整形外科治療の実績に加え
リハビリや在宅復帰支援も充実

開設以来90年以上もの間、地域医療を支えてきた『九段坂病院』は、平成27年11月に移転リニューアルをし、新たな歴史を刻み始めた。旧千代田区役所跡地に立つ13階建ての新病院の内部はベージュを基調に、廊下も広々。大きく取られた窓からは、北の丸公園や、「皇居の森」とも呼ばれる吹上御苑、牛ヶ淵など、都内でも屈指の豊かな自然を眺めることができ、患者や家族、見舞い客などの心を癒やし、和ませている。
かねて脊椎脊髄疾患を専門としてきた同院の整形外科は、多くの実績を重ねてきたが、移転を機に、回復期リハビリテーション病棟を41床新設。これにより、整形外科疾患の治療・術後の機能回復の鍵となるリハビリテーションの体制がより手厚くなっただけでなく、脳血管障害についても、専門施設で急性期治療を終えた患者のリハビリを同院で引き受けられるようになったという。
また同院では、患者が自宅での生活に戻る、あるいは在宅療養に入るための退院調整にも病院を挙げて積極的に取り組み、千代田区の地域包括ケアに貢献。大きな役割を果たしている。建物内に併設された千代田区の高齢者総合サポートセンターでも同院の内科医師が週に1度、健康相談を行うなど、地域医療を支える病院として重要な役割を担っている。

院長メッセージ

中井 修病院長

中井 修病院長

1975年東京医科歯科大学医学部卒業。同大学整形外科で研修後、1983年より「九段坂病院」に勤務。1989年より諏訪中央病院で脊椎脊髄疾患治療を専門に診療。1991年「九段坂病院」に戻り、2006年より現職。「患者さんが満足できる医療のために」を信条に、高い技術力による手術に加え、病院全体での術後ケアを重視。東京医科歯科大学整形外科臨床教授。

長い歴史と実績の脊椎脊髄治療
地域のニーズに合った体制強化も

「高潔な志をもち、洗練された技術で愛情をこめて医療を行う」との理念を掲げ、質の高い医療の提供をめざす九段坂病院。平成27年の移転以降も、専門性の高い脊椎脊髄治療に加え、スタッフや医療機器の充実に努めるなど、各診療科の体制を強化。幅広い患者のニーズに応えている。

脊椎脊髄疾患の治療を得意とし、全国から患者が集まる同院。その始まりは昭和55年、当時整形外科部長だった山浦伊裟吉名誉院長が、専門としていた脊椎脊髄疾患の治療に集中してあたり、専門化を図ったことに端を発する。当時まだ治療法が確立されていなかった脊柱後縦靱帯骨化症をはじめ、難症例にも果敢に挑戦した積み重ねが信頼につながった。現在も、中井修病院長率いる整形外科の医師は、10人中7人が脊椎脊髄疾患を専門としている。団塊世代が75歳を迎える「2025年」に向け、健康寿命の延伸が推進される中、脊椎脊髄治療のニーズもより高まりが見込まれ、「患者さんが老後を健やかに過ごせるよう、専門性をさらに磨き、体制を充実させてまいります」と中井病院長は語る。
また、地域包括ケアが進む昨今、同院でも移転を機に開設した回復期リハビリテーション病棟では、手術・入院後のスムーズな在宅復帰に向け、専任の医師、看護師、リハビリテーションスタッフが継続的なサポートを実施。地区医師会との会合も定期的に行い、地域とのさらなる医療連携に努めているという。
整形外科以外の診療科でも、年々診療体制の充実化は進んでいる。外科では患者に負担の少ない腹腔鏡手術などを推し進めてきたのに加え、新たに食道外科をはじめ消化器外科を専門とする経験豊富な医師が加わった。泌尿器科にも常勤医師を迎え、同院でも手術が行えるようになるなど、診療環境が改善されている。
「今後も患者さんと職員のふれあいを重んじ、小規模病院ならではの親しみやすさはそのままに、より多くの患者さんのニーズに応える医療を行っていきます」

