脊椎脊髄の治療に長年の実績
回復期リハで在宅復帰も支援

大正15年創設の『九段坂病院』は平成27年に千代田区との合築によって新たな建物に移転。「高潔な志をもち、洗練された技術で愛情をこめて医療を行う」の理念のもと、質の高い医療を提供している。同院は地下鉄九段下駅近くの都心にありながら、北の丸公園、牛ヶ淵、吹上御苑といった豊かな自然が楽しめる好立地。移転を機に、広々とした廊下、温かみのあるベージュやダークブラウンの配色など、「ホテルのようなおもてなし空間」をめざして院内整備を行った。
整形外科による難易度の高い脊椎脊髄疾患治療に心血を注ぐ同院は、移転後は病床数257床のうち、新たに41床を回復期リハビリテーション病棟として整備。整形外科の治療後・手術後の機能回復で重要なリハビリテーションに注力する体制を充実させた。もちろん他の診療科もスタッフや医療機器の充実に努めるなど体制を強化している。
また同じ建物内に千代田区の高齢者総合サポートセンターも併設され、同院の内科医師が週1回の健康相談を行うなど、地域住民の健康維持をサポート。在宅療養を希望する住民に対しては、早期から退院後を見据えたアドバイスなど積極的な退院調整を行う一方で、在宅の患者の一時入院にも対応し、千代田区の地域包括ケアで重要な役割を果たしている。

病院長メッセージ

中井 修病院長

中井 修病院長

1975年東京医科歯科大学医学部卒業。同大学整形外科で研修後、同大学で脊椎疾患の診療・研究に従事。1983年から九段坂病院に勤務。その後、諏訪中央病院に移り、脊椎脊髄疾患治療を専門に診療経験を積む。1991年に九段坂病院に復帰し、2006年から現職。現在は東京医科歯科大学整形外科臨床教授も務める。日本整形外科学会整形外科専門医。

中規模病院らしいこまやかさで
高度専門医療と地域医療を両立

平成27年に現在の建物に移転した同院は、急性期から回復期まで幅広い診療内容に対応。高い水準の脊椎脊髄治療の専門性をさらに高め、他の診療科も新たな医療機器の導入などで体制の充実を図っている。同時に患者や家族がリラックスできる院内環境にも配慮し、地域から親しまれる病院をめざしている。

同院は脊椎脊髄疾患の治療を得意とし、全国から患者が集まるという。その伝統は昭和55年、山浦伊裟吉名誉院長が整形外科部長を務めていたとき、自身の専門だった脊椎脊髄疾患の治療に注力し、専門化を図ったことに始まる。当時まだ治療法が確立されていなかった頸椎後縦靱帯骨化症をはじめ、難症例にも果敢に挑戦し信頼獲得へつなげてきた。
「団塊世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年問題に向け、健康寿命の延伸が推進される中、脊椎脊髄治療のニーズもより高まるでしょう」
中井修病院長はそう語り、高齢者が老後を健やかに過ごせるよう、専門性をさらに磨き、体制を充実させていくという。また、脳卒中治療後の患者に対しては磁気刺激療法、視覚刺激と電気刺激を併用した手法なども取り入れている。
外科では体に負担の少ない腹腔鏡手術を推進するほか、食道がんや肝胆膵がんなどの治療経験が豊富な医師が加わった。泌尿器科にも常勤医を迎え、入院検査や手術に対応。内科では生活習慣病の予防などで健康寿命の延伸を図っていく。
また同院の回復期リハビリテーション病棟は、脊椎損傷や脳血管障害などの治療を終えた患者のスムーズな在宅復帰に向け、専任の医師、看護師、リハビリスタッフが手厚く支援。外部の訪問看護師や介護スタッフと連携し、住み慣れた場所で最後まで暮らすための医療に力を入れる。さらに地区医師会との定期会合を行うなど、地域医療機関とも連携。
「今後も患者さんと職員のふれあいを重んじ、中規模病院ならではの親しみやすさはそのままに、より多くの患者さんのニーズに応える医療を行っていきます」

