石川 亮子 副院長の独自取材記事
平岸おとな歯科こども歯科クリニック
(札幌市豊平区/南平岸駅)
最終更新日:2022/04/12
「平岸おとな歯科こども歯科クリニック」は、札幌市営地下鉄南北線の南平岸駅から徒歩5分の場所にある。一般歯科を担当するのは院長の石川先生。副院長の石川亮子先生は日本小児歯科学会小児歯科専門医である。開業以来、歯科医療を通じて地域の子どもたちの成長をサポート。診療では「子どもたちが丈夫で健康に育つための手助けをしたい」と、子どもたちの将来を見据えた診療を行う。虫歯治療だけでなく、食事や姿勢など生活習慣を見直して口呼吸を鼻呼吸へと変えていくことや、顎の骨格にアプローチしていく矯正にも取り組んでいる。セミナーに熱心に通い、新しい技術や知識、機器を積極的に取り入れている石川亮子先生に、開業の経緯や小児歯科、小児矯正などを語ってもらった。
(取材日2021年6月10日)
家族と暮らす町に、小児歯科専門のクリニックを開業
最初に、開業までのご経歴を教えてください。
岩手医科大学歯学部を卒業後、しばらく同大学で小児歯科学を学んでいました。主人も歯科医師で、同大学附属病院で働いていたのですが、北海道で勤務することになり一緒に北海道へ。1992年に主人と厚別で開業し、子育てと並行して非常勤のような形で働いていました。南平岸には自宅があり、ちょうど近所に良い物件があったので主人と相談し、1998年に独立する形で小児歯科専門の当院を開院。最初は私一人で診療していたので「平岸こども歯科クリニック」というクリニック名でしたが、数年前から主人も一緒にこちらで診療するようになったので現在の名称に変わりました。
地域の印象はどのように感じますか?
私自身も長年住んでいますが、住みやすい町です。北海道に来たばかりの頃は車の運転が苦手だったので、地下鉄があることがありがたかったですね。地下鉄を使えば札幌の中心部まで簡単に行くことができますし、スーパーや幼稚園、学校があって日常生活も便利です。当院を開業した頃は子どもが小さかったので、通勤途中に近所の幼稚園に預け、お迎えの後は一緒にクリニックに連れて帰ったり、ベビーシッターさんにお願いしたりしたものです。住んでいる人たちもファミリー層が多いのですが、私たちのように長く住む人よりも転勤族のご家族が多く、入れ替わりがある印象です。
歯科医師を志した理由や小児歯科を専門に選んだ理由を教えてください。
父が外科の医師で、親族にも医療従事者が多い環境で育ったので、自然と医療系の職業をめざすようになりましたし、弟も医師になりました。義父も外科医でしたので、両祖父の影響で私の娘も医師になっています。歯学部にいた当時の歯科の治療は、虫歯があればとにかく削って、詰めたり、かぶせ物をしたり、というもの。歯をなるべく温存し、全身の健康との関わりを考える今の歯科医療とはまったく違っていて、この30年ほどで技術も考え方も大きく変化したと感じます。小児歯科を専門にしたのは、この分野を学ぶと抜歯などの外科処置から虫歯治療まで幅広く対応できるようになると言われていたから。仲の良い先輩から誘われたことも大きかったですね。
呼吸、姿勢、食事、骨格を考えた歯科治療
最近の子どもの歯や口の健康の傾向はいかがですか?
以前と比べて虫歯はかなり減りましたが、生活環境によってお口がうまく育っていないお子さんが多いことが気になります。外遊びが減り、家でゲームなどをする時間が増えたことで体幹がずれたり姿勢が悪い、あるいは食べ応えのあるものを食べていなかったり、あまり噛まずに飲み込んでいたりして、口の中が育たないような食事の仕方をするお子さんが多いと感じます。姿勢や体幹、口腔内の成長は骨格の形成とも関係し、お互いに影響し合っているといわれています。最近は口呼吸のお子さんが増えていますが、これは上顎が成長できていないことや姿勢の悪さが関係していると考えられます。口呼吸は鼻呼吸より脳が冷えないので集中力が落ちますし、睡眠の質にも影響を与え、歯ぎしり、いびき、無呼吸などを引き起こすことも。このため当院では顎の骨格にアプローチする矯正にも取り組んでいます。
具体的に、どのような矯正なのでしょうか?
