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田中 教順 院長の独自取材記事

第二田中歯科医院

(世田谷区/若林駅)

最終更新日:2022/09/15

田中教順院長 第二田中歯科医院 main

東急世田谷線・若林駅と小田急線・世田谷代田駅のちょうど中間地点にある「第二田中歯科医院」。世田谷区立若林小学校のすぐ近く、建物の1階にある。院長の田中教順先生は松本歯科大学を卒業後、東京歯科大学で歯学博士を取得。父や弟とともに群馬県での無医村診療にも尽力してきた。世田谷区では30年近く学校歯科医を務め、地域医療に貢献し続けている。虫歯を治すだけでなく口腔環境の改善にも取り組み、障害者診療や往診にも力を入れている同院。開院当初からレーザー治療を導入し、患者の負担軽減にも力を尽くしている。「双方のコミュニケーションが上手にとれたなら、もう治療の半分は終えていると思っていい」と話す田中先生に、口腔環境の大切さや、口呼吸のデメリットについても話を聞いた。

(取材日2020年9月16日)

患者の負担を軽減すべく、早くからレーザー治療を導入

なぜ院名に「第二」とついているのですか?

田中教順院長 第二田中歯科医院1

以前、父がこの近くで歯科医院を開業していたので当院には「第二」と名づけました。父は平日は都内で診療をし、土日になると群馬県に通う生活を送っていました。実家である天台宗のお寺の境内を利用して、無医村の歯科診療に取り組んでいたんです。40年間変わらぬ習慣でしたね。1985年の夏、御巣鷹山に旅客機が墜落した時には、身元確認にも協力していました。私も、歯科医師になってからは父と一緒に群馬に通って手伝いをしました。無医村だけあって過疎化が顕著な地域でしたが、いつも100人近くの患者さんが並んで私たちを待っておられました。「治療費がないから、野菜を持って帰って」という患者さんもいらっしゃいました。

無医村で歯科診療をされていたんですね。

お寺の境内に蔵がありまして、父の代からそこを診療所として利用し続けています。父も私も私の弟も、歯科医師であり僧侶でもあります。6年前に父が亡くなり、その後は弟が実家のお寺と診療所を引き継いでくれています。過疎化が進む地域では、足腰が不自由だったり自家用車がなかったりすると、治療を受けられないまま過ごすことになりかねません。私はお寺のことは運転を担当するくらいですが、弟の活動が皆さんの役に立っていると思うとうれしいですね。

早くからレーザー治療を導入されていたと伺いました。

田中教順院長 第二田中歯科医院2

最近ではレーザー治療を行う歯科医院は多いですが、当院では以前から導入してきました。患者さんの負担軽減にもなり、歯科医師の立場からも扱いやすく、治療には欠かせないですね。レーザー治療のメリットは歯を削る量が少なく済む点です。ガリガリと削る部分が少なければ少ないほど、その分歯へのダメージや痛みも少なくて済みます。そしてガリガリという音がないということは、患者さんの恐怖心も軽減されるわけです。当院では水に対して反応するエルビウム・ヤグレーザーを使っています。このレーザーは生体組織への影響が少ないため、虫歯だけではなく、粘膜面の治療に対しても麻酔をほとんど使わないような感覚で治療を進めることができます。患者さん自身の体に負担をかけないよう、安全面にも配慮した治療を心がけるようにしています。

口の中には無数の常在菌。口腔環境を整えることが重要

歯科医師会の活動にも熱心に取り組んでこられたとか。

田中教順院長 第二田中歯科医院3

東京都世田谷区歯科医師会では、主に福祉関係に携わり、特別養護老人ホームや老人介護施設への訪問診療、寝たきりの方や通院が困難な方のための在宅訪問、障害のある方の治療に力を入れてきました。世田谷区は他地域に比べ、障害者診療や往診への取り組みがとても早かったんです。まだ往診が一般的に普及していなかった時代から、多くの先生が協力し合ってチームで取り組んできました。今も、歯科医師会の一員として、障害がおありだったりご高齢の患者さんへの往診をはじめ、さまざまな活動に参加しています。

