病気リスクや介護負担軽減へ
訪問歯科診療の重要性を知る
クレモト歯科診療所
(堺市西区/津久野駅)
最終更新日:2023/11/14
- 保険診療
足腰が悪く歯科医院に通えない、歯が悪くて好きなものが食べられないけれど高齢だから仕方がない。そんな悩みを抱えている人やその家族も少なくないだろう。近年、口腔内の状態が全身の健康に大きく影響を及ぼすことが明らかとなっており、誤嚥性肺炎など命に関わる病気のリスク低減につながるという口腔ケアに注目が集まっている。最期まで生き生きと暮らしてもらいたい、それをかなえるのが通院困難な人でも歯科クリニックで受けるのと同程度の診療が受けられる訪問歯科診療。「クレモト歯科診療所」の呉本勝基院長に訪問歯科診療について話を聞いた。
(取材日2023年11月1日)
目次
命に関わる病気リスクの低減につながる口腔ケア。通院困難でも自宅で受けられる訪問歯科診療の検討を
- Q訪問歯科診療について教えてください。
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A
訪問歯科診療は、何らかの理由で歯科医院の外来への通院が困難な方のご自宅や入居施設を訪問し、歯科診療を行うものです。全身の健康に大きな影響を与えるお口の健康を保つには口腔ケアがとても重要で、口腔ケアが行き届いていないと、誤嚥性肺炎や心内膜炎など命に関わる病気にかかるリスクが高まったり、糖尿病を悪化させたりすることが明らかになっています。歯科医院に通えない場合でも訪問歯科診療を受けることによって、お口と歯を良好に保ち「好きなものが食べられる」状態の維持を図ることは、QOLの向上につながります。定期的な口腔ケアは介助・介護の負担軽減が期待できるなど、ご家族にとっても大きなメリットがあると考えます。
- Q訪問歯科診療はどのような方にとって必要なのでしょうか。
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A
病気の方、足腰が悪い方など、歯科医院への通院が困難な方が対象となります。訪問歯科診療の患者さんの口腔内の状況はあまり良い状態とは言えず、ご家族の口腔ケアへの意識が十分ではないというのが現実です。体のケアには気を使ってもお口の状態については「こんなもの」と諦めている方をはじめ、通院するのが面倒くさい、歯科医院は怖くて行きたくないという方も少なくありません。訪問歯科診療のメリットは、そのような方々にもご自宅という慣れた環境でリラックスして治療が受けていただける点。加えてご家族に口腔ケアの仕方など指導ができるのも利点です。
- Q頻度や期間の目安はどれくらいでしょうか。
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A
訪問歯科診療は保険が適用されるため、患者さんごとの処置により異なるものの、保険内での訪問は最大月4回まで可能で、月2回訪問する場合もあれば、月1回受診をご希望されるご家庭もあります。訪問回数は治療の進捗や口腔内の状況も考慮しながら、患者さんやご家族と相談して決定します。なお保険適用は当院から半径16km以内が対象となり、当院の場合は堺市・高石市・泉大津市・和泉市の全地域に対応するほか、松原市・富田林市・大阪狭山市・岸和田市・忠岡町の一部が訪問可能範囲です。また当院では歯科医師・歯科衛生士らの訪問における交通費はいただいておりません。
- Q先生はなぜ訪問歯科診療に取り組み始めたのですか?
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A
訪問歯科診療を提供する歯科医院が全体の2割弱だった2000年代に、すでに訪問診療を数多く行っている先生から訪問診療をする歯科医師自体が少ないとお聞きしたこと、また訪問歯科診療そのものが広くは知られていなかったことなどがきっかけとなり、当院では2010年頃から訪問歯科診療に本格的に取り組み始めました。食事ができずストレスを抱えている、健康状態に問題があって人生が楽しくないという方が多くいらっしゃる中で、患者さんには健康であっていただきたい、少しでもお役に立ちたいという思いから訪問診療に注力してきました。誤嚥性肺炎などの感染症、歯周病菌による糖尿病悪化のリスクを低減できるよう努めています。
- Q訪問歯科や口腔ケアの重要性など知られていないことも多いです。
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A
歯や口腔内の状態が良いと、誤嚥性肺炎や糖尿病悪化などのリスクを抑えられることに加え、「食べたいものが食べられる」という心の健康にもつながっていきます。口腔ケアが行き届かないと体の抵抗力が落ちてしまい、特にご高齢の方は体調不良からふさぎ込み、外出がおっくうになってしまうこともあります。全身の状態に影響するお口の健康を保つことは、ご本人の生活はもちろん、ご家族の介護負担の軽減にもなることでしょう。体が悪く通えない方、歯の健康は「こんなものだ」と諦めてしまっている方は、クリニックにお越しいただくのと同程度の歯科診療をご自宅で受けられる訪問歯科の活用をご検討ください。
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マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。