地域完結型医療の要として
患者本位の医療を追求

東邦大学医学部付属病院である『東邦大学医療センター 佐倉病院』は、451床・26科を擁し、印旛郡市の医療を幅広くカバーする地域の中核病院だ。外科治療も視野に入れた先端的な高度肥満症治療、迅速かつ高度な脳卒中診療を行える脳卒中ケアユニット(SCU)での治療をはじめとする高度医療や救急医療、全国から患者が来る炎症性腸疾患の治療を提供する一方で、都市部から離れたエリアならではの「身近な医療」のニーズなどにもきめ細かく対応。「患者さんのために」という基本姿勢に基づき、より安全で質の高い医療の提供に向けて院内環境の充実に努めている。
近年特に注力しているのは、「最善の医療を、最適な場所で、適切な時期に受けられる」地域完結型医療の確立だ。かかりつけ医を推奨するパンフレットの配布や、医療連携・患者支援センターが中心となって行う「顔の見える医療連携」の推進を通じて、地域医療支援病院として近隣医療機関との連携強化を図っている。地域災害拠点病院の指定を受けて以降、災害派遣医療チーム(DMAT)の人員の拡充も進めており、非常時を見据えた体制づくりを推進。
フィールドを常に「地域」に置き、「この地域に暮らして良かった」と思ってもらえる医療を実践する。

医療連携

吉田 友英教授

医療連携・患者支援センター
センター長
吉田 友英教授

1985年東邦大学医学部卒業。1996年から「東邦大学医療センター 佐倉病院」勤務。神経耳科学を専門としている。日本めまい平衡医学会代議員。2018年7月から副院長。

わかりやすいように専用のパンフレットを用いて説明している

わかりやすいように専用のパンフレットを用いて説明している

地域完結型医療確立のため
地域の医療機関との連携を強化

地域に貢献する病院をめざす同病院の医療連携・患者支援センター。地域医療機関への計画訪問や、医療従事者向けの講座などを通して連携強化を図るとともに、患者が適切な時期に適切な医療を受けられる仕組みづくりとして、医療・看護・介護の各機関との機能分化を進めている。

医療機関および紹介を受けた患者の双方が電話で直接受診予約できる、便利な予約システムを導入している同病院。医療連携・患者支援センターでは、こうした電話予約の受付をはじめ、外来を受診した患者に対するより適切な医療機関の紹介、要望への対応など、多岐にわたる業務を医師・看護師・図書館司書・医療ソーシャルワーカー・事務職員の協働で担っている。中でも力を入れているのが、かかりつけ医との緊密な連携による機能分化だ。適切な時期に適切な医療を提供するため、センター長を務める吉田友英教授自ら地域の医療機関へ足を運ぶほか、定期的な広報誌の発行、年1回の医療連携学術フォーラムの開催などを通して「顔の見える医療連携」「対話する医療連携」を実行。患者にとって真に有益な医療ネットワークの構築に努め、地域完結型医療の確立と円滑な運営をめざしている。平成30年度からは長尾建樹病院長も医療機関への訪問に加わり、より関係を強化していく考えだ。

主な受診パターン

受診の流れ

肥満症診療チームによる先端の肥満症治療

齋木 厚人准教授

齋木 厚人准教授

減量の意欲を向上させる「ウエートコントロールファイル」

減量の意欲を向上させる「ウエートコントロールファイル」

患者を追い詰めず、治療の重要性を伝える
「患者とともに歩む肥満症治療」

BMI35以上の「高度肥満」のうち、何らかの健康障害があるものを「高度肥満症」といい、医学的に減量の必要があるとして治療の対象になる。齋木厚人准教授は、多職種から成る肥満症診療チームを率い、総合的なアプローチで治療にあたっている。

齋木准教授は「肥満症は2つの意味で病気である」と話す。一つは、肥満が糖尿病や高血圧、睡眠時無呼吸症候群、さらには冠動脈疾患や、脳血管障害などの命に関わるような疾患を引き起こす可能性があること。もう一つは、食事量などを自己管理するのが難しいことだ。
「高度肥満症には、生活環境や遺伝など、さまざまな原因が隠れています。まずは、患者さん自身に肥満症は病気だと理解してもらうことが治療のスタートです」
独自の「ウエートコントロールファイル」という自己管理ノートを活用。医師、看護師、栄養士、薬剤師、理学療法士、メンタルヘルス専門の医師や臨床心理士が、食事・運動・行動療法、薬物治療やメンタルのサポートまで行っていく。
「当病院の高度肥満症治療は、外科治療を選択肢に含めたチーム医療です。手術をはじめさまざまな治療法がありますから、諦めずに受診していただきたいですね。太りたくて太っている人はいません。私たちのチームは一生お付き合いするつもりでサポートしていきます」