脊椎脊髄疾患の治療

他の医療機関で難しい症例も
積極的に引き受けて対応する

同院で行う脊椎脊髄疾患の手術件数は年間1046件以上(2018年1~12月実績)で、困難な症例が多く含まれる点も特色。これは他の医療機関で手術が難しいとされた患者を積極的に引き受け、これまでの豊富な診療実績に照らして適切な治療を行うためだ。また、手術後のリハビリも十分な体制を整え、順調な回復をめざすことで成果を挙げている。「手術によるご入院が決まったときから、当院の退院支援に向けたケアは始まっています」と中井病院長は言う。

豊かな緑を間近に感じられる屋外テラスは、段差を使った歩行訓練にも利用される

豊かな緑を間近に感じられる屋外テラスは、段差を使った歩行訓練にも利用される

整形外科

整形外科

診療部長(写真中央)
進藤 重雄先生

東京医科歯科大学医学部卒業後、玉川病院、諏訪中央病院などでの勤務を経て、現職。日本整形外科学会整形外科専門医。「新しい治療法は、しっかり見極めながら取り入れる」が信条。

整形外科部長(写真右)
水野 広一先生

東京医科歯科大学医学部卒業後、諏訪中央病院勤務を経て、1995年より現職。日本整形外科学会整形外科専門医。症状から正確に診断ができたときにやりがいを感じる。

整形外科部長(写真左)
大谷 和之先生

東京医科歯科大学医学部卒業後、河北総合病院、湘南鎌倉総合病院に勤務。日本整形外科学会整形外科専門医。正しい診断で正しい治療へ導くことをめざす。

脊椎脊髄疾患の治療に豊富な実績
患者に寄り添う診療姿勢も特徴

脊椎脊髄疾患に特化して40年近く治療を行ってきた同科は、頸椎後縦靱帯骨化症や脊椎脊髄腫瘍をはじめとする難症例も数多く手がけてきた。数多くの患者が全国から集まるといい、手術だけを選択肢とせず、運動や投薬などの保存療法も含めて適切に判断。患者一人ひとりの気持ちに寄り添う診療姿勢を貫いている。

整形外科では、在籍する10人の医師のうち7人が脊椎脊髄疾患を専門とし、年間1000件以上の脊椎手術の実績を誇る(平成30年1~12月)。この経験をもとに、手術の是非も含めた適切な治療法を提案できる上、術後の経過予測を丁寧に説明している。
看護師やリハビリスタッフも疾患の特性を十分に理解し、高度なトレーニングを受けて診療や療養をサポートするなど、整った治療環境である。
「一般的には治療が難しいとされるケースのご相談も多いため、実際に治療に入るまで少しお待たせする場合もありますが、他院からご紹介の患者さんで緊急性が高いケースはすぐに処置を行います」と水野広一整形外科部長は話す。一方で最初から同院を受診した患者にはすぐに手術を勧めず、運動や投薬など病状に応じた適切な治療を相談して選択。そうした際の診断で、診療部長の進藤重雄先生は「画像診断はもちろんですが、患者さんの病態もしっかり観察して総合的な判断を重視します」と心強い。
また患者のQOL(生活の質)を維持・向上させるには、今後の暮らし方の希望を踏まえた治療とその後のケアが重要で、同科ではスタッフ全員が「治療に関わった患者さんのことは一生診ていく」という思いを大切にしているそうだ。
同科で特色のある治療法に、「前方からの頸椎後縦靱帯骨化症の手術」があるが、医師・スタッフとも徹底した術後管理と合併症リスクの軽減を図っている。
「骨粗しょう症の手術も続発性の骨折を起こしやすく術後ケアの重要性が高いため看護師や各スタッフが徹底して対応しています」と大谷和之整形外科部長。

高機能の設備が充実

可動式CTで撮影した3D画像を
もとに正確・安全な手術へ

手術室のCTは可動式。撮影した3D画像を手術用のナビゲーションシステムに即座に取り込み、患部の精密な位置を把握しながら手術を行っている。骨の状態もリアルタイムで確認でき、より安全で精度の高い治療をナビゲート。エックス線撮影装置も全身撮影ができる機種を導入し、正面と側面の2方向から同時撮影が可能。脊柱変形の治療でも力を発揮する。このほか、2台あるMRIは3テスラという解像度で、検査の精度向上や時間短縮に役立っている。