脊椎脊髄疾患の治療

2017年、同院における脊椎脊髄疾患の手術件数は1040件(1〜12月実績)。年々その数は増加している。これは、他の施設では手術が難しいとされたケースでも積極的に引き受け、いわば最後の砦として信頼を得ていることによるという。また、手術後のリハビリテーションについても体制を整え、順調に回復へとつなげていることも功を奏している。「手術によるご入院が決まった時から、当院の退院支援に向けたケアは始まっています」と中井病院長は言う。

自由に車いすを動かせるスペースのあるテラスには、段差での歩行訓練ができるスロープも設置

自由に車いすを動かせるスペースのあるテラスには、段差での歩行訓練ができるスロープも設置

整形外科

整形外科

診療部長/整形外科部長(写真中央)
進藤 重雄先生

東京医科歯科大学医学部卒業後、玉川病院、諏訪中央病院などでの勤務を経て、現職。日本整形外科学会整形外科専門医。「新しい治療法は、しっかり見極めながら取り入れる」が信条。

整形外科部長(写真左)
水野 広一先生

東京医科歯科大学医学部卒業後、諏訪中央病院勤務を経て、1995年より現職。日本整形外科学会整形外科専門医。症状から正確に診断ができたときにやりがいを感じる。

整形外科部長(写真右)
大谷 和之先生

東京医科歯科大学医学部卒業後、河北総合病院、湘南鎌倉総合病院に勤務。日本整形外科学会整形外科専門医。正しい診断で正しい治療を導くことをめざす。

脊椎脊髄の専門家からコメディカルまで、熟練のチームで、難しい手術を多数実施

脊椎脊髄の専門家からコメディカルまで、熟練のチームで、難しい手術を多数実施

脊椎脊髄治療に特化
患者目線で診療する

脊椎脊髄疾患治療に特化し、頸椎後縦靱帯骨化症や脊椎脊髄腫瘍などの難症例も数多く手がけてきた整形外科。年間1000件以上もの脊椎手術を行い(平成29年1〜12月実績)、全国から数多の患者を集めるが、運動や投薬など保存療法も含めて適切に判断し、患者の気持ちに寄り添う姿勢だ。

整形外科では、在籍する10人の医師のうち7人が脊椎脊髄疾患を専門としている。看護やリハビリテーションにおいてもこの疾患の特性を深く理解し、高度なトレーニングを受けた専門スタッフが患者の治療から療養までのサポートにあたる体制が醸成されており、安心して治療や機能回復・改善に専念できるようにしている。
「一般的には治療が難しいケースのご相談も多いため、実際に治療に入るまでお待たせする場合もありますが、緊急性が高いときにはすぐに処置を行います」と水野広一整形外科部長。他院から紹介の患者には必要な手術対応を速やかに行うが、同院で直接初診を受ける場合にはいきなり手術を勧めたりはせず、運動や投薬など段階を踏んで、病状に応じた適切な治療を相談しながら進めていく。
そこで、同科診療部長の進藤重雄先生が重視するのは、正確な診断。「画像診断だけでなく病態をしっかりと観察し、総合的に判断します」と心強い。また、整形外科の症状は日常生活に影響するため、患者の日頃の生活状態や今後の希望を踏まえた診療姿勢が重要となる。同科では、スタッフ全員が「関わった患者さんのことは一生診ていく」という思いを大切にしているそう。
対応している病院が限られる治療法としては、前方からの頸椎後縦靱帯骨化症の手術がある。術後の管理の難しさや重大な合併症リスクのため、病院全体で整備されたシステムが必要だ。「骨粗しょう症の手術も続発性の骨折を起こしやすく術後ケアの重要性が高いので、看護師やコメディカルスタッフが徹底して対応しています」と大谷和之整形外科部長。

高機能の設備が充実

手術室で採用しているCTは可動式で、手術中に撮影した3D画像をナビゲーションシステムで取り込み、位置を精密に確認しながら手術することが可能。リアルタイムで骨の状態が把握できるため、より安全かつ精度の高い治療につながる。同院ではエックス線撮影装置も、脊柱変形の治療で効力を発揮する、全身撮影のできる機種を導入しており、正面と側面の2方向から同時に撮影が可能だ。2台あるMRIは3テスラの新鋭機。

