都市型新病院として
地域の急性期医療を担う

昭和39年、東京オリンピックの年に開院した『東邦大学医療センター 大橋病院』。大学病院の使命として高度医療を提供する一方、地域に根差した医療の充実にも力を注ぎ、50年以上にわたって地域の健康を守り続けてきた。
平成30年6月に新築移転が完了し、新たな都市型病院として生まれ変わった。新病院のコンセプトは、「水と緑に囲まれた都市型新病院」。敷地面積は1万6071平方メートルで東西に長く、南北に11mの高低差がある。南側が目黒川緑道に接しているほか、北側には敷地の一部を目黒区に提供してできた公園があり、地元住民の憩いの場にもなっている。
地域完結型医療の中心的役割を担う同病院は、紹介状を持参した患者を優先的に診療し、適切な診断・治療を提供して再び地域の医療機関へと戻すことを使命とする。紹介があれば、できる限り断らずに患者を受け入れ地域の受け皿として求められる役割を果たしていく構えだ。
また、強みである診療科を伸ばすことにも力を注ぐ。心疾患のカテーテル治療を中心とした循環器内科、自己心膜による大動脈弁形成術など先端の術式に取り組む心臓血管外科、脳卒中治療の分野で先駆的存在といえる脳神経外科など、診療密度の高い急性期医療の提供に、今後は特に尽力していくそうだ。

病診連携

前谷 容教授

患者サポートセンター
センター長
前谷 容教授

1982年東邦大学医学部卒業。消化器内科教授、診療部長。専門領域は消化器一般、胆道・膵臓疾患、内視鏡。消化管閉塞の患者の生活の質を大幅に改善するステント留置術を早くから取り入れている。2018年より病診連携室長を兼任。

2階の正面入り口を入ってすぐの場所にあり、誰でも気軽に入りやすいようになっている

2階の正面入り口を入ってすぐの場所にあり、誰でも気軽に入りやすいようになっている

病病・病診連携の中心的存在
地域と連携した診療スタイルを強化

患者の利便性向上を図るため、地域のクリニックや病院との連携強化を担う病診連携部門。医療ソーシャルワーカーや医師が近隣のクリニックを定期的に訪問し、積極的にコミュニケーションを取っている。入院前後より、質の高い療養生活を支援している。

都市型の急性期病院として、地域の高度医療をけん引する同病院では、短期間で最大限の治療効果を発揮できるよう、病診連携部門を中心にスピーディーな検査・治療につながる病病・病診連携の強化に力を入れている。同部門が何よりも重視しているのは、近隣の医療機関との「顔の見える関係性」づくりだ。スタッフと医師が定期的に各医療機関を訪問し、対面でコミュニケーションを取って信頼関係を強化。医療機関向け広報誌「The Specialists」を発行するなど、地域の基幹病院としてさまざまな角度から近隣医療機関と接点を持ち、紹介体制の好循環を構築している。
「新病院でも、地域連携は非常に重要な課題です。スムーズな紹介フローを確立し、地域全体の医療レベルの向上を図りたいですね」と病診連携室長の前谷容教授。退院後に連携する病院やクリニックを各科が紹介する「逆紹介」の際は、検査結果や治療内容を事細かに伝える「見えないフォロー」も重視している。

主な受診・転院パターン

受診方法とクリニック・病院間の紹介の流れ

患者サポートセンター

患者の暮らしと病院を結ぶ拠点として
患者の療養生活を総合的に支援

病院と生活の懸け橋として、平成29年4月より運用が始まった「患者サポートセンター」。関連する多職種がワンフロアで適切な病床管理と入退院のコーディネートを行い、患者一人ひとりが住み慣れた地域で療養生活を送り続けることができるようサポートしている。

今泉 茂課長

患者サポートセンター
病診連携部門
今泉 茂課長

勝部 良子看護師長

患者サポートセンター
ベッドコントロール担当師長
勝部 良子看護師長

堀 孔美恵看護師長

患者サポートセンター
管理師長
堀 孔美恵看護師長

適切なベッドコントロールで患者を受け入れ、退院後も住み慣れた地域で安心して療養生活を送れるようサポートすることは、急性期病院に期待される役割の一つだ。同病院では、新病院になって新設された「患者サポートセンター」が拠点となって患者の生活拠点と病院を結び、住み慣れた地域で療養し続けることができるようサポートしている。医師、看護師、医療ソーシャルワーカー、薬剤師、栄養士、医療事務といった多職種がワンフロアに集結しているので、何か問題が起きたときに、多職種で連携して解決にあたれるというメリットがある。
同センターの看護師である勝部看護師長・堀看護師長は、「新病院移転後は職種間のコミュニケーションが取りやすくなり、地域の医療機関や患者さんからの問い合わせにも迅速に対応できるようになりました。患者さんとそのご家族にほっと一息ついていただけるような、安心感のあるサービスを提供していきたいですね」と話す。
特に力を入れている入院前面談では、患者の日常生活や、個々に抱えている悩みや思いなどを丁寧にくみ取り、関連する職種間でしっかり共有。入院中に起こりそうな問題を事前にケアしたり、患者が安全に入院生活を送れるベッドを選択したりするのに役立てている。
「患者さんと直接顔を合わせる職種でなくても、全員が患者さんに関わる意識を持って情報を把握し、臨機応変な対応を心がけています。入院患者さんはもちろん、当病院を利用されている皆さまからのご相談もお受けしているので、気軽に活用していただけたらうれしいですね」