日本での導入はまだ少ないという可動式CT。手術中もCT画像を確認でき、手術精度が向上する

日本での導入はまだ少ないという可動式CT。手術中もCT画像を確認でき、手術精度が向上する

外科

消化器疾患の高度な治療に対応し
腹腔鏡による手術も数多く実施

各種消化器疾患、血管外科疾患、甲状腺・乳腺をはじめとする内分泌の疾患、食道がん、肝胆膵がんなど、同科の医師は各自が高度な専門性を持ちながらゼネラルな診療も行う。鼠径ヘルニア、腹壁ヘルニアの診断・治療も実績豊富で、さまざまな症例に対応できるのが強み。がんの手術では積極的に腹腔鏡手術を導入。

長浜 雄志先生

外科部長
長浜 雄志先生
東京医科歯科大学の第一外科入局後、都立駒込病院に勤務。米国カリフォルニア州立大学サンディエゴ校留学や大久保病院などでの勤務を経て、2015年より現職。長年鼠径ヘルニア治療に従事。日本外科学会外科専門医、日本消化器外科学会消化器外科専門医。

西蔭 徹郎先生

外科医長
西蔭 徹郎先生
1991年東京医科歯科大学医学部を卒業後に同大学第一外科に入局。関連病院勤務を経て、同大学で約10年食道のスペシャリストとして研鑽を積む。2017年4月より現職。日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医、日本消化器外科学会消化器外科専門医。

 

移転を機に外科ではスタッフを充実させ、治療内容の拡充と診療レベルの向上を図ってきた。現在は各種消化器疾患の治療と鼠径ヘルニアの腹腔鏡手術を行う長浜雄志外科部長、食道がんを専門とする西蔭徹郎外科医長に加え、甲状腺・乳腺など内分泌の疾患、食道がん、肝胆膵がんといった専門治療に対応。通院での抗がん剤による化学療法も行っている。
「各医師はゼネラルな治療も行い、専門性と多様性を両立させた厚みのある消化器外科診療が特色です」と長浜先生は語り、人間ドックなどで発見された病気の早期治療から重篤疾患の手術まで、透析治療や放射線治療を除く治療に幅広く対応する。さらに転移性肺がん、肺から空気が漏れる自然気胸などの肺疾患もカバーする。
同科での手術の約6割は腹腔鏡によるものだが、特に近年増えている肝胆膵がんの手術にも腹腔鏡を採用。また腹部手術後の合併症で多い腹壁ヘルニアには診療科全体で速やかに対処する。
「この他重度の脊椎脊髄疾患の患者さんで、血管や甲状腺などに疾患がある方の外科治療も当科で担当しています」と西蔭先生。例えば整形外科で手術を受ける患者が入院時に貧血や腹痛などを訴えた場合も、すぐに外科で検査して必要なら治療に移るなど、院内の診療科間の連携は緊密で非常にスムーズだ。
「外科治療は少なからず不安や悩みが伴いますが、そうした患者さんやご家族の気持ちを正面から受け止め、解消できるような診療を当科では心がけています。地域の皆さんも、心配事があれば遠慮なくご相談いただければと思います」と長浜先生はメッセージを送る。

膵がん治療

切除可能な膵がんには手術で
難しい場合も薬物療法などで対応

早期発見が難しい膵がんに対し、同院では切除可能なら標準的な膵がん手術を行い、その件数は着実に増えている。切除不可能な場合も薬物療法、がんで通過障害となった腸のバイパス手術、緩和治療に対応する。「いずれも患者さんが日常生活を送りながら治療できるよう、治療法などを相談しながら進めます」と岡島千怜外科医長。膵がんや胆管がんの診断・治療に必要な特殊な内視鏡検査も外科で担当するため、患者の病状を詳細に把握できる点も強み。

門脈など血管の合併切除を含めた膵がん手術(膵頭十二指腸切除術、膵体尾部切除術、膵全摘術)を行う

門脈など血管の合併切除を含めた膵がん手術(膵頭十二指腸切除術、膵体尾部切除術、膵全摘術)を行う

消化器内科

佐々部 正孝先生

副院長/内科部長
佐々部 正孝先生

1982年東京医科歯科大学医学部卒業。青梅市立総合病院にて勤務後、国立がん研究センターの消化管内視鏡科で内視鏡治療の研鑽を積み、1992年より現職。日本内科学会総合内科専門医。消化器内科が専門で、特に消化管の治療を得意とする。「患者さんやご家族の方たちなどが、より良い人生を送るお手伝いをしたい」という思いで診療している。

