全国のドクター9,189人の想いを取材
クリニック・病院 158,628件の情報を掲載(2024年4月30日現在)

  1. TOP
  2. 神奈川県
  3. 小田原市
  4. 小田原駅
  5. 医療法人丸九 高井内科クリニック
  6. 学校に行けない、食べられない思春期の悩みは心療内科に相談を

学校に行けない、食べられない
思春期の悩みは心療内科に相談を

高井内科クリニック

(小田原市/小田原駅)

最終更新日:2023/06/12

高井内科クリニック 学校に行けない、食べられない 思春期の悩みは心療内科に相談を 高井内科クリニック 学校に行けない、食べられない 思春期の悩みは心療内科に相談を
  • 保険診療

精神疾患には、特に思春期に発症しやすいものがいくつかある。「高井内科クリニック」の中村祐三先生が長年にわたり大学病院で取り組んできた過食症や拒食症といった摂食障害もその一つだ。思春期の精神疾患はしっかりと治療していくのはもちろん「病気によって社会性を失わせないようにする」のが重要だと力を込める。成績や対人関係など学校生活での悩みがなかなか解決しなかったり、引きこもりになったりしているならば、精神疾患あるいはその前段階のARMS(精神病発症危険状態)の可能性もあると、中村先生は警鐘を鳴らす。早期に治療を開始できるかどうかが社会性維持の鍵となるため、本人や家族が病気の可能性に気づけるかどうかもポイントとなる。受診のタイミングを知らせるサイン、治療していく上で注意すべき点などを詳しく聞いた。

(取材日2023年5月26日)

なかなか解決しない学校生活の悩みは精神疾患に由来している可能性も。まずは早めに心療内科に相談を

Q思春期になりやすい精神疾患にはどのようなものがありますか。
A
高井内科クリニック 長年、若年層の精神疾患を中心に診療してきた中村先生

▲長年、若年層の精神疾患を中心に診療してきた中村先生

まず、過敏性腸症候群(IBS)や機能性胃腸障害などの心身症があります。また、もともと小児喘息があってストレスで発作が出やすくなるようなこともありますね。さらに、過食症や拒食症といった摂食障害も思春期に多く、時には命の危険がある神経性食欲不振症、いわゆる拒食症は特に注意深く診ていかなければいけません。そのほか、電車通学が始まってパニック症(パニック障害)が明らかになるケースもあります。起立性調整障害(OD)も起きやすいのですが、子どもが「学校に行けない」という時、いじめが原因ではなく、ましてや怠けているのでもなく、こういった病気が潜んでいる可能性もあるのを忘れないでください。

Qそれぞれどのような症状か教えてください。
A
高井内科クリニック 思春期の精神疾患はさまざまで、私生活に影響を与えることも

▲思春期の精神疾患はさまざまで、私生活に影響を与えることも

パニック症は特定の場面で動悸、冷や汗、過呼吸などが出て「このまま死んでしまうのではないか」とさえ思うことがある疾患です。摂食障害には神経性過食症と神経性食欲不振症がありますが、爆食いしてしまうか、食べなくなるかといった食行動異常です。過敏性腸症候群や機能性胃腸障害などの心身症は、ストレスによってその人自身がもともと弱い部分に不具合が出る症状といえるでしょう。起立性調整障害は、循環器系の調整がうまくいかなくなり、起床時に血圧が上がらずに起き上がれなくなってしまう疾患です。朝なかなか起きれないため、不登校になってしまうケースも少なくありません。

Qなぜ、これらの疾患が発症するのでしょうか。
A
高井内科クリニック 思春期は自律神経が不調に陥りやすい時期だという

▲思春期は自律神経が不調に陥りやすい時期だという

パニック発作はADHD(注意欠如・多動症)やLD(学習障害)などが背景に隠れている可能性があります。また、脳の扁桃体という恐怖を感じる部分の異常で起きる例もあり、遺伝的な原因も大きいです。起立性調整障害は、自律神経の乱れによって起きます。学校での人間関係によるストレス、成長期のホルモンバランスの変化などによって、思春期は自律神経が不調に陥りやすい時期なんです。摂食障害の理由はよくわかっていなくて、家族関係に起因するという説もあります。しかし、そればかりではないので、親御さんも自分を責めないでください。実は私も過敏性腸症候群がありますが、これを含む心身症はストレスが引き金となることが多いです。

Qストレスのサインや受診の目安はありますか?
A
高井内科クリニック 原因のわからない体調不良が続くときは心療内科に相談を

▲原因のわからない体調不良が続くときは心療内科に相談を

はっきりした原因がわからない体調不良、いわゆる不定愁訴が続いているというのは一つのサインです。内科や耳鼻科で問題はないのに、喉が詰まるような感覚があるヒステリー球、咳が止まらないといった時も、強いストレスが関係しているかもしれません。また、拒食症の約半数はダイエットが発症のスタートとなります。親御さんにはお子さんが過剰なダイエットをしていないか注意深く見守ってほしいですし、体重は減っていなくても「食べたいけど食べられない」状況ならばすぐに受診してください。引きこもりは統合失調症へのARMS(精神病発症危険状態)の可能性があります。完全に引きこもってしまう前に連れて来ていただければと思います。

Q若年層の患者さんに接する際、心がけていることはありますか。
A
高井内科クリニック 患者が何歳であっても、本人との対話を大事にしている

▲患者が何歳であっても、本人との対話を大事にしている

たとえ中学生でも一人の人間として尊重することです。当院では、若年層の患者さんは9割以上親御さんと一緒に来院されますが、お子さん自身が単独での診察を希望するならばそうするようにしています。お子さんが親に知られたくない何かを抱えていたとしても、私から親に話してしまうこともありません。ときには親子関係も詳細に見ていく必要がありますからね。また、思春期の精神疾患は治療ももちろん大事ですが、社会性の維持も重要です。症状が理由で学校に行けない、進学を諦めるなど、患者さん自身の社会性を失わないようにするためには早めの相談と治療が何よりも重要です。ためらわずにぜひ心療内科を利用していただければと思います。

ドクターからのメッセージ

中村 祐三先生

学校生活における成績の困り事でも、対人関係の悩みでも、もしかしたらその背景には精神疾患が潜んでいるかもしれません。精神疾患というと特別なもののように思う人もいるかもしれませんが、誰にでもリスクはあり、恥ずかしいことではありません。また、子どもを受診させたいと思っている親御さんも、子どもが受診を嫌がっているのを決して無理強いしないようにしてください。自分で受診したいといった気持ちは治療へのモチベーションにつながるからです。「今、困っているのは何? 困っている部分が解決すれば、うまくいってないことがうまく回り始めないかな?」と、子どもに問いかけて、歩み寄るところから始めてみてはいかがでしょうか。

Access