クリニックとしても往診に取り組まれていますね。

当院には、父の代から長く通ってくださる患者さんも多いです。お年を召されて、通院が困難になる方もいらっしゃいます。その場合は往診に切り替えます。時には医師やケアマネジャーさん、福祉関連の方々と連携し、私は歯科医師としてお口の治療を行います。虫歯の治療や入れ歯の調整、そして口腔内のケアが主な内容です。体が不自由になると歯ブラシも難しくなりますが、歯と全身の健康のために、口腔内を清潔に保つことはとても大切です。当院に、90代を迎えてもご自分の歯で元気に生活している女性の患者さんがいます。笑顔がとてもすてきなんですよ。

口腔環境を整えることが重要なんですね。

田中教順院長 第二田中歯科医院4

口の中には無数の常在菌がいます。良い菌もあれば悪い菌もある。それらがバランスを取って共存しているんです。免疫力が落ちると、このバランスが崩れます。それが歯や体の不調として現れてしまうんです。歯周病菌は7歳くらいから両親を通じて子どもにうつり、以降ずっと残り続けます。そして歯周病が進行すると、心筋梗塞やアレルギーを引き起こしたり、インフルエンザが悪化しやすくなったりといったリスクが生まれるのです。だから、最低でも半年に1度は歯科医院に通って口の中をリセットする必要があるんですね。当院には虫歯治療後もメンテナンスに通われる患者さんが多いのですが、初診時にこのような説明をすることで、定期メンテナンスの重要性を伝えられているのかもしれません。

明るい空気とコミュニケーションで患者を迎えたい

最近の子どもには「口呼吸」が多く見られるそうですね。

田中教順院長 第二田中歯科医院5

子どもの口呼吸の原因の一つは指しゃぶり、それによって舌が下がってしまう癖が挙げられます。これは高齢により舌の筋力が衰えた場合でも、同じことが言えますね。口を閉じるにも舌の筋力がいるのですが、その力がないと舌が下がってしまいます。そうすると口がポカーンと開いて、口呼吸になってしまうんです。口呼吸になると唾液の分泌が十分にできません。感染症のリスクも上がります。唾液というのは、重要な役割を持っているんですよ。免疫力アップや抗菌の成分も含まれています。辛いものを食べた時は、唾液の中のムチンという成分が辛さを包み込み、胃の負担を和らげてくれるんです。唾液の分泌には舌の運動がよいです。そして食事はしっかり噛んで食べましょう。

診療の際に心がけていることはありますか?

コミュニケーションです。患者さんと歯科医師とのコミュニケーションが上手にとれたなら、もう治療の半分は終えていると思っていいでしょう。私だけではなく、スタッフもコミュニケーションを大切にしています。助手として働いてくれている女性は、訪問介護員の資格を持ち、お年寄りのお世話がとても上手ですし、お子さんの扱いもうまいんです。患者さんが待合室で楽しそうに話している様子をよく見かけますよ。こうした院内の雰囲気というのは非常に重要で、入った時に空気がよどんでいれば、患者さんの気持ちもとげとげしくなってしまいます。いつでも明るい空気で患者さんをお迎えしたいですね。

最後に読者へメッセージをお願いします。

田中教順院長 第二田中歯科医院6

「噛む」ことを意識して生活してみてください。噛むと海馬が刺激され、脳の活性化にもつながります。血流も良くなって唾液も分泌されて、良いことずくめです。そして口の中は栄養にとっても細菌にとっても入り口です。全身の健康管理にもつながりますから、口腔環境を整えるためのメンテナンスも忘れずに。新型コロナウイルスの影響で、歯科への通院に躊躇している方もいらっしゃるかもしれません。実は歯科というのは感染対策への意識がもともと高いんです。診療時に必ず血液や唾液に触れますから、手袋着用の習慣も元からあります。徹底的な滅菌洗浄や口腔外バキュームの設置、これらは新型コロナウイルスの問題が発生する以前から多くの歯科医院が行っていることなんですよ。当院も床まで含め院内清掃を徹底しています。安心してご来院ください。

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