鎮静剤を使う内視鏡検査など、検査後に休息が必要な際に利用するリカバリールーム

鎮静剤を使う内視鏡検査など、検査後に休息が必要な際に利用するリカバリールーム

上部消化管の内視鏡検査では経口のほか、喉への違和感が少ない経鼻も選べる

上部消化管の内視鏡検査では経口のほか、喉への違和感が少ない経鼻も選べる

胃や大腸、小腸の内視鏡検査や
24時間の血糖値測定で精密に診療

同院の内科は一般的な内科疾患にすべて対応する総合診療をベースに、消化器内科、呼吸器内科、糖尿病・代謝内科、循環器内科を専門とする医師が、総合診療からそれぞれの専門診療までを担当。また国民病といわれる糖尿病に対し、24時間持続血糖測定、インスリン注入ポンプによる管理、短期入院治療などを提供する。

総合診療の役割も担う内科では、原因不明の発熱や体重減少など、該当する診療科がわかりにくいケースの診療に対応。必要なら適切な診療科や他の医療機関などを紹介する。また消化器内科、呼吸器内科、糖尿病・代謝内科、循環器内科を専門とする医師が診療を行い、平成30年から呼吸器の医師が1人増えてさらに充実した。高血圧、糖尿病、胃炎、胃潰瘍、逆流性食道炎といった患者数の多い病気に幅広く対応する。
医師はそれぞれ専門を持ちながらも総合内科としての診療を心がけているという。特に消化器内科では、外科の協力で内視鏡検査を月曜から金曜まで連日実施可能とし、腹部の痛みや違和感などで来院した場合なども、その日のうちに胃の内視鏡検査ができるよう体制を整えた。
「経鼻内視鏡検査は受診のご要望が多く、一時はお待たせすることもあったのですが、現在は機器を増やして対応しています」と内科部長の佐々部正孝副院長。
もちろん病院間の連携も緊密で、より専門的な治療が必要な場合は、東京医科歯科大学医学部附属病院をはじめとする近隣の病院などを紹介。必要な治療を終えた患者は同院で再び引き受け、住み慣れた環境での療養に戻れるよう支援する。
また同科では生活習慣病の予防と治療にも力を入れている。血糖値を24時間持続測定可能な装置や高度な血糖値管理装置の導入を行い、短期入院治療などを積極的に行う。
「日本人の健康寿命を延ばすため、血管にダメージを与える糖尿病の予防や早期対応は内科医師の使命と考えています」と佐々部副院長らは力を入れている。

インスリン注入ポンプ

小型の装置でインスリンを体内へ
簡便な血糖値管理を可能に

薬での管理が難しくなった、あるいは妊娠を考えるとしばらく薬を使いにくいといった2型糖尿病患者や、体内でインスリンを作れない1型糖尿病患者などに対し、同院では携帯型のインスリン注入ポンプを使った治療も提供している。この装置は継続してインスリンを注入でき、時間帯によって量を調整するなども可能なため、血糖値を効果的に管理できる点が特色。「装置も非常にコンパクトで、手軽に使っていただけると思います」と佐々部副院長は評価する。

腹部などに小さな針を刺してインスリンを継続して注入。交換は数日に1回でよく、手軽に血糖を管理できる

腹部などに小さな針を刺してインスリンを継続して注入。交換は数日に1回でよく、手軽に血糖を管理できる

呼吸器内科

佐々部 正孝先生

内科部長
石渡 庸夫先生

1992年山形大学医学部卒業後、東京医科歯科大学第二内科に入局。横須賀共済病院、東京都立墨東病院などでの勤務を経て、2005年より現職。専門は呼吸器。日本呼吸器学会呼吸器専門医、日本アレルギー学会アレルギー専門医、日本内科学会総合内科専門医。

夜間のいびき・無呼吸、日中の過眠などで睡眠時無呼吸症候群が疑われたら、スクリーニング検査後に入院、精密検査を行う

夜間のいびき・無呼吸、日中の過眠などで睡眠時無呼吸症候群が疑われたら、スクリーニング検査後に入院、精密検査を行う

睡眠時無呼吸症候群の検査・治療や
呼吸リハビリ、舌下免疫療法を提供

睡眠時無呼吸症候群の精密検査と治療をはじめ、医師・理学療法士・看護師・管理栄養士・薬剤師など、多職種からなる医療チームによる抱括的呼吸リハビリ、禁煙治療に加え、アレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法も開始した。

