地域のための「優しい医療」と
高度医療の両立に努める

大正14年の開院以来、臨床・研究・教育という大学病院の使命を果たす『東邦大学医療センター 大森病院』。専門性の高い医療を求めて来る患者へこまやかに対応し、大田区・品川区を中心とした東京都区南部医療圏における高度急性期病院として、主に三次救急医療を提供し、救える命を救う、「断わらない医療」の提供をめざしている。
特徴的なのは、「医療を志した時の気概を忘れず、人を助けたいという真摯な思いを持って、少年、少女のような心で医療に取り組んでほしい」という瓜田純久病院長の思いを体現するような、ぬくもりある雰囲気だ。専門性を高めることで対応範囲が狭まることがないよう、各診療科がカバーし合うチーム医療を実践している。地域の医療機関との連携においては、人手や設備面に対してフォローするというスタンスに基づき、相手に最大限の敬意を持って検査や情報提供に取り組む姿勢を徹底。地域の住民が安心して暮らせるよう、忙しい地域の医師たちをバックアップすることで、救急医療にも積極的に取り組んでいる。
高度医療と地域医療のいずれにおいても、重きを置いているのは「医療の質」。疾患の治療だけでなく、全身の健康や治療後の治療痕にも配慮した診療で、「患者に優しい医療の提供」に努めている。

地域医療支援センター

盛田 俊介教授

地域医療支援センター部長
盛田 俊介教授

1984年東邦大学医学部卒業。同大学医学部臨床検査医学研究室助教授を経て2006年に同大学大学院医学研究科臨床検査医学講座教授、東邦大学医療センター大森病院副院長に就任。2016年から医学部副医学部長も務める。地域医療支援センター部長として医師会や地域医療機関との連携にも注力。

各診療科の先生を紹介する広報紙「The Expert」を毎月発行。医師から医療情報を発信することにも努めている

各診療科の先生を紹介する広報紙「The Expert」を毎月発行。医師から医療情報を発信することにも努めている

「地域完結型医療」の確立に向け
病院全体で患者を支える体制を構築

特定機能病院として、地域完結型医療の確立に尽力する同病院。院内の多職種での連携、および地域のクリニックとの連携によって患者を総合的に支える仕組みづくりのため、「地域連携」「病床管理」「医療社会事業」「退院支援」の4部門から成る地域医療支援センターを設けている。

紹介患者の受け入れや逆紹介、かかりつけ医の紹介といった役割を中心に担う同センター。「病院全体で患者さんをサポートできる体制が最大の強み」と盛田俊介教授が話すとおり、患者一人ひとりの最善の医療を考えた緊密な連携が特徴だ。病状や生活背景にも配慮し、こまやかな支援を実施。連携についての意見を近隣のクリニックに求めて改善点を洗い出したり、それぞれの得意分野をより生かすための役割分担について話し合ったりと、地域完結型医療の確立に向けて患者を地域で支える仕組みづくりにも積極的だ。
また、同病院へ患者を紹介したクリニックに紹介後も患者の状況を常に把握してもらえるよう、定期的な情報共有を徹底。患者に提供した医療の内容やその後の容体などについて、細かいところまで丁寧に伝えるよう心がけているそうだ。医師会との連携も深く、地域医療に不可欠なチームワークの要として存在感を発揮している。

主な受診・転院パターン

主な受診・転院パターン

2つの診療科が連携し、急性期の循環器疾患や難治症例に対応

池田 隆徳教授

池田 隆徳教授

疾患が重症化する前の早期治療を実現するため、心臓血管外科との連携を強めている

疾患が重症化する前の早期治療を実現するため、心臓血管外科との連携を強めている

心不全につながる弁膜症の早期治療のほか
難治性疾患に対する高度医療も充実

循環器内科の対象疾患には命に関わるケースがしばしばあり、早期発見・治療の重要性が非常に高いという。同科では外科との連携で早めの手術を行うほか、難治性疾患に対する高度医療にも治療の幅を広げて、多様な症例に対応できる体制を整えている。

虚血性心疾患、不整脈、高血圧、心筋症、心臓弁膜症、動脈疾患、静脈血栓症、先天性心疾患など、心臓と血管にまつわるすべての疾患を診る循環器内科。高齢化に伴うニーズの変化にも対応しながら、患者一人ひとりにとっての「ベストな診療」を追求している。中でも虚血性心疾患、不整脈、心不全の診断と治療に注力。最近では、地域に患者が多い心不全を少しでも減らそうと、心不全につながりやすい心臓弁膜症の患者に対して、心臓血管外科と連携して早めに手術をする取り組みを行っている。
「不整脈や心不全の治療では、地域の先生方との連携が非常に重要です。治療に難渋している例で原因が心臓弁膜症にある場合は、中等度くらいまでで外科にバトンタッチすることで良い結果となる確率が高まります」と池田隆徳教授。高齢者に多く、脳卒中を招く可能性がある心房細動の不整脈へのカテーテル治療のほか、慢性血栓塞栓性肺高血圧症に対するカテーテル治療、下肢動脈のインターベンション治療など難治性疾患にも高度医療を提供している。

