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上妻和幸 院長の独自取材記事

こうづま歯科医院

(横浜市青葉区/たまプラーザ駅)

最終更新日:2021/10/12

上妻和幸院長 こうづま歯科医院 main

たまプラーザ駅南口から徒歩2分、メディカルモールたまプラーザの1Fに位置する「こうづま歯科医院」は、目映いばかりの白い外観が印象的。院内は、ビューティーサロンを思わせるほどに居心地良くナチュラルな雰囲気だ。爽やかな笑顔で迎えてくれた上妻和幸院長は、患者それぞれのライフステージに調和した「サクセスエイジング」をサポートするため、自然美と機能を兼ね備えた総合的な治療を提供。それと同時に、子どもの正しい発育を促すべく、口腔から始まる全身の健康に関する知識を母親たちへ啓発している。3児の父でもある上妻院長の目標は、“歯科医師が歯を削らない歯科医院づくりの実現”だそう。その熱い思いにとことん迫った。

(取材日2014年6月6日)

子どもの健やかな発育を導くための啓発活動に注力

どんな患者さんが多いのでしょう?

上妻和幸院長 こうづま歯科医院1

開院当初からのコンセプトは、「お口の中全体を総合的に診る」、そして「自然美と機能を兼ね備えた治療を提案する」。これは7年経った今も変わりませんので、この考えに共感してくださる方、求めてきてくださる方が増えている実感はありますね。当院はメディカルモールの中にありますので、他科のクリニックで受診した方が来院されることも。また、初診の方はほとんどがご家族やご友人の紹介で来られる患者さんで、最近はお子さんやお孫さんを連れておみえになる方が多いです。

子どもの症状で特徴的なものはありますか?

今の子どもたちは、虫歯はすごく減ってきているのですが、歯列不正、つまり噛み合わせの乱れが非常に多いんです。これは時代を象徴しているとも思うのですが、母乳離れが早すぎることや、うまく授乳ができないことから哺乳器を使ってミルクで子どもを育てる人が増えており、その結果、うまく舌が使えなくなっている子が急増。舌をうまく使えないと顎が成長せず、顎が成長しないと当然歯がうまく並んでいきません。こういった状況に対して、僕たち歯科医師がアプローチできることは実はたくさんあって、当院では上顎を拡大する装置を使って、積極的に顎を大きくしていくことで、歯が自然ときれいに並んでいくよう促しています。本来大きくなり得るはずの顎が大きくなっておらず、そこに歯科が介入するということですので、「矯正治療」というよりも、お子さんの成長においてちょっとテンポの遅い部分に対し、足並みをそろえて差し上げるというイメージですね。

上顎を広げる治療は何歳頃までに始めると良いのですか?

ケースバイケースですね。早ければ早いほうがいいと言われているけれど、2〜3歳の子ではまだできませんし、年齢相応にステージを考えていかなければいけないと思います。ただ、上顎の成長は12歳頃で止まってしまいますので、それまでの間にしっかりとした大きさを与えることが大切。もちろん、全員が広げなければいけないわけではなく、最初からきちんときれいに顎が成長していれば、治療する必要はありません。

歯並びが悪いと、ほかにどんな影響がありますか?

上妻和幸院長 こうづま歯科医院2

上顎がうまく成長拡大していかないと、鼻呼吸がうまくできなくなってきます。ですから、アレルギー性鼻炎の子どももすごく増えてきているんですよ。鼻呼吸ができないと口呼吸になりますよね。ばい菌などは喉から入ってくるほうが風邪をひきやすいですし、いつも口で呼吸していると顎を前に突き出した猫背気味の姿勢になってしまう。そうすると脊椎が湾曲する上、肩が前に出て胸郭が圧縮されるので心臓と肺の成長もうまくできなくなります。歯列の乱れが、心臓の成長をも邪魔してしまう可能性があるのです。改善のためには、きちんと鼻呼吸ができて口が閉じる環境を整えてあげることが重要。極端な言い方をすれば、幼少期にそのように導くことで、お子さんの人生を変えることになります。それができるのは歯科だと思っているので、情報としてお母さん方に啓発したり、なぜそうなってしまうのかというプロセスを説明したりすることに力を注いでいます。

自然体で過ごせるよう「サクセスエイジング」をサポート

先生の診療におけるモットーは何ですか?

上妻和幸院長 こうづま歯科医院3

歯だけを診るのではなく、患者さん自身が美しく自分らしく自然体で人生を送ることができるようなお手伝いをしたいと常に思っています。そのために審美面、機能面で、患者さん特有の噛み合わせを維持することを心がけて治療していますね。僕は年齢を重ねることに対しての逆行という意味合いの強い「アンチエイジング」でなく、「サクセスエイジング」という言葉を使っているのですが、われわれの体は年齢を重ねるごとにさまざまな変化が現れるものであって、その変化に応じて噛み合わせも変わっていかなければならない。つまりは一人ひとりの食生活のサポートまでしっかり行っていくことが、僕に課せられた任務だと思っています。

正しい食生活は、子どもの成長においても不可欠ですよね。

今の時代、噛み応えのある食材をチョイスすることはなかなか難しいですが、子どもがしっかりと咀嚼できるものを選んであげるのは親の使命だと思います。例えば、野菜を少し歯応えのある煮方で調理するなど、子どもに「噛むことを自覚させるようなもの」を与えてあげることが大事。かたいものだと子どもが嫌がるかもしれませんが、やわらかい食べ物ばかり与えていたら、その子が将来どうなるかというのは見えていますよね。やはり食生活の面でも親御さんへの情報提供を継続して、意識してもらうことが大切ではないかと思います。

先生は3児の父だそうですが、ご自身の子育て経験が診療にも影響していると思われますか?

