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大西 規史 院長の独自取材記事

大西内科医院

(福知山市/福知山駅)

最終更新日:2024/01/15

大西規史院長 大西内科医院 main

福知山駅から車で5分の住宅街にある「大西内科医院」。1968年から続く、祖父・父の築いてきた同院を継承し、3代目院長を務める大西規史(のりふみ)先生は、診療科を問わない総合診療の領域の中でも、地域に根差して赤ちゃんから高齢者まで家族丸ごと診療をする「家庭医療」を専門に研鑽を積んできた。今までと変わらず内科・消化器内科・小児科をメインに据えながら、「家族みたいにあたたかな医療」を新たな理念に、地域の誰もが安心して通えるクリニックを志す。一つ一つの言葉を噛みしめながら真摯に語る大西院長に、めざす家庭医療や地域への想いを聞いた。

(取材日2023年11月24日)

「目の前の人の役に立ちたい」との想いから総合診療へ

医師、そして総合診療の道を選んだ経緯を教えてください。

大西規史院長 大西内科医院1

実家がクリニックだったため、物心がつく以前から「自分は医師になるのだろう」と感じていました。また、自分自身も人と関わる仕事をしたいと思っていました。教師やカウンセラーにも興味があったのですが、父の背中を追い、深く人に関わりたいという理由で医師をめざすことにしました。医学部に進学し、広い領域で患者を診られる医師が良いと思い、漠然と内科に進むことを考えていました。実は、総合診療という領域があることは、医師になってから知りました。大学病院での臨床研修医時代は、患者さんの病気や検査、治療については記憶にあるものの、恥ずかしながら「どのような人」だったのかは覚えていません。病気はもとより、どのような人がその病気を背負っているのかに焦点を当てる総合診療の世界を知り「目の前のその人の役に立ちたい。自分がやりたい医療はこれだ」と道を決めました。

その後の総合病院・研鑽の時代は、先生にとって、とても色濃い10年間だったと伺っています。

総合診療の中でも「家庭医療」の専門の医師になることをめざし、研鑽を積んでいきました。具体的には小児科・救急科・消化器内科などさまざまな立場での診療を経験し、個人的に必要性を感じた精神科や皮膚科の勉強にも励みました。私はもともと勉強がとても苦手でしたし、何をやるにも人一倍時間がかかったので、一生懸命やることだけが取りえだと思ってきました。入院されている方には平日も休日も関係ないため、医師になってから自分ができることはとにかく患者さんのところへ足しげく通うことでした。毎日昼夜も問わず病院で対応をしていました。また、自分の勉強不足により患者さんが良くなるチャンスを逃してしまうかもしれないと思い、目の前に患者さんがいない時でも必死で勉強を続けました。この10年で、人は誰かのために一生懸命頑張ることができる、という大切なことを学びました。

こちらを継承するまでの経緯を教えてください。

大西規史院長 大西内科医院2

直近の5年間は地域に密着したクリニックで働きながら、家庭医療を現場で実践するためのトレーニングも積みました。家庭医療ではさまざまな社会のリソースとの連携が必要となることから、幅広い視野を持ちながらバランスを取って調整する能力が求められます。現場の医療に基づいた研究や未来を見据えた医学教育、業務改善につながる組織マネジメントなどの領域も学び、医療の枠組みを超え、いろいろなあり方を受け入れられるようになったと思っています。そのような中、福知山の医療が過疎化していく現状や、当院を継ぐのは自分しかできないとの思いから、継承を真剣に考え始めました。いざ継ぐと決めると「みんなのクリニック」にしたいと考え、個人名を冠するかどうか悩みました。しかし、あえて変えずに続けることが親や地域の人に対する恩返しになると思い、最終的にはこの地で同じ院名のまま建物をリニューアルして開院するに至りました。