がん相談支援センター

同センターではかかりつけの患者だけでなく、地域のがん患者やその家族にも広く門戸を開き、相談者の「言葉にならない思い」に医療ソーシャルワーカー(がん専門相談員)が寄り添い話を聴く。大切にするのは患者の力を引き出し本人の意思による決定につなげること。不安を吐露することで心が落ち着き、「話して良かった」と帰っていく人も多いという。あふれる情報を整理し、適切に取捨選択するための窓口としても活用できる。

医療ソーシャルワーカー(がん専門相談員)。がんへの不安を取り除くよう努めている

医療ソーシャルワーカー(がん専門相談員)。がんへの不安を取り除くよう努めている

施設の拡充と設備の充実で、高度医療にさらに注力

五味 達哉教授

五味 達哉教授

読影室では各臓器を専門とする医師が精度の高い画像診断に尽力している

読影室では各臓器を専門とする医師が精度の高い画像診断に尽力している

各分野の専門家が集結し
高度な画像診断と放射線治療を提供

「画像診断」と「放射線治療」を主体とした診療を行う放射線科。院内の全診療科と連携し、安全で体に優しい検査と高度な治療を心がけている。読影専門の医師がいる読影室はCT・MRI室に近接し、検査中でも診療放射線技師と打ち合わせが可能だ。

数年間にわたってストップしていた放射線治療が、新病院への移転により再開。放射線治療の専門家も加わって本格的に治療ができるようになった。これにより、画像診断および放射線治療を主軸に診療できる体制が整った。がんの根治から緩和まで、放射線治療は幅広く活用されている。また現在では、呼吸で動く臓器も呼吸移動を想定した上で限定的に照射することができるという。
「今後は、転移性脳腫瘍や肺腫瘍に対して病巣部のみへ集中的に照射するSRT(定位放射線治療)や、病巣部へ高い線量を照射して正常な臓器への照射を低減するIMRT(強度変調放射線治療)といった高精度な治療にも対応していきます」と同科の五味達哉教授は話す。
またCTおよびMRIも先端の機器が導入され、短時間で高精度、かつ低侵襲な診断が可能になった。読影室には、各専門分野を持つ医師が常駐し、可能な限り撮影した臓器は、それを専門とする医師が読影し、さらなる診断精度の向上に努めている。

原 英彦准教授

原 英彦准教授

低侵襲で高齢者でも受けられるカテーテル治療を行っている

低侵襲で高齢者でも受けられるカテーテル治療を行っている

24時間365日の診療体制で
地域のニーズに合った高度医療を追求

「不整脈」「心血管カテーテル」「心臓核医学」「心臓超音波」の4領域に先端の治療を提供する循環器内科。早期発見・治療が鍵となる循環器疾患に24時間365日の診療体制で対応し、高度な血管内治療や心房中隔欠損症のカテーテル治療などを行っている。

循環器内科が行うカテーテル治療は、主に心臓の血管、血管以外の心疾患、不整脈、足の動脈に対して行われ、中でも急性心筋梗塞や狭心症といった心臓の冠動脈に関わる急性期治療が多くを占めている。近年は、生活習慣病の増加に伴い、足の動脈硬化から来る血管の狭窄・閉塞に対する急性期治療のニーズも高い。また、平成22年に認可を受けた成人循環器内科部門による心房中隔欠損症のカテーテル治療も特徴の一つだ。早くからこの治療を手がけ始めた原英彦准教授は、「安全に配慮され患者さんへの負担が少ない上、傷が残らないので外科手術に抵抗のある方や高齢の方にも適した治療です」とその長所を説明する。
平成30年には高齢化の進行とともに増加傾向にある大動脈弁狭窄症に対するカテーテル治療もスタート予定。これまで、高齢で外科治療を断念していた患者にも低侵襲で根本的な治療を早期に提供できるようになる。「今後は、脳梗塞につながりやすい心房細動に対する局所治療も始まります。より幅広い疾患に、最善の治療を提供していきたいですね」

新病院紹介

ハイブリッド手術室

血管撮影を手術と並行して行えることで、手術の効率化を実現

血管撮影を手術と並行して行えることで、手術の効率化を実現

機器を集結し
低侵襲で安全な手術を追求

新病院における先端設備の代表格といえるのが、9室ある手術室のうち、91平方メートルの広さを誇るハイブリッド手術室だ。ハイブリッド手術室は、一般的な手術室に心・脳血管エックス線撮影装置を組み合わせたもの。別々の場所に置かれていた機器が一つの手術室に集結したことで、これまでは手術前または手術後に行っていた血管撮影を、手術と同時に行うことができるほか、従来はカテーテル室で行われていた血管内治療を手術室の中だけで完結できるようになり、より安全かつ迅速な手術が可能となった。

