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初めての不妊治療 クリニックの選び方

(公開日2017年12月22日)

規模や実績、評判に惑わされず自分の目で確かめることが大事

日本には現在、約600もの不妊治療専用のクリニックがあります。各医療機関で診療方針や費用に差がある上に、自分の望む効果や結果がどのくらいの期間で出るかは、治療を進めてみないとわからない部分も多々あります。不妊治療は自分の都合ではなく、卵胞の成長具合やホルモンの状況などによって治療日が決まるので、クリニック選びにあたっては、通院しやすさが重要なポイントになります。
また、もし今受けている治療に納得できないなら、転院する勇気も必要です。治療実績や評判をうのみにせず、医師と直接話をして自分で判断するのが一番でしょう。大事なのは、悔いのない治療をすることです。

まずは自分に合うクリニックを知ろう

通いやすさや院内の雰囲気、診療方針も選ぶポイントになります。

ドクターやクリニックの診療方針

エビデンスに基づいた納得のいく説明があり、患者の事情や希望、話を聞いてくれることが大切です。複数の治療方法を提示し、最終的な判断は患者の意向に沿ってくれる医療機関は信頼できます。不定期で頻回な通院が必要な不妊治療。「一緒に頑張ろう」と思えるクリニックを選んでください。

専門性や患者層もチェック

もちろん一般的な婦人科でも不妊治療は受けられますが、妊娠を希望されるなら、年齢に関係なく不妊治療専門のクリニックや病院に行かれたほうがいいでしょう。専門ならではの詳しい検査や知識、実績があるので、ゴールまでの道のりが早いほか、基本的に妊婦や子ども連れの少ない環境で治療を受けられることもメリットです。

施設の規模にも注目

病院や複数の医師がいる大規模クリニックでは、診療の度に医師が変わります。同じ医師のほうが安心という方は、担当医制または1人の医師が診てくれるクリニックがいいでしょう。一方合併症を抱えている人、体に不安がある人は他科との連携が取れる総合病院が安心です。

主な治療は?

不妊治療には大きく分けて、タイミング法や人工授精などの「一般不妊治療」と体外受精をはじめとする「生殖補助医療(ART)」の2種類があります。
治療の一例を紹介します。

※費用は1回あたりの自費の目安となる金額です。助成金制度対象の治療もあり、その場合は自治体や所得によっても変動があります。

  • タイミング法

    妊娠の確率を高めるために超音波検査による卵胞計測などで排卵日を把握。性交渉のタイミングを見極めます。保険適用で行われますが、超音波検査や排卵誘発剤の使用の有無で保険適用外になる場合もあります。

    費用の目安

    費用2000~2万円程度の目安

  • 人工授精(AIH)

    運動性の高い精子を集めて、妊娠しやすい時期にカテーテルで子宮に注入し、受精をサポートする治療。毎月行っても問題はなく、麻酔の必要もないので女性の体への負担が少なく自然妊娠に近いかたちといわれています。

    費用の目安

    1万~3万円程度

  • 卵管鏡下卵管形成術(FT)

    卵管の閉塞や狭窄がわかった場合に行う内視鏡治療の一つ。カテーテルを腟から卵管入り口まで挿入し、バルーン(風船)を卵管内で膨らませることで、詰まった卵管を広げ、通過性を改善します。保険適用で日帰り手術が可能。

    費用の目安

    5万~30万円程度

  • 体外受精・胚移植(IVF-ET)

    排卵直前の状態まで育った卵子を卵巣から採取し、培養液の中で濃度を調節した精子を卵子にふりかけ、受精を待ちます。受精後、ある程度発育したものを子宮に戻すという方法です。自治体や所得によっては助成金制度が受けられることも。

    費用の目安

    30~40万円程度

  • 顕微授精(ICSI)

    精子と卵子を培養液に入れて自然に受精するのを待つ体外受精に対して、顕微授精は、顕微鏡下でガラス針を用いて、1つの卵子につき精子1つを受精させます。重度の男性不妊や受精障害がある場合に行われます。

    費用の目安

    IVF-ETに加え5万〜10万円程度

初診のタイミングは?

受診してみようかなと思ったときが最適なタイミングです。受診は月経中でも構いません。迷って後回しにするうちに治療開始が遅れてしまう方が多いので、まずは思い立ったら受診しましょう。

初期検査やその費用は?

基本的な初期の検査は月経に沿って行うため、複数回の通院が必要となります。またそれ以外に感染症採血、AMH(アンチミューラリアンホルモン)や甲状腺などのホルモン採血もあります。検査には保険適用・自費負担になるものがあり、施設によって検査の種類や費用は異なりますが平均して3万~5万円程度かかります。また、一通りの検査を終えるまでの期間は約1〜2ヵ月です。

子ども連れで受診できる?

総合病院や産婦人科では可能な場合もありますが、専門クリニックでは不妊治療の特性上、お子さんを連れての受診は控えましょう。子どもの姿を見るのがつらい方もおり、キッズルームがある場合も、周りへの十分な配慮が必要です。可能な限り託児所に預けるほうがお互いストレスが少ないでしょう。

不妊治療が始まると、何度もクリニックに足を運ぶことになります。そのため通いやすさはもちろん、ドクターとの相性や診療方針なども考えて、自分たちの納得のいく医療機関を選ぶことが大事です。妊娠を望まれている方、2人目をお考えの方、いずれ妊娠したいと思っている方など、まずは気軽に相談してみてください。

監修ドクター

東京衛生病院附属 めぐみクリニック

吉井 紀子先生

慶應義塾大学医学部卒業、同大学産婦人科学教室助手、北里大学研究所病院産婦人科医長、ファティリティクリニック東京副院長を経て、2017年秋開業の「東京衛生病院附属 めぐみクリニック」院長に就任。

イラスト : キリ