「生命の尊厳を重んじる」医療を行う大学病院

川崎市北部の医療を40年以上支える『聖マリアンナ医科大学病院』は、キリスト教精神に基づく「生命の尊厳を重んじ、病める人を癒す、愛ある医療の提供」が理念。
同院はこれをもとに地域のニーズに応える31の診療科を設けている。加えて昼夜を問わず診療する救命救急センター・夜間急患センターをはじめ、高度な医療を提供する診療施設を開設。平成27年には動物介在療法を導入するなど、意欲的な取り組みを続けている。
これらの根底にあるのは「一人でも多くの患者さんの笑顔を見たい」という同院の思い。さらに医師の育成や医学研究を担う病院として、次世代の医療に希望をつなぐ重要な使命も担っている。

01

病院長メッセージ

多様な連携で高度医療を提供し地域医療の明るい未来を築く

母体の聖マリアンナ医科大学とともに創立40年を超え、地域の医療機関との連携で川崎市北部の医療を担ってきた聖マリアンナ医科大学病院。キリスト教精神に基づく「愛ある医療」のもと、地域で必要とされる高度医療を提供している。

 

聖マリアンナ医科大学病院は高度医療を行う特定機能病院の指定を受け、一般の医療機関での診療が困難な専門的治療、緊急治療などの急性期医療に特化。近隣の医療機関と緊密に連携し、川崎市北部の医療に貢献してきた。母体となる聖マリアンナ医科大学は、同院を含む4附属病院と1クリニックを展開し、それらの連携も活発だ。
「大学も当院も創立40年以上がたち、多くの同窓生が地域で開業し、また各地区の医師会で要職を担っています。こうした人的交流も生かし、より地域に密着した医療を進めたい」
そう語るのは、自らも同窓生の一人である北川博昭病院長だ。同院では早くから地域の窓口となるメディカルサポートセンターを設け、地域連携を強化してきた。同センターは患者の入院から退院後までを支援する役割で、医療福祉相談や看護相談、栄養相談などを通じて入院前、退院後の不安・悩みを解消するアドバイスを行っている。
診療では救急医療、がんや認知症など、近年ニーズが高まっている分野に注力するほか、「愛ある医療」の理念のもと「子どもや障がい者の医療も手厚くしたい」と北川病院長。動物介在療法や、入院している子どもたちがアートを作成し発表する活動「キッズアートプロジェクト」も本格化してる。
地域ニーズへの対応と先進的な取り組みで、地域医療の明るい未来を築くのが同院の目標だ。

正面玄関に設置された聖母マリア像。院内には創立25周年を記念して開設されたチャペルもある

子どもたちが入院生活を少しでも楽しめるようにと始めたキッズアートプロジェクト

北川 博昭

病院長

1980年聖マリアンナ医科大学卒業後、同大学病院での診療に加え、オタゴ大学付属ウェリントン病院への留学など、海外の大学や病院での臨床研究も行う。帰国後は小児外科部長、総合周産期母子医療センター長などを経て、2017年4月から現職。日本外科学会外科専門医、日本小児外科学会小児外科専門医など。
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勤務犬ミカは人懐こい性格でみんなの人気者。(勤務犬運営部会長平泰彦副院長とともに)

勤務犬による動物介在療法
入院患者への治療の一環として勤務犬による補助治療を導入
同院に長期入院する子どもの希望に応える形で導入が検討され、日本盲導犬協会、日本介助犬協会の協力で2年間の試行期間を経て、2015年から正式にスタートした動物介在療法。現在は勤務犬のミカが週2回出勤してハンドラーと一緒に病棟などを訪ね、患者やその家族の情緒的安定、治療への意欲向上などをめざしている。こうした活動は看護計画にも盛り込まれている。

02

診療内容の紹介

神経内科

脳卒中から頭痛まで幅広く脳や神経に関わる病気を診療

脳、脊髄、末梢神経、筋肉等の病気や、頭痛やめまい、手足のしびれといった症状などを扱う同科。脳卒中患者への24時間365日対応やパーキンソン病に対する高度な治療など、地域に根差した医療と先進的な医療の両方に力を入れる。