日本で導入している施設はまだ少ないという。可動式CTは、手術精度の向上や合併症の回避に役立つ

日本で導入している施設はまだ少ないという。可動式CTは、手術精度の向上や合併症の回避に役立つ

外科

検診から治療までワンストップ
腹腔鏡下手術も積極的に実施

各種消化器疾患、血管外科疾患、甲状腺・乳腺など内分泌の疾患と、幅広い領域に対応している外科では早期のがん治療に対し、積極的に腹腔鏡下手術を導入している。また、通院での抗がん剤治療に対応できるほか、食道がんや痔核の治療も開始。鼠径ヘルニア、腹壁ヘルニアの診断・治療でも豊富な実績を誇る。

長濱 雄志先生

外科部長 長濱 雄志先生
東京医科歯科大学の第一外科入局後、都立駒込病院に勤務。米国カリフォルニア州立大学サンディエゴ校留学や大久保病院などでの勤務を経て、2015年より現職。長年鼠径ヘルニア治療に従事。日本外科学会外科専門医、日本消化器外科学会消化器外科専門医。

西蔭 徹郎先生

外科医長西蔭 徹郎先生
1991年東京医科歯科大学医学部を卒業後、第一外科に入局。関連病院勤務を経て、同大学で約10年食道のスペシャリストとして研鑽を積む。2017年4月より現職。日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医、日本消化器外科学会消化器外科専門医。

人間ドックなどで発見された病気の早期治療から、重篤疾患の手術まで、外科が扱う領域は幅広い。透析治療や放射線治療を除く一般的な消化器外科治療を行っており、転移性肺がんや、肺から空気が漏れる自然気胸など、肺疾患にも対応しているのが特徴だ。
もう一つの特徴は、早期がんに対して内視鏡や腹腔鏡などを用いた手術を積極的に採用していること。傷口が小さいため早い回復が見込まれ、患者にとって負担が少ない治療法となっている。また、手術後に合併症として起こりやすい腹壁ヘルニアについても、速やかに対処。通院での化学療法にも対応しており、なるべく日々の生活を維持しながら治療していけると、患者にも好評だ。
外科では部長の長濱雄志先生のもと、常勤医5人体制で幅広い疾患に対応してきたが、昨年4月より、食道がんを専門に研究・治療してきた西蔭徹郎先生が外科医長として新たに加わった。こうしたスタッフの充実により、外科手術の対応件数も年々増えている。また、「重度の脊椎脊髄疾患の患者さんに対して、血管や甲状腺など他に現れた身体疾患の外科治療も行っています」と西蔭先生。整形外科で手術を受ける患者が入院時に貧血や腹痛などを訴えた場合でも、すぐに外科で検査をして必要があれば治療を行うなど、診療科間のコミュニケーションも緊密かつ速やかに行われている。
「外科治療は少なからず不安が伴うものですが、そうした不安や悩みを抱えておられる患者さんに対して、まずは正面から気持ちを受け止め、解消できるように診療していくことを心がけています」と長濱先生も頼もしい。

食道がん手術

大学病院で食道がんの胸腔鏡下手術をライフワークとしてきた西蔭先生。症例によって開胸手術など、適切な術式を選択していくが、「正確な手技で、極力合併症を起こさない」をモットーに、実績を上げている。肛門外科についても経験豊富で、薬剤による痔核硬化療法など、内痔核を切らずに治す負担の少ない治療が行えるようになった。日帰り手術も可能だが、安心のために1~2泊の入院で行うことを勧めているとのこと。

途中で体位変換を行うこともあり、食道がんの手術は7~8時間かかることも珍しくない

途中で体位変換を行うこともあり、食道がんの手術は7~8時間かかることも珍しくない

消化器内科

佐々部 正孝先生

副院長/内科部長
佐々部 正孝先生

1982年東京医科歯科大学医学部卒業。青梅市立総合病院にて勤務後、国立がん研究センターの消化管内視鏡科で内視鏡治療の研鑽を積み、1992年より現職。日本内科学会総合内科専門医。消化器内科が専門で、特に消化管の治療を得意とする。「患者さんやご家族の方たちなどが、より良い人生を送るお手伝いをしたい」という思いで診療している。

