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密かに悩む女性に届ける
PMS、PMDDの治療法

河合医院

(横浜市青葉区/あざみ野駅)

最終更新日:2023/08/24

河合医院 密かに悩む女性に届ける PMS、PMDDの治療法 河合医院 密かに悩む女性に届ける PMS、PMDDの治療法
  • 保険診療

生理周期に左右されることの多い女性の心身のバランス。特に生理が始まる数日前は、乳房の痛みやイライラ、落ち込みやすくなるなどさまざまな精神的または身体的症状を引き起こす月経前症候群(PMS)の症状に悩まされる人も多いのではないだろうか。実はPMSは服薬治療できる病気だが、日本ではまだまだPMSが病気だという認識は低く、つらい症状にひっそりと耐えている女性が多いのが現状だという。そこで、1980年代にマイアミ大学に留学しPMSについて学び、それ以来ずっと数々の女性のPMSの治療に携わってきた「河合医院」の河合康夫院長に、薬によるPMSの治療について聞いた。

(取材日2016年6月23日/再取材日2020年1月21日)

毎月のことだからとやり過ごさないで。薬を上手に使ってつらい症状から解放をめざす

QPMS(月経前症候群)/PMDD(月経前不快気分障害)とは?
A
河合医院 患者同士の目線が合わぬように工夫がされた、広々とした待合室

▲患者同士の目線が合わぬように工夫がされた、広々とした待合室

月経数日前に乳房が張る、おなかにガスがたまる、むくむ、甘い物が食べたくなる、イライラするなどの症状が出ることをPMS、更にイライラが激しく、どうにもならない崖っぷち感やうつ症状によって、社会生活や仕事、家庭で支障をきたす深刻なケースをPMDDと言います。私がPMSに興味を持ち始めた1980年代は薬がなく、リラックスすることやビタミンB6及びカルシウムの投与が中心でした。その後1990年代に病気の原因がセロトニンという感情に左右する重要なホルモンと関係していることから、うつ病に使うSSRI (選択的セロトニン阻害薬)という薬で改善が期待できるとわかり、世界的に薬による治療が行われています。

QPMSやPMDDの症状がある女性の割合はどれくらいですか?
A
河合医院 PMS・PMDDは「SSRI」で改善が期待できると語る院長

▲PMS・PMDDは「SSRI」で改善が期待できると語る院長

女性の約8%にものぼると言われ、簡単な乳房が張るなどの症状を含めると、60%〜70%の方に当てはまると思われます。その中で、家族や恋人との不協を引き起こしたり育児ができないなど重症になる人は日本人でも2%ほどと考えられますが、病気として認識されないまま苦しんでいる人が多いのが実情です。またこれまで30代の病気だと思われていましたが、最近の研究報告で高校生でも月経前症候群に悩んでいる人がいることがわかってきました。

QSSRIを使った治療について具体的に教えてください。
A
河合医院 婦人科系疾患の相談で足を運ぶ患者も少なくないという

▲婦人科系疾患の相談で足を運ぶ患者も少なくないという

当院ではセルトラリンを使用していますが、特徴的なのは一回の服用がうつ病で使用する量の1/3程度と少なく、月経前に症状が出始める頃に飲んで生理が来たら止めるといった使用方法です。PMDDの場合は、通常6ヵ月ほどになります。副作用で吐き気が出ることがあるので、吐き気止めを一緒に処方することもあります。またうつ病にも合併するので、状態に応じて増量やデュロキセチンという薬を処方することもあります。その他セロトニンの補酵素として働くビタミンB6、月経困難症の治療に使うドロスピレノンを含むピルを用いることもあります。

Q薬を飲むことに抵抗があるのですが……。
A
河合医院 子どもから大人まで、PMSで悩む女性は年々増えているという

▲子どもから大人まで、PMSで悩む女性は年々増えているという

うつ病の薬と聞くと驚く人も多いですが、セロトニンの働きを補うためのもので服用の目処は半年だとお伝えすると安心される方が多いです。薬を飲むこと自体に抵抗がある場合には、ビタミンB6を処方し少しずつ症状の緩和を図りますが、時間がかかってしまいますのでSSRIを怖がらずに試していただきたいですね。ただ残念ながら産婦人科の医師はSSRIの扱いに慣れていなかったり、精神科の医師は婦人科に精通していなかったりなど、本当に必要な方の手元に届いていません。PMSやPMDDが病気であるということがきちんと認識され、適切な治療が提供できるよう、この薬が医療関係者や患者さんそして社会全体にもっと広がってほしいです。

Q月経前症候群を治療せずに放置することのデメリットは?
A
河合医院 PMS・PMDDの啓発に力を入れていきたい、と力強く語る

▲PMS・PMDDの啓発に力を入れていきたい、と力強く語る

一番は人間関係に支障をきたすことです。ご主人と言い争いになり夫婦関係が崩れることもあり、過去には離婚寸前で私が診断書を書き収まったケースもあります。他にも、子どもに八つ当たりしてしまうなどそういったことはたくさんありますが、その原因が月経前症候群にあると理解し薬の服用を始めることが、家庭の円満にもつながりひどく傷ついてしまうことを避けることにもつながるということ。特に思春期の大事な時期に、親と喧嘩をして認めてもらえなければ人生が変わってしまうこともあります。多感な時期にただの反抗期と片づけられてしまうのはあまりにもかわいそうですから、ぜひ婦人科にご相談いただきたいと思います。

ドクターからのメッセージ

河合 康夫院長

PMSは精神疾患との関連があることがあり、うつ病の方がPMSやPMDDもお持ちになっているケースがあります。月経前増悪といって、精神疾患の症状が月経前に悪化してしまい、生理が始まってからも症状が続いてしまうことがあるのです。その場合には、基礎となる精神疾患の治療をしっかりと行うことが大切です。すでに心療内科・精神科に通院されている方は、まずそちらでの治療を優先していただければと思います。適切な治療を進めていくことができるよう導いていきたいと思っていますので、毎月のことだと我慢せず、「PMS・PMDDかもしれない」と気になった方はぜひ一度お越しください。

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