 

同科では脳卒中、脳炎・髄膜炎、ギランバレー症候群といった神経系の救急疾患や、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの神経難病を診療。加えて頭痛、めまい・ふらつき、手足のしびれ、物忘れ等も診ている。
「脳卒中の治療は24時間365日対応。脳卒中集中治療室(SCU)で医師、看護師、理学療法士などがチームで診療するのが特徴です」と長谷川泰弘神経内科部長。
脳内にできた血栓を薬で溶かす血栓溶解療法は、脳梗塞の発症後4〜5時間以内(超急性期)の実施が有効とされるため、同科のように専門家が即時対応する体制は心強い。
さらに脳卒中の後遺症の緩和、入院中の筋力低下を防ぐなどの目的で、リハビリテーションを含めた治療を早期から行う。
「このためSCUと同じ病棟にリハビリ施設を設置し、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士も参加して、早期からリハビリに取り組める体制を整えました」
また同科はパーキンソン病や、HTLV-1関連脊髄症とHTLV-1キャリア、頭痛を専門に診る外来を持ち、例えば頭痛の外来では片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛から薬物乱用頭痛まで専門家が診療を行う。「同科の外来で診るパーキンソン病は平成29年5月から高度な治療を導入。脳卒中の治療など近隣医療機関と連携した医療と、先進的な医療の両面で地域医療に貢献したいと考えています」

長谷川 泰弘

副院長/神経内科部長

1980年鹿児島大学医学部卒業後、国立循環器病センター内科・脳血管部門で診療や脳血管障害の研究を行い、同センターに在籍しながら1991年九州大学で医学博士取得。またマサチューセッツ大学医学部に留学。2005年から現職。専門は神経内科学、脳血管障害。日本内科学会評議員、日本神経学会神経内科専門医。

頼れる同診療科のスタッフたち

医師、看護師、理学療法士など各専門家によるアプローチが強みだ

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パーキンソン病患者の腸内に薬を持続注入する装置

パーキンソン病治療
薬が効きにくくなった患者に対し腸管に薬を投与する治療を提供
パーキンソン病の薬は長期間服用すると、効果が長続きしない、効きすぎるなどの弊害が出る。これを改善したのが2016年から保険適用になった新薬だ。この薬は腸管に直接投与するため、同科では消化器内科・消化器外科と連携した手術を行い、自宅で治療が続けられるよう指導する。「進行性パーキンソン病の患者さんの社会復帰を支援できればと思います」と長谷川部長。

 

代謝・内分泌内科

地域の医療機関と密接に連携し重度の糖尿病患者を回復の道へ

同科では糖尿病とホルモンの病気を中心に診療。患者の8割を糖尿病患者が占め、外来患者の総数は平成28年度で約4000人。患者の血糖値改善と同時に、治療に対する意欲を高めるための支援を行っている。

 

近隣の医療機関からの紹介で、治療がうまく進まない糖尿病患者を診ている同科。入院病棟では医師とスタッフがチームを組み、ケアとアドバイスに尽力する。「患者さんの6割がインスリン注射を行っていますが、ヘモグロビンが糖と結合している割合を示す数値(HbA1c)が目標レベルに到達している方が大半です」と田中逸代謝・内分泌内科部長。
こうした成果を生む糖尿病治療は約2週間の入院によって行われる。集中治療により血糖値を正常値近くに戻し、インスリンの分泌やインスリンへの応答性の回復を促進。必要なら計4回の注射で血糖値を大幅に下げる療法も行う。同時に合併症やがんなど糖尿病患者に多い病気も徹底的に検査している。「時間をかけて糖尿病と生活習慣の関係を正しく理解していただき、医師任せ・薬頼みでなく、自ら治療に参加する意識を養うことも入院の大きな目的です」
加えて妊娠糖尿病に早くから着目し、標準体型の妊婦でも妊娠糖尿病になることや、産後も血糖値が正常に戻らないケースが少なくないなどの問題を独自調査で確認。「少子化社会の中、妊娠糖尿病のリスクを他の医療機関にも伝え、適切な治療を勧めたいですね」
最近ではもち米・玄米による血糖値改善について論文を発表、特許出願中だ。手軽にできる運動療法を動画にしてウェブで公開するなど、すぐ役立つ実践研究に注力している。