急性期医療

3テスラMRI。先進設備を導入し、急性期医療の質の向上をめざす

3テスラMRI。先進設備を導入し、急性期医療の質の向上をめざす

高水準の医師と設備で
急性期医療を提供

地域ニーズの高い急性期医療を充実させたことは、今回の移転の柱の一つだ。新病院では、敷地面積の拡大によってICU6床、SCU6床、HCU8床を設置したほか、血管撮影装置や3テスラMRI装置をはじめとする先進的な設備を導入した。各専門分野の先駆的存在が在籍し、世界的に活躍している医師陣の技術を、急性期医療の現場でもこれまで以上に生かすことができるようになった。地域完結型医療の上流を担う基幹病院として、より高精度な急性期医療をめざしている。

救急車両専用エントランス

救急車両専用のエントランス。緊急時も迅速に対応するため、導線を分けている

救急車両専用のエントランス。緊急時も迅速に対応するため、導線を分けている

来院手段別・機能別に
3つの出入り口を設置

新病院のエントランスは、外来を受診する患者の利便性を高めるため、1階にエントランス、2階に正面玄関を設置。1階のエントランスは目黒川の遊歩道に直結しており、最寄りの池尻大橋駅からスムーズにアクセスできる。駒場東大前駅から来院の際は、坂を下りて直進すれば2階の正面玄関に入ることが可能だ。さらに、集中治療室と救急外来がある3階の出入り口は、搬送された患者に対してスピーディーに高度な急性期医療を提供できるよう、救急車両専用となっている。

病 室

広々とした病室で入院環境を向上。質の高い療養をめざしている

広々とした病室で入院環境を向上。質の高い療養をめざしている

1床を拡充し
余裕ある入院環境を実現

地域連携強化で在院日数が短縮されたため、新病院の総病床数は319床になり、1床あたりの床面積がこれまでの50.2平方メートルから85.4平方メートルに広がった。これにより、以前に比べてかなりゆったりとした入院環境が整い、より質の高い療養をサポートできるようになった。一般病棟は4人部屋と個室、個室病棟には通常の個室のほか特別室を用意。カーペット敷きで高級感がある特別室には、浴室と洗面室に加えキッチン、トイレが完備されており、コンシェルジュが身の回りの世話をしている。

からだの図書室「くすのき」

誰でも気軽に入れる雰囲気で医療や体のことについて知ることができる

誰でも気軽に入れる雰囲気で医療や体のことについて知ることができる

患者と関係者の「知りたい」に
豊富な情報量で応える

患者の知る権利を尊重すべく、インフォームドコンセントの理念に基づいて設置されたからだの図書室「くすのき」。同病院や地域の患者およびその関係者が、心身の健康と疾病について理解するために必要な情報を収集できるよう、資料の閲覧、配布資料の提供といったサービスを行う。書籍は病院の診療科を意識し、一般向けの易しい解説書から専門的なガイドラインまで幅広く網羅。来室者の求めに応じて、適切な書籍をピックアップして提供することも可能だ。

病院長メッセージ

岩渕 聡病院長

岩渕 聡病院長

1984年、東邦大学医学部卒業。ニュージーランド・オタゴ大学、アメリカ・シカゴ大学留学を経て、2006年に東邦大学医療センター大橋病院脳神経外科助教授に就任。2008年から同教授、および脳卒中センター長を兼任。2018年より現職。脳神経外科診療部長。専門領域は脳卒中、脳血管内治療、顔面けいれん・三叉神経痛。

新病院への移転で設備がグレードアップ
地域完結型医療の上流拠点として再始動

東邦大学の2番目の付属病院として1964年に開院した旧病院の老朽化を受け、2018年6月に新しく生まれ変わった同病院。最寄駅からのアクセスや療養環境が大幅に改善されたほか、気鋭の医師陣の技術をさらに高める先端機器も多数導入し、地域完結型医療の最重要拠点として新たなスタートを切った。

直接的なコミュニケーションを基盤として
新鋭設備を生かした高度医療をさらに推進

大学病院として、高度医療の提供を使命とする同病院。標榜診療科はいずれも先端の治療法を取り入れるなど、技術向上に余念がない。新病院は、敷地面積と延べ床面積の拡大によって施設や設備がいっそう充実。循環器内科をはじめ「自己心膜を用いた大動脈弁再建術」などを行う心臓血管外科、消化器内科、消化器外科など、進歩を遂げる高度医療の精度がさらに高まった。「今後は、ハイブリッド手術室をはじめとする先進的な設備を活用して、強みをさらに伸ばしていきたいと思っています」と岩渕聡病院長。施設が刷新されても、顔と顔を突き合わせてのコミュニケーションを大切にする姿勢は変わらない。岩渕病院長自身も、現場に積極的に顔を出して直接患者の話を聞くことを重視している。


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