内視鏡検査後は、カーテンで仕切られた6台のリカバリーベッドで休息できる

内視鏡検査後は、カーテンで仕切られた6台のリカバリーベッドで休息できる

経口・経鼻両方の内視鏡が選べるが、より精密な検査を望む場合は経口がお勧め

経口・経鼻両方の内視鏡が選べるが、より精密な検査を望む場合は経口がお勧め

胃や大腸、小腸の内視鏡検査や
24時間の血糖値測定で精密に診療

平成27年の病院移転を機に、同院の内科は「総合診療」を提供するようになった。消化器内科、呼吸器内科、糖尿病・代謝内科、循環器内科と各専門分野を持つ医師が在籍し、内科全般を幅広く診療しているのが特徴だ。また、国民病といわれる糖尿病の短期入院治療も取り入れている。

内科では高血圧、糖尿病、胃炎、胃潰瘍、逆流性食道炎など、日本人が多く悩まされている病気に幅広く対応している。特に消化器内科では、患者を待たせない内視鏡検査で治療までの流れをスムーズ化。腹部に痛みや違和感を抱えて来院した患者が、なるべくその日のうちに内視鏡検査を受けられる体制を整えた。早期診断を早期治療につなげ、重症化を防いでより速やかな回復へ導きたい構えだ。検査中は医師と一緒に患者も内視鏡のモニターを見ていられるので説明もわかりやすく、より自身の状態を把握する一助となっている。
「ご要望が多く、お待たせすることもあった経鼻内視鏡検査も機器を増やしました」と副院長の佐々部正孝先生。
また、胃や大腸に加え、小腸の内視鏡検査にも対応可能だ。まれなケースだが、小腸に出血や腫瘍が見られる場合や、胃や大腸を調べた上で小腸に問題がありそうな場合などに、同院でそのまま検査ができる。
一方で病院間の連携も緊密に取られており、高度かつ専門的治療が必要な場合は速やかに近隣の大学病院などを紹介。必要な治療を終えた患者については、同院で再び引き受け、住み慣れた在宅での療養生活に戻れるまで支援にあたる。
患者の診療にあたっては、問診を丁寧に行い症状の原因を特定し、その患者の生活スタイルや嗜好に合った治療法を提案するよう心がけている。
「病気のデータを見てセオリー重視の治療法を勧めるのではなく、患者さんの要望や思いをくみ取り、その方の生活において最も適していると思われる方法を一緒に考えることを大切にしています」

持続血糖測定

従来の空腹時血糖値に加え、血糖値スパイクと呼ばれる食後高血糖が糖尿病の因子として注目されている。そこで同科では、健診ではわからない食後の血糖値を調べられる、24時間持続血糖測定を導入。1円硬貨大のセンサーを二の腕の裏側に装着し、入浴も含め普段どおりの生活で測定できる。最大2週間まで継続して血糖値が記録されるので、食後の数値の上がり方など特徴を見て、その患者に合った治療法や、より適切な薬への変更などを提示している。

近年、糖尿病薬の選択肢は増加。血糖値の変化を正しく把握することで、治療計画の見直しも可能となる

近年、糖尿病薬の選択肢は増加。血糖値の変化を正しく把握することで、治療計画の見直しも可能となる

呼吸器内科

佐々部 正孝先生

内科部長 石渡 庸夫先生

1992年山形大学医学部卒業後、東京医科歯科大学第二内科に入局。横須賀共済病院、東京都立墨東病院などでの勤務を経て、2005年より現職。専門は呼吸器。日本呼吸器学会呼吸器専門医。「患者さんが病気を正しく理解できるような、わかりやすい説明」を心がけている。

自宅で使用できる睡眠時無呼吸症候群治療用の装置。一定圧の空気を送り、睡眠中に上気道が閉塞するのを防ぐ

自宅で使用できる睡眠時無呼吸症候群治療用の装置。一定圧の空気を送り、睡眠中に上気道が閉塞するのを防ぐ

呼吸リハビリや禁煙治療に加え
睡眠時無呼吸症候群の検査入院も

総合診療を行う内科の一端を担う呼吸器内科。呼吸器感染症、肺がん、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患、間質性肺炎などの呼吸器疾患に幅広く対応。多職種でチームを組み、呼吸機能が低下している患者への包括的呼吸リハビリテーションに取り組んでいるほか、禁煙の専門外来も開設している。