同部門の外来に張り出されている医療連携の広報誌

田中 逸

代謝・内分泌内科部長

1986年滋賀医科大学卒業後、同大学第3内科入局。1995年から順天堂大学医学部附属順天堂医院内科で糖尿病の診療に取り組む。2006年聖マリアンナ医科大学病院へ。専門は糖尿病。日本糖尿病学会糖尿病専門医、日本内分泌学会内分泌代謝科専門医など。
topics

入院患者を対象に、糖尿病について勉強する「糖尿病教室」が開かれている

地域の医師と情報交換会
糖尿病治療の現状について知識共有の機会を積極的に提供
入院治療で血糖値が改善した患者は、地域の医療機関に通院しながら、定期的に同科の診療を受ける。地域連携をさらに強化するため、同部門では若手医師と近隣の医師が集まって糖尿病の勉強会・意見交換会を開催。「5~10人の少人数で質問しやすく、治療の現状もわかると好評です」と田中部長。病院でもクリニックでも均質な医療が受けられるのは患者にもメリットだ。

 

小児科

地域の小児救急を担うとともに各専門の外来で高度な医療を提供

地域が求める小児医療のニーズに対応し、24時間対応の小児救急を提供するほか、一般外来や専門の外来で多様な病気に対応する同科。小児がん、血友病などの治療では中核病院として、地域の中で高度な医療を提供する体制もめざす。

 

人口増加が続く川崎市北部にある同院は、地域の小児医療ニーズに対し大学病院として高度な診療で応えてきた。その一端が重症の小児患者を診る救急医療、そして産婦人科や小児外科と連携して出産前から母子の救急医療を担う総合周産期母子医療センターだ。「当科は新生児入院ベッドや新生児集中治療室(NICU)を備えており、他科との密接な協力で小児救急医療に臨んでいます」と山本仁小児科部長。
また腎臓、循環器、内分泌・代謝、神経、腫瘍、アレルギー、予防接種など臓器や症状別に専門の外来も開設。「お子さんのどんな病気も外来で診られる、幅広い診療体制が当科の特色です」という山本部長は遺伝性の疾患などにも精通。同科では同院の他部門とも連携しながら、必要な場合は厳密な安全管理の下で胎児の検査や治療を行うケースも。「このほか小児がんや血友病などの中核病院もめざし、先進的な治療を一人でも多くのお子さんに提供したいと考えています」
さらに乳幼児を含む全年代のてんかん患者のために、同科と脳神経外科、神経内科、神経精神科が協力して総合的に診る、新たなてんかん診療体制を平成29年4月からスタート。
また保健所と連携し、保育園・幼稚園や、小学校での健康診断を担うなど地域に貢献。予防接種の外来も設け、小児の健康を守る予防医療に力を入れている。

総合周産期母子医療センター入り口。聖母マリアのイラストが迎える

NICUのほか母体も一緒に診る集中治療室(MFICU)6床、継続保育治療室(GCU)24床も稼働

山本 仁

小児科部長

1979年聖マリアンナ医科大学卒業後、大学病院等で診療。1989年カリフォルニア大学サンディエゴ校神経科学部門にリサーチフェローとして留学。帰国後は聖マリアンナ医科大学病院小児科に在籍。専門は小児神経筋疾患、てんかん。日本小児科学会小児科専門医、日本小児神経学会小児神経専門医。
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日本医科大学武蔵小杉病院脳神経外科の太組一朗先生とタッグを組み、てんかん診療に注力

連携して行うてんかん診療
必要なら外科手術も視野に入れ診療科連携で適切な治療を提供
てんかんは全年代に起こる病気だが、発病年齢は小児期が多く、慢性疾患として長期にわたる治療が必要だ。同科はてんかん患者を成人後も支援するため、脳神経外科、神経内科、神経精神科と連携して診療。薬で治りにくい場合は外科手術も検討するなど、適切な治療を提供している。さらに地域の医療機関が連携する川崎市てんかん診療ネットワークの構築にも尽力している。