呼吸器感染症、肺がん、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺炎、睡眠時無呼吸症候群(SAS)など多様な呼吸器疾患に対応し、呼吸機能が低下した患者への抱括的リハビリにも力を入れている。「平成30年10月から医師3人体制となり、より充実した医療を提供できるようになりました」と石渡庸夫内科部長。
平成29年6月からSASの入院精密検査を開始。1晩の睡眠状態を脳波・筋電図・眼電図で判断し、呼吸状態は口鼻・胸郭部の呼吸運動センサー、酸素飽和度センサーで判定する。重症例には鼻マスクから一定圧の空気を送り、睡眠中の上気道の閉塞を防ぐ持続的陽圧呼吸療法(CPAP)を行う。また平成30年10月からダニ・スギ花粉を原因抗原とするアレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法を開始した。アレルギー性鼻炎合併の気管支喘息に対して、気道過敏性や呼吸機能の改善を促し、新規の抗原感作率を減少させ、喘息発作の抑制をめざしている。

皮膚科

谷口 裕子先生

皮膚科部長
谷口 裕子先生

1990年東京医科歯科大学医学部卒業。アトピー性皮膚炎を専門に経験を積み、医真菌学の研究も行う。九段坂病院の皮膚科顧問を務める大滝倫子先生のもと、20年にわたって動物性皮膚疾患の治療について学び、多くの診療実績を積む。日本皮膚科学会皮膚科専門医。

アトピー性皮膚炎治療にも有用な光線治療機器「エキシマライト」は病変部のみに紫外線を照射できる

アトピー性皮膚炎治療にも有用な光線治療機器「エキシマライト」は病変部のみに紫外線を照射できる

アレルギー疾患の原因究明と治療
足・爪のトラブルなどにも対応

アレルギー疾患の検査・治療に力を入れており、症状に応じて血液検査やパッチテスト、プリックテストを行い原因究明に努めている。巻き爪、たこ、うおのめの処置を行うフットケアの外来、しみ、しわ、ニキビ、スポーツに伴う皮膚トラブルなどの専門の外来も開設。疥癬、蜂アレルギーなど動物性皮膚疾患の治療にも尽力する。

アトピー性皮膚炎はシャンプーやせっけんなどの日用品の影響で悪化するケースがあり、それらを見直すことで改善が望めるという。このため同科では診察時に日用品や化粧品の選び方、スキンケアの方法についても詳しく説明している。
加えてアトピー性皮膚炎の合併症には白内障、網膜剝離、緑内障などがあるため、これらの症状に詳しい同院眼科の医師と連携して治療を行っている。
また近年、通常の治療では治りにくい尋常性乾癬、掌蹠膿疱症、アトピー性皮膚炎に対し、免疫反応に直接作用する生物学的製剤が用いられるようになった。
「非常に高い効果が期待できる反面、感染症などの副作用に注意が必要で、保険適用後の費用も高額です。当科では患者さんと話し合い、納得していただいた上で行っています」と谷口裕子皮膚科部長。
このほか経過の長い皮膚病の相談や光線治療、手術・フットケアについては、予約制の専門の外来(午後診療)で対応している。

リハビリテーション科

小林 健太郎先生

リハビリテーション科部長
小林 健太郎先生

2002年東京慈恵会医科大学医学部卒業。東京都立大塚病院、農協共済中伊豆リハビリテーションセンターで回復期リハビリテーション、東京都立墨東病院で急性期リハビリテーションの研鑽を積む。2015年より現職。嚥下障害、感覚障害、電気刺激療法を専門とし、東京摂食嚥下研究会の代表幹事もつとめる。日本リハビリテーション医学会リハビリテーション科専門医。

