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10、20代の血便、下血、腹痛
続く場合は潰瘍性大腸炎の疑いを

梶ヶ谷クリニック

(川崎市高津区/梶が谷駅)

最終更新日:2021/10/12

梶ヶ谷クリニック 10、20代の血便、下血、腹痛 続く場合は潰瘍性大腸炎の疑いを 梶ヶ谷クリニック 10、20代の血便、下血、腹痛 続く場合は潰瘍性大腸炎の疑いを
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大腸が炎症を起こし、下痢や下血などの症状を引き起こす潰瘍性大腸炎。その発症の原因がわからないため、根本的に治療することが難しいとされる厚生労働省の指定難病だ。そして、比較的若い人に多いという潰瘍性大腸炎は、将来的に大腸がんを発症するリスクとなることから、「症状が治っても治療を継続して、大腸がんを予防することが大切になります」と話すのが、「梶ヶ谷クリニック」の羽生健院長だ。同院では小学生の症例も開業から複数診ている。そこで、消化器のさまざまな症状や病気の診療に精通すると同時に潰瘍性大腸炎の治療にも力を入れる羽生院長に、その概要や治療について話を聞いた。

(取材日2021年3月2日)

症状を繰り返すと同時に大腸がんのリスクにもなる潰瘍性大腸炎。症状が治っても治療を継続することが重要

Qそもそも消化器内科ではどのような病気を診てもらえるのですか?
A
梶ヶ谷クリニック 患者数が急激に増加しているという潰瘍性大腸炎

▲患者数が急激に増加しているという潰瘍性大腸炎

食道や胃、腸、その消化を助ける胆のうや膵臓といった消化器全般に発生するさまざまな症状や病気が対象です。具体的には、胃痛や胸焼け、吐き気、胃もたれ、喉の引っかかり感、腹痛、下痢、便秘、下血など比較的よくある症状から、疾患としては逆流性食道炎や胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がん、食道がん、大腸がん、憩室炎、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎などがあります。多いのが逆流性食道炎や胃炎、胃潰瘍で、ほかに下痢をしているのに大腸内視鏡検査ではこれといった所見がない過敏性腸症候群の方も少なくありません。その中でも、ここ30年で患者数が急激に増加しているのが潰瘍性大腸炎です。

Q潰瘍性大腸炎とは、どのような病気ですか。
A
梶ヶ谷クリニック 若年者から高齢者まで発症するという

▲若年者から高齢者まで発症するという

潰瘍性大腸炎は、大腸や小腸の粘膜に慢性的な炎症が起きたり、潰瘍ができたりする病気です。主な症状に下血、下痢、腹痛、血便、粘血便、下腹部の違和感などに加え、急な体重減少や貧血を伴う場合があります。原因は、自己免疫反応の異常が関係していると考えられていますが、まだはっきりとわかっていないこともあり、厚生労働省の指定難病となっています。若年者から高齢者まで発症しますが、特に20〜30代など比較的若い人に多い傾向があり男女差はありません。多くのケースで、投薬などにより症状のコントロールは図れますが、改善が見込めない場合には、血液透析のような治療や大腸をすべて切除する手術が必要になることもあります。

Q潰瘍性大腸炎の検査や治療について教えてください。
A
梶ヶ谷クリニック 基本的には内服薬や座薬などで、症状をコントロールしていく

▲基本的には内服薬や座薬などで、症状をコントロールしていく

最初の主訴は下血で来ることが多いので、当院ではまず肛門鏡で直腸の粘膜を確認します。私は見慣れていますから、その時点である程度、その患者さんが潰瘍性大腸炎なのかがわかります。その疑いがあれば、1週間以内に大腸内視鏡検査を行い確定診断をします。治療は、基本的に内服薬や座薬などの薬物療法で、症状をコントロールしていくことが目的です。しかし、潰瘍性大腸炎は症状の現れる再燃期と症状が落ち着く寛解期を交互に繰り返すため、症状が落ち着いたからといって治療を中断せずに、寛解期を長く保つ治療を継続していくことが大切です。また、中等症以上と診断された場合は、難病医療費助成制度の対象になります。

Q治療で大切なことはありますか?
A
梶ヶ谷クリニック 治療を続けていくことが大切

▲治療を続けていくことが大切

特に男性の患者さんに多いのですが、仕事が忙しいなどの理由から、自己判断で薬をやめてしまう人がいます。しかし、潰瘍性大腸炎は発症から30年後くらいに大腸がんを発症するリスクが高いという研究結果も報告されています。潰瘍性大腸炎は、炎症がひどくなり腸の粘膜が剥がれ、それが良くなる。それを繰り返すことでがん化するのではないかともいわれています。また、先ほども話したように潰瘍性大腸炎を発症する患者さんは20〜30代の若い人が多く、それらの人の30年後は、まだ社会人として働いている年代です。ですから、症状が良くなったからと自己判断で中断せず、治療を続けて大腸がんになることを予防していくことが大切です。

Q日頃から、気をつけたほうが良いことはありますか?
A
梶ヶ谷クリニック 気になる症状があれば、早めに相談してほしいと話す院長

▲気になる症状があれば、早めに相談してほしいと話す院長

潰瘍性大腸炎については、病気や発症の原因もわかっていませんので、今のところは予防方法はありません。しかし、大腸をはじめとする消化器全体について言えば、例えば、大腸がんは食事の欧米化の影響が強いといわれています。ですが、今さらハンバーグなどの洋食をやめて和食だけの食事にするのは難しいでしょう。そして、問題はがんになることではなくがんで死ぬことであり、そうならないためには早期発見と早期治療が大切なのです。ですから、便秘と下痢を繰り返したり、便に血が混ざっていたりするなどの気になる症状があるのなら、必ず病院を受診して、必要なときには大腸内視鏡検査を受けていただきたいと思います。

ドクターからのメッセージ

羽生 健院長

潰瘍性大腸炎は、基本的に若年者に多く発症します。症状が改善し、その後もしばらくは薬を飲まなくても下痢や下血などの症状が起こらない人もいます。しかし、先ほども話したように、その患者さんがまだ社会人として働いていて、子どもや家族もいて、人としても円熟期を迎えた一番良い時期に大腸がんで亡くなってしまったり、命は落とさなくても人工肛門になってしまうなどして、生活に大きな影響を与えることになってしまうのは本当に悲しいことだと思います。そのようなことにならないためにも、症状が治っても治療を続けるようにしてください。そして、下痢や下血などの症状があるのなら、当院にもご相談ください。

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