藤井 毅郎准教授

藤井 毅郎准教授

より低侵襲な治療を実践し、患者への負担を減らすことに努めている

より低侵襲な治療を実践し、患者への負担を減らすことに努めている

心臓血管外科・循環器内科が連携し
すべての疾患に対し最善の医療を追求

循環器疾患には、心臓血管外科と循環器内科が緊密に連携して適切かつ迅速な医療を提供。高齢化が進む地域を支える病院として低侵襲な医療を追求するほか、あらゆる循環器疾患に対して最新・最善の治療をタイムリーに行えるよう力を尽くしている。

分野を限定せず、すべての循環器系疾患の外科治療を担う心臓血管外科。あらゆる診療科との密な連携の中でも、循環器内科とは特にシームレスな関係を築き、最新かつ最善の治療の提供をめざしている。「2つの診療科がリスペクトし合うことで循環器疾患の治療が成り立っています」と語るのは藤井毅郎准教授。高齢化が進む地域に低侵襲な医療で貢献すべく、科を超えた連携による経カテーテル的大動脈弁置換術の準備も進めている。
虚血性心疾患に対しては、動脈グラフトに加え、特殊な採取法の静脈グラフトによる高いバイパス開存率が特徴。弁膜症は、早期手術により高率に自己弁温存を実現している。また、東京都急性大動脈スーパーネットワークの緊急大動脈重点病院に指定されており、内視鏡を用いた大動脈手術において良好な成績を収めている。
「急性期への対応が命運を分ける循環器医療は、萎縮医療になってはいけない分野です。常に危機感とハングリー精神を持って技術を磨き、適正医療を追求していきたいですね」

膝関節と股関節、それぞれの専門家が担当する人工関節治療

青木 秀之講師

青木 秀之講師

個々の患者に合った治療法を提案し、治療の質にもこだわる

個々の患者に合った治療法を提案し、治療の質にもこだわる

豊富な手術バリエーションを生かして
一人ひとりに適した治療を提案

整形外科では、人工関節治療を膝関節と股関節に分類し、各グループが専門的な治療を提供している。膝関節グループでは、人工関節置換術のみならず、前十字靭帯再建術、半月板縫合手術、骨切り術といった多彩な手術で、幅広い膝関節疾患に対応している。

膝関節グループの最大の特徴は、多様な手術を扱っており、さまざまな症例に対応する治療範囲の広さだ。「人工関節置換術、骨切り術などの手術にはそれぞれ異なる特徴やメリットがあるので、引き出しが多いほど、一人ひとりの患者さんに対して適切な提案をすることができます」と青木秀之講師。進行した変形性膝関節症で「人工関節しかない」と思われる症状でも、同病院であれば自分の関節を温存して侵襲を抑えられる骨切り術を行える可能性があるという。
O脚で膝関節の内側に負担がかかっている場合に行う高位脛骨骨切り術では、脛骨を切る一般的な方法に対し、脛骨と大腿骨の両方を切る方法を取ることで矯正効果を高め、より良い脚の形を追求。膝関節をさらに自然な状態に戻し、若い頃と同じような動きに近づけることを目的として、骨切り術に併せて半月板に対する処置も行っている。今後は、軟骨などの再生医療にも積極的に取り組み、骨切り術と組み合わせて、患者のさらなるQOL(生活の質)向上をめざす考えだ。

櫻井 達郎助教

櫻井 達郎助教

骨セメントを使った人工股関節置換術。治療精度を上げるため、細部まで微調整に努める

骨セメントを使った人工股関節置換術。治療精度を上げるため、細部まで微調整に努める

計画の再現性や長期経過にこだわり
骨セメントを使った人工股関節置換術を実施

整形外科の股関節グループでは、安全で再現性が高い治療を追求し、数年前から骨セメントを使用した人工股関節置換術を行っている。国内ではセメントレスの手術がほとんどで、特に東日本で行う病院は少ない手術法だが、そのメリットは多いという。

人工股関節置換術は、大きく「骨セメントを使用するもの」と「使用しないもの」の2つに分けられる。股関節グループが行っているのは、前者の骨セメントを使用した人工股関節置換術だ。
「人工股関節置換術は、短期的な視点であれば比較的容易に大きな成果が得られる手術です。しかし、長期的に良い経過を維持することを考え、かつ再置換が必要になったときの骨量や骨質の維持を考えれば、解剖学的に正しい位置に人工関節を入れられる骨セメントを使用した手術がよりメリットが大きいと私たちは考えています」と、櫻井達郎助教はその特長を解説する。
骨セメントを使う場合、手術前に立てた計画に基づきながら細部の微調整が可能で、脚の長さをミリ単位で再現できる。その上、術後早期の合併症が少なく、長期耐久性を実現した実績があるそうだ。再置換の際には、患者自身の他部位の骨を移植するほか、他者の骨を移植する同種骨移植も実施しており、人工関節を固定するための骨量が少ない高齢者などの患者にも対応している。

