようになることが望めるようになるなど、患者さんご本人の病態だけでなく、経済面、ライフスタイルによりフィットした形で、無理なく治療を続けられるような選択肢が広がっています。

Qこちらでは実際にどのような検査・治療を行っていますか?
A
内科小久保医院 インスリン注射の打ち方についても丁寧に指導する

▲インスリン注射の打ち方についても丁寧に指導する

血液検査と尿検査のほか、虚血性心疾患や心不全のチェックのため最低年1回の心電図や胸部レントゲン検査を、すい臓疾患や脂肪肝のチェックのために腹部超音波検査、数年ごとに動脈硬化の評価のために血管年齢検査、頸動脈硬化検査を行います。また、必要に応じて、外部施設でCTやMRI撮影を受けてもらうこともあります。患者さんの毎日の食生活や生活リズム、運動習慣の有無などを丁寧にヒアリングして、栄養指導や運動に関するアドバイスを併せて行います。食事や運動と並行して、その方の病態に合った投薬を行うのが糖尿病治療の基本スタイルです。血糖測定装置も導入しています。

Q管理栄養士によるアドバイスも受けられるそうですね。
A
内科小久保医院 必要な検査があれば、患者の状態をチェックして実施

▲必要な検査があれば、患者の状態をチェックして実施

当院では月に3回、管理栄養士と対面で栄養指導を受けられる日を設けています。加えて、仕事の都合等で来院が難しい方のために、朝8時半から夜10時までの好きな時間帯にオンラインで栄養指導を受けられるシステムも取り入れています。食事は自炊の方、外食が多い方などさまざまですし、近頃は物価高騰で野菜の値段も高く、経済的な事情も考慮すると、理想どおりにいくものではありません。ですから、「夜遅い時間に食べる場合は炭水化物を控えめに」「野菜とたんぱく質を多めに取ることを意識して」など、最低限守ってほしいルールをお伝えしつつ、「今より良い食生活」を基準に話を進めるようにしています。

Q糖尿病治療を進める際、先生が大切にされていることは何ですか?
A
内科小久保医院 患者の生活背景にも配慮した二人三脚の治療を

▲患者の生活背景にも配慮した二人三脚の治療を

日々の積み重ねが現れる疾患ですから、血液検査や尿検査で出る数値も波があって当然です。お盆の時期や年末年始など身内の集まりや宴会が増えて、食生活が乱れてしまうこともあるでしょう。そんな中、「あれも食べちゃ駄目、これも駄目」と駄目出しばかりでは患者さんの心が折れてしまいます。一時的に乱れてしまった食生活も、元に戻せれば問題ありません。特に年配の方が長年続けてきた生活習慣を変えることは至難の業ですが、取り組んでみて血液検査の数値が改善し始めれば、おのずとやる気も出てくるものでしょう。例えるなら、「長距離走の伴走者」のようなスタンスで焦らずじっくりとフォローさせていただきたいと思っています。

ドクターからのメッセージ

小久保 麻子副院長

糖尿病の患者さんに意識していただきたいのは、一回一回の検査の数値よりもむしろ、この病気がどうなっていくのかという展望です。10年後、20年後のご自身の体がどうなっていることを望むのか、長いスパンで健康状態を理解していただきたいと考えて、日々の診療にあたっています。今頑張って取り組んでいる食事制限が将来の心筋梗塞や脳梗塞、網膜症、腎不全などを防ぐことにつながり得るとわかれば、治療に対するモチベーションも変わってきます。糖尿病を、ご自身の体に迫る危険を知らせる重要なサインと捉えて、通院による全身管理で今より良い状態をめざしていきましょう。

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