患者とスタッフに寄り添い、家族のような関係を築く

新しいクリニックのめざす姿を教えてください。

大西規史院長 大西内科医院3

当院は「家族みたいにあたたかな医療」を理念に掲げています。2つの意味があり、その1つは患者さんと家族みたいな関係を築きたいという想いです。イメージとしては、親戚の中に医師がいて、何かあったら相談するような感覚で気軽に相談していただけたらと思っています。また「単に血圧が高い患者さん」ではなく、どのような人が困られて来院しているのかという文脈を大切にしたいと考えています。もう1つは、スタッフとも家族のようなあたたかいチームをつくりたいという想いです。“看護師さん”ではなく、どのような人が看護師として想いを抱き、働いているのかという背景に意義があると思っています。患者さんには当院に来て良かったと感じていただきたいとともに、スタッフにも当院で働いていて良かったと思ってもらえるようなチームづくりをしていきたいと考えています。

あらためて、家庭医療とはどういうものでしょうか。

普段から近くにあって、身近で何でも相談に乗ってくれる医療であり、プライマリ・ケアとも呼ばれます。小さいお子さんからご高齢の方まで、年齢や性別を問わず特定の臓器や病気にもとらわれず、地域に住む皆さんの健康問題に向き合って、適切な治療を一緒に組み立ててサポートしていく医療です。地域の皆さんにとっては「何となく体調が悪いのだけど、どこにかかればいいのだろう」というような時に相談できる、医療・福祉の窓口だと思います。

臓器別の専門の医師との視点の違いを教えてください。

大西規史院長 大西内科医院4

臓器別の専門の医師のフィールドは、どちらかというと病院にあり、患者さんは病院に行くことで専門性の高い先進の治療を受けられます。一方、家庭医療の専門の医師のフィールドは「患者さんの中」にあると考えています。患者さんやその家族の中に私たち医師が入って「患者さんの視点」に立ち、その方のメリットを追求しながらより良い医療をコーディネートしていくイメージですね。どちらの医療が良いか悪いかという話ではなく、社会にとってはどちらも必要であると考えています。

患者の視点に立ち適切な医療をコーディネートする

つまり「患者さんやその家族の専門の医師」というイメージでしょうか。

大西規史院長 大西内科医院5

おっしゃるとおりで“あなた専門の医師”です。目の前の患者さんに対し、内科的視点だけでなく、例えばアレルギー・外科的要因・精神的要因・生活習慣・過去の病歴など、多角的な視点で判断し、バランスをとって診察しています。また、家族の健康は互いに影響し合っているため、その関係性を重視した診察にも配慮します。ですので、親子で一緒に熱を出した際などにはそろって受診ができますし、自分以外の家族が抱える病気の相談もしていただけます。さらに、アレルギー・発達・心の問題など、長い関わりが必要な疾患を継続的に診ることも得意であると考えています。継続的に関わることで、例えば「あなたにとって受けておいたほうが良い検査はこれですよ」というように、より個人に適した予防の提案ができます。

ほかの医療との連携はどのように行っていくのでしょう。

生活も含め全体を診ていく医師として、特定の臓器の専門的治療が必要と判断した場合、患者さんやご家族と相談した上で「どの専門の先生にどのような診察や治療をお願いするのか」を考えて紹介しています。一通り治療が落ち着いたら、また当院で一本化することもあれば、そのままお願いする場合、双方で診ていく場合もあるでしょう。いずれもひとえに患者さんがどのようにすればメリットが大きいかを考えています。さらに超高齢社会を迎え、在宅医療が必要になる患者さんも年々増えています。訪問診療などの際には、地域の訪問看護師・介護士・ケアマネジャーなどと協調して、患者さんがより生活しやすくなるためのチーム医療を率先してコーディネートする役割があります。介護と医療は両輪ですので、ゆくゆくはこの地域の介護職員をはじめ、医療従事者の皆さんがより働きやすくなるようなサポートもできたら、と考えています。

クリニックのこれからが楽しみですね。

大西規史院長 大西内科医院6

ありがとうございます。まずは来ていただいた患者さんがどのような人で、何を求めているのかを理解するよう努めたいです。その上で、皆さんと同じ視点に立った医療を考える姿勢を最も大切にしていきたいと思います。一方、目まぐるしく変わっていく世の中で、時代のニーズに合った医療を提供しなければならないと身を引き締めています。そのためには「成長」を重ねていくとともに、大切なものは守り続けていくという「バランス感覚」も大切にしたいと考えています。ここに住む皆さん一人ひとりが安心して暮らしやすい地域となるよう、チームとしてできる限りの「貢献」をしていきたいと願っています。

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