呼吸器内科では呼吸器感染症、肺がん、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺炎など多彩な疾患の診療をしており、睡眠時無呼吸症候群(SAS)もその一つだ。睡眠時の無呼吸、日中の傾眠傾向、肥満などの症状がある患者に対して夜間SpO2モニターを実施。SASを疑う場合は、簡易型検査あるいは終夜睡眠ポリソムノグラフィー検査(PSG)を行う。
「平成29年6月から当科でもPSGができるようになりました」と石渡庸夫内科部長。一晩の睡眠状態を脳波・筋電図・眼電図で判断し、呼吸状態は口鼻・胸腹部の呼吸運動センサー、SpO2センサーで判定する。発症原因の多くが首周りの脂肪沈着、舌や咽頭軟部組織(軟口蓋や扁桃など)、顎顔面形態の異常がもたらす上気道の狭小化によるもの。重症例に対しては、鼻マスクから一定圧の空気を送ることによって、睡眠中に上気道が閉塞するのを防ぐ、持続陽圧呼吸療法(CPAP)を行う。

皮膚科

谷口 裕子先生

皮膚科部長 谷口 裕子先生

1990年東京医科歯科大学医学部卒業。アトピー性皮膚炎を専門に経験を積み、医真菌学の研究も行う。同院の皮膚科顧問を務める大滝倫子先生のもと、20年にわたって動物性皮膚疾患の治療について学び、多くの診療実績を積む。日本皮膚科学会皮膚科専門医。

アトピー性皮膚炎にも効果的な光線治療機器「エキシマライト」は病変部のみに紫外線を照射できる

アトピー性皮膚炎にも効果的な光線治療機器「エキシマライト」は病変部のみに紫外線を照射できる

腰痛や高齢者の足・爪トラブル
アレルギー疾患にも対応

一般的な皮膚疾患だけでなく、疥癬(かいせん)や蜂アレルギーなど動物性皮膚疾患の治療にも尽力する皮膚科。原因特定が重要なアレルギー疾患の外来や巻き爪、たこ、魚の目の処置を行うフットケアの外来、しみ、しわ、ニキビ、スポーツに伴う皮膚トラブルなどの専門外来も開設している。

皮膚科では、最近相談の多いアレルギー疾患の検査・治療に注力。症状に応じて、血液検査、パッチテスト、プリックテストなどを行い原因究明に努める。アトピー性皮膚炎では、シャンプーや石けんなどの日用品が影響して悪化することも多いが、入浴や睡眠といった生活習慣を見直すことで改善する場合もあるそう。ストレスや扁桃腺炎、虫歯・歯周病と関連する場合もあるため、疑われる場合は心療内科ほか各診療科を紹介する。また、アトピー性皮膚炎の合併症には白内障、網膜剥離、緑内障などがあるので、眼科とも連携して治療を行う。
また、フットケアの専門外来では巻き爪、たこ、魚の目の処置を実施。「ご高齢の方や腰痛でかがむことが困難な方は足のケアがしづらいものです。お困りの場合はご相談ください」と谷口裕子皮膚科部長。そのほか、月1回、東京医科歯科大学形成外科の女性医師による手術を行っており、顔など傷痕が気になる部位の手術にも対応している。

リハビリテーション科

小林 健太郎先生

リハビリテーション科部長
小林 健太郎先生

2002年東京慈恵会医科大学卒業。東京都立大塚病院、中伊豆リハビリテーションセンターで回復期リハビリテーション、東京都立墨東病院で急性期リハビリテーションの研鑽を積む。2015年より現職。嚥下障害、感覚障害、電気刺激療法を専門とし、特に感覚障害に対する磁気刺激療法に注力。日本リハビリテーション医学会リハビリテーション科専門医。