 

脳神経外科

6つの専門の外来で専門家が診療年間約370例の手術を行う

同科の対象は脳腫瘍、くも膜下出血をはじめとする脳血管障害、水頭症、脊髄疾患、頭部外傷、三叉神経痛、顔面けいれんなど。脳腫瘍やてんかんなど6つの専門の外来でより高度な診療を行う。年間手術数は約370例と豊富(平成28年実績)。

 

同科の特色は脳腫瘍、脳血管障害などの病気に対し、患者の体への負担が少ない方法で手術を行うこと。特に神経内視鏡手術と脳血管内治療に力を入れ、神経内視鏡を使うケースは、顕微鏡手術との併用を含めると同科の年間手術数の20%以上を占める。
また脳血管内治療は脳血管内にカテーテルを入れて治療するもので、同科では脳神経血管内治療の専門家が診療を担当する。
「いずれも術後の痛みや合併症のリスクが少なく、早期の体力回復が見込めるため、高齢の方でも手術可能な症例が増えています」と田中雄一郎脳神経外科部長。
さらに専門的な治療を行う脳腫瘍、下垂体腫瘍、小児神経、水頭症、脳血管内治療の外来を持ち、てんかんの治療を行う外来も平成29年4月からスタートした。これにより、県内のてんかん患者を県内で診るための体制が強化される。
「最近はてんかんの患者さんの外科手術も多くなりましたが、近隣では専門的な外来が不足気味で、当科が対応を急いだのです」
田中部長は顕微鏡下手術の専門家でもあり、同科では前出の2つを含め3つの手術方法から患者と相談して適切な方法で手術を行う。
「当科には専門的な治療を行える各分野のエキスパートや、手術方法それぞれの専門家がいます。皆で手術方法の選択や組み合わせを十分に話し合うからこそ、より安全性の高い手術を提供できるのです」

田中 雄一郎

脳神経外科部長

1981年信州大学医学部卒業後、同大学脳神経外科学教室に入局。助手、講師、助教授を歴任後、2003年から聖マリアンナ医科大学病院脳神経外科に在籍。専門は脳腫瘍と脳血管障害の外科的治療。日本脳神経外科学会脳神経外科専門医。

脳神経外科のスタッフたち。一丸となって患者と向き合っている

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チームで行われる高度医療。熟練の専門家たちが執刀する

神経内視鏡手術
内視鏡を使う手術を取り入れ精度と安全性の向上をめざす
神経内視鏡手術は脳神経外科分野で内視鏡を使う手術のことで、開頭せずに脳室の腫瘍などを切除する場合と、顕微鏡による開頭手術と組み合わせる場合に大別される。「例えば頭蓋底という脳の底にできた腫瘍は、その上半分を開頭により顕微鏡下手術で、下半分を鼻からの内視鏡手術で除去できます」と田中部長。各分野の専門家がいる同科なら、手術の選択肢も大きく広がる。

 

耳鼻咽喉科

患者のQOL維持・向上をめざし幅広い部位の専門家が診療

耳鼻咽喉科の診療対象は鎖骨から上の首と、脳・目・歯を除く頭部全体と幅広い。同科ではそれぞれの部位で専門的な治療を行うため、5つの専門の外来を設置。いずれも適切な診断に努め、外科手術も含めた多様な治療を実施している。

 