大城 崇司准教授

大城 崇司准教授

腹腔鏡手術で、肥満症・糖尿病を治療する

腹腔鏡手術で、肥満症・糖尿病を治療する

多様な術式から適した治療を選び
肥満症と、肥満に伴う健康障害の改善を図る

高度肥満症の外科手術は、体重を30%近く減らし、肥満に伴う健康障害による死亡リスクを低減させる。特に糖尿病は改善率が高く、寛解もめざせるそうだ。この分野のスペシャリスト、大城崇司准教授に肥満症・糖尿病外科手術について解説してもらった。

内科的減量治療で十分な効果が得られない場合、外科治療が検討される。手術適応は、主目的が減量ならBMI35以上、併存疾患の治療ならBMI32以上だ。術式は3つ。一般的なのは、胃を筒状にして摂取量を制限する保険適用のスリーブ胃切除術。シンプルな手術で件数も多いがリバウンドの可能性がある。2つ目はそのオプション的な役割を果たす胃バイパス術(自費診療 税込175万円)で、体重減少率と糖尿病改善効果が高いという。ただし術後の胃がん発見が困難で、胃がんが多い日本人には慎重な判断が必要だと大城准教授。同病院の強みは、3つ目の選択肢としてスリーブ胃切除術と胃バイパス術の利点を残し、欠点をカバーしたスリーブバイパス術(先進医療 税込71万5785円)も行えることだ。この手術は平成30年4月に先進医療として承認され、手術件数の増加が予想される。
「外科手術は、充実した術後フォローがあり、安全対策をしっかり取った施設で受けることが重要です。肥満に伴う健康障害にお悩みの方は、ぜひご相談ください」

病態に合わせた炎症性腸疾患治療

鈴木 康夫教授

鈴木 康夫教授

長年の経験を生かし難治性疾患に向き合う鈴木教授

長年の経験を生かし難治性疾患に向き合う鈴木教授

増え続ける炎症性腸疾患に対し
個々の病態や生活に応じた新規の治療を提供

患者数が増えている炎症性腸疾患(IBD)。原因不明の難病だが、病態に合った治療法で症状を落ち着かせて生活の質を保てるそうだ。より高度な医療をめざし、「志は高く、目線は低く」をモットーに新しい治療を推進する鈴木康夫教授に話を聞いた。

腸の炎症で腹痛や下痢を繰り返す炎症性腸疾患は「潰瘍性大腸炎」と「クローン病」に大別される。前者は大腸に、後者は消化管のどこかにただれや潰瘍ができるのが特徴だ。IBD部門長で、厚生労働省の難治性疾患等政策研究事業における「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班」の代表研究者も務める鈴木教授によると、患者数はここ25年で10倍に急増している。潰瘍性大腸炎は30代から50代を中心に高齢者にも見られるのに対し、クローン病は若年層の罹患率が高い。
「炎症性腸疾患の原因はいまだ解明されていませんが、決してまれな病気ではありません。患者数の増加に伴い、治療薬も相次いで登場しています。当病院では、研究治験を積極的に実施し、患者さん一人ひとりの病態や生活に応じた最新の治療法を提供できるよう努めています」
同病院は平成30年4月に県の消化器疾患の難病診療分野別拠点病院に指定され、難病医療提供体制の整備に力を入れている。
「改善せず繰り返す腸の不調がある場合は、早めに受診してください」

松岡 克善教授

松岡 克善教授

充実の医療体制で炎症性腸疾患に対応している

充実の医療体制で炎症性腸疾患に対応している

適切な診断と治療で症状を安定させ
病気をコントロールして生活の質維持へ

炎症性腸疾患は、幅広い世代に発症する疾患だ。中でもクローン病は若年層に多く、長期的に治療を行う必要がある。松岡克善教授は、病態に応じた治療で「当たり前の生活」を取り戻すことをめざす、炎症性腸疾患治療のエキスパートだ。

他大学病院の消化器内科で研鑽を積み、平成30年度から同病院の消化器内科教授に就任した松岡教授は、長年炎症性腸疾患を研究してきたエキスパートだ。豊富な経験を生かした適切な診断と治療の選択で、罹患前と変わらない日常生活への復帰をサポートしている。
「炎症性腸疾患は完治する病気ではありませんが、一人ひとりに合った治療を選択できれば、症状を安定させることができます」
同病院では、MRIによる消化管診断、カプセル内視鏡や小腸内視鏡による診断など、先進かつ負担の少ない画像診断で病態をしっかり把握した後、患者を取り巻く社会的な背景、生活背景にも配慮して治療方針を決定し、医薬品での内科的治療、もしくは外科治療へとつなげていく。特に女性は、妊娠・出産といった大きなライフイベントに合わせて病気をコントロールすることが重要だ。
「今後は地域のクリニックとの連携を深め、患者さんが安心して暮らせる環境を地域全体でつくっていきたいと思っています」