約400㎡のリハビリテーション室は、明るく開放的な空間

約400㎡のリハビリテーション室は、明るく開放的な空間

脳に直接刺激を与えることでリハビリテーションの効果を高める磁気刺激療法

脳に直接刺激を与えることでリハビリテーションの効果を高める磁気刺激療法

脳血管障害から在宅復帰を促す
熱意の回復期リハビリテーション

千代田区でニーズの高い、回復期リハビリテーション病棟を持つ同院では、患者の在宅復帰に向けて身体機能の回復に取り組んでいる。脊椎・脊髄を損傷した患者の術後ケアや脳血管障害患者のケアを中心に、磁気刺激療法や電気刺激療法も提供し、近隣の高度急性期病院からも患者を受け入れている。

脳卒中などの脳血管障害の患者を中心に、回復期の医療を支えるリハビリテーション科。41床ある回復期リハビリテーション病棟では、同院の専門である脊椎疾患の患者にも対応しており、当該病棟の入院患者には1日2時間以上のリハビリを365日提供している。同院の診療体制は専任の医師のもと、理学療法士20人、作業療法士7人、言語聴覚士2人という充実ぶり。リハビリテーションを専門とする同科部長の小林健太郎先生は、多職種からなるチームを率いるリーダーとして、高い目標を設定してリハビリを進めている。
「患者さんを元の状態に少しでも近づけることを使命とし、リハビリ中から自宅での生活をイメージして、調理台で実際に料理を作ってもらったり、段差の高さを変えられる階段装置で自宅の高さに合わせた階段昇降を体感してもらったり、実践的なトレーニングを行っています」
施設内にはトイレの手すりの位置をシミュレーションする装置もあり、そのデータをケアマネジャーと共有して福祉用具の設置にも役立てている。
特徴的なのは、磁気刺激療法や電気刺激療法などの物理療法。前者は、脳に磁気刺激を当てて回復を促す方法で、脳が活性化した状態でリハビリを行うことで良い状態を定着させる仕組み。適応基準を満たせば受けられる治療法で、手先の細かい動きができるようになるなどの効果があるほか、失語症の治療にも導入されている。電気刺激療法は筋肉や神経に対するアプローチで、筋力増強や鎮痛効果を目的に、患者の症状に合わせて使っている。治療効果は学会発表するなど、各種広報に努めてもいる。

嚥下サポートチーム

高齢者の肺炎の原因となる誤嚥(ごえん)を防ぐため、医師と摂食・嚥下障害看護の認定看護師、言語聴覚士、管理栄養士、地域連携看護師からなる専門チームが嚥下障害のある患者を手厚くサポート。嚥下ができているかどうかの診断には、内視鏡による検査と放射線で透視する造影検査が用いられ、むせなどの症状が出ないケースでも適切な診断が可能だ。嚥下内視鏡検査はベッドサイドでも可能なので、動けない患者にも対応ができる。

造影検査は車いすに座ったまま受けることが可能。患者が食べ物を飲み込む状況をチームで観察

造影検査は車いすに座ったまま受けることが可能。患者が食べ物を飲み込む状況をチームで観察

泌尿器科

加藤 伸樹先生

泌尿器科部長
加藤 伸樹先生

1993年東京慈恵会医科大学卒業。同大学本院・附属第三病院にて研鑽を積んだ後、神奈川県立厚木病院(現・厚木市立病院)、康心会汐見台病院での勤務を経て、2017年1月より現職。専門は前立腺がん、尿路悪性腫瘍、前立腺肥大症・過活動膀胱などの排尿障害。現在同院では内視鏡手術を多く手がける。日本泌尿器科学会泌尿器科専門医。

PVPのほか、TURis-PやTUEBなど前立腺の手術はいずれも尿道から内視鏡を入れて行う

PVPのほか、TURis-PやTUEBなど前立腺の手術はいずれも尿道から内視鏡を入れて行う

前立腺がんの針生検では3テスラのMRIを用いており、クリアな画像で高精度に

前立腺がんの針生検では3テスラのMRIを用いており、クリアな画像で高精度に

先鋭機器による精密な検査・治療
痛みを減らし、効果アップに注力

平成29年1月に常勤の泌尿器科部長として加藤伸樹先生が着任し、3人の非常勤医とともに、平日は毎日外来診療を実施。前立腺・膀胱・腎臓・精巣などの悪性腫瘍から前立腺肥大症などの排尿障害、尿路感染症、尿路結石、男性更年期障害まで幅広く検査・診断・治療を行っている。