科名にある耳・鼻・咽喉にとどまらず、首から頭部の非常に広い範囲を扱う耳鼻咽喉科。
「特に当科は外科治療が中心。内科中心のクリニックとは役割が異なります」と肥塚泉耳鼻咽喉科部長。
さまざまな部位の病気に対して専門的な診療を行うため、同科ではめまい、頭頸部腫瘍、咽頭・音声、鼻・副鼻腔・アレルギー、聴覚と5つの分野で専門的な治療を行う外来を設けて対応している。
「聞く、話す、嗅ぐなど五感の多くを扱う診療科ですから、患者さんのQOL(生活の質)維持を十分に意識して診療しています」
さらに肥塚部長の専門はめまいや平衡障害で、これも患者のQOLと密接に関係する。高齢になると運動機能低下による転倒のリスクが心配されるが、めまいも同様に転倒リスクを高め、骨折から寝たきりになってQOLを大幅に低下させる可能性があるからだ。
「高齢で最近少しふらつくという方は、筋力低下以外にめまいが原因のこともありますから、耳鼻咽喉科の受診をお勧めします」
まためまいの中でも特に患者数が多いという「良性発作性頭位めまい症」を理学療法で治療するほか、難治性メニエール病の外科手術も行っている。
「鼓膜チューブ留置術、内リンパ嚢開放術といった治療はいわば最終手段ですが、これらの手術ができることでメニエール病治療の選択肢を広げています」

肥塚 泉

耳鼻咽喉科部長

1981年聖マリアンナ医科大学卒業。大阪大学医学部耳鼻咽喉科入局、助手・学内講師を経て、東大阪市立中央病院耳鼻咽喉科部長に就任。1990年米国ピッツバーグ大学留学。1995年聖マリアンナ医科大学耳鼻咽喉科講師、准教授を歴任。2000年から現職(教授)。専門はめまい・平衡障害、中耳・内耳手術。

肥塚部長を中心に高い専門性を持つ耳鼻咽喉科チーム

めまい治療のエキスパートとして著書もある肥塚部長

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三半規管を個々に検査できる先進機器を導入

めまいの外来における検査
平衡を感知する三半規管を個別に検査して病状を把握する
めまいは原因も症状もさまざまで、適切な治療のためには患者の平衡感覚を詳しく検査し、「どんなめまいか」を知る必要がある。「そのため当科には、平衡感覚を守る3つの半規管それぞれの状態を個別に検査できる機器をそろえています」と肥塚部長。また同じく平衡感覚に関わる耳石器の異常を調べられる装置も備えており、精密な検査を可能としている。

 

神経精神科

患者の心に寄り添う診療方針 認知症の早期診断にも強み

平成29年7月から発達障害や児童期・思春期が専門の医師が加わり、さらに診療の幅が広がる同科。また、認知症治療研究部門は、川崎市の認知症疾患医療センターとして、地域と連携しながら認知症の早期診断・治療に尽力する。

 

統合失調症、気分障害、不安障害などの神経精神疾患を診る同科。症状の内容と重症度だけでなく、患者がそこに至る経緯なども重要と古茶大樹神経精神科部長。
「患者さんと十分に対話し、その人の考え方や感じ方まで把握しながら、一人ひとりに寄り添う診療を実現したいと考えています」
さらにクリニック等で治療困難な患者に対し、一時入院させて集中的に治療する、他科と協力して身体合併症を治療する、といった地域中核病院の役割も担う。加えて薬物療法だけでは治癒が難しいうつ病や統合失調症の患者に、修正型電気けいれん療法も行う。
「平成29年7月からは発達障害や児童期・思春期が専門の医師が加わり、お子さんから高齢の方まで幅広く診療できる体制が整います」
また同科の認知症治療研究部門は川崎市の認知症疾患医療センターに認定され、地域の医療機関と連携して認知症の早期診断と治療に力を入れている。
特に日帰り入院検査では、画像診断・知能検査・脳波検査・記憶検査など多角的に検査を行う。「検査結果に頼るのではなく、その方の日常の変化をご家族から聞くなどして、総合的に診断します」と堀宏治認知症治療研究部門長。
治療では薬の使用を必要最低限にし、地域活動など人との交流の中で症状の改善を図る方針。「家族のための認知症はじめて講座」など、家族の支援も重視している。

古茶 大樹

神経精神科部長

1986年慶應義塾大学医学部卒業後、研修医を経て1988年から精神科専門病院に勤務。国立病院機構東京医療センター精神科医長を経て、母校医学部精神・神経科専任講師を務める。2016年より現職。日本精神神経科学会精神科専門医、日本総合病院精神医学会一般病院連携精神医学専門医など。