医療連携・患者支援センター 入退院支援部門

吉田 友英教授,京谷 みよ子副看護部長

医療連携・患者支援センター
センター長
吉田 友英教授

吉田 友英教授,京谷 みよ子副看護部長

医療連携・患者支援センター
副センター長
京谷 みよ子副看護部長

共通目的は「患者さんを元気に」
多職種協働で充実した支援を実現

医師、看護師、医療ソーシャルワーカー、事務職員が一つのチームとなって、患者の入院から退院までを支える入退院支援部門。職種の壁を超えた透明度の高い関係性が、密な連携による充実した支援を可能にしている。センター長の吉田友英教授と、副センター長の京谷みよ子副看護部長に、具体的な話を聞いた。

退院後も安心して療養生活や社会生活を送れるよう、患者とその家族をサポートする入退院支援部門。看護師14人、医療ソーシャルワーカー4人、事務職員4人という充実の人員体制に加え、医師、薬剤師、栄養士、理学療法士など専門職との強固な連携が特長だ。
「適度な規模感でお互いの顔が見え、多職種がスムーズに協働できています」とそのチーム力を強調するのは、吉田教授。京谷副看護部長も、「職種は違っても、患者さんに元気になってお帰りいただくという目的は同じです」と話す。
平成30年度に開始した入院前支援では、入院決定と同時に同部門の看護師による面談を実施。入院生活や医療費の説明のほか、利用中の介護・福祉サービス、常用薬、持病の有無、身体的・精神的・社会的背景などを確認し、退院後に問題が起こり得る場合は、多職種が協働して早期解決を図る。「この仕組みにより、入院期間の短縮や早期の在宅復帰が期待できます。今後さらに軌道に乗れば、患者さんがより良い状態で、早く日常生活に戻れるようになるでしょう」と吉田教授。入院前面談を受けた患者は、開始1カ月で250人以上。面談対象はがん患者、介護保険被保険者、70歳以上の高齢者だが、今後は全患者に広げる計画だ。
入院中は治療と並行し、退院や転院に向けた支援・調整を実施。「在宅復帰する患者さんの退院前後に、当部門と入院病棟の看護師が自宅に伺い、訪問看護師やケアマネジャーと連携し、地域との切れ目ないケアを提供しています。地域包括ケアシステムにおいて、私たちの役割は患者さんを生活の場へ最善の状態でお返しすることです」と京谷副看護部長。

患者中心のチーム医療を実践

同病院では入院前支援に先駆けて、多職種による退院支援を推進してきた。入院患者の相談窓口を担う専任看護師、医療ソーシャルワーカーが、医師、病棟看護師、理学療法士らとの定期的なカンファレンスを通じて、退院までの課題や、病棟での看護・リハビリテーションの状況などあらゆる情報を共有。患者が安心・納得して入院治療にあたり、住み慣れた地域に帰った後もこれまでどおりの生活と療養を継続できるよう、患者中心のチーム医療を実践している。

職種の垣根を越えて強固な連携体制を実現している

職種の垣根を越えて強固な連携体制を実現している

病院長メッセージ

長尾 建樹病院長

長尾 建樹病院長

1980年東邦大学医学部卒業。2015年7月から現職。専門は機能的脳神経外科で、特にパーキンソン病に伴う震えや不随意運動、痛みに対する治療を得意とする。両親とも医師の家に生まれ、父亡き後も医師として働く母の背中を見て育った。「医師の仕事を務める母に反発したこともありましたが、やりがいのある道に導いてくれたことに今は感謝しています」と語る。

地域の健やかな暮らしを支える
高度で質の高い医療を提供

常に地域にとって必要な医療を提供し、印旛郡市の地域医療においてより存在感を増していく同病院。長尾建樹病院長は、「人々の健やかな暮らしを支える医療機関は、地方創生に必要不可欠なインフラです」として、さらなる診療体制の充実に尽力している。

最善の医療を最適な場所で適切な時期に受けられる
医療の仕組みづくりに尽力する

高度医療を提供する大学病院と、地域のために身近な医療を提供する病院という2つの顔を持つ同病院。2016年には地域のクリニックとの連携や救急医療体制を整えたことで、地域医療支援病院の指定を受けた。
長尾病院長は、「今ある機能を維持しつつ、さらに医療の安全性と質を高め、地域医療に貢献することが当病院の役割です。これからも、あらゆる病気に対応できる身近な病院として地域のお役に立てるよう、まい進していきたいと思っています。特に高度急性期を診る病院として、もっと存在感を発揮していきたいですね」と語る。今後は、患者が最善の医療を最適な場所で適切な時期に受けられるよう、地域で治療を完結できる医療体制の確立に寄与していく考えだ。




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