医療の質

渡邊 正志教授

医療の質総合管理センター
医療安全管理部
渡邊 正志教授

森田 典子看護師長

医療の質総合管理センター
医療安全管理部
森田 典子看護師長

多職種のチームで医療安全を追求
病院を挙げて医療の質向上に取り組む

医療安全管理部、高難度新規医療技術管理部、未承認新規医薬品等管理部、感染管理部、総合相談部の5つの部門から成る「医療の質総合管理センター」。高度化・複雑化する医療環境に対応するため、組織的な安全管理体制で「安全かつ質の高い医療」提供に努めている。

相次ぐ不祥事や医療事故の発生を受けて、医療機関に「医療の質」を問う声が高まっている。国からの医療安全管理の要請を受け、同病院でも「医療の質総合管理センター」を開設。さまざまな役割を担う5つの部門のうち、院内で起こっている問題を吸い上げて分析し、改善につなげているのが医療安全管理部だ。職員が日々の業務の中で見つけたインシデントやアクシデントは病院内システムを通じて同部に共有され、週に1度の部会で精査される。「システムの導入により、職員一人ひとりの安全管理に対する意識が向上し、職員自身のモチベーションアップにもつながっています。職員が意欲的に働き、患者さんが安心して医療を受けられる環境をつくっていきたいですね」と話すのは、同部部長の渡邊正志教授。電子カルテによるモニタリングや、病棟、外来、診療科の巡視など、主体的な状況把握にも注力する。
多職種が一つのチームとして活動する同部では、互いがスムーズに連携できるよう、コミュニケーションスキルを高めるトレーニングを導入して積極的な対話を推奨し、患者を含めたチーム医療の確立をめざしている。そのチームの一翼を担っているのが、転倒や転落の防止といった観点から患者の安全を考える3人の看護師だ。森田典子看護師長は、「看護が大きく関わる問題については、看護部内で検討した上で部内に共有し、看護の視点を生かした安全管理を推進しています」と話す。
今後は、各診療科との連携を深めて、より多くの職種を巻き込みながら、病院を挙げてさらなる医療の質の改善に取り組んでいく考えだ。

チームで高める医療の質

個人の健康意識が高まり、患者は医療機関に「治療」だけでなく「安心して受けられる医療」を求めるようになった。「今こそ、病院は医療に対する姿勢を見直し、医療安全を真剣に考えなくてはならない」と、医療の質総合管理センターを率いる船橋公彦教授。高度化する医療現場では、個人の努力に依存した医療安全には限界がある。同センターでは、個人のさらなる成長を促すとともに、組織としての安全管理体制の確立をめざしている。

 

医療の質総合管理センターを統括する、船橋公彦教授

医療の質総合管理センターを統括する、船橋公彦教授

病院長メッセージ

瓜田 純久病院長

瓜田 純久病院長

1985年東邦大学医学部卒業。関東労災病院消化器科を経て、地元・青森県に瓜田医院を開業。東邦大学医療センター大森病院病院長補佐などを経て現職。自身の開業医の経験から、地域の医療機関の立場に配慮し、地域の医師たちをバックアップできるよう力を尽くす。専門は内科学、総合診療医学、機能性消化器疾患、内視鏡医学、超音波医学、栄養代謝など。

地域医療の最後の砦として
高い専門性と多様性を発揮する大学病院

先進的な設備を生かした高度医療機関であり、地域の基幹病院でもある同病院。「どんなときも気負わず、いつもにこにこ行っている医療が実は最先端医療である、という雰囲気が理想」と瓜田純久病院長は話す。敷地に入るとどこかほっとする、独特の優しさとぬくもりに満ちた病院だ。

地域の医師たちをバックアップし
近隣医療圏を総合的に支えていく

特定機能病院である同病院は、高度医療に取り組むことを使命とする一方、地域の基幹病院として、先進的な医療だけでなく、地域医療機関との連携に基づく多様な医療にも積極的に取り組んできた。「地域の先生方の後ろには、近隣医療圏を担う最後の砦である当病院がいます。安心してかかりつけの先生に相談していただきたいですね」と瓜田病院長。医療を志した頃の純粋な心のままでいてほしいと職員に呼びかけ、自らもまた「人を助けたい」という初志を忘れずに日々の診療に奔走している。「最終的には、『城南地区の平均寿命はなぜか長い』と言っていただくのが目標。患者さんのためにできることは何でもするというマインドで、全力を尽くしていきたいですね」と、力強く抱負を語った。


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