堀 宏治

認知症治療研究部門長

1984年慶應義塾大学医学部卒業後、同大学精神神経学教室入局。首都圏の精神科病院などを経て昭和大学藤が丘病院専任講師、同大学横浜市北部病院准教授を務める。2016年より特任教授として現職に就任。専門は老年精神医学。精神保健指定医、日本精神神経科学会精神科専門医など。
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同科で開発された認知症検査ソフト。画面上に次々と映る質問項目に答えていく

認知症の日帰り入院検査
STM-COMETなどの活用で認知症の早期発見をめざす
CTやMRIといった画像診断、知能検査、脳波検査、同科で開発したコンピュータを使った記憶検査(STM-COMET)など、認知症の診断に必要な複数の検査を行う日帰り入院を実施。STM-COMETは記憶力低下を数値で捉えて以前と今の状態を客観的に比較でき、簡易知能検査の長谷川式評価スケールとの組み合わせでアルツハイマー型認知症の早期発見に有効とされている。

 

腎臓内科/泌尿器科

内科的・外科的処置を駆使し腎移植などの泌尿器治療に尽力

血液中の老廃物を体外に排出する腎・泌尿器全般を診療する腎臓内科と泌尿器科。両科はそれぞれに高い専門性を持ち、主に腎臓病の治療に関して密接に連携。血液透析、腹膜透析、腎移植など幅広い治療の選択肢を提供する。

 

腎臓・尿管・膀胱・前立腺・尿道など、血液中の老廃物を体外に排出する役割を持つ泌尿器を診る両科。
「腎臓内科の患者さんは腎臓病以外にも病気を持つ方が多く、他科と密接に連携した総合的診療が必要です」と柴垣有吾腎臓内科部長。このため腎臓内科では腎臓病と並行して高血圧症を診療し、両者の悪循環による病気の進行・再発を防ぐほか、糖尿病や体液・電解質異常など腎臓に関連する多様な症状を扱う。
また泌尿器科は、副腎がんや前立腺がん等の泌尿器腫瘍、尿失禁や排尿障害などの泌尿器疾患を手術により治療する。
「直径6㎝程度の切開で行うミニマム創内視鏡手術など、体の負担を減らしつつ、より治療成績を向上させる試みも始めています」と力石辰也泌尿器科部長は話す。
さらにこの両科は密接な連携による診療で腎臓病の発症から末期腎不全まで広く扱い、患者ごとに適切な医療を提供している。
「中でも末期腎不全の腎代替療法では、血液透析や腹膜透析、そのハイブリッド運用、腎移植などさまざまな選択肢があります」と両部長は口をそろえる。例えば腹膜透析は患者本人の腹膜を使う血液浄化法だが、腹膜にカテーテルを入れる手術などでも両科の連携が重要となる。
このほか尿路結石や多発性嚢胞腎の治療でも積極的に連携、より効果的な治療の提供に尽力している。

柴垣 有吾

腎臓内科部長

1993年東京大学医学部卒業後、1997年同大学大学院医学系研究科入学。アメリカの病院や大学で臨床フェローを務め、2003年大学院修了。同大学医学部附属病院での診療を経て、2008年から聖マリアンナ医科大学内科学講師、准教授を歴任。2015年教授として現職に就任。腎臓病全般が専門。

力石 辰也

泌尿器科部長

1984年北海道大学医学部卒業。2008年より現職。泌尿器科部長を務める一方で、移植医療支援室室長としても勤務。日本泌尿器科学会泌尿器科専門医など。
topics

他診療科と連携した総合的な診療は、大学病院ならではのもの

症例数豊富な腎移植手術
治療の選択肢の一つとして腎移植を積極的に推進
慢性腎不全に必要な腎代替療法として、腎臓内科と泌尿器科では血液透析療法、腹膜透析療法に並んで腎移植を治療の選択肢として提示する。「当院での生体腎移植は2015年度で16例、手術を受けた方の最高齢が72歳と特別な治療法ではありません」と力石部長。安全性と長期生着をめざして両科の医師、看護師や臨床工学技士が密接に連携して診療している。


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