磁気刺激で神経活動を活性化させ、リハビリテーションの効果アップが期待できる磁気刺激療法

磁気刺激で神経活動を活性化させ、リハビリテーションの効果アップが期待できる磁気刺激療法

手の指が動く映像を見せながら電気刺激を与え患者の錯覚も用いてリハビリテーションを行う

手の指が動く映像を見せながら電気刺激を与え患者の錯覚も用いてリハビリテーションを行う

脳卒中など脳血管障害の治療後の
寝たきり防止と在宅復帰を支援

同科は患者の日常生活動作能力を向上させ、寝たきり防止と在宅復帰を支援する回復期リハビリテーション病棟を運営する。重い脳血管障害からの回復支援、脊椎・脊髄を損傷した患者の術後ケアに高い専門性を持ち、磁気刺激療法や視覚刺激・電気刺激の併用療法も活用。近隣の高度急性期病院の患者も受け入れる。

同科の患者は約9割が脳血管障害や脳損傷(平成29年度実績)。回復支援を得意とし、回復期リハビリテーション病棟では1日2時間以上のリハビリを365日提供する。神経科学と連携したニューロリハビリテーションが専門の小林健太郎リハビリテーション科部長のもと、理学療法士22人、作業療法士9人、言語聴覚士3人とスタッフも充実。日常生活動作ができるよう回復を支援して、在宅療養に導く回復期医療を担う。
「リハビリ室内の調理台での調理練習、ご自宅の階段に合わせて調整した装置での昇降運動など、実践的な訓練を通じて、その方の暮らしに必要な日常生活動作能力を向上させるのが当科の目標です」と小林先生。トイレの動作訓練装置は手すり位置が可変で、本人が使いやすい位置のデータはケアマネジャーと共有して自宅の福祉用具の設置にも活用する。
さらに同科は常に新しいニューロリハビリテーションの知見をもとに、磁気刺激療法や電気刺激療法も積極活用。前者は磁気刺激で脳を活性化させ、その後にリハビリすることで成果の向上が期待できる。電気刺激療法は筋力増強や鎮痛効果などが目的だが、平成30年に視覚刺激と併用する装置を新たに導入。これは主に片手麻痺の患者に対し、動く側の手の動きを反転させた映像を見せながら電気刺激を与え、指や手の運動を促すもの。
少し動くようになった後は磁気療法や運動療法などに移行する。いずれも一定の適応基準を満たした患者が対象となる。
「当科でのこうした成果は学会発表などを通じて周知し、より多くの施設で活用されることを期待しています」

嚥下サポートチーム

多様な専門職によるチーム医療で
誤嚥を防止し、嚥下の力を高める

高齢者の肺炎の原因となる誤嚥を防ぎ、嚥下訓練を行うため、医師と日本看護協会摂食・嚥下障害看護認定看護師、言語聴覚士、管理栄養士、地域連携看護師で構成された専門チームが嚥下障害のある患者を手厚くサポート。嚥下ができているかどうかの診断には、内視鏡による検査と放射線で透視する造影検査が用いられ、むせなどの症状が出ないケースでも適切な診断が可能だ。嚥下内視鏡検査はベッドサイドでも可能なので、動けない患者でも行える。

患者が食べ物を飲み込む様子を検査し、チームで状態を確認する。車いすのままでも検査可能

患者が食べ物を飲み込む様子を検査し、チームで状態を確認する。車いすのままでも検査可能

泌尿器科

加藤 伸樹先生

泌尿器科部長
加藤 伸樹先生

1993年東京慈恵会医科大学医学部卒業。同大学本院・附属第三病院にて研鑽を積んだ後、神奈川県立厚木病院(現・厚木市立病院)、康心会汐見台病院での勤務を経て、2017年1月より現職。専門は前立腺がん、尿路悪性腫瘍、前立腺肥大症・過活動膀胱などの排尿障害。現在は内視鏡手術を多く手がける。日本泌尿器科学会泌尿器科専門医。

PVPのほか、TURis-PやTUEBなど前立腺の手術はいずれも尿道から内視鏡を入れて行う

PVPのほか、TURis-PやTUEBなど前立腺の手術はいずれも尿道から内視鏡を入れて行う

前立腺がんの針生検では3テスラのMRIを用いており、クリアな画像で高精度に

前立腺がんの針生検では3テスラのMRIを用いており、クリアな画像で高精度に

先鋭機器による精密な検査・治療
痛みを減らし、効果アップに注力

平成29年1月に常勤の泌尿器科部長として加藤伸樹先生が着任し、3人の非常勤医とともに、平日は毎日外来診療を実施。前立腺・膀胱・腎臓・精巣などの悪性腫瘍から前立腺肥大症などの排尿障害、尿路感染症、尿路結石、男性更年期障害まで幅広く検査・診断・治療を行っている。