過活動膀胱などの排尿障害や膀胱炎、腎盂腎炎などの尿路感染症など、日常的な悩みから始まる疾患の患者が多く来院する同科。九段下駅から徒歩3分と立地が良く、健康医学センターから予約されるケースも多いためか、女性の受診が約3割と、一般的な泌尿器科よりも多いのが特徴だ。
前立腺がんの針生検では、実施前に3テスラのMRIで精密な画像を取得して患部の位置を見極め、生検本数を抑えている。また、脊椎麻酔下で行うため、検査時の疼痛が少なかったと喜ぶ患者もいるという。また、生検で用いる超音波診断装置にはリアルタイムバイプレーン技術搭載の先鋭機器を導入。前立腺の横断面と縦断面を同時にモニターに表示可能で、狙った部位を精密に穿刺することで、的確な診断のため役立っている。
膀胱がんでは、早期の場合、経尿道的内視鏡手術を行っている。一般的には再発率50%といわれ、再手術が必要になることの多い病気だが、同院では膀胱鏡に搭載されたNBIという腫瘍範囲を青く浮かび上がらせる機能を駆使して、残存腫瘍がないように切除している。また、手術直後の抗がん剤膀胱注入や、外来での定期的な抗がん剤やBCGの投与によって再発予防に努めている。
部長を務める加藤伸樹先生を筆頭に、「患者さんお一人お一人に最適な治療を行う」ことをモットーとしている泌尿器科だが、それが同院では行っていない治療方法であれば、専門医療機関へ紹介するなど、すべての選択肢から最適と思われる提案とメリット・デメリットの説明を心がけるという姿勢が貫かれている。

光選択的前立腺レーザー蒸散術(PVP)

排尿障害の強い前立腺肥大症の患者に、高出力のグリーンライトレーザーを照射して肥大した前立腺を高熱で蒸散させ、組織自体を消失させる光選択的前立腺レーザー蒸散術(PVP)手術が行える同科。日本で行っているのは、80施設ほどだそう。後出血が極めて少ないため、術後入院期間が約3日と従来の半分以下で済み、ワルファリンなど抗凝固剤を服用している場合でも、出血の少ない術式のため、服薬を中止する必要もないという。

PVPでは、血管の多い前立腺の手術につきものだった出血の多さが改善されている

PVPでは、血管の多い前立腺の手術につきものだった出血の多さが改善されている

健康医学部門

明るく元気な女性スタッフたち。気軽に声をかけられる雰囲気だ

明るく元気な女性スタッフたち。気軽に声をかけられる雰囲気だ

大きなチェアがゆったり配置された待合スペース

大きなチェアがゆったり配置された待合スペース

同部門がある13階からは、都心とは思えないほどの絶景が見られる

同部門がある13階からは、都心とは思えないほどの絶景が見られる

新鋭の画像診断機器やシステムで
充実した検査項目を提供

半日・1日の人間ドックと21種類のオプション検査を提供。経鼻内視鏡も選べる胃内視鏡、大腸内視鏡、撮影時の被ばく量が少ない64列胸部CT、3テスラ精細画像の脳MRIなどの検査に加え、高濃度乳腺に対する乳腺エコー検査にも対応。診療は各臓器ごとの専門家が行い、安全性確保に努めている。

