ドクターズファイル特集
特集レポート ぽっけキッズクリニックの「喘息教室」レポート レポートぽっけキッズクリニック(横浜市緑区) 第4回メディカルモール・たまプラーザ健康講座レポート

2011年8月24日、地域の患者を対象に、ぽっけキッズクリニック にて「喘息教室」が行われました。日頃説明しきれない喘息についての病態やセルフコントロールの仕方など、大川拓也院長 が詳しく説明され、参加したお母さん方は熱心に耳を傾けていました。(公開日2015年10月 28日)


喘息患者はどれぐらいいて、どんな症状が起きるのですか?

まずは喘息の患者さんの数、喘息とはどんな病気なのかを大川拓也先生が説明してくださいました。子供の喘息患者は100人中約6人と言われ、現代の家は気密性が高くなっているため、ダニやハウスダストなどのアレルゲン物質に触れることが多く、1960年代では1%だった患者が2000年代では6%と増えているとのこと。子供の喘息は2~3歳で発症することが多いのですが、近年は発症年齢が若年化している傾向にあるそうです。では、子供の頃に発症した喘息は治るのだろうか?この疑問に対して大川拓也先生はアメリカで調査されたデータをもとに説明してくださいました。「小児の喘息は大きくなるとなくなるものだと考えられていました。調査では、6歳未満で喘息症状が認められた場合、約60%の患者が6歳で症状がなくなっていました。6歳の時点で認められた場合、22歳で57%~72%の患者がまだ喘息症状が認められています」とのこと。小さい時期に喘息と認められた場合は6歳までよくなることが多いというが現状です。「喘息はまだまだ完治させることが難しい病気ですが、病気をよく知っていただいて、上手にコントロールする知識を身に付けていただきたい」と今回の「喘息教室」開催に対する思いを話されました。喘息に対する一般的なイメージは、呼吸をするときにヒューヒュー、ゼーゼーする(喘鳴)、咳き込む、夜寝ていて急に苦しくなる、運動した後息苦しいといった感じです。たばこやホコリなどのいろいろな刺激によって反応が起き、空気の通り道である気道が細くなり、気道に炎症やむくみが起きるのが喘息です。急激に症状が悪化するのが発作ですが、その発作が治まっても気管の炎症などが続くことが喘息の特徴だそうです。


どんな治療法、対処法がありますか?

先生が考える喘息の治療法には大きく2つあります。一つは咳や喘鳴、呼吸困難などの症状を抑えること、もう一つは長期に渡って発作を予防すること。症状が出た場合は、痰が絡まないように水を飲むこと、換気をしたり、気分転換に外に出ること、薬が手元にある場合は吸入・服用すること、体を横にするのではなく起こすことだそうです。自宅での対処で症状が改善されない場合は早めに病院を訪れることも大切なようです。「吸入薬が全く効かなかったり、2~3時間で効果が切れる場合や吸入後も呼吸が速くてきつい場合、話すのが苦しい、唇や爪が白や青などに変色するチアノーゼ症状が出た時、息を吸うときに小鼻が開く、脈が速い、歩けない、横になれない、意識がはっきりしない場合は発作が強いので、自宅での回復を待たずすぐに病院に行くようにしてください」と具体的な症状を挙げて説明してくださいました。肩甲骨のあたりに耳を当てて、子供の呼吸音を聞くことも自宅で簡単に状況を確認できる方法です。薬に関しての知識も必要ということで、「薬は発作を抑える薬(リリーバー)と発作を長期に管理して予防する薬(コントローラー)の二つがあります」と説明してくださいました。また、気管支を拡張させる薬、炎症を抑える薬といった作用の違う薬を併用することが必要とのことで、実際の薬名を挙げて紹介してくださいました。親であれば誰でも持つ「喘息の薬はいつまで使うのか?」という疑問に対して、「患者の重症度によってもちろんさまざまですが、一般論としては十分に気道の過敏性や炎症が改善するまで薬は必要です。喘息発作がない場合が続き、呼吸が安定している期間が3カ月から半年続くと薬は減らすことができます」と答えてくださいました。


発症した場合、ひどくならないように心掛けることはどんなことですか?

「喘息の予防、治療の三本柱は環境の整備と運動療法と薬物療法」と語る大川拓也先生。この三つを組み合わせて発作を起こさないで皆と同じ生活を送れるようにすることが大きな目標です。まず一本目の柱の環境の整備とは、生活シーンの中で喘息発作の原因となる物質を減らすこと。主な原因物質はダニとホコリですので、絨毯よりはフローリング、ふとんは毎日よく干す、週1回は布団に掃除機をかける、タバコや花火、ペットの毛は避ける、ぬいぐるみやカーテンは丸洗いできるものを選ぶなど、具体的な注意点を挙げてくださいました。二本目の柱は運動療法。「基礎的な体力を身につけて、喘息を起こしにくい体、発作が起きた時に重症化させない体を作ることが大切で、喘息の症状が落ち着いている時は積極的に体を動かすことをお勧めします」とのこと。一般的に言われているように喘息には水泳が適しているようです。運動によって喘息発作が起きてしまうことを「運動誘発性喘息」と言います。これは運動の前に十分なウォーミングアップを行うこと、冬場など乾燥した状況ではあらかじめマスクを付けること、少し走ったら休むなどして徐々に体を慣らしていくことなどで予防することができるそうです。最後に三本目の柱、薬物療法についてです。主な薬のタイプは発作を抑えるものと管理・予防のためのものの2種類で、現在使用している薬の名前を挙げて説明してくださいました。「喘息があるからできないと思うのではなく、やりたいことがあるから喘息をきちんとコントロールする、というモチベーションで臨んで欲しい」と語る大川拓也先生。喘息は完治させることは難しいけれど、近年もっとも治療が進歩した病気の一つだそうで、完治を目指して常にセルフコントロールをしていくことが必要のようです。セルフコントロールのためにお勧めなのが「ピークフローメーター」。朝晩数値を測り、喘息手帳を付けることによってどんなときに症状が出やすいかを判断することができる、と「喘息教室」の最後に実演も含めて紹介してくださいました。


これからは年に1回夏休みにさまざまなテーマで教室を開催。

「お母様方にとってはよく通っているクリニックでの開催だったので、敷居が低かったようで、たくさんの方に参加してもらえました。初めての試みが無事に終わってよかった」と笑顔を見せる大川拓也先生。約40分の先生による説明の後は、患者のお母さん方からの質問が次々とあがり、お子様である患者の状況を踏まえて、丁寧にアドバイスされていらっしゃいました。今回の「喘息教室」に参加した木内さんは、「喘息の基礎知識をしっかりと学習できました。発作が起こらないようにどうしたらいいか、完治に向けて日々の生活で行うべきことがよくわかったので参加してよかった」とおっしゃっていました。「新しい話ではなかったかもしれませんが、今回の教室をきっかけとして家族で喘息のことを話し、気にしてもらうことが大切です。今後は大きな会場で小児科だけでなく他の科の先生と一緒に年1回、夏休みの時期にさまざまなテーマで教室を開催したい」と抱負を語ってくれました。柔らかな口調で丁寧に対応される大川拓也先生は、地域の方々の健康を真剣に考える頼れるドクター、という印象でした。








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