過活動膀胱などの排尿障害や膀胱炎、腎盂腎炎などの尿路感染症など、日常的な悩みから始まる疾患の患者が多く来院する同科。九段下駅から徒歩3分と立地が良く、健康医学センターから予約されるケースも多いためか、女性の受診が約3割と、一般的な泌尿器科よりも多いのが特徴だ。
前立腺がんの針生検では、実施前に3テスラのMRIで精密な画像を取得して患部の位置を見極め、生検本数を抑えている。また、脊椎麻酔下で行うため、検査時の疼痛は最小限に抑えられているという。さらに、生検で用いる超音波診断装置にはリアルタイムバイプレーン技術搭載の先鋭機器を導入。前立腺の横断面と縦断面を同時にモニターに表示可能で、狙った部位を精密に穿刺することで、的確な診断のため役立っている。
膀胱がんでは、早期の場合、経尿道的内視鏡手術を実施。一般的には再発率50%といわれ、再手術が必要になることの多い病気だが、同院では膀胱鏡に搭載された狭帯域光観察(NBI)という腫瘍範囲を青く浮かび上がらせる機能を使い、残存腫瘍がないように切除している。また手術直後の抗がん剤膀胱注入や、外来での定期的な抗がん剤やBCGの投与によって再発予防に努めている。
部長を務める加藤先生を筆頭に、「患者さんお一人お一人に最適な治療を行う」ことをモットーとしている泌尿器科だが、それが同院では行っていない治療方法であれば、専門医療機関へ紹介するなど、すべての選択肢から最適と思われる提案とメリット・デメリットの説明を心がけるという姿勢が貫かれている。

光選択的前立腺レーザー蒸散術(PVP)

前立腺肥大症をレーザーで蒸散
体への負担が少ないのもメリット

排尿障害の強い前立腺肥大症の患者に、高出力のグリーンライトレーザーを照射して肥大した前立腺を高熱で蒸散させ、組織自体を消失させる光選択的前立腺レーザー蒸散術(PVP)手術が行える同科。日本で行っているのは、80施設ほどだそう。後出血が極めて少ないため、術後入院期間が約3日と従来の半分以下で済み、ワルファリンなど抗凝固剤を服用している場合でも、出血の少ない術式のため、服薬を中止する必要もないという。

PVPでは、血管の多い前立腺の手術につきものだった出血の多さが改善されている

PVPでは、血管の多い前立腺の手術につきものだった出血の多さが改善されている

健康医学部門

受診者が次回も気軽に検査を利用できるよう、丁寧な説明と気配りを心がけるスタッフ

受診者が次回も気軽に検査を利用できるよう、丁寧な説明と気配りを心がけるスタッフ

大きなチェアがゆったり配置された待合スペース

大きなチェアがゆったり配置された待合スペース

同部門がある13階からは、都心とは思えないほどの絶景が見られる

同部門がある13階からは、都心とは思えないほどの絶景が見られる

新鋭の画像診断機器やシステムで
充実した検査項目を提供

半日・1日の人間ドックと21種類のオプション検査を提供。経鼻内視鏡も選べる胃内視鏡、大腸内視鏡、撮影時の被ばく量が少ない64列胸部CT、3テスラ精細画像の脳MRIなどの検査に加え、高濃度乳腺に対する乳腺エコー検査にも対応。診療は各臓器ごとの専門家が行い、安全性確保に努めている。