人間ドックの大きな目的は、糖尿病・高血圧・脂質異常症・高尿酸血症・肥満・慢性閉塞性肺疾患(COPD)・慢性腎臓病・睡眠時無呼吸症候群(SAS)などの基礎的生活習慣病の発見と、がんを代表とする悪性腫瘍の早期発見にある。いずれの疾患も多くの場合、早く見つかるほど病状改善の可能性が高まるとされている。部門長の白井隆則先生は「疾患の早期発見のため、各科の協力のもとオプション検査を整えてきました」と話す。基礎的生活習慣病には、睡眠中に無呼吸の疑いがある場合には終夜酸素飽和度モニターを、高血圧の場合・泌尿器科で問題なしとされたにもかかわらず尿潜血が続く場合・むくみがある場合などは尿中アルブミンやシスタチンCの測定を、動悸が気になる場合、ことに女性は甲状腺刺激ホルモンなどの検査を用意。がんに対しては、喫煙歴のある場合は低線量胸部CTや喀痰細胞診、胃がんが気になる場合には胃内視鏡に加えピロリ菌検査、その他大腸内視鏡、マンモグラフィ・乳腺エコー、前立腺がんにはPSA検査、尿路系がんには尿細胞診などを用意している。脳動脈瘤や脳腫瘍・隠れ脳梗塞の発見には、3テスラ高磁場MRI検査を勧めている。各分野専門の医師、または放射線科医師が診断し、なるべくダブルチェック体制を採るなど信頼性確保に努める姿勢だ。
また、女性医師の診察枠が毎日用意され(婦人科医師は男性の場合あり)、女性が受診しやすい環境を整えている。検査で異常が発見された場合には、当日は同院外来に速やかに紹介することも可能。翌日以降は、重大な問題がわかった時点で受診者に電話連絡をしている。

超音波検査を有効活用

日本人女性のかかるがんの第1位である乳がん。比較的若い世代に多く、早期発見は人間ドックの重要テーマだ。最近メディアで取り上げられることが多い「マンモグラフィでがんを見つけにくい高濃度乳腺」は日本人に多く、課題となっている。同部門では外科の協力のもと乳腺エコーをオプションに取り入れ、マンモグラフィで高濃度乳腺と判定された場合には次回から乳腺エコーを選択できる。マンモグラフィもエコーも女性技師が担当している。

婦人科の検査は女性が安心して受診できるよう女性の検査技師が担当

婦人科の検査は女性が安心して受診できるよう女性の検査技師が担当

施設紹介

入院環境

佐藤 八重子さん

看護部長
佐藤 八重子さん

30年以上の看護経験を持つエキスパート。虎の門病院勤務を経て、2009年より現職。「自分だったらどうしてもらいたいか、患者さんの視点で考える」のがモットー。

脊椎脊髄疾患の専門性の高いケアに加え
回復期リハビリの在宅復帰も手厚く支援

回復期リハビリテーション病棟では、専門スタッフやリハビリテーション機能を充実させ、整形外科の患者だけでなく、急性期治療を終えた脳血管障害患者のリハビリ期ケアにも対応している。看護部では、佐藤八重子看護部長のもと、「看護の質の向上に努め、安全でぬくもりのある看護を提供する」という理念で、入院患者がスムーズに在宅復帰できるようきめ細かくサポート。事前に看護計画を説明し、患者の意向を踏まえながら最善のプランを立案し、患者中心の「ぬくもりのある看護」の実現に向けて日々まい進しているという。また、医療連携室では、地域の医療機関や行政との連携を緊密に取り、近隣の訪問看護ステーションや在宅医療に関わる地域の診療所とのネットワークを構築することで、患者やその家族が、在宅復帰についても相談しやすい体制を整えている。

レストラン

足下までの広い窓ガラス越しに望む、北の丸公園と高層ビル群とのコントラスト

足下までの広い窓ガラス越しに望む、北の丸公園と高層ビル群とのコントラスト

高級ホテルの味と眼下に広がる眺め
皇居を一望する穴場のサンクチュアリ

ホテルオークラ直営のレストラン「メディコ」。同院最上階の13階にあるこのレストランでは、皇居の緑を眼下に眺めながら、そこが病院内であることを忘れてしまうほどの環境で食事ができる。春の桜や秋の紅葉など四季折々の楽しみもあり、夜は都内高層ビルの夜景を一望できるのも魅力。都会の中心にありながら、喧噪を忘れて、おいしい料理が堪能できる貴重な場所だ。通院や入院をしている家族のお見舞いで病院に来たときには、すばらしい景色とともにゆったりと食事を楽しむことで、リフレッシュした時間を過ごしてほしい、という病院の思いが表れている。カフェとしても利用できるほか、ランチメニューやコース料理も用意もしている。営業時間は平日が11:00〜19:30。土曜は11:00〜17:00。日曜・祝日は定休日。



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