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井内正人 院長の独自取材記事

いのうち内科クリニック

(横浜市緑区/十日市場駅)

最終更新日:2021/10/12

井内正人院長 いのうち内科クリニック main

十日市場の「いのうち内科クリニック」を訪ねた。もともとは30年程前に別の院長が開業したクリニックだが、引退に伴って井内先生が引き継いだのは6年前のこと。当時の面影を残すような木目を生かした雰囲気が、落ち着いた気分にさせてくれる。「スタッフの明るさが自慢」と井内先生が語るように、スタッフの元気な声が院内に響いていた。スタッフに負けず劣らず、井内先生もとにかく明るい。来院しただけで元気になってしまう患者さんもいるのではないだろうか、そんな風に感じた。

(取材日2008年5月23日/再取材日2015年7月2日)

人間の本質を知るには、医師が手っ取り早いと思った

医師を志したきっかけをお聞かせください。

井内正人院長 いのうち内科クリニック1

高校時代に、友人たちと毎日のように将来の夢について語り合って、人間の本質を知るような学問って何だろうって考えて、医学を勉強すればわかるんじゃないかと思ったことがきっかけになっていますね。今の高校生には想像つかないだろうけど、私の時代は学生運動が盛んな時代で、高校生でも政治や社会について、真剣に討論を重ねていてね。マルクスやサルトル、大江健三郎の本なんかも貪るようにして読んでいました。でも、肝心の学校の勉強はちっともしていなかったから医学部に入るのが大変でしたよ。高校の先生にも医学部なんて絶望的と言われたくらい、勉強はしていなかったですから。

内科を専門とされた理由をお聞かせください。

浪人の末に新設校の聖マリアンナ医科大に入学しました。一期生だったんですが、自分の思い描いていた大学像と違っていて、医学への志が砕けそうになりました。しかし新設校だからとバカにされたくないという気持ちが強くなり、勉強に本腰を入れるようになりました。後にも先にも、あんなに勉強したのは医学部にいた頃でしょう。勉強というのは、やればやるほど面白くなって、もっともっと知りたくなる。知的欲求が高まって、将来は臨床ではなく基礎研究に進みたいと思っていたほどでした。しかし、聖路加国際病院で行っている医学部の学生向け研修制度に参加したことで、一気に臨床に興味を持つようになったんですよ。病院で見たのは、病気と闘う患者さんたちの姿。それまでは、教科書の知識を詰め込むばかりでわかった気になっていたのだと気がつきました。目の前に、病気と闘い、苦しむ人がいて、頭の中にあることと現実がようやく結びついたんですね。そうそう、聖路加国際病院では日野原重明先生の回診の後ろをチョコチョコとついて回ったりしていたんですよ。どうして内科を選んだのかというと、内科は診断学。患者さんの話や身体所見、検査データ等から診断をつけていくのですが、難しいパズルを少しずつ解いていくような面白さがある。パズルが完成すれば、どんな治療を行えば良いかがわかり、症状が良くなれば患者さんに喜ばれるわけです。どの科でも診断学は大切だけど、内科ほど複雑な診断力を要される科はないと思いますよ。難しいからこそやりがいになっていると思います。

カントリーミュージックが元気の源

漢方薬を取り入れられた治療を行っていますね。

井内正人院長 いのうち内科クリニック2

上司が漢方薬を使用していた影響で、私も漢方薬を勉強しました。患者さんに効果があるのを見ているのに使わない手はない、そんな理由で処方するようになりました。患者さんの中には、漢方薬の処方を希望して、インターネットなどで調べて来院してくださる患者さんもいますので、漢方薬のニーズが高まっていることを感じます。漢方薬は西洋医学の医薬品とそもそもの考え方が違っているんです。西洋医学の医薬品だと熱が出たら、対症的に解熱剤を処方しますね。しかし、漢方薬は人によって処方する薬がまったく違うんです。対症的ではなく、患者さんの体の中にある治癒力を引き出すのが漢方薬なんです。だから、処方の際には、患者さんの全身を診て、どんな体質かを見極めなくてはいけない。そこが難しいけれど、面白いところでもあるんです。患者さんが診療室に入ってくる様子から、声の張り、話す内容、家族関係まで、いろいろな要素を加味しながら処方を決定しています。

休みの日はどのように過ごされていますか?

一番の趣味は、ブルーグラスミュージックというバイオリンやバンジョーなどのアコースティック楽器を使ったカントリー系の音楽。友人たちと「MFB」という名のバンドを組み、今は「Three Topers」というバンドに再編成して月に1回、新宿の居留地
(http/kyoryuchi.hp.infoseek.cojp/NewFile/pjop.html)という飲み屋でライブをしています。ギターとヴォーカルを担当しています。ライブに向けてもっともっと練習したいけれど、メンバー全員顔を揃えて練習できるのは、月1回位が限度ですね。

「私とあなた」ではなく、「私たち」という関係で診療を

診療の際に心がけていることをお聞かせください。

井内正人院長 いのうち内科クリニック3

意識せずに普通に診療をしているだけですよ。強いて言うならば、患者さんにわかりやすく話をすることでしょうね。実は、わかりやすく話すことって簡単なようで難しいんですよ。本当に私の話を理解してくれているのかな、もっと簡単に伝えなきゃいけないなと思いながら、患者さんにお話ししています。だから、診療時間が長くなってしまうんですけどね(笑)。なぜ、このような心がけになったのかと言うと、「前の先生の説明がわからなかったので教えてください」と困った顔で患者さんが言うことが多いからですね。私ではなくその先生に聞いてちょうだいよと思うけれど、私を頼りにして来院してくださっているのだから、出来る限り力になってあげたいですね。患者さんとは、「私とあなた」ではなく、「私たち」というように、同じ方向を向いた関係でありたいと思っています。

どのような患者さんが多いですか?

井内正人院長 いのうち内科クリニック4

高齢の患者さんが中心ですね。また、以前勤務していた病院で糖尿病の患者さんを多く診療していた経験から、現在でも糖尿病の患者さんが多いですね。糖尿病の指導については、かなり厳しく行っています。これは、患者さんことを思えば当然のことです。甘い指導をして悪い結果になったときに、苦しい思いをするのは患者さんです。治すのは私ではなく、あくまで患者さん自身です。私は病気に立ち向かう手助けをしているだけに過ぎないけれど、医学の知識を持つ人間として患者さんに頼りにされている以上、患者さんが望む結果を出せるように惜しみなく力を貸したいと思っています。

今後の展望をお聞かせください。

今までと変わらずに診療を続けていきたいと思っています。私が少し自慢できることは、患者さんのインフルエンザ罹患率が低いことです。これは予防の大切さを理解して、予防接種を受けてくださった患者さんの健康に対する意識の高さの表れでしょう。これからの保険医療制度は崩壊していくだろうと予測されています。そんな不安な中で必要なことは、病気を正しく理解して、予防できる病気はご自身で防ぐことではないでしょうか。これからも、インフルエンザだけにとどまらず、さまざまな病気の予防の啓蒙にさらに力を注いで、地域のみなさんの健康に貢献していくつもりです。気になることがあれば遠慮なく相談してください。そして、元気を取り戻してくだされば、嬉しいことですね。

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