最近まで上顎骨を拡大したり、上顎骨を前方へけん引していく顎顔面矯正を中心に行ってきました。上顎骨の前方への成長は11歳頃に終わるため、5~7歳くらいで始めると最終的なワイヤーの装着をしなくても間に合う場合があります。さらに今年からバイオブロックセラピーというシステムを取り入れ、顔面の発育を正常な方向へ育てていく矯正法を始めました。開業時はワイヤーを使った矯正を行っていましたが、治療後歯並びが元に戻ることが多く、原因を取り除いていく必要性を感じこの矯正法にたどり着きました。食育にも取り組んでおり妊娠期の母体や授乳、離乳食の与え方などからアプローチしていく方法をスタッフと勉強中です。義姉がハーバード大学歯学部でDr.Shigemi Nagaiとして准教授をしており、アメリカの小児歯科治療や小児矯正に対する前向きな考え方などを教わっています。まだ日本は小児矯正に対する考え方が後進的だと思います。
治療を嫌がるお子さんもいるのでは?
赤ちゃんの場合はお母さんに抱っこしてもらって診ていますが、保育園や小学校に通うようになると、まずは声かけをして、それでも無理な時は緊急でない限り様子見にして、無理に治療をしないことが多いですね。私自身の子育ての体験談を踏まえ、虫歯の原因の一つに砂糖の取りすぎがあると考えています。お菓子だけでなく、野菜ジュースやスポーツドリンクにも砂糖は含まれるので、保護者の方にはお子さんに与える食事に気をつけてもらい、経過を観察していきます。急いで治療が必要な時は保護者と相談して、同意の上で体を固定する網や口を開ける器具を用いますが、極力負担をかけないよう短時間の診療を心がけ、治療音が苦手なお子さんにはヘッドフォンの貸し出しも。いつも泣いて隠れていたようなお子さんが成長してからもクリーニングで通い続けてくれたりすると、感慨深いですよね。
子どもの全身の健康や成長を考慮した歯科治療を
機器や設備のこだわりをお聞かせください。
小児歯科で導入しているクリニックは多いと思いますが、ラバーダム防湿といってゴム製のシートで治療する歯だけを隔離し、唾液や細菌が入らないようにしています。また、院内で使用するお水は、次亜塩素酸水をつくる装置を通した水を用いています。大学病院でも同じシステムを導入しているところは多いと聞いていますが、どれだけ滅菌の努力をしていても、お水が汚れていては元も子もありませんからね。他に最近導入したものだと、光学式う蝕検出装置といって、レーザーによって虫歯の大きさを検出し、数値化するペン型の機器があります。実際に見て、触って、レントゲンなどで検査をして総合的に判断をする必要がありますが、判断に迷うようなものをすぐに数値として表してくれるので、とても役立っています。
先生のリフレッシュ法や健康法を教えてください。
セミナーオタクと呼ばれるくらい、休みの日はセミナーに通っていますね。あとは映画鑑賞。日本映画が好きで、気に入ると何回も映画館に足を運んでしまうんです。娘が大学進学で家を出る前は、よく一緒に映画を見に行き、親子で大好きなロックバンドのライブに行ったことも。家には2匹の柴犬がいて、主人とかわいがっています。健康面では、スタッフと一緒に鼻うがいに取り組んでいます。5~6年前からしていますが、花粉に悩まされることが少なくなった気がしています。私はセミナーで遠方に行くときにも、携帯できるミストタイプのもので鼻うがいをしています。
最後に、読者にメッセージをお願いします。
子どもと大人では、治療方法やアプローチが異なります。私自身、大人の方の簡単な虫歯治療はできても、噛み合わせや全身のことまで考えた治療は専門外となってしまいます。おそらく逆も同じことが言えるでしょうから、お子さんのお口の健康や成長が気になる方は、小児歯科を専門に学んだ歯科医師に受診することをお勧めします。当院では従来の虫歯予防やフッ素塗布だけでなく、お子さんが健康で丈夫に成長できるような歯科医療の提供を心がけています。例えばお子さんの姿勢を考えた靴下や靴選び、食育などのアドバイスも行っていますので、虫歯以外のことでも気軽にご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とは顎顔面矯正(ワイヤーを含む)/60万円~、バイオブロック療法/80万円~