上妻和幸院長 こうづま歯科医院4

それは大いにあると思います。自分が歯科医師として学んでいることがそのまま身近なところでの気付きにつながっていますね。そして、わが子はもちろん幼稚園や小学校のお友達なども含め、さまざまな子どもたちの成長発育を見ていくにつれて、現代社会が抱える問題点がクローズアップされてよく見えてきたと感じています。例えば今の子どもたちは圧倒的に基礎筋力が少なくて、真っすぐ立てずに寄りかかる子がとても多い。それは、電車通学などで運動量が減っていることや、日常生活でのテレビを見たりものを書いたりするときの姿勢が大きな影響を及ぼしているのですが、子どもたちをよく観察していることで気付きが得られるんですね。また、食事の際にきちんと足の裏が着く椅子に座ることも大事で、足が宙ぶらりんのままだと腰が安定せず背筋が伸びないのですが、うちの子どもたちも、足置き付きの椅子に変えてからは姿勢が良くなりました。こういった知識は歯科医師が知っておくべきだし、親御さんが「うちの子の姿勢が悪いのは足の裏で踏ん張ることができていないからかもしれない」と気付く、そのヒントを提供できるのは、僕たちの知識だと思っています。すぐに改善できることではないので何度も繰り返しお話しする必要があるけれど、「歯医者さんに行ってこんなことを言われるとは思わなかった」とおっしゃるお母さん方も多く、いいきっかけになってくれればうれしいですね。

病気をつくらない体づくりをめざして

今後の目標を教えてください。

上妻和幸院長 こうづま歯科医院5

歯科医師が歯を削る機械などをなるべく持たないような歯科医院になることが理想です。僕が現役のうちには実現しないかもしれないけれど、子ども時分に歯科の立場から介入することで、その子が生涯大切にできる歯を与えてあげられる、そういう歯科医院づくりが大事だということを後世に残していくべきだし、そこをめざすことが僕たちの宿命かなと。歯周病が全身疾患とも関わりがあるというのはもはや常識で、そういったことを教えてくれる歯科医院もたくさんあるでしょう。もちろんそれも大事だと思いますが、歯科医院が“今までのやり方を壊していくこと”もすごく大事だと思うんです。当院は小児歯科専門ではありませんので、小児歯科とは違うアプローチの仕方で診療していきたいと思っていますが、子どもたちを診ていく目をもっと養っていかなければいけないと思うし、口の中だけでなく、人生や背景にまで目を配っていく、その子に寄り添った歯科医師になっていきたいですね。

子どもたちを診ていく目というと、例えばどんなことが挙げられますか?

今は、授乳期に母乳をきちんと吸えないところから、理想的な成長を遂げられていない子どもがすごく増えています。赤ちゃんがお母さんのおっぱいを飲むときの吸い方、つまりお母さんが赤ちゃんを抱えておっぱいをあてがうときの姿勢から、その子の顎の発育は始まるのです。赤ちゃんの頭を持ってぐっと押し込んであげることで、喉の奥のほうまで乳首が入り、その状態で吸うと母乳をたくさん出す舌の動きが可能になって、ひいては正常な上顎の成長につながるのですが、これが違ってしまうと、赤ちゃんはうまく吸えないし、お母さんは痛いだけで母乳がきちんと出ないのでつらい。このようなシステムをきちんと理解した上で、その子が与えられた口の中の環境が今後どうなっていくのかを診ていくことが、歯科医師としての大事な役割だと僕は考えています。

先生にとって、歯科医療とは?

上妻和幸院長 こうづま歯科医院6

歯科医師は生涯学ぶべき職業。僕もスタディーグループに参加したり、自分たちでスタディーグループを作ったりと常に学んでいますし、テクニカルなものをブラッシュアップしていくことは必要です。でも、その学ぶ先が「うまく削ること」や「きれいに切ること」、また「どんどんインプラントを埋めること」であるのは、ちょっと違うと思う。本当の医療というのは、患者さんが病気から解放されること、突き詰めていくと、子どもたちの顎が正しく発育することで、きちんと鼻呼吸ができて正しい姿勢をとることができ、体の成長が促され、病気に強い体になる、そういうものを与えてあげることではないかと。治すのではなく、「つくらない」ことが一番大事で、それが究極の医療なのではないでしょうか。治すことにクローズアップし続けることは、いつまでも病気をつくり続けていくということですよね。歯科医師が知識と技術を持てば、「病気をつくらない体づくり」ができるはず。そのためには、もっと多くの知識が必要だし、当院では矯正治療専門の医師が月3日診療しているのですが、そういった協力者も欠かせません。僕自身、インプラント治療も歯周病治療も手がけますが、クリニックの総合的な指揮者としては、病気をつくらない“究極の医療”をめざしていきたいと思っています。

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