人間ドックの大きな目的は、糖尿病・高血圧・脂質異常症・高尿酸血症・肥満・慢性閉塞性肺疾患(COPD)・慢性腎臓病・睡眠時無呼吸症候群(SAS)などの基礎的生活習慣病の発見と、がんを代表とする悪性腫瘍の早期発見にある。いずれの疾患も多くの場合、早く見つかるほど病状改善の可能性が高まるとされている。健康医学部門長の白井隆則先生は「疾患の早期発見のため、各科の協力のもとオプション検査を整えてきました」と話す。基礎的生活習慣病には、睡眠中に無呼吸の疑いがある場合には終夜酸素飽和度モニターを、高血圧の場合・泌尿器科で問題なしとされたにもかかわらず尿潜血が続く場合・むくみがある場合などは尿中アルブミンやシスタチンCの測定を、動悸が気になる場合、ことに女性は甲状腺刺激ホルモンなどの検査を用意。
がんに対しては、喫煙歴のある場合は低線量胸部CT検査や喀痰細胞診、胃がんが気になる場合には胃内視鏡検査に加えピロリ菌検査、その他大腸内視鏡検査、マンモグラフィ・乳腺エコー、前立腺がんにはPSA検査、尿路系がんには尿細胞診などを用意している。脳動脈瘤や脳腫瘍・隠れ脳梗塞の発見には、3テスラ高磁場MRI検査を勧めている。各分野専門の医師、または放射線科医師が診断し、なるべくダブルチェック体制を取るなど信頼性確保に努める姿勢だ。
また、女性医師の診察枠が毎日用意され(婦人科医師は男性の場合あり)、女性が受診しやすい環境を整えている。検査で異常が発見された場合には、当日は同院外来に速やかに紹介することも可能。翌日以降は、重大な問題がわかった時点で受診者に電話連絡をしている。

超音波検査を有効活用

高濃度乳腺とわかった場合は
次回から乳腺エコーも選択可能に

日本人女性のかかるがんの第1位である乳がん。比較的若い世代に多く、早期発見は人間ドックの重要テーマだ。最近メディアで取り上げられることが多い「マンモグラフィでがんを見つけにくい高濃度乳腺」は日本人に多く、課題となっている。同部門では外科の協力のもと乳腺エコーをオプションに取り入れ、マンモグラフィで高濃度乳腺と判定された場合には次回から乳腺エコーを選択できる。マンモグラフィもエコーも女性検査技師が担当している。

婦人科の検査は女性が安心して受診できるよう女性の検査技師が担当

婦人科の検査は女性が安心して受診できるよう女性の検査技師が担当

施設紹介

入院環境

佐藤 八重子さん

看護部長
佐藤 八重子さん

30年以上の看護経験を持つエキスパート。虎の門病院勤務を経て、2009年より現職。「自分だったらどうしてもらいたいか、患者さんの視点で考える」のがモットー。

脊椎脊髄外科手術や術後等リハビリのケア
看護の地域連携を強化して在宅医療を支援

同院では脊椎脊髄外科疾患に専門特化した整形外科の手術を求め、全国から多くの患者が来院するという。一方で同院の使命でもある千代田区住民の後方支援として在宅療養中の緊急時の患者入院などにも積極的に取り組む。看護部では、佐藤八重子看護部長のもと、それぞれの患者に必要なケアが提供できるよう専門性を磨き、病院の看護だけではなく、在宅での訪問看護ステーションとの連携として「看看連携」を強化。院内の看護師が入院時から在宅復帰をイメージして介入できることを目的に「退院支援研修」などの教育プログラムを企画実施し、入院患者が在宅にスムーズに移行できるよう相互理解を深めている。都心の高齢化に向けて「地域の皆さんに住み慣れた場所で最期まで暮らしていただく」ことをめざしている。

医療連携室のとりくみ

高橋 由利子さん

医療連携室副部長
高橋 由利子さん(写真中央)

虎の門病院の病棟管理師長を長年務め、在宅医療専門のクリニックでは連携室責任者も経験。2013年4月より現職。

紹介患者の受け入れや退院支援を行う窓口
地域住民に医療・介護の情報発信も積極的

同室は病院と地域をつなぐ重要な窓口で、回復期リハビリや脊椎脊髄疾患の専門治療が必要な患者を近隣の病院から受け入れ、在宅療養中の患者の緊急入院にも対応する。加えて治療やリハビリ後に安心して在宅に移行できるよう、訪問看護ステーションや在宅医療を担う医療機関と連携。患者が在宅で十分な医療・介護を受けるための相談体制を整えている。定期的な勉強会「九段カレッジ&Cafe」を地域の医療・介護関係者とともに開催し、また地域住民向けに、一人ひとりが納得のいく最期を迎える心の準備=ACP(アドバンス・ケア・プランニング)の普及に努め、千代田区社会福祉協議会と共催した「音楽を聴きながらIKILUを考える会」などで情報発信している。

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